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2013年3月31日 (日)

レーダーとオシントについて補足

前回の記事で、詳しくはググれと書いたのですが、ふと思い立って図を描いてみると、思いのほか、うまくかけたので、前回記事の補足を書きます。

前回記事をご覧になっていない方は、先にそちらをご覧下さい。

まず、フェイズドアレイレーダーがビームを形成する原理は、波の合成による干渉です。
こちらのサイトが割と分かりやすかったです。
重ね合わせの原理、波の干渉

原理を理解するための一番簡単なモデルとしては、レーダーの素子(アレイ)が2個の場合ですが、これは前記HPの2波干渉の場合に当たります。
Photo_8
前記HPより(レーダーの場合、素子は平面状に配置されるため、図は半分だけ表示)

レーダーの場合、図中央の赤い腹線は、ペンシルビームとして形成するメインローブの部分、左右の腹線は、レーダーとしては余分なサイドローブの部分です。
逆に青の節線となっている部分は、原理上2波の合成により、電波がゼロとなっている部分です。

そして、実際にはこのアレイ部分を増やすことによって、メインローブはより強い電波を発し、サイドローブは複数のアレイからの電波放射によって、消して行きます。

これを視覚的に理解してもらうため、簡単な図を描きました。

まず、アレイが1個の場合
Photo_9
青い線は、前掲図の青い線と同じだと考えて下さい。赤い線は、書いていません。

アレイが2個だとこうなります。
Photo_10
が、これでは良く分からないでしょう。

アレイが3個(3波干渉)だとこうなります。
Photo_11
少し離れて見て頂くと良く分かりますが、この図では、アレイが1個の場合と同程度に、線と線の間隔が空いている部分が、電波が合成により強められビームとなっている部分。
逆に、線と線が接近し、塗りつぶされたような状態になっている部分は、電波が相互に弱め合い、電波が消えている部分です。
まだ、メインローブの他に、左右にサイドローブが見えます。

アレイが5個(5波干渉)だと、更に綺麗になります。
Photo_12
このように、アレイ数を増やして行けば、効果的にサイドローブを消すことができるのですが、簡略化した図でこれ以上アレイを増やしても、潰れてしまって良く分からないので、ここまでで止めておきます。

なお、この図で行くとメインローブの左右90°方向にも強い電波が出てしまっている事になりますが、これは図を単純化するために、青一色で描いてしまっているためです。
(これが理屈として分かる方は、この図のアレイ間隔が、実はウソだと気付くかと思いますが、説明のための方便とパワポによる作図の限界だとご理解下さい。イラレを使って透過とグラデーションを使って書けば、更にいい図が書けそうだとは思うものの、そこまでの技量はないです……)

次に、前の記事で、アレイの間隔が、周波数と関係すると書いた事を説明しましょう。
アレイが5個の場合で、先ほどの図よりもアレイ間隔を狭めてみるとこんな感じになります。
Photo_13
うまく干渉が発生せず、ビームを絞り切れていないことが分かるでしょう。

逆に、アレイ間隔を広げるとこうなります。
Photo_14
今度は、ペンシルビームとしたいメインローブの部分まで、電界強度が落ちてしまっている事が分かると思います。

ここまで書けば、物理をちゃんとやった方ならば、アレイ間隔と周波数(波長)の関係は、簡単に数式化できるはずですが、これは書かずにクイズとしておきます。
なお、アレイの大きさは、アレイ一つ一つがアンテナであることを考えれば、これも大きさは分かるはずです。
考えて見て下さい。

ですので、前回記事に書いたような写真によるオープンソースインテリジェンス(オシント)においては、周波数やビームの幅などは、実は非常に簡単に分かってしまう情報なのです。

写真が公開されていないレーダーアレイ面などを見る機会に恵まれた方は、安易に大きさ等を喋ったり、公開したりしないで下さい。
プロがその情報に接すれば、相当の性能が推測できます。

なお、これは、同じ原理を使用している(アクティブ)ソナーにも言えることです。

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