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2013年7月20日 (土)

あたご事件が隊員の統率に与えた悪影響

あたご衝突事故の刑事裁判は、業務上過失致死罪などに問われた2人の自衛官の無罪が確定しました。
あたご事故:高検、上告断念へ 期限で自衛官の無罪確定」(毎日新聞13年6月25日)

この事故ですが、海難審判で責任があたご側にあるとされながら、刑事裁判の第1審では、責任は漁船側にあったとされています。
審判及び裁判の経緯、結果については、こちらのブログが詳しいので、こちらをご覧下さい。
イージス艦衝突事故判決下る やはりそれは無謀だったのでは」(ぐり研ブログ11年5月13日)

私が注目したいのは、この事故に対する(事故当時の)政府、防衛省(内局)および海自の姿勢です。

前掲ブログ記事にもありますが、事故直後、マスコミは自衛隊バッシング一色でした。

その結果、当時の石破防衛大臣は、事故直後に航海長を防衛省に呼び出して聴取(事実関係を確認)しながら、艦長を解任するなど、事実に基づき隊員を守ること無く、関係者の切り捨てを決定したようです。

この決定に対して、海自内にどの程度抵抗があったのかは分かりません。(内局が隊員を守ろうとしたとは思えない)
防衛大臣が切り捨ての判断をしている状況で、抵抗したところで抵抗しきれるものでは無かったでしょうが、少なくとも地裁判決後に後潟3等海佐が「省の混乱を見ていて、命を預け得る組織なのか、今も疑問が残る」と発言したように、隊員を庇わず、トカゲの尻尾切りをしようとしたことは、後潟3等海佐だけではなく、多くの隊員に、組織への不信感を抱かせるものだったのではないかと思われます。

これは憶測に過ぎませんが、艦長室のドアに斧が打ち込まれるなど、海自内にあると噂される統率上の問題に対して、この事件における防衛省・海幕の対応(だけではないでしょう)が悪影響を与えたのではないかと勘繰りが出来てしまいます。

今回無罪が確定した2名は、起訴から1審判決がでるまで2年以上に渡って休職させられました。
その間の生活費は、恐らく隊員がカンパするなどして支援したと思いますが、それだけでは不十分でしょうし、カンパさせられた隊員にも不満が発生したのではないかと懸念します。

防衛省は、無罪が確定したことを受け、処分した38名の処分を見直すようですが、一度発生した不信を回復することは容易ではないでしょう。

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指揮統制」カテゴリの記事

コメント

無罪確定なら、休職期間中の賃金は支払われるはずですか…

それ以外でも、訴訟起こして全面勝訴した北の方の隊員は事実上解雇されてるし、検察が不起訴処分にした隊員も警務隊の捜査対象になっただけで懲戒処分は取り消されてないですからね~

「上がこういうのだから、下の者は正しい正しくないに関わらずそれに従え」
ってことなんじゃないでしょうか?
それが組織を歪めるのはいうまでもありませんが。

清徳丸事件が?懐かしいな。この機会に何と言うべきが…

よし、先ず地検の恣意的な調査について、やはり批判すべきでしょう。幾ら政治的味が重いなケースで有っても、やはり公平的な調査を期すべきではな いでしょうが?

そして、裁判所の独自な鑑定をして、航跡を割り出し、これを元に判斷を下った事について称賛すべきでしょう…

ただし、あの新たな航跡に元ついて判斷を下すとしても、正直無罪が罪がのは微妙な所と感じます。どっちに転げても納得できるの結果です。認められたな航跡に拠ると、双方も機動しなければ、「清徳丸」は「あたご」の数百メートル後方に通過した筈。ただし、これは「たった数百メートルしかな い」とも言えるです。なら、問題は数百メートルの余裕は安全と言えるどうかです。

この場合、弁護側は数十メートルまでの接近すら良く有るから、数百メートルは恐れに足らずの見解を示したらしく、裁判官もこれを飲んだらしい。だが、命令によるの安全距離はCPA=2000メートルまでで有り、これ以下に成るなら少なくとも艦長の判斷を仰ぐ様な指示が有った。

因みこの2000メートルすら国際基準に置いて狭いらしく、ソ連海軍の当直士官マニュアルではCPA<20ケーブル(3600メートル)なら避航する様な指導が有るし、米海軍は5000ヤード(4.5km)程度です(USNI出版のWatch Officer's Guideに依る)。これらを根拠に、避航機動の可能性が有るのにそうしなく、数百メートル(自分の目算で)まで接近を許すとは危険な過失で有ったの判定も十分あり得ると言わざるを得ません。
左翼はこの判定について大変不満らしいですが、理解できないでも有りません。
=
マスコミの過剰反応をさておいて、防衛省の反応について、部内者なら冷酷に見えるかも知れませんが、仕方がないな処置と想います。なんだかんだ言っても、護衛艦は漁船と衝突し、死人も出たの有様です。しかも、直ぐに分かり得るの情報だけでですら、自衛隊側のミスは十分に有るとは最早否定できな いな事です。

他のを言わず、2000メートルの一件だけでも悪く言えば抗命罪(日本の法体系では平時にこの罪が無いにせよ)に該当します。そして、艦長は明らかに統率を失って、この結果国民に被害を被った。社会的地位は自衛隊より桁違いな米海軍すらこの場合艦長更迭しか有りませんでしょう。で言うか、 規律維持の為にもそうしなければ成りません。

同じ理由で、裁判の結果はどっちに転ぼうと、懲戒処分を取り消す事は不適切です。
=
統率の見地からこの事件を見ると、寧ろ以下の点を注目すべきではないでしょう?

1) 海曹の過大な独立性
防衛庁の正式報告書に拠ると、電測長が独断専行し、勝手にレーダー当直を事実上半分にした事が安全面以前に規律上厳重な問題であり、本来免職も温いと言わざるを得ません。

そして、そもそも現在のやり方で海曹に過剰の独立性を与えているではないでしょう?人員が無い訳ではないのに、CIC士官を置く事はしない。この結果、護衛艦の探知機能の要で有るべきのCICは海曹達だけの無法地帯に成った。

海曹には専門スキルは有るので、幹部でも一目を置かなければなら無いとは言え、幹部をCICWOとして配置したら、この様な大胆な独断を未然に防げるでしょう。

2) 役職と経験と見合うの独立性について
海自では幹部が訓練艦隊を出てから当直士官に成りえるまで四年の年月も掛かり、この年期は他国海軍に比べて長いであります。一例に上げますと、米海軍では初期配属期間 (18-24月) 以内にOOD (当直士官)、CICWO(CIC当直士官)とEOOW(機械室当直士官)と言う3つの認可も得ないと、失敗者に見做されるらしい。

まあ、年月を長くすると、質が上がるとして、日本では副長に成るまで当直士官しかやれません。これに比べ、米海軍では科長に成ると同じ時期にTAO、英海軍ではPWO続いてAWO等の資格を得られる事ができ、当直士官をあんまりやら無くに成るらしい。

経験や練度を重視して、長年も当直士官をさせるなら、この練度を尊重し、それに見合うの権限を与えるべきだが、海自の当直士官は他国の当直士官に比べて、同じ程度の権限しか有りません。避航為の簡単な転針ですら艦長の了解が要る。

「あたご」水雷長に至ると、既に7-8年も当直士官をやって、少々マンネリに成ったでは無いでしょうが。それに、あの漁船を見る時、権限が有るなら直ぐに転針したがこの権限が無い。だからで新米じゃあるまいし無闇に艦長を起こす訳にも行かない。結果は見てる通りです。

ここも、見直すべきでは無いでしょうが?

3) リーダーとこの助手の年齢、階級差について

今回は当直士官に限らす、副直士官も十分に責務を果たしたとは言い難い。ただし、今回の副直士官は当直士官に比べて十年近くの年齢差と二階級の階級差が有ります。しかも、尉官と佐官と言う格の差が有ります。そもそも日本人は他国の人間より年齢差に敏感ですし、そして階級に敏感の自衛官。例えミスを指摘したいでも言い難い過ぎるでは無いでしょうが?

この事件を教訓に訓練を強化するらしいが、訓練に置いて、皆も「ミスを発見できたら、即座に指摘すべき」と理解し、上司も「もしミスが有るのに部下は指摘しないなら減点になりかね無い」と理解出来るので、全ては上手く行くかも知れませんが、実際はどうでしょう。

上司のミスを指摘するような「自殺行為」に頼って良いのか?寧ろ、組織を変更して、やりやすい様にする方が成功率が高いではないでしょうが?例えば、当直士官と副直士官を年齢に近いの尉官とし、左官は後見人みたいな物にするのはどうでしょう?元々航海安全は経験を頼る様な高度な判断より、寧ろ基本を忠実に熟し、ミスを許さず、疑問があればリスクを犯せず一番安全な選択を取る方が重要では無いでしょうが?
=
以上は民間人に拠る愚考でした。

名無し 様
まず、ハンドル使用にご協力下さい。

総務関係は詳しくないのですが、休職期間中の給料が払われるなんていう規定になってますか?

下を守ろうとしない上になんて、誰も着いてこないと思ってます。

香港からの客人 様
検察の恣意性については、今更言うまでもない気がします。
今回の裁判官、特に地裁の裁判官には驚きましたね。まだ、まともな裁判官も居たと言うことでしょう。

安全性に関しては、もっと実態を見るべきかと思います。
他の漁船もあたごを回避している中で、もしあたごが変針していたなら、おそらく多数の漁船は大混乱になったでしょう。

統率面について、艦艇内の指揮については詳しくないですが、ご意見に対しては違和感を感じます。

1) 海曹の過大な独立性
戦闘の指揮はCICですが、航海の指揮は艦橋なので、極端な話CICは無人でも安全性に影響はないはずです。
日本の場合、曹が優秀ですし、幹部が居なければ動かない組織では役にたちません。

2) 役職と経験と見合うの独立性について
変針に艦長の許可が要るというのは、どこの情報でしょうか?
操艦指揮は当直士官に任せられているはずですが。

3) リーダーとこの助手の年齢、階級差について
当直と副直の年齢階級差が大きすぎるという意見は、ごもっともな見解とも思いますが、副直は、またとない教育の場でもあります。
人材育成を考えれば、今回の配置が不適切だったとは思いません。(人員のやりくりは大変です)

>他の漁船もあたごを回避している中で、もしあたごが変針していたなら、おそらく多数の漁船は大混乱になったでしょう。

飽くまで防衛省のレポートに拠るですが、漁船は全部あたごの右前方に集中しており、若し衝突予防法に従い遠距離から面舵を切ったなら、混乱を起こす確率は皆無と言って良いでしょう。

>戦闘の指揮はCICですが、航海の指揮は艦橋なので、極端な話CICは無人でも安全性に影響はないはずです。

極端に言えば、民間船の基準に従えると、当直士官一人(操舵手すら無い船も有る)でも航海安全を確保出来ます。見張りすら要りません。この点について、当時も確かに取り上げたと想います(主に「民間や海保の当直は2-4人、自衛艦は10人以上で居ながら、何やってんだ」の意味で)。

にも関わらず、当直に入った以上、航海の安全確保の貢献するの義務が有る。きちんと当直を立つ義務が有る。無断に当直を半減する行為はどんな物でしょう。

そして、結果的に見れば、今回の監視体制は不足としか言わざるを得ません。目標の正確な位置をしっかり把握して記録もきちんとにしていれば、例え衝突は回避できなくでも後の騒ぎは大分減ったでしょう。

最後に、例え安全面に大した影響が無いと判斷しでも、当直は艦長の正式命令と船務長の指示によって設立された物なので、明らかに違法ではない以上服従義務が有ります。しかも、本来の4直から5直に増えたので、既に電測員の負担を考慮した上の配置としか思えません。だから、「幹部は状況を見えてないので現場でなんとかするしか無い」の言い訳も通用しない。安全問題と共に規律の問題です。

>曹が優秀ですし、幹部が居なければ動かない組織では役にたちません。

確かに、幹部が居なければ動けないな「軍隊」は役に立ちませんまで行かなくでも大分劣るです。ただし、任せるとそれ以降最低限な監督すら行わないとは違うでしょう。

そもそも、曹の立場は技術者だけではないの筈。下っ端と現場の代表です。逆に言えば、幹部は上の立場を代表します。この2つの立場をぶつかり、この折り合いによって最良の決定を得る。逆に言えば、肝心な場面で一つを欠けると、バランスを取った決定は得難い。

今回もこの一例です。仮にCICWO直を設置したとしよう。CICWOは立直の人間が半分もいない事を流石に悟り、そこで先任に問うでしょう。そこで、電測員長の独断はバレます。CICWOは恐らくこの場で立直していないの人間を呼び戻したでしょう。ただし、当直中先任は謝罪しながら電測員の苦情を具申するでしょう。この翌日、CICWOは士官室で昨夜の出来事を報告し、そして具申も伝えるでしょう。この新たな情報で、幹部は当直を再検討し、新たな命令を下す。

これは本来のパータンの筈です。

>変針に艦長の許可が要るというのは、どこの情報でしょうか?

自衛艦乗員服務規則:
「第51条 艦長は、針路若しくは深度の変換又は速力の増減に関しては、必ず自己の命令又は許可により行わせなければならない。ただし、緊急の場合で、そのいとまがなく、副長、航海長又は当直士官の独断専行を要するときは、この限りでない。」
「第374条 当直士官は、針路・深度の変換、速力の増減、機関待機の変更、錨鎖の伸縮、錨数の増減その他重要な作業を行おうとするときは、必ず艦長の命によって行わなければならない。ただし、緊急の場合は、適宜な処置を行った後、速やかに艦長及び副長に報告し、かつ、航海長に通報しなければならない。」

他国海軍(ロシア海軍なら海軍条例第828条に)の条例にも似たような文句が有る筈ですが、どの道僕はこの類な文句が気に入らない。「緊急な場合」で何ですが?平時に任せられないくせに、緊急なら許す。平時にも出来無いなら、緊急時に出来る訳が無い。

そもそも昼が兎も角、夜に成ると艦長は寝ます。人間として、誰もボスを起こしたくない。だが、早期対処すれば素人にでも解決出来るの問題なのに、解決する権限はボスだけに有る。

となれば、「解決法」は簡単です:問題を放置します。そのまましても相手は直近に安全通過するかもしれませんし、そうでないとしても緊急に成るまで待つ。この時、緊急特例で(一番スキルが要る状況から)艦を動かして回避。

勿論、この誘惑を抵抗し、本来の主旨に従う人間も沢山居るけど、飽くまで人間の本能と正反対な規則なので、違反者が出ない方は可笑しい。大概はそれでも適切な操艦で問題を解決出来たが、今回の様な結果も有るでしょう。

>副直は、またとない教育の場でもあります。

確かに、副直は実務の場と共に教育の場です。ただし、どの様に教育すれば一番効率的なのがな?

あ)若き幹部でお互いに相談しながら航海問題を解くの様な「Interactive教育」
い)古参幹部を見て学ぼうとする様な一方的教育。更に言えば、古参幹部に成る程マンネリに成る恐れが有るし、要領も「良く成る」。こんな幹部を見ても正確なやり方を学べないではないでしょう?

まあ、これでも私は一応提案者として敢えて「変革すべき」の理由を強調しています。総合に判斷すると軍配はあっち側に上がるかも知れません。だが、少なくともこの機に十分真面目な検討をして、変更するがしないがと決めるべきと想います。

ただ「訓練を強化」する様な曖昧な約束は意味が薄いし、丸で本来の訓練は不足と認める様な物です。そして、下らないな規制(自動操舵装置使用措置要領の策定)はただ逆効果です。

抜本的な改革も考慮するから初めて本当の改善を得られると愚考します。

香港からの客人 様
航海の安全確保は艦橋の仕事です。
なのでCICは関係ないかと。

自衛艦乗員服務規則ですが、規則の読み方が間違ってます。
50条に操艦を当直士官に任せることができるとされており、51条の責任・権限自体が委任されます。
なので、変針にあたり、当直士官は寝ている艦長を起こす必要はありません。
ただし、周辺に多数の艦船が存在し、当直士官の技量では操艦が困難だと判断される状況であれば、50条ただし書きが適用される状況ですので、その場合には艦長を起こす必要がありますが。

教育についてですが、「若き幹部でお互いに相談しながら航海問題を解く」場合、正解を知っている人間がいない状態です。
前述したように、当直士官には、操艦の全権が任されていますので、ベテランがいない編成に任せてしまう訳には行かないでしょう。

伝統が墨守されている海自では、おっしゃるとおり抜本的な改革が必要な部分も多いと思いますが、ことこの事故で指摘されている指揮上の問題は、他幕の元自衛官から見て、艦船を部隊と置き換えれば不適切だとは思いません。

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