ブログランキング&ツイッター

  • 軍事・防衛 ブログランキング
  • ツイッター

« レーダー照射に対する反撃は違法行為 | トップページ | 自民政権下の25年度防衛関連予算案-民主政権下の概算要求との比較_その2 »

2013年2月15日 (金)

自民政権下の25年度防衛関連予算案-民主政権下の概算要求との比較

タイトルの通り、自民党政権下でまとめられた25年度の防衛関連予算案(以下、自民予算案と表記)を、民主党政権下でまとめられた概算要求(以下、民主概算と表記)と比較して見たいと思います。
以下、画像は全て上記の防衛省資料より

まず最初に、防衛関係費の総額から見て行きます。
民主概算では、4兆5851億円でした。
これが自民予算案では4兆6804億円に増えました。実に953億円もの増です。
概算要求より予算案が多いなんて、普通はあり得ないはずですから、これは素晴らしいことです。

伸び率を見るとマイナス続きだった防衛関係費が、大幅にプラスになったことが分かります。
Ws000000

しかし、総額の推移を見ると、確かに増額に転じたものの、いささか目を顰めたくなります。
Ws000001
確かに増えてます、24年度より。
ですが、22年度よりは低いのです。
そう、民主党政権1年目、”あの”鳩山内閣1年目にまとめられた予算より少ないのです……。
つまり、ぬか喜びなどしてられないと言うことです。

しかし、私はこの防衛関係費の総額については、文句を付けようとは思いません。
細かい論評はしませんが、大局を見れば、妥当な所ではないかと思ってます。

では、気を取り直して、詳細に入って行こうと思います。
最初の3つは、自民予算案で特別に項目が設けられ、重視されている項目です。

①自衛官の充足
自民予算案の目玉として、各幕約95名前後の増員が盛り込まれました。
各幕とも、ほぼ同じ人数なのですが、これは政治的配慮のような気がします。その上で、陸94人増<海96人増<空97人増というのが、象徴的に見えます。

②十分な維持修理費等の確保による装備品の可動率の向上
護衛艦、哨戒ヘリ、AWACS、E-2Cの維持経費が増やされています。
尖閣対処で、火急の部分が増やされたと言うところです。これも海空です。

③教育訓練の充実
陸自は、「島嶼部への迅速な部隊展開及び対応能力向上に資する」訓練を実施します。
Ws000002
写真が示すように、空中機動、海上機動を含めた訓練です。主力は当然普通科です。

海自は海演、空自はコープノースグアムが挙げられています。
また、警察機関との協同も特記されています。陸自と警察の方は民主概算にも入っていましたが、海自と海保の訓練は自民予算案で盛り込まれています。

④固定レーダーサイトの更新
民主概算では、高畑山の更新だけでしたが、自民予算案では宮古島が追加されました。
FPS-4に更新したところで、尖閣上空の低空目標は探知できませんが、それでも監視能力は高まります。

⑤潜水艦及び対潜能力関係
艦艇用潜望鏡探知レーダーに関する研究は消えてしまいました。
優先順位が低いと考えられたのだろうと思いますが、果たしてそれでいいのだろうか疑問です。
代わりに、潜水艦用のESM器材として、広帯域受信機の整備と音響情報分析機材の整備が盛り込まれています。これは潜水艦の能力向上に資するものです。
より、攻撃力重視になったということでしょう。

⑥海自ヘリ
掃海・輸送ヘリ(MCHー101)の取得(2機)と哨戒ヘリ(SH-60K)の取得(3機)は落ちてしまいました。
全体が増額されていた中、これが落ちた理由はハッキリしません。これも防御的な性格の兵器なのが印象的。

⑦対ステルス警戒
来ました!
警戒監視技術に関する調査研究として、わずか1千万ですが、短波レーダーの調査研究が盛り込まれています。
資料では、「遠距離から小型航空機等を探知するため」とされていますが、これは明らかに対ステルス技術です。短波レーダーは、共振と呼ばれる現象が、ステルス戦闘機の探知に有効なため、対ステルスレーダーとして期待される技術です。
これと長射程の赤外画像誘導ミサイルが実用化できれば、非ステルスでもステルス機に対抗できる可能性があります。

次回に続く。

*********************
2/
6追記
掃海・輸送ヘリ(MCHー101)の取得(2機)と哨戒ヘリ(SH-60K)の取得(3機)は、落ちたのではなく、補正予算で前倒し取得されてました。
海空を減らすようなことはしませんね。

にほんブログ村 政治ブログ 軍事・防衛へ
にほんブログ村

« レーダー照射に対する反撃は違法行為 | トップページ | 自民政権下の25年度防衛関連予算案-民主政権下の概算要求との比較_その2 »

防衛予算」カテゴリの記事

コメント

平成24年度補正予算で安倍総理の強い要望によりSK-60K哨戒ヘリコプター×3機とMCH-101掃海・輸送ヘリコプター×2機が追加計上されていますので、実質前倒しとなったのでしょうか?

本気で日本の防空を考えるなら、F35のつなぎに不細工な買い物(タイフーンなど)を買うことも射程に入れなければいけません。
後、空中給油機と警戒機の増加はしなくてはなりません。
増えたのはいいですが、予算の使い方も考えるべきです。
いかに必要だったり、役立つ装備に金を注ぎ込むかを考えた場合、日本は問題ありすぎです。
とくに特別な理由が無い限り、自衛隊専用でなく、民生品を使う事もすべきですね。(装甲もなにもないのに、特注のダンプを買うなど無駄としか思えない。)

今空中給油機を追加で導入するとなるとKC-46となりますか。KC-767と基となった機体が同じですから日本でも扱いやすそうですね。しかし警戒機に関しては難しいところ。E-767はAN/APY-2の生産が終了しましたから導入は不可能ですし、E-2Dは売ってくれるのか・・・。選定は慎重に進めねばなりませんね。今ならE-737という選択肢もありますが航続距離の問題もありますしね。
何にしろ年内に再改訂される大綱と中期防次第ですか。

そら防衛費を今まで減らしてきたから、企業側も供給力を落としてしまったためすぐに復旧させることが
できないんじゃないですかね。仮に防衛予算が5兆円となったとしても、兵器が希望に添える数を
作れないんじゃ意味ありませんから・・・

研究開発だって出来る人員は限られているわけですからね。やはりまずは増員して教育をしたうえで
兵器数を増やすというのが現実的じゃないですかね。

大事なのは今後増やし続けるという意思表示だと思いますよ。

アシナガバチ 様
あ~、それ見落としてました。
落ちたんでは無くて、前倒しされただけですね。
記事修正しておきます。

Suica割 様
私は、タイフーン等は反対です。
PreMSIP機後継は、間違いなくステルスでしょうから、
F-15、F-2、タイフーン等、なんらかのステルス
なんて運用機種多すぎます。

民生品使用は増えてます。
もっと、というご意見はもっともだと思いますが。

橘花 様
早期警戒機は、それこそ国産という手もあります。
戦闘機の国産を追求するより、よほど現実味がありそうな気がします。

名無し 様
納期が短い場合は、メーカー能力という可能性(補正予算や予備費の消化)もありますが、来年度末までに納品されれば良いものですから、増やそうと思えばメーカーサイドは対応できたと思います。
むしろ、自衛隊側の受け入れ態勢の問題じゃないでしょうか。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« レーダー照射に対する反撃は違法行為 | トップページ | 自民政権下の25年度防衛関連予算案-民主政権下の概算要求との比較_その2 »

最近のトラックバック

ブックマーク、RSS