P-1不具合の深刻度
P-1に不具合が発見され、飛行停止になっています。
この不具合について、深刻ではないと評価する方もいますが、安全面だけでなく、運用面でも深刻な問題である可能性があります。
安全面では、エンジン停止が予想されない使用環境で4発停止する時点で十分危険です。
防衛省発表では、「通常の運用では想定されない、高高度における高速度での急激な機動」において発生したとされていますが、事前に停止することを想定していない状況だったようですし、更なる原因究明をするとされているとおり、通常の運用環境では決して再現しない現象だと確認する必要があります。
「固定翼哨戒機P-1(5号機・6号機)の納入の遅延について」
現時点では、それができないからこそ、海自では珍しい飛行停止の措置をとるのでしょう。
原因について、防衛省発表では「不具合は、P-1の量産化にあたりエンジンの形状を一部変更したため」となっていますが、その通りだとしても、解決にどの程度困難が伴うのかは不明です。
「次期哨戒機:全エンジン止まる…形状変更原因か」(毎日新聞13年6月21日)
もし解決困難な問題であれば、当面運用制限を課すことになります。
その際、程度問題ではありますが、エンジン出力を絞る事に制限がかかると、減速性能に悪影響が出ます。
哨戒機は、ヘロヘロ飛んでいればいいと思っている方が多いようですが、意外に激しい機動をします。
対潜戦闘でもそうですが、通常の監視フライトでも、船舶の状況確認のため、頻繁にかなりの低高度まで降ります。しかも、この際には、低速で飛行することが必要となります。
航空機は、高度を下げれば、速度が上がります。
つまりエンジン出力を絞ることに運用制限がかかり、減速性能が低下すると、低高度に降りた際に所要の低速度とするためには、(上空で)高速を出すこと自体をやめなければならなくなります。
エンジンは高出力でも、ブレーキのプアーな車では早く走れないことと同じ事になるわけです。
エンジン出力を絞る事に運用制限がかかると、高速が売りのハズのP-1が、十分な高速性を発揮できない可能性が出てくるのです。
低高度では、決してストールしないのならば問題ないですが、飛行停止するということは、安全とは言えない可能性があるのではないかと思われます。
この問題の解決には、意外に時間がかかるかもしれません。
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