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2013年2月27日 (水)

POMCUS方式による離島防衛

防衛省の予算や訓練の内容を見ていると、防衛省は離島防衛に戦車などの装軌車両を投入することは、あまり意図していないようです。

それは、中国が、南西諸島に対して、大規模な着上陸作戦を行なう可能性は低いと見ているからでしょうし、日本の対応としても、戦車や自走砲を戦略機動させることの負担が大きいからでしょう。

しかし、多額の予算を注ぎ込んだ大量の戦車や火砲を北海道に置いたまま、蓋然性の高い対中国の事案に対して備えないことはもったいないことでもあります。

そのため、沖縄へも戦車等を配備すべきだとする意見も少なくありません。
しかし、沖縄(特に沖縄本島)の世論、訓練用地が確保困難であることや赤土の流出による公害の問題を考えると、戦車等を配備することは現実的ではないでしょう。

そこで、こんなプランはどうでしょうか。
それは、POMCUS方式による、機甲戦力の離島配備です。

POMCUS(ポムカスorポンカス:Prepositioning Of Materiel Configured in Unit Sets)は、冷戦期において、アメリカ陸軍が大量のソ連機甲戦力による電撃的侵攻に備えるため行なっていた方式です。

ソ連の侵攻に対し、大量の部隊を配備しておく事は、アメリカにとっても非常な負担でした。しかし、大量の戦力を海上輸送してヨーロッパに送り込むことも、同じように困難でした。
しかし、人員だけなら、民間航空機を使用して、大量に送り込むことはできます。
そこで考えられたのが、整備された装備・弾薬を事前集積するPOMCUS方式です。

これと同じ事を、先島の離島において行なうのです。
具体的には、機動の困難な90式戦車を、拠点となり得る大きな有人島(宮古島、下地・伊良部島、石垣島)に各1個戦車中隊規模、中規模の有人島(西表、与那国)に各1個戦車小隊規模の装備を事前集積します。
必要な戦車の数は50~60両、現在360両ある90式の1/6程度です。

この程度の数であっても、中国が先島に手を出すつもりであれば、相当な障害となります。

それに、このPOMCUS方式には、副次的な効果もあります。
それは、運用に関わる要員を減らせることです。
試算として、戦車を考えてみます。
90式50両とすれば、乗員だけで150人にもなります。25年度に増員される陸自人員数の1.5倍にもなります。
これだけの数
、機甲部隊の維持に必要なくなる訳ですから、この分を普通科等に振り返られることになります。

また、普段の整備は、整備するだけなので、技術さえあれば、体力などは無くても構いません。
自衛官として定年になった方を、専門の会社を作らせた上で雇い入れる形で、事実上再任用することもできます。(この方式は、最近広まっています)

沖縄世論の反感が出にくい形で、離島の防衛力を高めると共に、機甲戦力の維持に関わる負担を事実上軽減できるのです。
25年度の予算に、南西諸島における陸自の態勢の充実に係る検討が入っていますが、普通科だけでなく、POMCUSによる機甲・特科戦力の活用も検討してみたらどうでしょうか。

ただし、POMCUS集積資機材を敵に奪われると極めてやっかいな事態になります。POMCUSを行なうとしたら、
ゲリコマに奪われないよう、普通科部隊の駐屯は必須です。

なお、同じような発想として、洋上に事前集積船を置いておくプランもありますが、これはこれで負担も大きいですし、作戦正面が明確な南西諸島においては、POMCUS方式の方が適当だと思われます。

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先島防衛」カテゴリの記事

コメント

>自衛官として定年になった方を、専門の会社を作らせた上で雇い入れる形で、事実上再任用することもできます。

技術をもった自衛隊OBがその島に既に居住していて、その方がこの仕事に付くことを厭わなければ難しくは無いかと思いますが、50代半ばの自衛隊OBを他所から離島に移住させるとなると、希望する人はどの程度いるものなのでしょうか?

中高年の再就職先なんてそうそうありませんしねえ。戦車の整備技術がほかにも使えるなら難しいでしょうが。
前にも言ったのですが、経営困難なフェリー航路を買い取ってRORO船として自衛隊の輸送艦がわりに使える船の運航会社を作るなんて言うのも個人的には魅力的なんですが。赤字覚悟で人件費でも出たら御の字。国民の足確保もできて言うことなしだと思うんですが。たこフェリーなんて惜しいことをした。

あくまで個人的な意見としてですが
これまでは中国側の航空、海上戦力、及び揚陸能力が不足していた状況下で、日本側から南西諸島の紛争地帯化を煽る訳にはいかなかったので、
政治的な都合により、中国による将来的な大規模着上陸作戦の可能性は低いとされ、防衛能力の空白地帯にされてきたという事情もある筈なので

中国側の揚陸能力の著しい向上と、領域拡大政策という政治的意思が此処まで明確である以上、今後は将来のその可能性(能力)についてもはっきり考慮されて、時には慎重に言及もされるようになっていくと思います 

一方で、対処法としては

有人島の防衛のあり方と言う意味で、自分も沖縄、先島への機甲戦力の事前集積が合理的と考えます。
それに加えて機甲・特科戦力の海上、航空輸送能力を、民間の活用も含めて高めておく事で、機甲戦力を実質削減しながら、この地域の有人島の奪取を断念させる決定打ともなる抑止力にできる可能性が高いと考えるからです
もちろん必然的に、尖閣に対する防衛、奪還能力も向上する筈です

問題点としては、決定的な抑止力と成り得るからこそ、猛烈な反基地工作が行われるだろうという事ですが
入念な法整備と、地元に対する説明責任を果たせる政権であれば、乗り越えられると期待します

訓練に使う車両と実戦に使う車両が異なるとの事らしいですが、車両への習熟という観点からすれば如何なものでしょうか。
戦車と言えども工業製品ですから、作業精度が上がっている現在では車両毎の個癖というのは最早無視できるレベルにまで至っているのでしたら心配は要りません。
ですが、ある劇画家の方が著した本には射撃の際には砲身毎にクセがある旨の記述がありますし、自衛隊では戦車も生産時期によって細部の仕様が微妙に異なって
いると言う話も聞きます。勿論離島では3000m先の敵戦車と撃ち合う訳でもありませんし、仕様が微妙に異なっていても気合でなんとかなるのかもしれません。
そのあたりはどうなのでしょうか。

数多様

機甲装備の事前集積、よいアイデアだと思います。賛成です。

個人的には1個戦車大隊44両で、沖縄に1個中隊、石垣に2個中隊ていどかと。あまり分散すると、ゲリコマ対策が大変だし、マンパワーもいる。あとは、LSUなどを5−6隻整備して対応すると。

人員ですが、私は減らないと考えていました。日頃の訓練を九州でやるのか(4,8師)、中国地方でやる(13,14旅)のか、北海道(7師)でやるのか分かりませんが、そちらはそちらで任務がある。いざ「戦略機動」するときに「装備はおいて行き、現地で調達する」というだけで考えていました。つまり、400両の戦車を450両にして50両分を南西諸島に保管しておくイメージです。

もちろん数多さんのアイデアも有りだと思います。実質的な戦車配備数(というか戦車要員数)が350両相当に減りますが、そこは機甲戦力をどれだけ持つべきか、という別の視点で考えるものかと思います。

野底マーペー 様
50台で定年を迎える自衛官でも、その頃には子供も大学進学したり、独立してしまって意外に身軽な方は結構います。
それに、戦車60両と言っても、基本的に全く動かさないモノですから、整備に要する人員は、多くて数人だと思います。
そのくらいは、十分集まるでしょう。

はるばる 様
船は、動かさなくても維持費がかかりますから、安物よりもそれなりの性能のモノの方が良いように思います。

日本酒命 様
中国の揚陸能力は向上してますが、まだそれほど脅威なものではないと思っています。(このあたりの評価は、人によって相当な差異があるようですが)

輸送能力の強化は、来年度予算で真剣に検討するようですから、何か成果が出てくるでしょうね。

地元の反対は、集積が先島だけなら、それほど大きな反対にはならないように思います。沖縄本島とは脅威認識に大分差があるようですから。

大丈夫でしょうか 様
教育訓練用途と呼ばれているモノは、富士学校や戦車教導隊の分であって、通常の部隊配備されているものは、訓練用と実戦用が異なる訳ではありません。

航空機でさえ、乗機が決まっている訳では無い時代にあって、個癖で戦車が動かせないはないだろうと思います。
相手は、空挺や潜水艦で侵入してくるゲリコマであって、戦車ではありませんし、多少勝手が違う程度は大きな問題にはならないでしょう。

ドナルド 様
POMCUSの場合、人員は配置しませんから、マンパワーは不要です。

普通に戦車部隊を配備するくらいなら、同じコストでより多くの普通科隊員が配備できますから、そちらの方が有益だと思います。

中国軍の揚陸能力については世界の艦船で分析していたらしい。大したことないってさ。

http://desktop2ch.info/war/1355069428/822
822 名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/01/13 13:26:15  ID:9A6zde7u()
>817
墨金の上陸戦力見積もりも世艦の揚陸艦特集とか読むとありかな、という気には
なってくる。
大塚好古氏の記事でも中国海軍の揚陸作戦能力は低速のLST型含めて最大1個師団
と見積もられてる。しかも遠隔地での展開能力には疑問があるとしてる。

低速な旧式LSTを除くと世艦見積もりでも連隊規模程度になり、揚陸資材の
ハンドリング用の工兵機材なんかを差し引けば、墨金見積もりの1個大隊とまでは
いかないが、それに近い規模に縮小しそう。
なおJSFはこの世艦12月号はスルーでした。

>中国の揚陸戦能力
防衛力整備のための脅威の想定ってのは
多少は先を見据えないといけないのでは?

LST位なら2年位で10隻作る国ですし
中国は民生用貨物船も多く持ってるし

>SUSさん

5年後、10年後には、中国軍の揚陸戦力はどれぐらい上がりそう?

数多様

事前備蓄に必要な人員が少なくて済むことは、承知しています。

私が言っているのは、その事前備蓄分を「その分、装備だけ多めに調達する」と考えるのか、「その分、人員だけ少なめにする」と考えるのか、という視点です。

前者の場合には、第15旅団には戦車大隊は配備せず、あくまで(例えば)第73戦車連隊の装備の一部として保管しておく(有事には73連隊の要員が、北海の戦車を置いて展開する)ことになります。後者の場合には、第15旅団の戦車大隊の要員が、平時は九州や北海道で訓練用の戦車(有事には置いて行く)を使っている、というイメージです。

要員のアサインメントがどうなっているかは別にして、実際の訓練を考えると、現地の地理に詳しいことは重要です。揚陸に適した海浜、その後の進出ラインのチョークポイントの理解、待ち伏せの適所など。要員は年に3−4回現地に展開し、「歩兵」としてでよいので、走り回ることが大事ですね。

@大根氏とSUS氏

そもそも、何とか師団規模でもはっきり言って小さいとは言えない。米国以外なら、師団規模の揚陸能力を持つ国はどれ程居るが?沖縄本当以外なら、八重山諸島等は自衛隊駐留に成っても精々中隊が(自衛隊的)大隊規模でしょう。空軍のサポートを得れば連隊でも十分過ぎるの脅威です。

@ドナルド氏
>私が言っているのは、その事前備蓄分を「その分、装備だけ多めに調達する」と考えるのか、「その分、人員だけ少なめにする」と考えるのか、という視点です。

そもそも久遠氏は「戦車限定有用派」ですから、この結論は驚くべきではないだと想います。

@本文
POMCUSの採用は大賛成です。だが、

>これだけの数が、機甲部隊の維持に必要なくなる訳ですから、この分を普通科等に振り返られることになります。

90式50両とすれば、乗員だけなら150人です。自衛隊の戦車大隊(14車中隊4個+大隊本部車幾つ=合わせて60車)は確か450人だった(木下の1979年道北戦争の参考資料より)。

>POMCUSを行なうとしたら、ゲリコマに奪われないよう、普通科部隊の駐屯は必須です。

これで、省けたの人員は殆ど全て消耗したし、沖縄人は刺激した(例え八重山方面でも、反対する人間が有ると聞いています)…そもそも、バカンスは兎も角、長期の与那国駐留等どれ程希望者が出るでしょう。

これだと、私曾て言った様に、戦車科員をRotation派遣する方が現実ではないでしょう?ドナルド氏言った様に地形慣熟等も必要ですし。戦車を定期に動き出す事が出来なくでも、責めて現地調査の必要は有る。駐留ではなく、派遣ですので、受け入れも多少易く成るし。

そして、警備なら自衛隊員を要らないの平時警備方法も選択肢ですよ。例えば、沖縄県警に多少補助金、重兵器、教官等を送って、採用枠を増え警察力を強化する代わりに戦車を重点警備して貰うのはどうですが?

ゲリコマ対処なら、はっきりの有事以前がメインに成、この場合、動き易いのは自衛隊より警察です。例えば、ゲリコマは基地外に逃げた時とか…

自衛隊ではない分、左翼への刺激は低い。そして、自衛隊の新たの駐留ではなく、警察力の強化ですので、中国等から言える物も少なくなります。親中派まだかなりの勢力で有るはずの日本に置いて、この様な配慮も現実策だと。

>香港からの客人さん

>そもそも、何とか師団規模でもはっきり言って小さいとは言えない。米国以外なら、師団規模の揚陸能力を持つ国はどれ程居るが?沖縄本当以外なら、八重山諸島等は自衛隊駐留に成っても精々中隊が(自衛隊的)大隊規模でしょう。

沖縄本島以外だと、短期間のうちに物資や重装備を搬入できる港湾施設がないのでは?
中国軍といえども、重装備も補給もない軽歩兵部隊では、脅威にならないだろう。

>空軍のサポートを得れば連隊でも十分過ぎるの脅威です。

沖縄周辺の航空優勢を取れないということは、すでに日米海空軍は壊滅しているということ。
その状態なら、たとえ大隊だろうと連隊だろうと、日米側に中国軍を阻止できる能力はない。

現状沖縄本島にすら戦車や装軌車両がない現状で、縦深性皆無の西南諸島の島で、本格的な戦車揚陸もない(というか中国側も考えないと思いますよ。)ならそれこそ輸送の手間暇と現状の削減された戦車数を考えればそこまで割に合うか?という気はします

西南諸島に侵攻してくるような事態というのはもはや戦争状態といってもいいですから、可能性が低いとしても本土まで侵攻することも考えうる事態ですし。
英本土とフォークランドと違って、西南諸島とはそれほど離れてませんし


陸自のコブラとかアパッチを輸送して離島に上陸してきた少数の工作員掃討の支援に回すとかのほうが実用的ではないでしょうか?こっちなら自分で飛べますからね

>SUSさん

2chスレの受け売りではなくて自分の言葉で話したほうがいいのでは?

>低速な旧式LSTを除くと
除いてよい根拠は?

>大根さん
中国は5隻のドック型揚陸艦を手にすることは確実で最終的には8隻という説もあります
全通甲板方式の強襲揚陸艦の建造に着手しているという情報もありますね

5年後にはドック型揚陸艦5隻以上、強襲揚陸艦1隻程度(クンルンシャンのように実用試験を行うでしょう)
10年後にはドック型揚陸艦は戦力化され、強襲揚陸艦は数隻の量産型が姿を現している
それに90年代以降に就役した5000t級LSTが20隻
というのが低めに見積もった5年後、10年後の中国軍の両用戦艦艇戦力ということになりましょうか

>ハンドル用さん

>2chスレの受け売りではなくて自分の言葉で話したほうがいいのでは?

世界の艦船の孫引きだけど?
それがいけないというなら、軍事ブロガーの全員が「自分の言葉で話すべき」となるだろう。
あ、もし「本当は世界の艦船にはそんなことは書いてない」というなら、是非指摘してほしい。

>>低速な旧式LSTを除くと
>除いてよい根拠は?

艦隊は一番遅い艦艇の速度に合わせるもの。
だから、旧式低速なLSTを艦隊に入れてしまうと、高速輸送船があっても、艦隊の速度は低速になってしまう。
LSTだけ置き去りにするわけにはいかないのだから。
艦隊の速度が落ちるということは、それだけ日米海空軍に補足されやすくなるし、攻撃される機会も増えて危険だ。

>SUSさん

それらの新造の強襲揚陸艦やドック型揚陸艦やLSTは、日米海空軍の制空権下で活動できるほど優れているの?

大根 様
SUS 様
敵の揚陸作戦を、地上で迎え撃つ事は、基本的には下策の極みなので、揚陸戦能力は、輸送量だけで見るのではなく、揚陸の際の対空・対潜能力等も含めて見るべきだと思っています。
対空は、装備を見る限りはそれなり(先日のレーダー照射を見ると、ソフト面ではお粗末な可能性あり)ですが、対潜はまだまだですから、近い将来まで含めても大きな脅威ではないと評価してます。
その意味で、中国がその気になっても、それほど短期的に増強できるものではないでしょう。

ドナルド 様
私は、本文にも書かせて頂いたとおり、当然に人員を削る派です。

ですが、その後に書かれている2つのプランは、むしろ前者です。展開してくる部隊については、装備を2重に持っている形にします。
(でないと人員の削減にはつながりません)

転地訓練は、当然に必要でしょうね。
見て回るだけで十分ですが。

香港からの客人 様
先島の方々は、沖縄本島と比べたら、遥かに危機感を持ってます。
石垣市長がかなりな保守派なのは、その端的な例でしょう。

POMCUS資機材を奪いに来るとしたら、それなりの装備を持った精兵ですから、警察での警備は役不足だと思ってます。
また、法的にも、自衛官ならいざとなれば治安出動等の発令により権限強化できますが、警察は、例え重武装を与えても、警職法でしか動けません。

ハンドル用 様
誤解があるようですが、私は戦車関連の記事でも書いたとおり、着上陸部隊は洋上で撃破すべきと書いています。
POMSUS方式は、ゲリコマやヘリボーン対処です。(ほぼ対歩兵)

その意味では、私も対戦車ヘリは有用だと思っています。
ですが、ヘリは沖縄に常駐させなくても、短時間に展開可能ですから、POMCUSの必要性はないと思います。

米軍が沖縄上陸にあたって使用した各種輸送艦と、中国軍との比較があった。2006年時のものだが・・・。

http://www.geocities.jp/bbhusou/gunji/news05.html

上陸用小型舟艇
人民解放軍 200隻弱
1945年米軍 1200

戦車揚陸艦(LST)
人民解放軍 25隻前後
1945年米軍 97

中型揚陸艦(LSM)
人民解放軍 2~3隻
1945年米軍 40

兵員輸送艦(APA)
人民解放軍 少数
1945年米軍 47

貨物輸送艦(AKA)
人民解放軍 少数
1945年米軍 20

 中国海軍についてのデータがあいまいで申し訳ないですが、おおよその数は掴んでいるはずです。
 米中の物量の優劣は一目瞭然であると思います。また、ここでの米軍のデータは「沖縄戦に参加した数」で、中国軍は「保有量」であるという差異があることに留意してください。
 もし中国海軍が持てる揚陸艦を総動員し、一切の妨害や事故に遭遇せずに上陸を果たしたとしても、一度に運べる物量は陸兵一個師団(一万人程度)と各種車両250輌(車種によって若干変化)程度でしかなく、不足にもほどがあります。率直に言って、沖縄はおろか台湾ですら手が出ないレベルです。
 たまに、「中国が漁船や商船を総動員して台湾に殺到すれば、30万人程度までを一気に上陸させることが可能」と主張する人がいますが、およそ非現実的なアイディアです。厳重な監視下にある台湾海峡に30万の陸兵を集中させ、船をかき集めたならば台湾やアメリカに察知されないはずはなく、おそらく集結が終わるよりずっと前に宣戦が布告されます。そうなれば、非武装の小型船は片っ端から沈められるのが目に見えています。元寇の時代とは違うのです。

久遠さん
離島の場合本土以上にそれこそ「上陸するだけ」ならたやすいでしょうし、その島にまともな守備隊でもなければ一時的にでも制圧できるでしょう。

そしてそのための上陸部隊は本格的な上陸船でもなく、漁船に偽装したり工作用潜水艇でも使うことができるだからそれでも十分脅威である半面、そういう部隊の火力等はかなり限定されると思いますので、戦車の防護力等は確かに有効ではあるのですが、数に限りがあり、西南諸島のどこかの島に配備して船で運ぶというリソースに割けるかなあという気もします。

それで機甲科人員を減らせる!ってそんなことするくらいなら素直に減らすと言えばいいじゃないか
実質的な戦車削減がやりたいだけ?


大根氏
本土やら台湾やらと違って、西南諸島の個々の島を占拠するのにそこまで大量の人員や車両は必要ありません。

もうひとつ言えば宣戦を布告するということがどれだけ政治的リスクを伴うか?
本当にただの漁船だったら?工作船・工作艇の類は察知できなかったことはあります
察知できていたとして、たとえば日米政権内で親中派が「中国がそんなことするわけがない」という事を言って反対したら?いや親中派でなくても、本当に行動に移す事ないのではないかと思っている担当者はいると思いますし。

これらを考えないとあなたのほうがおおよそ非現実的だと思います。

>ハンドル用さん
>本土やら台湾やらと違って、西南諸島の個々の島を占拠するのにそこまで大量の人員や車両は必要ありません。

日米に奪い返されるかもしれないんだから、いるでしょ。
日米の奪還に備えて防御工事するのには、重機や資材がたっぷり必要。

>本当にただの漁船だったら?工作船・工作艇の類は察知できなかったことはあります

大規模上陸船団を偽装するってできると思う?

>察知できていたとして、たとえば日米政権内で親中派が「中国がそんなことするわけがない」という事を言って反対したら?

長年竹島奪還作戦をさせないでいた自民党がいるぐらいだからなぁ。
自民党政権下では大いにありえる話だね。

最近はガダルカナル戦の教訓はなかったことになってるのだろうか?
島嶼の争奪戦では制空権なければ勝てないなんて当たり前じゃん

・ガダルカナルに輸送船を突っ込ませるが途中で撃沈される
・運よくガダルカナルに到着できても、ビーチングできないし荷役できる港湾施設もないので、物資揚陸に多大な時間がかかり、夜明けとともに航空攻撃でフネごと破壊される
・米軍の航空攻撃を恐れてほぼ夜間しか行動できない日本海軍
・装備も物資も部隊も上陸できず、日本陸軍の攻撃はすべて失敗

ガダルカナル戦では、東条と参謀本部が民間船舶徴用で揉めて、参謀本部作戦部長が辞任する騒ぎになっている。
参謀本部側は軍の輸送船不足を埋め合わせるために民間船舶をもっと軍によこせといい、東条側は国民経済を支える民間船舶をこれ以上軍には回せないと返したために起こった争いだ。

さて、もし中国が民間船舶を大量徴用しての上陸作戦を実行するなら、このときと同じ論争が起こるだろう。
そのとき、中国は経済を犠牲にする決意ができるだろうか?

数多久遠 様

記事の本題から外れたコメントで申し訳ありません

氏にこの点についてどのようなお考えか聞きたいのですが
アメリカの財政危機問題が米軍の世界戦略に与える影響についてはどのような判断をしておられるのでしょうか?

私としては、
アメリカ政府としては、一応、西太平洋を優先しての能力の強化を目指してはいますが
既に大幅な軍縮を決定している状況下で、財政危機問題によって追加で加えられる軍縮が米軍に与える影響に関しては
米軍単体での現状の軍事力とプレゼンスの維持はもはや不可能であり、5年10年単位での、それらの低下の幅がどの程度になっていくのか?一体何処まで何を放棄していく事になるのか?
地域紛争の主体はあくまでその地域の同盟国の責任とさせ、アメリカはその支援に重点を移していくという戦略に焦点が移っており、戦略的な観点から言えば

それが中国の今後の姿勢に大きな影響を与えていく事は必至であろうと
つまり中国は、日中間の紛争に対してアメリカは消極的な介入しかしなくなると(実際にはそうはならないと思いますが)見なしていき、今後日本に対してはより強硬姿勢を強め、野心も露にして、時に大胆な軍事的行動も見せていくだろうと

だからアメリカは日本に対して、はっきりと、日本自身の防衛能力の強化を強く求めているのだと
10年後のアメリカの能力と、中国に対する影響力に関して、過大な期待は抱くなと

日本帝国という前例を経験しているアメリカだからこそ、中国の野心や能力や行動に対して、合理的な判断の期待を抱くなと日本に忠告しているのだと

と軍事は畑違いの素人ぽく愚考をしているが故に、これまでの※となっているのですが、
お暇がある時で構いませんので、アメリカの財政危機問題が日米中の軍事的環境に与え得る影響について、もしよろしかったら記事を御一筆お願いします。

物質の集積には賛成出来ても、援軍や持久戦、戦闘損失補填用に限るべきかと。
ヨーロッパは、ドイツがソビエトにぶっつぶされるまでの時間を利用して、フランスで軍団を整備して、ドイツを奪還するというようなオプションが出来ますが、島だと縦深が無いですから、時間が稼げません。
よって、張り付けまでポンカスはやめるべきかと。

@大根
おお、面白いインフォですね。だが、そもそも当時沖縄の守備軍の数も今と比べ物ではない。当時は戦闘部隊だけでも二個師団プラス色々の部隊。今は15旅団+MEU(例え防衛戦に使っても精々大隊程度)。守備軍の力は断然違う以上、単なる揚陸艦の数の比較はほぼ無意味ではないですが?

>率直に言って、沖縄はおろか台湾ですら手が出ないレベルです。

この言葉、丸で沖縄の方が絶対に難しいの言い方ですね。確かに距離が遠いですが、逆に言えば、守備軍の勢力は後者の方が高いです。

>船をかき集めたならば台湾やアメリカに察知されないはずはなく、おそらく集結が終わるよりずっと前に宣戦が布告されます。

まあ、台湾シナリオは今回はちょっとアウトだが、政治的に言えば台湾側の先制攻撃は無いですね。例え軍事的な利に適っても、民間船に先制攻撃等するなら、正当性が失われ、例え今回の危機は乗り越える事が出来ても、未来が無くすの選擇ですね。

そして、若し中国は本当に大規模揚陸戦で台湾を強制回収の選擇を取れば、先ず確実に制空権を取るでしょう。兵や船の集結は航空戦にある程度の成果が有るから始まると思われるでしょう。つまり、察知されでも必ずしも干渉できると限りません。

>そのとき、中国は経済を犠牲にする決意ができるだろうか?

沖縄戦ならこの価値が無いが、台湾ならこの覚悟を集める事が出来るかもしれません。

大根 様
陸自が総力をあげても、太平洋戦争当時程には戦力投入できないでしょうから、参考程度には考える必要があるでしょうが、相当数の戦力がないと着上陸は困難だとは言えるでしょうね。

ハンドル用 様
ここで提案している策は、あらかじめ離島に配置しておくプランです。
なので、基本的にその後船で運ぶことは想定してません。

機甲の人員については、北海道にただ置いておくだけより、よほどマシです。

日本酒命 様
米財政の問題は、少なからぬ影響があることは間違いないですが、国防面において、何がどう中止されるのか見えないと、影響の度合いは図りかねます。

各国の国防政策に対する影響など、国際関係的な話は、もちろんあるでしょうが、そう言う話は正直得意ではないので、申し訳ないですが、今のところ、この関連で記事を書こうとも考えていません。
実際に、何がストップされるのか分かって来れば、何か書くかもしれません。

Suica割 様
基本的に、ヘリボーンによる奇襲やゲリコマ対処のための方策なので、補給の問題は、あまり考慮する必要がないと考えてます。

誤解されているようですが、私はこれを本格的な着上陸対処のために行うなどとは考えていません。

久遠さん
ソ連が崩壊し、急ぐべきは対中であるというのもわかった上で、それでも北海道を必要以上に蔑にするのも理解ができません。せめて北方領土問題が片付かないことにはね。
というかマシとかそうでないかという次元じゃないでしょう…

Suica割さん
私も欧州大陸と西南諸島じゃスケールが違いすぎると思うんですよ

日本酒命さん
アメリカはあえて積極的にどちらの味方もしないが、どちらかがやりすぎ(とアメリカがみなす)場合その逆に立って均衡を取る外交戦略でしょう。

これ、日中がそれなりにまともならアメリカの思惑通りに事が進むんですよね

>そのとき、中国は経済を犠牲にする決意ができるだろうか?
戦争って大抵後先考えないか、後先を楽観的に都合よく考えすぎるものです
積極的に仕掛ける側はとくに

数多久遠 様

了解しました
お返事ありがとうございます


ハンドル用 さん

>これ、日中がそれなりにまともならアメリカの思惑通りに事が進むんですよね
どうもアメリカは、少なくとも当面は中国にその部分を期待するは無理だという判断を強めている節があるというのが私の考えです

@ハンドル用
>これ、日中がそれなりにまともならアメリカの思惑通りに事が進むんですよね

的もが?米国は主に短期(民主国家ですので、長期戦略の為に短期利益を放棄すれば、抵抗は大きい過ぎる)、日本は主に中期(官僚で物事決める分、短期はある程度無視できる、だが、自分のキャリアより長いな事情等不関心)、中国は主に長期で物事を考える(民主ではないので、この気になれば暴動起こさない程度で長期に集中する事が出来る)のは私は思っています。

もし、長期視野(数十年から数百年)で事を考えれば、領土拡張は利に成ります。例え小さいな利でも数百年で継続すればかなり大きいに成りますから。特に相手は短期と中期利益の為に棚上げする事が同意するならでね…

ハンドル用 様
無益なものとは思ってませんが、予算のバランスを考えれば、非効率なものだと思ってます。

なお、森元首相が動いているので、北方領土が解決してしまう可能性がありますが、そうなったら今以上に南方シフトが可能になるでしょう。
自民も同じ戦略を描いているかもしれません。

>久遠さん
だからせめて「解決してから」それは立てるべきでしょう。
何度も何度も失敗してるのを今度こそ成功できるという希望的観測で事を運ぶのは危険すぎると思いますが

というか、仮に面積等分だの3.5島返還だのでケリをつけるとロシアと陸地で国境を接する事になりかねませんし(「陸上保安庁」とか「国境警備隊」でも新設しましょうか?)

話の本筋に戻すと、数十両(でかつ、本土の着上陸戦闘も考慮に入れない)ならそれこそ10式でいいでしょうに。

>香港からの客人さん

中国は長期云々という分析は非民主国家が全て長期的視野に立っていたとは思えないし、軍を含めた官僚組織の出世競争、予算獲得競争があるというのを無視していますし、中国のそれはむしろ苛列ですらあります。

「あっち(他部署)は役に立たないからうち(自分の部署)に回せ」なんて主張はどこの国の組織もやるものです。

ハンドル用 様
北方領土問題に最初に言及されたのはそちらですよ。

POMCUS用に10式を、としなかったのは、10式の方が機動性が高く、状況に応じた戦力投入をし易いからです。
想定する敵は、歩兵ですし90式で十分という要素もあります。

北方領土問題を「解決できる」と甘い見通しをしたのはあなたですよ。
だからせめてそれは「実際にそうしてから」そうするべきだと言ったまでです。

>POMCUS用に10式を、としなかったのは、10式の方が機動性が高く、状況に応じた戦力投入をし易いからです。

し易いからそうしない、というが10式でも自衛隊の持つ輸送機では輸送はできずどちらにせよ船でということになる

>想定する敵は、歩兵ですし90式で十分という要素もあります。

対歩兵だけならそれこそRPG対策を施した装甲車で十分、ともいえますが(まあそれでも装甲は十分であるに越したことはありませんが)

情報通信能力は対歩兵でも有用な差になると思います

ハンドル用 様
北方領土については、ご期待に応えて、記事を書こうと思っております。
しばらくお待ちください。

10式の空輸については、気が向いたら(適当なデータが入手できれば)書くかもしれません。

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