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2013年3月10日 (日)

防衛装備調達における世論の影響

防衛装備調達は、防衛省の専門家が決めるものであって、素人の抱くイメージレベルの世論などが影響を与えるものではない……と、言う訳ではないようです。

F-15コンテンツの多いサイト「MASDF」管理人にしてカメラマン、軍事評論家の関賢太郎氏が、ツイッターで興味深いことを呟いてます。
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このツイートで私が注目したのは、エアワールド紙が、関氏が広告主に損害を与えたとしており、エアワールド紙に対して、ボーイング社からクレームが入った事を示唆している事です。
関氏は、後のツイートで次のように呟いています。
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エアワールド紙において、ボーイングが、当時のFX選定において有利になるよう、ン十万を投じてF-18関連の広告を出していたのでしょう。
広告を打ったにも係わらず、その効果を打ち消すような記事を載せたため、広告費がムダになったという論法なのだろうと思われます。

そして、その背景には、エアワールド紙自身が、広告費の支払いを拒否されたか、その後の広告をストップさせるとして、ボーイングから圧力をかけられたのだと思われます。

注目すべきなのは、ボーイングがエアワールド紙などの航空誌による機種の評判が、FX選定に影響を及ぼすと評価しているという点です。(もちろん、そう評価しているからこそ広告を乗せるのでしょうが)

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件のエアワールド紙記事は読んでいませんが、関氏は、速度性能を評価する上で重要なグラフであるフライトエンベロープを用意するなど、技術的にしっかりした記事を書いたようです。

しかし、実際に選定に当たっている防衛省・空自の関係者は、それよりも遥かに詳細なデータを受け取り、米軍やオーストラリア空軍とのDACTを通じて、F-18の速度を含めた性能を遥かに熟知しています。
関氏の記事を参考にする必要性は、皆無です。

そして、そんなことはボーイングだって知っています。
それにも係わらず、航空誌による評判を気にするという事は、それがFX選定に影響を与えうると判断しているからでしょう。

その評判が影響を与えうるのは、防衛省・空自でなければ、その上、つまり防衛大臣や首相などの政治家だと思われます。
実際、FXがF-35に決定した後でも、その後の開発遅延などで、選定した政府に対して批判も起きています。
政治家は、そう言った評判を気にするが故に、航空誌にのる候補機の評判も気にするのでしょう。
石破氏のように、スペックに言及する政治家もいますし、菅元首相がFX選定に口を出そうとして止められたなどという情報もありました。

純軍事的に評価されるべき機種選定に、そのような力学が働くことは適切ではないと思いますが、致し方ない部分ではあります。
実際の評判を与える側である航空誌の読者やこのブログの読者とすれば、自分達の認識が正しくないと、国防にも悪影響を与えるということですから、改めて情報リテラシーが大切だということでしょう。

ちなみに、実際、今回の関氏のような事例は、良くあることのようです。
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関氏は、この件を信義の問題だとしています。
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しかし、ボーイングやエアワールド紙においては、これは信義の問題ではなく、経営上の問題です。
エアワールド紙としては、例え裁判になったとしても、ボーイングの手前、広告に反する記事を書いたライターにはペナルティを与えなければならないのでしょうし、それによって他のライターに対しても、広告主の意向に反する記事を書かないよう、抑止する必要性があるのだろうと思います。
良くないことだとは感じますが、これが故に、商業誌である以上、これを無くすことは不可能だと思われます。

よって、情報の受け手である我々が、多額の広告費が使われていると思われるメディアの情報には注意を払わなければなりません。
(最近、テレビはこれでかなり叩かれてます)
(ちなみに、私はこのブログでは、アマゾンのアフィ以外は一円ももらったことないです)

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メディア」カテゴリの記事

コメント

いわゆる専門誌なんてそんなもんですけどね
欧州系を評論家先生がべた褒めするのは取材の名目での接待旅行(費用は全てむこう持ち)なんて愚にもつかない事情があったりします。

しかし、それは置いといて
この問題はそんなレベル(それ自体低いのですけども)

だって「F-18に疑問符が付く県についての記事を依頼した」のはエアワールド誌であることが話の中で出てきている
(ライター氏も「ここ重要」と強調している)
つまり、エアワールド誌がそういう方向に持って行ってくれと依頼してるわけ
仮にライターがボロクソ書いて本当にボーイング社がへそを曲げたとして、その責任は雑誌にある。

それでボーイングがへそを曲げた(事実があるかどうかは知らない)からって外部のライターに責任を押し付けるのは筋が通らない。

そしてエアワールド誌は休刊
要はもうカネがないから10万円のために平気で大の大人を侮辱できるところまで来ているというだけ
いちゃもんつけて踏み倒そうとしてるだけなんです

そんな大げさなことは関係ないんです
だから訴えりゃまず間違いなく勝てる
まあこの手の輩ってのは相手の無知に付け込んで踏み倒そうとするような最低の輩ですから

銭金が絡むと醜い事をやるもんだというのが話の都合で、ボーイングがどうのこうの、広告主がどうのとか言う話じゃないです

ボーイングが本当に腹を立てて広告を停止した、あるいは停止するぞと言ってきたというのもエアワールド誌側がそう主張しているだけで確認がとれたわけでもありませんし。

はっきり言って恐ろしく的外れだと思いますよ。

ハンドル用様

それはエアワールド誌の一体性を過大評価しているのではないでしょうか?

広告担当と記事担当で意思疎通がまったくできていない
前者は広告主にヘコヘコすることしか頭になく、後者は閉ざされた世界で王様を気取りたいだけ
外部からクレームがついたときになってようやく前者から後者に情報が届き
2人そろって慌てふためいて外部に責任の転嫁先を求め出す

ダメな組織にはよくある話です

エアワールドの主張にしても、この記事にしてもそうですが。「はっきり言って恐ろしく的外れだと思いますよ」これに尽きるのでは?

穿った見方をすれば、防衛装備調達には世論の動向も影響を与えるから、スポンサーは多額の広告費を専門誌に(も)渡して都合のいい情報だけを流すから注意!
けど私のBlogはそんな事無いので安心してね。と自画自賛してるだけじゃないですか?

そもそもエアワールド誌の主張(スポンサーが怒ってる)を裏取りもせずに鵜呑みにしていながら、「メディアの情報には注意を払わなければなりません」なんて・・・

こればっかりはさすがに気のせいだとおもうなぁ
FX選定に世論(実質軍オタ)なんか気にするとは
思えんな
よっぽど反対世論(一般人)が盛り上がってる(高価すぎる機体はいらない等)とかならともかくね・・

有力な支持者にFX候補について疑念を呈されれば、政治家も無視するわけにもいきませんので、
軍事雑誌の記事が全く影響しないという事はないでしょうね。

純軍事的な視点で選定されるとしても、専門家は国民に説明をつくして合意形成をするのが
本来の姿だと思うのですが…
軍事雑誌の記事が装備選定に影響する方が、私には健全な民主国家であるように感じられます。

この事件は私も観察していましたが、ただ単にエアワールド誌の経営状態悪化による債務不履行の問題で、ボーイングからのクレームはただの口実に過ぎないと思います。実際にボーイングからクレームがあったかどうかも疑わしいです。もしそうならばその旨を裁判前からエアワールド誌は主張すれば良かったのではないでしょうか。

一般世論はぶっちゃけどうでもいいでしょうね

景気とか年金とか福祉のほうが重要な議題
いわゆる反戦平和な人はどの期待でも結局反対するでしょう

だから軍オタでき州レベルのことまで口を出して、それなりに影響力のある国会議員とか、防衛の直接の専門家ではない影響力のある官僚(財務官僚とか)

>スポンサーは多額の広告費を専門誌に(も)渡して都合のいい情報だけを流すから注意!

国産装備批判がライフワークとなっているような御仁が寄稿している雑誌にも国産大手メーカーの広告が載ってる時点でそういうのもないと思うんですけどね。
まあ逆にそれはそれで企業として、しかも上場しているような会社としてどうなのかという観点もあるだろうが。

そういう雑誌界隈の世評からするとぶっちゃけ良心的なのは雑誌でボロクソ叩かれてるメーカー、絶賛されてるメーカーが怪しい
というのはうがちすぎでしょうかね?

ハンドル用 様
確かに、この話は、そもそもAW誌がF-18は遅いと言いたかったような仕事の振り方ですから、筋は通ってないですね。
まあ、そもそも記事を書かせておいて金を払わないだけでも筋は通ってないわけですが。

しかし、踏み倒そうとしているだけではないでしょう。
それだけなら、和解に応じた方が、合理的です。

出版物の信用については、出版社の姿勢や雑誌発行収益に占める広告費比率にも寄ると思いますよ。

SUS 様
FX選定は、結構ニュースになってましたから、その意味では、もっと国民に知らされてもいい話ですね。
一度記事を書きましたが、あの選定結果では、最初からF-35ありきだったことが見え見えでしたし。

アシナガバチ 様
他の方のレスにも書きましたが、純粋に金も問題であったのなら、和解に応じなかった理由が理解できません。

勝ち目のなさそうな裁判に応じるなんて、金が欲しかったらやらないでしょう。

負けると分ってても
手元に金がない場合
時間稼ぎのために応訴することは
ワリとよくある話ですよ
即時言い渡しを特徴とする小額訴訟だとしても
分割払い等の措置を裁判所はとることができますしね

名無し 様
最初に、当ブログでは、ハンドルの使用をお願いしております。
ご協力の程、宜しくお願いします。

だとしても、和解提案が関氏側からあったにも係わらず、それに乗らずに敗訴するなんて、合理的とは思えません。
倒産させるつもりなら理解できますが、電子化して存続という話もあるようですから。

だからフリーランスのライターに対する扱いなんてこんなもんですって

結果的にみれば合理的じゃないかもしれませんが、踏み倒せば泣き寝入りするだろうと舐め切ってるようところなんて一杯ありますよ。あるいは実際にそうやって泣き寝入りするようなライターさんがいっぱいいるから、「合理的」なのかもしれない。
今回はたまたま失敗しただけで


「無能で説明がつく事を陰謀(悪意)のせいにしてはいけない」と言いますが、「ライターの立場が弱いことにつけこんで踏み倒そうとした。ボーイング云々はとりあえずの難癖ですごんでみただけ。和解案もここに至ってはで面子つっぱねた」と考えるほうがシンプルでずいぶん説得力がありますよ。


>そもそも記事を書かせておいて金を払わないだけでも筋は通ってない

お金を払わないってのは筋がどうの以前の問題として契約不履行ですから
だから、ボーイング云々とライター側に落ち度があるかのような事を言ったんでしょうね。

ハンドル用 様
フリーランスのライターさんは、立場としては、やっぱり弱いんでしょうね。

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