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2013年5月23日 (木)

自衛隊装備のガラパゴス化は是か非か

自衛隊装備のガラパゴス化と言えば、清谷信一氏の専売特許のようなものですが、果たしてこれは妥当な主張でしょうか。


この本は読んでいませんが、清谷氏がネット上でガラパゴス化について言及している記事に、次のモノがあります。
防衛産業のガラパゴス化と崩壊の危機

 だが、我が国では天下り先を守るために防衛産業は過剰に保護され、護衛艦の建造など一部を除けば事業統合すら殆ど行われてこなかった。まるで周囲から隔絶したガラパゴス諸島と化している。
 
 このガラパゴス化のもう一つの原因となっているのが数々の非関税障壁だ。ボーイングやロッキード・マーティンなど大企業でも商社を通さない商売ができない。また新兵器に「我が国固有に環境に適合する」ためと称して、わざわざ世界中にないような仕様にして、外国企業の参入を阻む。

 更には無線機の出力や使用周波数帯、装甲車輛サイズなどは民間と同じ厳しい規制が課せられているために、外国製品が参入できない。不思議なことにこれらの規制に自衛隊は従わなくてはいけないが、実質米軍は従わなくていいことになっている。

 このため外国製と競合せずに済む。無論国内メーカー同士では「棲み分け」が行われており、競争はない。事業統合など起りようもない。このような環境下でコスト削減など望みようがない。

 だが実戦経験もなく、市場で揉まれたことも、国内での競争すらない状態で開発された、コストの高い国産兵器が「売り手市場」の現在の兵器市場で「飛ぶように売れる」というのは妄想に近い。また実戦がないことを前提に開発された日本製兵器は、多くの日本人が思っているほど性能は高くない。

 つまり市場においてイコール条件で戦えば我が国の防衛産業が淘汰される可能性の方が強い。

清谷氏の主張のキモは、一言で言えば、「防衛装備について”市場開放”し、ガラパゴス化した装備ではなく、国際標準のモノを調達せよ。」、「国内防衛産業は、市場開放に耐えられるよう構造改革せよ。」という所でしょう。

氏の主張については、賛同する部分も多々あります。ですが、ガラパゴス化に対する批判に対しては賛同しません。

それは、氏の主張には、ドクトリンに対する考慮が薄すぎると考えるためです。

ガラパゴス化とは、wikiによると、次のような意味です。

日本で生まれたビジネス用語のひとつで、孤立した環境(日本市場)で「最適化」が著しく進行すると、エリア外との互換性を失い孤立して取り残されるだけでなく、外部(外国)から適応性(汎用性)と生存能力(低価格)の高い種(製品・技術)が導入されると最終的に淘汰される危険に陥るという、進化論におけるガラパゴス諸島の生態系になぞらえた警句である。


私が言うドクトリンは、ここで言う”環境”にあたります。
日本は、専守防衛という特異な戦略思想を執っている上、比較的少数である島国であるなどの地理的特性もあります。

特異な環境であれば、その環境に「最適化」した生物や防衛装備が特異な存在になるのは、当然であり、必要なことです。
今ではさほど珍しくなくなりましたが、対艦ミサイルを4発運用できるF-2、特殊なサスペンションを備えた74式戦車、小型の10式戦車などはその例でしょう。

外国においても、特殊な環境から発生した特殊な兵器としては、スウェーデンのS戦車があります。
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wikipediaより

その意味では、自衛隊の装備は、必ずしも悪い意味ではなく、ガラパゴス化していると言えます。
(ただし、自衛隊装備の開発配備は、細部の乏しいドクトリンの元、決して最適なものにはなっていません)

問題は、日本が集団的自衛権を否定し、専守防衛を旨とするガラパゴス的と言うべき防衛環境を、これからも続けるのか、という点です。
地理的環境は、国土の一部が占領されたり、逆に他国の領土を占領したりしない限り、大きくは変わりません。しかし、ドクトリンの部分は変更可能です。

防衛装備は、それに合せて開発・配備されるべきです。

まず見直すべきなのは、ガラパゴス化した装備以前に、ガラパゴス的な戦略です。

 

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防衛政策」カテゴリの記事

コメント

清谷さんの自衛隊叩きも、ちょっと狂信的な部分がありますよね。
戦車マンセーの方達とベクトルは違えど、思考パターンは同じだと思います。
(両者は不思議と仲が悪いんですけど、近親憎悪だと考えれば納得)
もう少し冷静かつ客観的な視点を持ってもらいたいモノです。

ドクトリンの欠如や練り込み不足は自衛隊に限らず日本型組織の共通の問題ですね。

・労働を美徳視し過ぎる点(「忙しい」というだけで安心する)
・中~上級幹部がタスクの取捨選択を怠りがちな点(あれもやれこれもやれ全部やれ)
・非効率な組織運営で下級幹部を無駄な書類仕事や雑務に忙殺させてしまう点

などなどが積み重なって形而上学的な問題のために頭を働かせることを怠りがちです。
本人たちは一生懸命やってるつもりなのがなおさら性質が悪い。

どこからをガラパゴス化というのでしょうか。

もともと兵器というのは戦車にしろ戦闘機にしろ、それぞれの国情で創られているじゃありませんか。

アメリカのM1を日本で使用しようとしても橋その他の輸送手段がネックになるでしょう。
日本の10式を中東の砂漠地帯で使用しようとしても無理があるでしょう。

清谷氏はシロウトなのでしょうか?
国際標準の基準自体があいまいのように思えます。それに武器の輸出をいうのなら、米ロではなくて、ブラジル等と比べるのが正当な評価と思います。
それにパクれば良いという国じゃないのですから、独自技術(言い換えればガラパゴス化した技術)が必要でしょう。
アメリカの下請けになれ、とでもいうのでしょうか。しかし、独自技術を持たない企業なんてまともなアメリカ企業なら相手にもしませんよ。

ドクトリンの欠如は自衛隊ではなく、政治の問題ではないのでしょうか。
少なくともソ連崩壊後の日本でまともなドクトリンが創られたというのは聞いた事もありません。
逆にいえば、冷戦状態までのドクトリンはまあまあ合格点だったんじゃありませんか。

武器輸出三原則の変更。
米国製造業の自国への回帰(特に中国からの)。
憲法の改正。
それらの状況がどう動くかで変わってくるのではないでしょうか。

数多様

1:清谷さんの国産兵器に対する意見は、やや過激で、口調も穏やかでないため、批判が多いのは分かりますが、個人的には大半が間違っていないと思います(情報のミスや言葉の行き違いはあるようですが)。

ただ、私はそのご意見に賛成というよりは、「兵器を国産するならば、清谷さんの批判にきっちり答えられるくらい、しっかりやってみせよ。」という考えです。あの程度の批判にきっちり対応できない日本の防衛産業の現状は、良くないと思います。


2:ガラパゴス化

私は「是か非か」の2者択一を迫られれば、「非」の立場です。

独自のドクトリンというのは当然あると思いますし、それに合わせた国産兵器という発想が必ずしも間違っているとは思いません。しかし、自衛隊が実戦経験のない軍隊であることはまぎれもなく、そのドクトリンも、兵器への要求も、現実離れする危険性は無視できない。これは自衛隊の宿命です。

そのため、常に海外の兵器、部隊編成、戦術の変化に目を向け、必要とあればこれを輸入し、世界の「実戦経験を取り入れる」ことはもっと重視されてよいと思います。ここでは、主に陸自の話をしています。

#海自と空自は、「主体性がない」と言われるほど、海外の標準的な装備、戦術を導入しているように見えます。まあ、空自の極端な防空偏重とか、海自の対地攻撃能力の欠如とか、「ガラパゴス的」なところはもちろんあるのですが。。。

戦略に独自性はあって当然ですが、戦術レベルではあまり必要ないと思います。例えば、道路が狭いという「特殊性」がよく指摘されますが、実際に行った実感では、例えばイタリアの諸都市の道路は、日本よりも狭いくらいです。日本の特殊性はむしろ「道交法の 2.5m制限を、自衛隊車輛も例外扱いされない」点にあると思いますが、ここは無線の帯域とか、看護兵の施術の制約とかと合わせて、本来は改善すべき項目と思います。改善されないので、やむを得ず、幅2.5mに収まる装甲車を開発しているわけですが。。。

例えば高機動車。明らかにHMVVVを参考にしたもので、車体形状などはそっくりで、日本の道路事情に合わせるために、4WSに「改良」しています。この車体は、陸自内でも評価が高いと聞いております。90式、10式戦車にしても、ドイツのレオパルドIIなどの世界の第3世代戦車を参考に、国内事情に合わせて、大幅に軽量化を図ったものと理解しています。猿真似、結構。実戦経験ゼロの軍隊が、戦術レベルで独自性を発揮しては危険です。

「地形の皺が多い」こともよく言われますし、これは事実と思いますが、むしろ全土の平野部が、半分がた都市化していること、残りは山岳/丘陵地帯であることから、都市戦、山岳戦の「世界標準の戦術」を重点的に取り込むことで、対応できるのではないでしょうか?


素人意見なので、間違いもあるでしょうが、懸念しているのは、「独自性」「特殊性」の名の下に、「思考停止」をしていないか、「妙な利権」が発生していないかということです。その意味で、清谷さんのコメントは(それが完全に正しいかどうかは別にして)、適切な「風/外圧」なのではないでしょうか?しかも内容はそこそこ理にかなっており、大した「風」ではありません。あれくらい、きちんと、対応して欲しい。。。


名有り 様
清谷氏の場合、国産嫌いなんでしょう。
使ったことがないからだと思いますが。

名無し 様
確かにそうですね。
自衛隊に限った話ではないと思います。

みやとん 様
独自技術=ガラパゴスではないでしょう。
もしイコールなら、ガスタービンエンジンの戦車だってガラパゴスですし。

特異な環境、あるいは建前を理由とした独自仕様がガラパゴスでしょう。
道路運送車両法を前提とし、他国産を不適合とした上での独自開発とかが該当するかと思います。

ドナルド 様
清谷氏の批判に対して、悪いとすれば防衛産業ではなく、日本政府・防衛省でしょうね。

ドクトリンに関して、自衛隊の問題が、ドクトリンが悪いのではなく、しっかりしたドクトリンがないことです。
この辺はいずれ書くかもしれません。

懸念されている通り、「妙な利権」を発生させるために、「独自性」「特殊性」を持ち出していることが問題でしょう。
清谷氏もそれを問題視しています。
方向性としては、市場開放する方法もあれば、逆に、国策として国産化を推し進める方法もあります。
どちらが良いのか、防衛省の建前論を信じるのではなく、もっと真剣に国民的議論が必要でしょう。

いやしくも物書きが他者の著作を挙げて批判するならば、その本を読んでからにししてはどうでしょうか。

名無し 様
最初に、当ブログでは、ハンドル使用をお願いしております。

読んで頂ければ、書籍ではなくリンクを書いてあるネット上の記事に言及しているのだと分かると思いますが、理解できなかったでしょうか。

ガラパゴス化が悪いと言いますが、日本が対空ミサイル開発した時にアメリカメーカーが売値を半値に下げたり、旧ソビエトがイラクに低性能の輸出モデルを売ったりしたこともありました。
ガラパゴス化していない事が清谷氏の言うように、安い高性能装備の入手に繋がれば良いですが、粗悪品化、ぼったくり化しては意味がありません。
とくに粗悪品化した場合は、最悪です。
ガラパゴス化のみを考えては判断を失敗すると思います。

Suica割 様
清谷氏は、ガラパゴス化だけを批判している訳では無いと思いますが、少なくともガラパゴス化=悪という図式で主張されてますね。
ガラパゴス化の原因に踏み込んでくれればいいのですが、清谷氏の主張は結果のみにフォーカスしている気がします。

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