ブログランキング&ツイッター

  • 軍事・防衛 ブログランキング
  • ツイッター

« 対艦弾道ミサイルの可能性について補足 | トップページ | 地方公共団体防災関係部局における退職自衛官が急増 »

2013年4月20日 (土)

与那国自衛隊配備の交渉難航は自民党政権の策略か?

与那国への自衛隊配備が暗礁に乗り上げているようです。

陸自与那国配備見直しも 防衛相「要請の前提崩れた」」(産経新聞13年3月26日)

 小野寺五典防衛相は26日の記者会見で、与那国島(沖縄県与那国町)への陸上自衛隊沿岸監視部隊の配備計画について「地元の理解が得られない状況なら計画全体を含め検討する」と述べた。部隊の拠点を置く用地の売買や賃貸借契約をめぐり町との交渉が難航していることを受け、配備計画自体を見直す可能性に言及したものだ。


この問題は、防衛省が概算要求に関連項目として10億円を盛り込んだ事に対して、この全額もらえると思い込んだのか、与那国町が”迷惑料”を含め、10億全額を要求したことで発生しました。
この辺りは、ほとんど笑い話なので、詳しく言及しません。

役人の一人だった経験からすれば、10億しか予算取りしていないにも係わらず、その全額が用地取得に取られてしまえば、他の項目分を他から予算を流用せざるを得ず、財務との交渉を含めて、非常に面倒であることは理解しているつもりです。
しかし、8億5千万程度なら、防衛省として準備できない金額ではありません。(1億5千万は、用地取得費として織り込み済み)

ただし、これが既定路線になれば、今後の下地島利用や噂される石垣島への陸自配備でも、地元側が「迷惑料」を要求することは確実で、その意味で飲みにくいことは確かです。

しかし、防衛大臣が記者会見で発言するという、交渉としては穏便とは言えない手段を採る理由は他にもあると思います。
まだ25年度は始まったばかりで、いくら希望価格が大幅に異なるとは言え、水面下での交渉を行なう余地はまだまだあるはずなのです。

私は、このある意味ブラフにも近い発言の意図は、与那国町、ひいては沖縄県の一部が、自衛隊を積極的に誘致しようとしていることを宣伝する意図があるのではないかと思います。
事実、この見解を裏付ける動きが、実際に発生しています。
与那国自衛隊配備、要求は「市町村協力費」 迷惑料の表現修正」(琉球新報13年3月29日)

 糸数氏は町や町議会が自衛隊誘致を要請していることや、中国の軍拡が進んでいることなどを指摘し、「与党議員にも相談せずに要求した。寝耳に水だ。目先の10億円にこだわる必要はない。迷惑料だけでも今すぐ撤回してほしい」と求めた。


この防衛大臣会見を発端として、誘致派議員が、町長に対して圧力をかける事態になっています。
防衛省としては、町民の要望として南西諸島防衛を行ない、そのために在沖縄の防衛力強化を図っているのだ、という姿勢をアピールしたいのだろうと想像します。
これは、何としても普天間の辺野古移設を実現したいためではないでしょうか。

と、何だか防衛省陰謀論のようになってしまいましたが、私はこの動きは歓迎しています。
誘致派議員の方には、もっと大きな声を上げて欲しいと思います。

与那国島民にとって、与那国が中国領になっても構わないなら、仕方ありませんが。

にほんブログ村 政治ブログ 軍事・防衛へ
にほんブログ村

« 対艦弾道ミサイルの可能性について補足 | トップページ | 地方公共団体防災関係部局における退職自衛官が急増 »

先島防衛」カテゴリの記事

コメント

田舎芝居に付き合ってやるのも政治
というは流石に上から目線すぎるかもしれないが、政治ってばかばかしいことでもやらなきゃいけない

現実問題、離島というのは地方の中でも特に厳しい状態に直面しているわけで、中国の脅威の前に金がないのが一番差し迫った脅威ですから

地方を切り捨ててきたしわ寄せですよ。
まあそれは防衛省の仕事ではなくてそれこそ文句は担当部署や交付金を約束以上に削った財務省に、という話になるのでしょうけど

数多様

>与那国島民にとって、与那国が中国領になっても構わないなら、仕方ありませんが。

などということは、与那国の皆さんも全く考えていないと思いますし、正直に言わせていただければ、こうした表現が問題解決を遠のかせる気が致します。


#以下は私の私見(悪く言うと妄想:笑)です。考え不足の点はあるかもしれませんが、与那国の件に対する私のコメントの前提となっている理解です。


まず第一に、与那国が中国領になるケースは、大規模な争乱が東シナ海で発生し、しかもそれに日本が本格的に巻き込まれた場合です。日米と、中国という、巨大な経済圏が(一時的にせよ)断交するほどの事態。可能性がないとは言いませんが、ことは「与那国島」の事件ではなく、「日本一国」、いや「第3次世界大戦」レベルの事件です。我が国はもとより、中国にとってなんのメリットもありません(どこにもメリットがなくても戦争が起きるときはありますが)。

ただ、一つだけ注意が必要な、現実的にあり得るシナリオは、台湾有事に巻き込まれるケースです。与那国空港は、「台湾後方にある、無防備な2000m級滑走路」です。中国軍だけでなく、(追い込まれた)台湾空軍にとっても、やむにやまれぬ逃避先として有望です。要は「魅力的な滑走路を持っており、巻き込まれれやすい位置にある」ということです(#地政学的な問題)。

この場合、与那国、というか先島諸島の平和を守るために大切なことは、「巻き込んだら、酷い目に遭う」という状態を担保することです。手段は2つ有り
1:防衛力が高くて、容易に「利用」することが出来ない(与那国島へのあるレベルの自衛隊駐屯)
2:防御力が皆無なので数日は「利用」できるが、そのあと手ひどい反撃を受け大損害を出してしまうので、上官が絶対に許さない(強力な反撃機動部隊の確保)
です。

実は「1」は必須ではなく「2」こそが重要と考えます。また、現状の日米同盟は「2」を担保しています。10-20年後はともあれ、現時点の戦力では、台湾侵攻のために、日米とことを構えることは、中国にとって危険すぎます。問題は「10-20年後」を見据えることです。比較的に中国との戦力差がついて行く可能性がある中で、「効率よく」「2」の実を上げる上で、宮古、石垣、与那国などへの自衛隊駐屯には価値があります。より迅速な反撃が可能=対処の時間が短い=敵にとって脅威です。

これとは別に、敗北した台湾空軍が逃げてくる可能性はあります。このときの対応も、極めて危険で重要です。中立国として対応するのであれば、きっちりと亡命機体を武装解除し、かつ、中国軍が攻撃してくるのを毅然と防ぐ必要があります。ただし、与那国に来るとは限らないので、頭が痛い所です。このことから、与那国に自衛隊を貼付けることではなく、機動力のある部隊を「先島諸島のどこか」に配備することが大事であると言うことになります。

先島諸島の防衛力強化(=災害対策強化)は、その意味で重要な課題であります。そしてそのためには、地元の方々の理解がとても大切であり、どんなに泥臭く見えても、時間をかけて努力することが極めて重要と考えます。

ドナルドさま

中国の領土になってもいいと思ってる人はさすがにないかも知れませんが、そんな馬鹿なことがあるはずがないと思ってる人はありそうですね。
先日、沖縄選出の国会議員が中国詣でして、絶対に沖縄を武力攻撃しないと言ってもらって喜んでましたねww
中国は絶対に日本の主権を犯さない、中国は沖縄への領有権の主張はしない、沖縄県への武力行使はしないと言う盲信(妄信)は沖縄を中国領にすることと同義のような気がします。

ハンドル用 様
今まで、離島振興は防衛問題とは無関係に行なわれてきましたが、与那国や対馬等、防衛の観点から重点振興すべき島はありますね。
それを防衛予算で行なう訳にはいきませんが、関係省庁に配慮させるよう、声を上げる必要はあると思ってます。

ドナルド 様
確かに、私の言い様も過激ですが、このくらい過激にしないと、危機感の無い人がまだまだ多すぎます。
与那国町長も、その一人でしょう。

私が、与那国が中国に支配されることを想定したのは、あくまで台湾陥落後の話ですが、指摘された台湾有事に巻き込まれる場合として、アメリカの参戦とそれに呼応した日本の周辺事態認定が行なわれた場合、米国の台湾支援を阻害し、台湾での戦闘を有利にするため、与那国を含む先島を”一時的に”占領する可能性は考えられるでしょう。

ご指摘のとおり、2が重要ですが、1も重要です。
それは、与那国に自衛隊が駐屯している場合、自衛隊員を殺さなければ占領できず、それが政治的に高いハードルとなり得るためです。
台湾有事に台湾投入が予想される米海兵隊と同じ意味です。

確かに、与那国町民の理解は重要ですね。
私も、今回のやり方を必ずしも正しいとは思いませんが、しかし、町民理解は、穏便な方法だけで実現できるものではないと思います。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 与那国自衛隊配備の交渉難航は自民党政権の策略か?:

« 対艦弾道ミサイルの可能性について補足 | トップページ | 地方公共団体防災関係部局における退職自衛官が急増 »

アマゾン

  • 航空自衛隊 副官 怜於奈4
  • ようこそ、自衛隊地方協力本部へ 航空自衛隊篇
  • 航空自衛隊 副官 怜於奈3
  • ルーシ・コネクション 青年外交官 芦沢行人
  • 航空自衛隊 副官 怜於奈2
  • 機巧のテロリスト
  • 航空自衛隊 副官 怜於奈
  • 北方領土秘録 外交という名の戦場
  • 深淵の覇者 新鋭潜水艦こくりゅう「尖閣」出撃 (文庫)
  • 半島へ 陸自山岳連隊

最近のトラックバック

ブックマーク、RSS