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2013年3月16日 (土)

北方領土問題の解決のためには、国後・択捉を売却すべき

森元首相が安倍総理の特使としてロシアを訪問し、北方領土問題の解決に向けて具体的な動きが出そうな雰囲気になっています。

北方領土「面積等分」の解決策 プーチン氏の“伝家の宝刀”」(zakzak13年3月3日)

森元首相とプーチン大統領の会談内容は不明ですが、首相経験者を送り込むという行為は、安倍首相の領土問題解決に向けた政治意志の最大限の表現です。
会談は、成功裏に終わったようなので、現在は、水面下で交渉が行なわれ、いずれかの時点で、小泉元首相の北朝鮮訪問のようなサプライズ発表があるのではないかと思
っています

この動きに対して、冒頭リンク記事の大前研一氏は、面積等分で決着するのではないかと見ています。
ロシア、というよりプーチン大統領が、他の領土問題も面積等分により解決を図っているからです。

ロシアは中国ともめていた大ウスリー島も、ノルウェーともめていた北極海も、面積等分で決着している。面積等分はプーチン大統領の領土紛争に関する「伝家の宝刀」といってもいい解決策なのだ。


しかし、この面積等分案は、ロシアが十分に受け入れるであろう2島返還と比べ、軍事的には、ロシアが受け入れる可能性が極めて乏しいプランです。
大前氏は、基本的に経済人であり、防衛問題には疎くても仕方ないと言えるかもしれませんが、選挙に出馬したこともあるくらいなのですから、安全保障面の視点を欠いていることは残念です。

ロシアが面積等分案を受け入れる可能性が乏しいのは、ロシアが軍事面で北方領土に拘る理由が国後水道にあるからです。
国後水道は、国後島と択捉島の間にある水道で、水深が最大で484mと深く、冬でも凍結しないため、ウラジオストクを使用するロシア太平洋艦隊、特に戦略原潜の通り道として重要です。

北方領土を面積で等分すると、国境は、択捉の南側1/4程度と他の3島が日本側領土となり、国後水道は日本側が押えることになるのです。

しかし、ロシア艦艇は津軽海峡を通峡することさえある昨今、ロシアが国後水道に拘る必要性は少なくなっていますし、日本がロシアを封じ込める必要性も少なくなくなっています。
その意味で、日本側が国後水道を国際海峡として指定し、ロシア艦の通峡を妨害しないとでも約束すれば、ロシアが面積等分飲む可能性もゼロではないとは思います。
ですが、可能性が乏しいことは歴然とした事実でしょう。

この意味では、完全ではないにしろ、国後水道の通峡拒否を軍事的に実行できる3島返還も同じです。

ロシアは、ロックバンドが不法に逮捕されたりすることもある程であり、日本や西欧ほど民主化されてはいませんが、一応ちゃんとした選挙が行なわれる国になっています。
何にでも目くじらを立てる必要性がある国ではなくなっています。少なくとも、中国よりは、遥かにマシな国です。平和条約を締結しても良いでしょう。

安倍政権が、ロシアに面積等分を飲ませる事ができるなら、それに越したことはありませんが、私はそれが出来るとは思いません。
3島返還も不可能だと思っています。

しかし、ちっぽけな2島返還では、国内世論も承服しないでしょう。

なので、私は2島返還+2島譲渡で決着をはかったら良いのではないかと考えています。
歯舞・色丹を返還してもらい、国後・択捉は本来は日本の領土であることを認めさせた上で、ロシアに売却するのです。
ロシアに実を取らせて、日本は名を取るというところです。
売却代金は、現金でなくとも、電力や資源の現物返済でも構わないと思います。これを足がかりに、日露の経済協力も進むでしょう。

2島譲渡の障害は、ロシアが今までも北方領土の領有権はロシアにあると主張してきた姿勢と相反することです。
そこは、プーチン大統領のイニシアティブ次第ですが、実を取れる以上、可能なのではないかと考えています。

北方領土問題が解決し、ロシアと真に友好的な関係が築けるのであれば、日本としては対ロシア、対中国の2正面戦略をとる必要性から開放されます。
2島を売却してでも、北方領土問題を解決した方が良いだろうと考える理由は、この点に尽きます。

恐らく、「ロシアは信用できない国だから、対ロシア戦力を対中国に振り向けることはできない」という主張は、多いでしょう。
しかし、前述のようにソ連・ロシア自体の変化もありますし、アメリカや西欧が対ロシアの戦力を大幅に削減する中、日本だけが冷戦時と変わらぬ対処をロシアに対して続けている事の方が、世界から見たら異質に見えると思います。

もちろん、北方をがら空きにすることはできませんが、海
によって隔てられている以上、ある程度の海空戦力を残せば、陸上戦力は大幅に削減でき、南方に振り向けられます。

そして、量的な緩和を図るだけで無く、質的にも、島嶼防衛に則した戦力体系に、大きく変容させることが可能です。
この場合、大きく変化させるべきなのは、やはり陸自でしょう。
機甲や特科を大幅に削減し、空中・水上機動能力を高めた戦力組成に切り替えるべきです。

安倍政権が森元首相をロシアに行かせ
、北方領土問題の解決を意図する理由の一つには、陸幕を押えるという意図もあるのではないかと思えます。

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北方領土」カテゴリの記事

コメント

まさに国土を売るという訳ですな。

名無し 様
当ブログでは、ハンドルの使用をお願いしております。

売国とおっしゃりたいのだと思いますが、ロシアがアラスカをアメリカに売ったように、譲渡はれっきとした領土取得要件です。
損得勘定をして得が多いなら、選択も考えるべきでしょう。

択捉はロシアの空軍基地があるので難しいと考えていましたが
そのほかの理由に国後水道もあったのですね。勉強になりました。
漁民の生活を考えると国後、歯舞、色丹の三島返還と考えていましたが
国後水道の存在が大きいですね・・・・。
国後島付近で、国後水道以外の軍事的側面ってあったりするのでしょうか?

ロシアとは経済的にも政治的にも友好的な関係になってほしいと願うばかりです。
領空接近・侵犯は威嚇ではなくロシア軍が定期的な仕事してるんだなぁぐらいにしか思えませんし

雉鳩 様
その他の軍的要素としては、ルルイ岳等、噴火しそうもない山なら、レーダーサイト建設用地として有用というくらいでしょうか。

ロシアは、積極的に仲良くしたい国ではないと思いますが、少なくとも、仲良くせざるを得ない国でしょうね。

おはようございます

かなり屈辱ではありんすが…金で購入するとか(-""-;)
理想を言えば、千島列島に南樺太なんですが…
まぁ、メドベージェフよりはプーチンの方が、話は出来るでしょうが、どんなモンでしょ?


土方 様
資源があるとは言っても、購入代金よりも、開発のために投入しなければならない費用の方が多いんじゃないかと……
むしろ、過疎必定な土地は切り離して縮小均衡を図るべきかと思います。

幾多様
なるほどそういう案も有りますね。 賛成です。地政学的に見てロシアを押さえるのは対中国で重要だと思います。
もしもロシアと中国の間に隙間風を吹かせられれば2島分の価値は十分有るでしょう。東に日本、西にインド、北に
ロシアとなれば中国とのbalance of power保てるかもしれません。

オレゴン在住 様
セキュリティー・ダイヤモンド構想にロシアまで加えることは難しいでしょうが、中国に少しでも背後に不安を感じさせられれば、効果は大きいと思われます。

どちらの国も国民にメンツが立ち(両国共に、対外的なメンツではなくて国民への政治家としてのメンツが交渉を妨げているのだと思います)
とりあえず線引きがなされる形で決着を付ける時期だと思います。
数多さんの、面積で割って日本が売却するという方法は賛成出来ます。
(まぁ、僕が賛成したからといってどうなるものでもありませんが・・・)
アメリカ合衆国の国土のほとんどは過去に『金銭で購入』した土地ですし・・・
国土の1/3を占める中央部はフランスから購入、太平洋岸の現カリフォルニアはスペイン政権下のメキシコから購入、ご存知のようにハワイ・アラスカも金銭で購入。

いつ裏切るか判らないロシアは全面的に信用出来ませんが、とりあえず平時のギクシャクは取り除かれるだろうと思います。

本題と無関係であれですが。
純@LA様、
ルイジアナやアラスカの事例とカリフォルニアの事例を同列に扱うのは如何なものかと。金銭の支払いはあったものの、およそ取引とは言えないものでしょう。
ハワイについては、国対国としての購入ではなく、個々の土地を個人や企業が買っていたということでは。ハワイ王国自体は王政廃止を経て「併合」されましたよね。

純@LA 様
国民に対する面子というのは、その通りでしょうね。
そう言う意味で、参院選に自民が勝てば、双方共に基盤がしっかりしている状態と言えるでしょうから、可能性は出てくると思います。

幾多様

セキュリティー・ダイヤモンドまでは難しいかもしれませんが 〔アメリカがいい顔をしないでしょう)、中国の力が増せば増すほど、〔ロシアが比較的に弱くなる程) 日本とロシアの距離は縮むと思っております。中国人のロシア極東流入が摩擦を起こす可能性も有りと聞きます。 本当に起きれば面白い事になるでしょう。  また、樺太や北方領土に経済特区を作るのも面白いかもしれませんね。アラスカも近いですし。

数多様

お名前の漢字を間違え大変失礼致しました。〔2度も)今気付きました。お詫び申し上げます。以後気をつけます。 

オレゴン在住 様
最近でも中国がウラジオの領有権を主張したなんていうニュースもありましたから、日台が頑張って海側を封鎖すれば、自ずとロシアと衝突してくれる可能性も高まります。

名前の件は、気にしないで下さい。
ちなみに、以前にも同じ間違いをした方がいらしたので、偶然と言うより勘違いしやすい間違いなんでしょうね。
確かに、音は違いますが意味が近いですし。

名も実も取れてませんし、この問題でどうしようが北海道とロシアは海を隔てていることには変わりありませんから、削減できるというのは論理的におかしくないですか?(削減できるということは、裏を返せば今は脅威が存在するということです)

ハンドル用 様
海を隔てていることにフォーカスするなら、方向は自ずと明らかではないでしょうか。

ロシアの本性がようわからへんから、こうゆうアホな雑文アップするんやろな、自称・元空自サン。だんだん「キヨタニ化」しとりまっせ。もしよかったら精神病院に入院しなはれ。

大好きな戦車を削減され、神と崇めた防衛省に見捨てられ、
全く関係無いスレで、誹謗中傷しか出来なくなった戦車教団哀れ。

バカはお前だサン江

わいは「戦車削減」のことでコメ書いたのではおまへん。「ロシアが不法占拠してる北方領土の一部をロシアに売却するのはケシカラン」それだけでっせ。そりゃ戦車の削減は残念やけどね。ブログ主サンはロシアにちと甘いとちゃいますか。支那・朝鮮よりとにかく狡猾で手強いでっせ。これ以上ゆうてもブログ主サンとその信者には「馬の耳に念仏」やけんここまでにしときますわ。最後にホンマにロシアには支那・朝鮮の3倍はよう気をつけなはれ。

>このバカモノさま

お気持ちは理解できるところもありますが。多分それを言い出したら、最終的には、全ての国に気を付けないといけないという結論しかでません。ロシアは過去は色々ありますが、現状では特定の国よりは付き合いやすいし、利害関係もどちらかというと良好です(領土問題も大きな視点では小さな問題です)。

ここはドライに行きましょう。日ロはお互い攻める理由も余裕もない関係ですが、お互い欲しいモノは持っています。

>ブログ主サンはロシアにちと甘いとちゃいますか。

ここのブログ主は以前ロシアにもっと厳しいでしたが、最近日本人でも徐々自分にロシアと敵対し続けるの余裕が無いと理解している。もう少々遅いんですけど…

清谷氏は今月の一番のブログ記事として、日本人が皆と仲良くしたいと言っているが、例外が有ると言えばロシアです。何故がロシアに余計に敵視しているに見えます。

元々、ロシア籠絡工作は1990年から始めるべき物でした。目的は勿論将来上がってくるだろうの中国を備える為です。経済援助でレバーを増やす。軍備も大量購入し、低値段で陸自と空自の更新を行う上に中国への軍備売却(技術転移)を最小限に抑える。ロシアを早期安定化させ、軍事力の極端低下を防ぎ。外交でロシアの対NATO危機感を低下させ、これで相対的に中国からの脅威を強く感じさせ、兵力を極東や太平洋に移転させる。結局中国に軍事現代化の対償を最大化させ、有利は東アジア秩序を作る。

全くこんな事やらないから、結局ロシアは中国に籠絡され、中国も現代化の近道を手に入れた。

このバカモノ 様
日本の国力が、2正面作戦に耐えられる程であるならば、北方領土で妥協する必要はないでしょう。
現状の脅威は、ロシアよりも中国です。

海燕 様
ロシアの場合、北方領土だけでなく、北海道まで脅威が及んでいるわけじゃないですからね。
中国の場合、尖閣だけでなく、先島・沖縄まで欲しがってますから。

香港からの客人 様
そうですね、上でも書いたとおり、対中国に注力するため、北方の手は減らしたいところです。

おばんでやす

竹島でしたら、法整備すれば鎧袖一触でしょうが、北方領土はそうはイカンでしょうなぁ…
かつてはソ連を睨むのに中を利用したかと思えば、今やその逆ですか…究極は「お買い上げ」ですかのう。それは余りにも屈辱でやんすが、力で奪い返せる相手でもなし…

土方 様
力で奪い返せる相手でないのは明かですから、経済力で取り戻すことができれば良いのですが、冷戦後の混乱期にチャンスを生かせなかったですからね。
今だと、多少足下を見られてしまうでしょうが、致し方ないかもしれません。

こんにちは。地図帳でみると国後水道よりも北ウルップ水道のほうが深いので、潜水艦にはこちらのほうが価値が高いと思いますが。
果たして現実はどうなのでしょうか?

高菜 様
潜水艦にとっては、そうかもしれません。
ですが、冬期に完全結氷する年もあるので、その際は、水上艦は通れません。

潜水艦でも、狭い上に海流も強い水道で、周囲の確認をせずに通峡するのは、やりにくいでしょう。
アクティブソナーは使いたくないでしょうし。

数多様 レスありがとうございます。
以前は私もそう思い込んでましたが、潜水艦としても、北ウルップ水道の海底の方が、広い様です。。

水上船としても、JAXAの流氷分布のデータ
http://sharaku.eorc.jaxa.jp/cgi-bin/adeos2/seaice/seaice.cgi?lang=j&mode=large&sen=P1AME&area=okh&pro=IC0
右上から3月の日付を入力しても、流氷で塞がるのはむしろ国後水道であり、上方を通る方が安全かなと思いました。

wikiで中部千島の新知島を見ますと、ここにソ連の原潜基地がかつてあったそうで、北ウルップ水道とも関係してる気がします。

ただ、ロシア側が「エカテリーナ海峡」と呼んでるのは、国後水道であって、はたして北ウルップ水道よりも軍事面の重要性が高いのかわかりません。
現代ロシアの大平洋艦隊は、実際のところどちらをよく通過しているのでしょうか?

核を搭載したアメリカの原子力潜水艦が通過するために、津軽海峡に日本の領海を主張しない隙間をあけてあるので、そこをロシアの潜水艦も通過すると言うことだと思いますが.

それはそれとして、北方領土で、日本とロシアの間で軍事的な紛争は全くなく、予想もされない現状において、ロシアが領土問題解決のために、島を買い取るとは考えられません.
幾らぐらいで売られる想定をされているか分りませんが、例えば、シベリア鉄道の耐用年数が来ていて、シベリア開発にはシベリア鉄道の再整備が必要といわれているロシアに、島を買い取るお金があるとは思えません.
中期的に見れば、ウクライナの問題でヨーロッパへのガスの輸出が減って行くのも避けられない情勢です.
ロシアは黒海艦隊の基地を確保するためクリミアを無理矢理、編入しました.給料、年金等の待遇がウクライナよりロシアの方が二倍以上良いので、クリミアに住むウクライナ人もロシアへの編入を望みましたが、ロシアのクリミアへの経済援助の財源は、ロシア人の年金の削減によって確保すると言う話があります.
ブーチン政権が崩壊するとしたら、ロシアが経済的に混乱するときで、ウクライナの問題もアメリカが経済制裁によりロシアを経済的に混乱させようと策略していると思われます.
北方四島の問題を解決するには、むしろ逆で、ロシアが経済的に困窮したとき、日本は相当額のお金で買い取るしか方法はないと思います.
(ゴルバチョフ政権の時、崩壊した国だとバカにしていて、日本はチャンスを逃したと思います)

高菜 様
なるほど、結氷に関しても、北ウルップは、なかなか優秀ですね。

実際のところどうなのかという点については、防衛省がこれら海峡の通峡データまで公開していないみたいですから、残念ながらお答えできません。

報告では言っていたような気もしますが、記憶も定かではありませんし……

rumichan 様
軍事的な要求は少なくても、経済的な要求は、かなりあります。
……が、ウクライナ問題のおかげで、また当面遠のいた感じですね。

2島+αで

国後水道が関係なく解決する案を色々考えたのですが

1)東沸湖までの2、2島返還は可能でしょうか?

2)チャチャ岳までの2、8島返還は可能でしょうか?

3)羅臼〜根室までの国後島との全国境線を日本側に拡大(ロシアは国後から3キロまでが領海として、その他領海を全て日本に返すかわりに日本は国後を放棄)

4)野付半島と国後の間の国境のみをロシアは国後から2キロとして、その他領海を野付方面のみにおいて日本側に拡大。

これは野付半島が浸食で100年以内には消滅すると言われている中、領海の確保としても重要でしょう。

これら4つの案は実現可能でしょうか?
全てにお答え頂けると幸いです。

根室市歯舞 様
それらのプランが、軍事的に、どうだというのは言えますが、可能でしょうかと言われても、政治的に流動性の高いはなしなので、何とも言えないとしか言えないと思います。

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