KDP出版記 その6 個人電子出版における価格2
このシリーズの前回記事”その5”を書いた後、「黎明の笛」第3版のリリースにあわせて、価格を250円に値上げさせて頂きました。
その後、2週間以上が経過したので、経過報告とKDPでの値付けについて、再度簡単に考察してみます。
まず、200円から250円に上げた結果ですが、販売部数については、ほとんど変りありませんでした。
年末年始にかぶり、アマゾン全体での販売が低調だった(ランキングと自分の販売数から推測できる)事から考えると、販売部数は、むしろ伸びたと言っていいくらいでした。
購入者サイドから見ると、200円も250円も大した違いはないのでしょう。
感覚的に言って、販売部数に影響のある価格帯は、
100円以下(古い文庫本レベル。ダメ元で買ってみてもいいかな?)
100円以上300円未満(捨て値ではない古書レベル。そこそこの評判があれば試しに買ってみても)
300円以上500円未満(古本でもそこそこ売れるレベル。一定の評判があり、興味のある分野なら買うかも)
500円以上(新刊文庫本レベル。かなり期待できないと買わないな)
という所ではないでしょうか。
一方で、販売に伴うロイヤリティですが、アマゾンに専売権を与えることで70%のロイヤリティを得られるオプション(ただし、配信費用を取られる)を行使したことで、ロイヤリティはほぼ倍増しました。
ただし、それでも、総販売部数が大したことないので、ロイヤリティは雀の涙です。
小説ではGene Mappreを書いた藤井氏以外は、趣味の世界ですね。
実用書(特に利殖などお金を稼ぐ系)は、相当数売れているようなので、その手の知識のある方は、書いてKDPで売れば、週末副業程度にはなりそうです。
100ページに満たない短いモノでも、結構売れてます。
問題は、アマゾンに専売権を与えて70%のロイヤリティオプションを行使するか、35%のロイヤリティで、他チャンネルでも販売を図るかです。
Gene Mappreの藤井氏は、アマゾンに専売権を与えるよりも、複数のチャンネルで売った方がいいという見解のようです。
「KDPの印税70%」
私の見解は、販売する人が、どこまで営業努力できるかだと思います。
電子書籍は、自分でやってみたことで分かりましたが、結構めんどいです。
これを複数のチャンネルで販売用に、変換したり体裁を整えたりすることは、なかなかに苦労です。
藤井氏は、もともとDTPをやっていたプロですから、その辺の苦労が少なかったのでしょう。
つまり、面倒なら、販売はアマゾン任せにして、70%オプションを行使するのも悪くないと思います。
ただし、これには価格を250円以上に設定しないといけません。
問題は、100円で数を売る場合と、250円で利幅を大きくする場合の優劣ですが、書かれた本が万人に受けるモノか、一部の人にしか受け入れられるニッチ作品かによると思います。
例えば、恋愛モノなど、万人受けするものなら、250円で少数を売るより、100円にして多くの部数を捌いた方が、利益は多そうな気がします。
もともと読者が限られるニッチ作品(私の「黎明の笛」のような)だけが、70%オプション向きなのではないか……。
またまた藤井氏のことになりますが、Gene Mapperも、適宜値下げキャンペーンなど行なって試行錯誤しているようです。
私は、これ以上の販売努力が面倒になってきた事もあって、当面このままで行こうと思っていますが、また何か思い付いたら、レポートもします。
追伸
最新のレビューに「専門用語の解説がないことが多い」とありました……。
自分としてはスゴク多くの解説を書いたつもりだったのですが……
まだまだのようです。
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