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2013年1月

2013年1月 2日 (水)

NUKE IS EVER

明けましておめでとうございます。
2013年も、よろしくお願いいたします。

年末から、風邪を引いてダウンしてしまったので、うつらうつらしながら見た紅白について感想を書かせていただきます。

いろいろと腹の立つ報道の多いNHKですが、紅白でもやってくれました。
確か、オリンピック同様に政治的主張はNGだったと思いますが、斉藤和義は、「NUKE IS OVER」(核は終わった)と大書きされたギターストラッ使ってました。

リハーサルで同じものを使っていたのなら、”NHKふざけんな!”というところです。

リハーサルでは別のものを使っていたのでしたら、斉藤和義が確信犯ということですから、永久に出入り禁止にしたらいいと思います。
ネタバンドの下ネタなんか問題にする暇があったら、こういうところをキッチリして欲しいものです。

NUKE IS EVER!(核は永遠なり!)

また、個人的にはあまり好きではないものの、EXILEがRising Sunを歌っていたのは○でした。
しかし、NHKは彼らにも日の丸を使わせず、なんだかよく分からない太陽を模した図を使わせていました。
これを見ても、やはり、ふざけんなNHKですね。

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2013年1月 4日 (金)

小野寺防衛大臣への期待と不安

安倍政権での防衛大臣に小野寺五典衆議院議員が就任しました。

小野寺大臣は、一貫して自民党であり、グーグルマップにおける魚釣島の表記についてグーグルに抗議するなど、スタンスについては期待できます。
また、外務大臣政務官や外務副大臣、それに自民党影の内閣における外務大臣を歴任しており、民主党政権下で綻びた日米同盟の修復など、外交にかかわる防衛政策課題が多い中で、指導力の発揮についても期待して良いと思います。

さらに、家族や自宅が東日本大震災で被災しており、自衛隊に悪い感情を抱いていることもないでしょう。
テレビで見る限りでは、印象も悪くありません。

反面、その経歴等から、唯一不安視されるのは、利点でもある外務省とのパイプの太さです。

防衛省というベクトルを定める際、その大きさに影響を与える他官庁は財務省ですが、方向性に影響を及ぼすのは外務省です。
外務と防衛は、密接にかかわる反面、その利害や方向性が相克することも珍しくありません。

相克する課題において、外務省の意向に引きづられてしまうのではないかという懸念が残るのです。
例えば、昨年末に計画された日米共同統合演習の離島奪還訓練を中止したような判断を、」再び行ってしまうのではないかという懸念です。

まあ、それにしても強い懸念ではありません。
衆院選挙前の自民党の政権公約からしても、25年度の防衛予算は下がることはないでしょうから、しばらくは暖かく見守りたいと思います。

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2013年1月 6日 (日)

書評「Gene Mapper」

正月に、話題の電子書籍「Gene Mapper」を読みました。


Gene Mapper | Official Web Site


読む前から、電子書籍だからという理由で、このブログでも取り上げるつもりだったのですが、実は、読んでみると少しミリタリーテイストが入っています。
ドンパチがある訳ではないのですが、こう言う世界(遺伝子改造が一般化した未来)ならありえそうな紛争の姿が背景にあります。

ネタばれにならないよう、具体的な内容については、このくらいに留めておこうとおもいます。

その評価は、ここまで話題になっていることや、あちこちにあるレビューの評価を見て頂ければ分かると思いますが、非常に高いモノです。
私の感想としても、久々に展開がワクワクさせられるSFを読んだと感じました。
キタムラ氏がカッコイイです。

また、作品に込められたメッセージが、日本の商業出版で流されるステロタイプなモノではなく、現実を見ながら(現在の)現実を肯定したもので、好感を受けました。
しかも、このメッセージは、作者である藤井氏が、原発事故に対する世間一般の根拠無視のヒステリックな批判を危惧してのモノのようです。
Gene Mapper発売のお知らせ

また、電子書籍を出版社を通さずに刊行している者として見させて頂くと、その”書籍”としてのクオリティの高さには目を見張らせられます。
表紙のグラフィックや、縦書きでのルビや章冒頭のロゴなど、「これプロに発注したのでは?」と思うレベルです。

ただし、これは著者である藤井氏の経歴を見れば単純な話でした。
何のことはなく、藤井氏自身がDTPやグラフィックのプロだったからです。
このあたり、私を始め電子書籍を出している者にとっては、考えさせられる部分でした。

全体的に見て、SFファンなら手にとって損はない作品です。
藤井氏は、この作品をiPhoneで書いたそうなので、スマホでも読みやすく仕上がってます。
通勤時間の有効化にいいと思います。

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2013年1月 7日 (月)

H25概算要求-その4_F-35はJDAMキャリアー

25年度の予算は、概算要求から変化することが予想されますが、内容が見えてこないので、引き続き概算要求を見て行きます。
(概算要求ネタは、早めに消化してしまわないと、かなり変化してしまう可能性があるため、集中掲載します)

概算要求には、24年度に引き続き、次期戦闘機(F-35A)の取得(2機)が盛り込まれています。
しかし、これは少し考え物です。

FXとして取得が進められているF-35は、空自が次期戦闘機として期待する制空戦闘ではなく、当初は策源地攻撃専用のJDAMキャリアーにしかならないかもしれないからです。
次期戦闘機F35Aの4機が性能満たさない可能性 政府答弁と矛盾」(産経新聞12年10月3日)

 米空軍や国防総省の資料によると、F35Aが搭載予定の最新ソフトウエア「ブロック3」には、短射程空対空ミサイルなどを装備できる最終型のF型とそれができないI型の2種類がある。

 F型の米軍への納入は17年8月で、これより前の17年3月までにF型を日本に引き渡すのは米軍の規定により、原則不可能だ。このため、日本に引き渡されるのは性能でF型に劣るI型になる可能性が高い。


産経の報道のとおりだとすると、日本に納入されるF-35は、AMRAAMの他、JDAM等の爆弾のみで、AIM-9Xは使用できないことになります。

そうなると、以前の記事「F-22が高いかどうかはROE次第」で書いたとおり、政府がAMRAAMを使用し、BVR(Beyond Visual Range:視程外距離)で戦うことを承認しない限り、F35は対空戦闘をGUNのみで戦う事になりかねません。
そんなバカな使い方をすれば、虎の子のステルスを敵の短射程ミサイルで落とされる結果になります。
となれば、F-35は奇襲的な策源地攻撃専用のJDAMキャリアーとしてしか使えません。

改修してAIM-9Xが搭載できるようになれば良いのですが、それでは無駄金も甚だしい話です。
改修費用を無駄金としたくなければ、もう調達を遅らせ、最初から9Xが打てる状態で調達するしかありません。

25年度の予算が確定する前に、方針をはっきりさせる必要があります。
一旦支出を凍結し、調達を遅らせることも選択肢に入れるべきでしょう。

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2013年1月 9日 (水)

H25概算要求-その5_10式戦車はせいぜい3両でOK

今回は、先日もコメント欄で話題の出た10式戦車の調達についてです。(戦車ネタは、空母と並んで炎上しやすいのですが、ネタとして避ける訳にもいかない)

10式戦車の調達理由は、”ゲリラや特殊部隊の捜索、重要施設防護”となっています。
これは、25年度に始まった話ではありませんが、もはや笑うしかない理由です。

良く、戦車は市街戦でも有効だという方がいらっしゃいます。
確かに、現在のシリアのように、相当の火力を持った武装勢力が、一定の地域を占拠している場合、”戦車を編成に加えた”歩兵部隊を使用することは有効です。

しかし、上海を占領する意志などない自衛隊が、国内で、潜入したゲリラや特殊部隊の掃討を行なうなら、”96式装輪装甲車を編成に加えた”普通科部隊で十分……というより、射・視界の広さや対歩兵の面制圧力など、96式装輪装甲車の方が有効です。

敵がRPGなどを持っていた場合の被害を訴える方もいますが、そんなモノを持ってくるかどうかでさえ疑問ですし、仮に持ってきたとしても、装輪装甲車の乗員がRPGで死亡しても、他の7両の装輪装甲車が機関銃弾なりグレネードをばらまけばいいだけです。(1両あたりの調達費用は約1/8)
普通科隊員は生身で歩いているのに、車両乗員の死傷だけ口にするのは理解できません。

また、重要施設防護では、車両で巡察することが重要だと思われますが、戦車では事実上無理でしょう。早い話、半固定砲台にならざるをえません。
この点でも、装輪装甲車の方が遙かに有用です。

また、コラテラルダメージを考えた場合、ゲリラが狙って下さいとばかりに、山の中から撃ってきたのでもなければ、戦車砲など使えません。

このような状況で、16両の10式戦車(158億円)なんてムダもいいところです。
大綱に定められた400両に対して、現在の90式の保有数を考えれば、3両もあれば十分でしょう。
余った予算で、96式なら100両買えます。

なお、ゲリラや特殊部隊が、対戦車ミサイルを使用した攻撃をしてくることが想定される場合は、戦車での反撃が必要かと思いますが、90式や74式でも十分です。

民主党政権は、国防に対してロクな事をしませんでしたが、戦車の定数を下げたことだけは評価していたのですが……
もし、概算要求の16両が、大綱の再修正を見込んでのものなのだとしたら、自民党の評価も考え直さなければならないと思ってます。

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2013年1月12日 (土)

戦車増強論者に提示する5つの命題

前回の記事「H25概算要求-その5_10式戦車はせいぜい3両でOK」には、予想の通り大きな反響を頂きました。
当ブログのコメント欄はもちろん、普段は軍事バリバリの記事は転載しないBLOGOSも転載してくれたので、あちらのコメント欄にも多数のコメントを頂いています。
また、ツイッター上では、週刊オブィエクトのJSF氏にも突っ込んで頂きました。

空母ネタと戦車ネタは、言及すると面倒なので、正直言うと避けていたのですが、この際なので、取り上げることに致しました。
なお、少しでも戦車の導入に反対すると、戦車を無用無益なモノとする戦車無用論者というレッテルを貼られる傾向にあり、現に今回もそうだったのですが、私は自分自身がそうではないと思っています。(実際に400両維持には反対していない)
なので、現大綱の400両を超える戦車配備を主張し、前回記事に反論して頂いた方々を、勝手
ながら戦車増強論者と呼ばせて頂き、今回の記事を書こうと思っています。

なお、今回の記事は、前回記事に異論を頂いた多数のコメント、及びツイッター上でJSF氏から頂いたメッセージに対する反論(いや反問か)として書かせて頂きます。

戦車増強論者の方は、日本が戦車を保有し、上陸してきた敵を排除する能力を持つことで、抑止力として機能すると主張されます。
これは、理論としては、筋が通っています。
ですが、私は日本が戦略として、これを行なうことは間違っていると考えます。

詳細に入る前に、以前にも書いた事のある小話を書いておきます。
3自衛隊間で相互に研修を行うことは良くあることですが、陸自の方を研修で受け入れた際、空自が彼らにどのようにエアカバーをかけられるか、という質問がされることが多くありました。
ただし、この質問は幹部ではなく、陸曹の方から貰うことが普通でした。幹部の方は、答えが分かっていたから質問はしなかったのでしょう。
この質問がされた時、私は決って次のように答えていました。
「(敵による着上陸を受け)陸自が戦闘を行う際、空自によるエアカバーは期待しないで下さい。なぜなら、(着上陸が行なわれ)陸自が戦闘になる時は、空自は壊滅した後だからです。」

さて本題に戻ります。
戦車増強論者の方は、次の命題に答えて頂きたいと思います。
命題①「日本は、国(政府)の意志として、敵が着上陸侵攻を行なう状況において、戦争の継続が可能である。」

着上陸は、空海自衛隊も全力で阻止します。
空においては、航空阻止(AI)という航空作戦の区分自体が、着上陸阻止と近い考え方でさえあります。
海自においても当然です。
つまり、着上陸侵攻を行なうのであれば、海空自衛隊(+陸自対艦ミサイル部隊)をほぼ壊滅に近い状態にまで追い詰めなければ、実施は不可能です。

そして、そのような状況になれば、着上陸の作戦前に、当然のこととして、戦略爆撃等が行なわれ、高速道路、主要橋梁、鉄道は破壊されるでしょう。
精密誘導兵器が発達した現代においては、上記のインフラ破壊は、やり方次第では一人の死者を出すこと無く実施することも可能かもしれません。
東日本大震災程度のインフラ被害でも、日本経済は非常なダメージを受けました。海空自衛隊が壊滅し、戦略攻撃を受ければ、あの程度の影響で収まるはずがありません。

それに歴史を見ても、太平洋戦争当時、十分な情報がない状態で、一億火の玉とさえ言っていたにも関わらず、日本は、沖縄の除き自国国土における戦闘を戦えませんでした。

私は、日本が本格的な着上陸侵攻を”政治決断として”戦えるとは到底思えません。
多数の空爆や弾道ミサイル攻撃を受ける状況において、陸戦まで戦えるほど日本国民に根性があるとは思っていないということです。
戦車増強論者の方には、日本国民が一億火の玉
で戦える国民だと考えているかもしれませんが、是非この命題に答えて頂きたいと思います。

また、政治ではなく、軍事的側面においても、答えて頂くべき命題が存在します。
命題②「多数の戦車配備による着上陸侵攻阻止は、海空作戦によって着上陸侵攻を阻止するよりも、合理的である」

25年度概算要求における10式戦車の調達費用は、1機のF-35を調達する費用にも匹敵します。
その後の維持費用が異なるため、16両の10式と1機のF-35がトレードオフできると単純に考えることはできませんが、400両を越える戦車を配備することが、相当の費用を要する選択であることは明白です。
自衛隊の教範類を持ち出すまでもなく、地勢の活用を図ることは、軍事上の常識です。

日本の防衛においては、海という天然の要害を最大限活用することは、軍事的合理性にかなった選択です。
それに反して、多数の戦車を配備することは、その分、海空防衛力を低下させることに他なりません。
400両の戦車が、いずれ全て10式に換装されると考えれば、その調達費用は3950億円にも上ります。(25年度概算要求価格から算出)
F-35であれば、1個飛行隊分の調達費用さえまかなえます。そうりゅう型潜水艦なら、7隻も買えます。

戦車増強論者の方には、海空に予算を注ぎ込むよりも、戦車の方が合理的である説明をして頂く必要があります。

さて、もし上記2つの命題に有意な回答が出てこないのであれば、防衛省が主張する(建前か本音か分かりませんが)ように、戦車の調達は、ゲリラや特殊部隊の捜索、重要施設防護用ということになります。

ここで出てくる論点は、これらの目的に対して、400両を越える戦車が必要か否か、あるいは、90式さえ早期に10式に換装して行く必要があるのかどうかです。

90式は341両を保有しています。この数を踏まえれば、当面の10式調達は59両でいい計算になります。
そして10式は、24年度までに、既に39両が調達されています。残り20両です。
25年度概算要求の16両が調達されれば、後はわずか4両の計算です。

残り20両の調達を、年3両、7年で調達するという私の主張に反論頂く以上は、戦車増強論者の方には、次の命題にも答えて頂きたいと考えます。
命題③ゲリラや特殊部隊の捜索、重要施設防護のために、400両の戦車+他の戦闘車両では能力として不足である。

ちなみに、重要施設の一つとして私が非常に重要と考える空自基地の警備に関して、陸自が訓練において戦車を持ってきた実例は、千歳基地等の北海道の基地(まわりに戦車がいくらでもある)を含めて、私は知りません。
防衛及び警備計画等の作戦計画については、内容には言及できませんが、戦車を使用した防護が盛り込まれているならば、訓練が行なうことが必要なはずです。
(もっとも、戦車はもっと重要な目標の防護のみに使用する計画であるため、防空を行なう空自の基地など重要度が低すぎて防護する必要性は乏しいと考えている可能性もありますが……)

また、ゲリラや特殊部隊の捜索において、私は96式装輪装甲車(これが良いと言うつもりはないが、25年度に陸幕が買うつもりなのは96式なので)では、能力的に不足であるとする主張が多い事を踏まえて、次の命題にも答えてもらう必要があると考えています。

命題④ゲリラや特殊部隊は、陸自掃討部隊を作戦目標として行動し、RPG等対戦車火器を使用し、戦車でないが故に破壊可能な戦車以外の戦闘車両(96式装輪装甲車等)を攻撃し、命中弾を与えることができる。

”私が考えるに”、ゲリラや特殊部隊は、政経中枢や発電所等の重要ライフライン等のインフラ施設、海空自衛隊施設(イージス艦、FPS-5、パトリオット部隊、航空基地施設等)を目標とする可能性が高い。
そして、これらを不意急襲的に襲撃する以外は、ゲリラや特殊部隊は、極力存在の秘匿に努め、目標ではない自衛隊警備部隊との交戦は、自衛のために致し方ない状況以外では、極力回避するはずです。
また、本来の目標を破壊するために必要で、イージス、FPS-5等を遠方から破壊可能であり、そのために多大な努力を図って携行しているはずのRPGや対戦車ミサイル等を、破壊が可能だからという理由で96式装輪装甲車などという重要性の乏しい目標に使用してしまい、消耗するだけでなく、それによって秘匿すべき自らの存在を暴露するような行動を、ゲリラや特殊部隊が行なうとは考えられません。
行なうとしたら、陸自警備部隊に捕捉され、任務を放棄して、死なばもろともで攻撃する場合だけだと考えます。

このようなゲリラや特殊部隊の捜索において、もっと必要な部隊は、言うまでもなく普通科部隊です。
それも、状況によっては民家に対する戸別訪問というような警察のような事を、CQBに備えながら行なうことも必要でしょう。
陸自の普通科部隊においても、まだまだ各種装備の調達や高度な訓練を行なうべき分野です。目標とされる可能性の乏しい戦闘車両の調達以上に、人物金の資源を投入する必要性が高い部分だと考えます。

また、全国の普通科部隊を重要施設の警備に貼り付けるには、現在の普通科部隊の全力を投入したとしても、私は十分だとは思いません。
事実、近年まで陸自が空自施設の警備支援に否定的だった理由は、そこまで手が回らないという認識だったからでした。
それを踏まえれば、96式装輪装甲車で情報があった場所に急行し、下車散開戦闘するためにも、戦車よりも96式装輪装甲車の方が有用だと考えます。
96式装輪装甲車をゲリラや特殊部隊掃討に投入することは不適だと主張する戦車増強論者の方には、緊急展開が困難だと考えられる戦車を使用して、上記のような事態に対処するため、次の命題にも答えて頂く必要があります。

命題⑤戦車及び普通科部隊を、ゲリラや特殊部隊が目標とする可能性のあるほとんどの施設に事前に貼り付け配備が可能である。

主要な提示命題は以上です。
私には、これら命題に対する合理的回答は、思い付きませんでした。

結果的に、ある意味では仕方の無い解決策として、陸自の方には、400両の戦車以外は、96式装輪装甲車等の戦車以外の戦闘車両でガマンして頂き、ゲリラ及び特殊部隊の捜索排除、重要施設の警備をして頂きたいと思っています。

なお、命題として提示する程ではないと考える細かな話題として、JSF氏から、頂いた話が何点かあるので、それらについても書いておきます。

まず、戦車砲はむしろコラテラルダメージが低く、機関砲よりも使いやすいとのお話がありました。

確かに、戦車砲のHEAT弾は、以外とコラテラルダメージが低いです。
昨年、シリアで無くなった山本美香氏は、イラクで宿泊していたホテルの隣室が戦車砲による砲撃を受けておりますが、山本氏自身は、怪我もされていません。
ただし、これは不発等、なんらかの理由でHEAT弾が起爆しない場合を除く他、建物が堅牢な場合はという話になります。
不発であれば、ホテルなどは反対側まで突き抜けるでしょうし、木造家屋であれば、家屋ごと吹き飛ぶでしょう。

また、機関砲を連射すれば、最初の砲弾が壁を破壊し、次弾以降が貫通して、さらに奥の部屋に被害を与えるという可能性がありますが、単発で撃てば当然戦車砲よりも威力は小さいので、コラテラルダメージは少なくなります。
また、そもそも96式装輪装甲車が装備しているのは、12.7mm機関銃かグレネードであって機関砲ではありません。

オマケの話になりますが、以前公開していた小説中、ビルの一室から空自基地の破壊工作を行なうゲリラに対して、VADS(20mmの対空機関砲)で反撃するシーンを書きましたが、実際にVADSを警備で使用する事を現役自衛官時代に提案した際には、20mm機関砲の単発撃ちであっても、コラテラルダメージ配慮のため、否定的意見がほとんどでした。

また、時限作動の可能な、40mm等の中口径砲は、内部のペレットを極小軽量のものにすること(専用砲弾)で、長射程ながら破壊範囲を非常に狭い範囲に限定できる可能性があるため、ゲリラの排除に非常に良い火器とできる可能性があります。(現役時にメーカーに問い合わせた)
なので、将来装輪戦闘車両(対空型)の対地使用には密かに期待しています。

他に、山岳でのゲリラ狩りに、トルコ軍がクルドゲリラ狩りで戦車を投入して成果を上げているという実例の提示がありましたが、私はこれが日本にうまく適合するとは思いません。

というのも、クルド地方の山岳が、日本人の感覚で言えば、ハゲ山に近い岩山が多いのに対して、日本の山岳は、戦車であっても侵入不可能な森林地帯が多く、戦車の不整地走行能力をもってしても、道路以外は走ることが困難な場所が非常に多いためです。
空自のレーダーサイトでも、道路以外は走行不可能なところが多いです。

ただし、これも以前に小説で書いたシチュエーションですが、数キロ離れた隣の山等から対戦車ミサイルでFPS-5等が狙われる状況では、戦車砲の反撃でコントロールキルできる可能性はあります。
(こう言う事も考慮しているため、単純に戦車無用論者だと言われる事には違和感を感じます)

今回の記事は、以上です。
反論のある方は、是非、提示した命題に答えて頂きたいと思います。

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2013年1月14日 (月)

5つの命題への回答について

前回記事へのコメントはしない事とさせて頂きましたが、頂いた回答に対しては、私なりの見解を書かせて頂きます。
確かに、何も答えないのは失礼でしたね。
申し訳ありません。
まとめての見解になること、及び回答を避けたコメントについても、レスポンスしないことについてはご容赦下さい。

命題①「日本は、国(政府)の意志として、敵が着上陸侵攻を行なう状況において、戦争の継続が可能である。」

少数ですが、可能と答えて頂いた方もおりました。
私としては、レアアースの禁輸や日本人が拘束されたりしただけで経済団体が音を上げる状況の中、かなり見込みが違うのではないかと思っております。
精神論もあり得ますが、それが出来ない実証をした歴史があり、それを当てにすることはできません。

なお、着上陸侵攻という言葉を、奇襲的に少数を上陸させ後方を攪乱させたり、補給線を確保する必要のない一時的に上陸させるだけのゲリコマ攻撃に類するモノまで含めた言葉として反論して頂いた方が多数おりますが、それは誤読というものです。それらはゲリコマ等として、それらの撃破よりも作戦目標の防護ができれば良しと考えるべきです。
陸自が、某国が九州に上陸作戦を行なったという想定で、九州への機動を行なう演習を行なっておりますが、そう言った対応が必要なモノを意図しております。

また、補給線を考慮しない奇襲上陸については、上陸部隊と正面から戦わなくても、補給線の寸断で孤立させられます。
そのような作戦を敵が行なう可能性はゼロではありませんが、蓋然性の低い作戦にまで十分な対処能力を確保することは不適当です。

冷戦当時の対ソ連戦を上げて頂いた方もおりますが、それを想定するなら、現在の防衛計画の大綱も不適当という話になってしまいます。

命題②「多数の戦車配備による着上陸侵攻阻止は、海空作戦によって着上陸侵攻を阻止するよりも、合理的である」

これに対しては、明確に合理的だと答えて頂いたのは、香港からの客人様ぐらいだと思いますが、現有潜水艦勢力でも性能的には足りるのだから、戦車に資源投入した方が良いとの趣旨と理解しました。しかし、それならば尚のこと潜水艦に量を投入した方が適当であると考えます。
航空機の場合も、1個飛行隊分ぐらいは撃破される可能性があるとの意見を頂きましたが、1個飛行隊分の残余で、拒否力となることが重要だと考えています。
洋上撃破される可能性が高い状況では、上陸作戦の実施は困難です。

命題③ゲリラや特殊部隊の捜索、重要施設防護のために、400両の戦車+他の戦闘車両では能力として不足である。

他の戦闘車両は不足しているとのご意見がありましたが、それについては私も同意です。
普通科は行軍の訓練も当然にされてますが、自動車化がトラックでは、本当に移動しかできませんから。

命題④ゲリラや特殊部隊は、陸自掃討部隊を作戦目標として行動し、RPG等対戦車火器を使用し、戦車でないが故に破壊可能な戦車以外の戦闘車両(96式装輪装甲車等)を攻撃し、命中弾を与えることができる。

この命題のミソは、ゲリラや特殊部隊が、作戦目標である重要目標を攻撃するという任務の達成可能性を下げてまで、陸自部隊なんかを攻撃するかという点なのですが、陽動や強襲の可能性を指摘する方もおりましたが、戦車がなければ陽動や強襲を防ぐことができないと思わせられる回答は無かったと思っております。
装甲車なら破壊出来るという、ご意見が、あい変わらずにありますが、私はその被害は許容しても、ゲリコマ及び特殊部隊が存在の暴露をした結果、作戦目標の達成が困難となれば、防御部隊は、目的を果たしたと評価します。

命題⑤戦車及び普通科部隊を、ゲリラや特殊部隊が目標とする可能性のあるほとんどの施設に事前に貼り付け配備が可能である。

逆に、戦車でも貼り付けなくても機動運用して、現場急行が可能であるとの意見もありましたが、戦車だけが行けばいい訳ではありませんし、部隊運用としてはかなり困難だと思います。

かなり大急ぎの作文のため、乱文はご容赦下さい。

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2013年1月15日 (火)

<求む情報>戦車無用論の歴史について

今回の戦車関連の一連の記事で思い返した疑問について、情報を募集します。

疑問「戦車不要・無用論は、誰が言い始めたモノで、どんな論客がいたのだろうか?」

戦車無用論に反対する立場としては、高井三郎氏等が思い付くのですが、戦車無用論については、論客と呼べる方が思い付きません。(私が無知なだけかもしれませんが)

歴史的には、第4次中東戦争でイスラエル戦車の被害が大きかったことから発生したことがwikiでも書かれておりますが、論客については記述がありません。

この疑問は、以前から抱いておりました。
誰か有名な方が、戦車無用論を唱え始めたのであれば分かるのですが、論客と言える人が居ないにも関わらず、敷衍しているのだろうか?

私自身の体験としては、今から20年くらい前、陸自の方と飲んでいた時に「お前も戦車無用論か?」と言われた事を覚えています。その当時でも、陸の中にも一定数の戦車無用論が存在しているとの話を、聞
いています

また、これも20年くらい前になりますが、インターネットが普及する以前、ニフティサーブのフォーラムでも、戦車不要論は論じられていたと記憶しています。

こう言ったムーブメントがあり、現防衛計画の大綱での戦車の大幅削減となっている訳ですが、それが論客と言える論客がいないまま、語られてきたとしたら、なんだか不思議な動きであるように思うのです。

戦車不要・無用論を語ってきた著名な人物をご存じの方は、お知らせ下さい。

2013年1月17日 (木)

H25概算要求-その6_海自の対潜能力関係

概算要求の海自関係としては、対潜能力関係の項目が気になりました。

大きな所では、新型汎用護衛艦(DD)の建造やそうりゅう型の建造、P-1の取得(2機)があります。
これらは悪くないと思っています。
護衛艦と潜水艦の艦齢延伸もいいでしょう。

疑問な点は2つです。

一つはP-3の機齢延伸。
余剰になったこともあってEPやOPを作ったのに、何故今になって延伸するのか。
長・中期の計画自体に問題があったように思えてなりません。

P-1の調達が遅れたから仕方なくなのかもしれませんが……

もう一つは、艦艇用潜望鏡探知レーダーに関する研究(10億円)です。
固定翼哨戒機(P-1)用潜望鏡探知レーダーを活用し、潜水艦の潜望鏡の自動探知識別を可能とする艦載レーダーに関する研究を実施するそうです。

一般に、機上レーダーはスペースや使用できる電力の制限で、性能は限定されます。つまり、普通に考えれば、艦載レーダーよりも性能は低いはず。

にも関わらず、こういう研究がされるということは、護衛艦に現在搭載している水上レーダーでは、潜望鏡の(自動)探知が出来ないということになります。
監視対象のサイズと周波数の問題とかがあるのでしょうが……

良くそんな状態で使っていたものです。
海自は、一般に対潜偏重だと言われますが、最近は意外に対空(ミサイル)ばかりに目が行きすぎていたのかもしれません。

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2013年1月19日 (土)

H25概算要求-その7_特科火力

H25の概算要求ネタ最終回。
今回も、陸自の戦闘用車両についてです。

概算要求には、特科関係として、火力戦闘車の開発が入っています。
異論もある火力戦闘車ですが、戦略機動性が高く、私は悪くはないと思っています。

ですが、理解不能なのは、この開発に長い期間が必要とは思われないにも関わらず、8両もの99式自走155mmりゅう弾砲の調達が平行して継続される事です。

火力戦闘車の砲部は、99式自走155mmりゅう弾砲のものが活用されます。車体部は、重装輪回収車のものが活用されます。
まさか、作った途端にバラして火力戦闘車に改造するのではないと思いますが……

火力戦闘車の調達費用はハッキリしませんが、99式自走155mmりゅう弾砲よりは確実に安いでしょう。
99式自走155mmりゅう弾砲の調達を止め、火力戦闘車の早期開発と配備に振り回した方が、余程有効なはずです。

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2013年1月20日 (日)

下地島空港を空自が使用する場合の問題点

修正概算要求に、防衛省が下地島空港の活用を念頭に置いていると見られる項目が盛り込まれ、注目を集めています。
このニュースは、沖縄2紙が報じ、全国紙が追従したことで、yahooのニュースでも掲載され、そこにリンクを貼って頂いた以前の記事「下地島空港を自衛隊が使用する効果」に多数のアクセスを頂きました。

タイトルの通り、自衛隊が下地島空港を使用した場合の効果は前掲過去記事のとおりですが、今回は、自衛隊が下地島空港を使用する場合の問題とその解決策について考えてみます。

なお、修正概算要求「平成25年度概算要求に関する主要事項」には、「南西地域における航空自衛隊の運用態勢の充実・強化に係る調査研究【事項要求】」と盛り込まれているだけであり、下地島という言葉は一語も入っていませんが、防衛省が表向き否定したとしても、宮古島空港や新旧石垣空港と並び下地島空港が念頭にあることは疑念の余地がないため、以後は下地島空港の活用を前提として記述します。
また、宮古や石垣であったとしても、多くの問題点は共通です。

問題点①:飛行隊をどこから持ってくるか

例え下地島空港を使えるとしても、移駐させる飛行隊が存在するのかという問題です。

北空は、千歳と三沢ですが、ロシア対処で忙しい両航空団の削減は難しい。
中空は、対北朝鮮の最前線小松を削減にはできない。首都防空の任を負う百里を削減も疑問。
西空も、韓国があるとは言え、北朝鮮に近い上、中国との距離は那覇とさほど違わず、後方とは言いがたい。ただし、対領侵のロードは、多方面と比べれば、少ない。
参考過去記事「21年度スクランブル実績

オマケに、那覇は2個飛行隊化の関連事業が進められているし、津波被害でまるまる1個飛行隊分が水没して使えない状況になっている。

航空総隊の航空団を見てみると、飛行隊の状況はカツカツな訳です。

ですが、総隊外なら、ない訳ではありません。
それは、新田原に所在する、教育集団隷下の第23飛行隊を総隊隷下に戻して移駐させる方法です。

23飛行隊は、1995年に制定された07大綱による1個FI飛行隊の削減により、F-15を装備しながら基幹部隊及び作戦用航空機から外され、実態的な戦力ではないと位置づけられた部隊です。
戦闘用の部隊ではないことから、23飛行隊分の弾薬は準備されていませんが、機体
自体は紛う事なきF-15です。
悪い言い方をすれば、村山政権による07大綱を骨抜きにするため、航空自衛隊が取った詭弁による部隊温存策な訳です。

この23飛行隊を、基幹部隊・作戦用航空機に戻せば、大した予算を使う事無く、手の空いた1個飛行隊が手に入る訳です。
これで、下地島に1個飛行隊を持ってくる余裕が生まれます。
ただし、現在23飛行隊が行なっているF-15の機種転換操縦課程と戦闘機操縦課程については、部隊で行なう必要が出てきます。
しかし、津波で被害をおったF-2の教育が、なんとかなっていることからしても、こなせない話ではないと思っています。

それでも、那覇の2個飛行隊化もあるので、F-35の導入と合せて、空自の部隊編成は当分苦労することになるでしょう。

次の問題に行きましょう。
問題点②:那覇空港の拡張により下地島不要にならないか

ウィキペディアの下地島空港ページには「那覇空港の拡張案も具体的に検討されており、那覇空港の利用実態においての下地島空港の優位性は将来には低下するものとみられる」と書かれています。

しかし、尖閣までの進出距離が、中国の空軍基地からの距離の半分ほどで済む位置の優位性は変わりませんし、「下地島空港を自衛隊が使用する効果」で書いたとおり、それによる戦術的はメリットは計り知れないモノがあります。

それに、那覇空港の拡張は、現在検討中でありますが、基本的に滑走路の複数化が成されるだけで、エプロン地区の拡大は計画されていません。
むしろ、現在ランウェイの西側に所在しているパトリオット高射隊が行き場を無くしかねず、下手をしたら現在よりも窮屈になりかねません。

それを考えれば、下地島空港を利用した、南混団の複数航空団化が望ましいでしょう。(そうなれば南混団も、混成団ではなく、方面隊に格上げでしょうが)

問題点③:下地島は中国大陸に近く、攻撃を受けて破壊される可能性が高いのではないか

この懸念は当然のモノです。
しかし、中国が保有する巡航ミサイルのDH-10は、射程1500kmを越え、那覇も余裕で射程に捉えることができます。
戦闘機を運用する基地が、那覇1カ所しかない場合の方が、むしろ危険性が高いとも言えます。
ただし、懸念は、巡航ミサイルを迎撃する、安価な防空火器であるはずの11式短距離地対空誘導弾の整備ペースが遅いことです。25年度の概算要求でも陸自、空自とも1式づつしか調達されない予定でしたし、大幅な増額をされたはずの修正された概算要求では、空自分は、何故か削られ、0になっています。
また、当然ながら、陸自中SAMも貴重な戦力ですから、下地島展開は必須です。

対航空機を考えた場合も、下地島が大陸に近い事は、確かに攻撃を受けた場合の被害発生の可能性を高めます。
しかし、下地の存在は、縦深の確保になり、中国側とすれば下地、那覇両基地を破壊しなければ、常続的な航空優勢の確保は困難になることから、複数基地化の恩恵は大きく、リスク以上の価値があると言えます。

また、下地島には、那覇と異なり周辺住民の避難が容易だという利点があります。
那覇の場合は、基地のすぐ外まで市街地が広がっており多数の住民の避難は事実上困難です。
しかし、下地島の場合は、住人はわずか60人程しかおらず、隣接する伊良部島の6283人と合せても、宮古島への避難は、那覇と比べれば遥かに容易です。

この、周辺住人のコラテラルダメージと避難の可能性は、実は政治的に微妙ながら、重要な問題です。
「基地が那覇しかなく、那覇が攻撃を受ける可能性と、下地島が攻撃を吸収してくれる可能性と、どちらを受け入れますか?」と沖縄県民に問えるのです。(基地が下地と那覇の2カ所なら、攻撃側
が下地を優先するのはほぼ自明
私は沖縄県民と、沖縄メディアに問いたい。
那覇空港周辺にまで爆弾が降り注ぐ可能性を受け入れて、屋良覚書を維持しますか?

下地島が被害を受ける可能性に関して、私が最も懸念するのは、短距離弾道弾による攻撃です。
中国は、対台湾攻撃用に多数の短距離弾道ミサイルを保有していますが、その大部分は、下地島まで届くのです。
これらは、弾道軌道が低く、イージスでは迎撃出来ない可能性があります。
つまり、ほとんどをパトリオットで迎撃しなければならないと言うことです。
この懸念については、以前に「下地島空港活用時のMD態勢」で詳細な検討をしていますので、こちらをご覧下さい。
下地島を本格的に活用するなら、PAC-3弾(ミサイル)を大量に調達する必要があります。

また、いずれの手段で攻撃を受ける場合でも共通の事項として、シェルターを始めとした被害局限による基地防護策、及び被害復旧策は必須です。

主要な問題は以上3点です。
それぞれの問題に対して、解決には努力が必要ですが、下地島を使うメリットは大きく、使わないとすれば、海自を増強したとしても、いずれ航空優勢の確保は困難となり、尖閣は失うことになると思われます。

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2013年1月23日 (水)

KDP出版記 その6 個人電子出版における価格2

このシリーズの前回記事”その5”を書いた後、「黎明の笛」第3版のリリースにあわせて、価格を250円に値上げさせて頂きました。

その後、2週間以上が経過したので、経過報告とKDPでの値付けについて、再度簡単に考察してみます。

まず、200円から250円に上げた結果ですが、販売部数については、ほとんど変りありませんでした。
年末年始にかぶり、アマゾン全体での販売が低調だった(ランキングと自分の販売数から推測できる)事から考えると、販売部数は、むしろ伸びたと言っていいくらいでした。

購入者サイドから見ると、200円も250円も大した違いはないのでしょう。
感覚的に言って、販売部数に影響のある価格帯は、
100円以下(古い文庫本レベル。ダメ元で買ってみてもいいかな?)
100円以上300円未満(捨て値ではない古書レベル。そこそこの評判があれば試しに買ってみても)
300円以上500円未満(古本でもそこそこ売れるレベル。一定の評判があり、興味のある分野なら買うかも)
500円以上(新刊文庫本レベル。かなり期待できないと買わないな)
という所ではないでしょうか。

一方で、販売に伴うロイヤリティですが、アマゾンに専売権を与えることで70%のロイヤリティを得られるオプション(ただし、配信費用を取られる)を行使したことで、ロイヤリティはほぼ倍増しました。
ただし、それでも、総販売部数が大したことないので、ロイヤリティは雀の涙です。
小説ではGene Mappreを書いた藤井氏以外は、趣味の世界ですね。

実用書(特に利殖などお金を稼ぐ系)は、相当数売れているようなので、その手の知識のある方は、書いてKDPで売れば、週末副業程度にはなりそうです。
100ページに満たない短いモノでも、結構売れてます。

問題は、アマゾンに専売権を与えて70%のロイヤリティオプションを行使するか、35%のロイヤリティで、他チャンネルでも販売を図るかです。

Gene Mappreの藤井氏は、アマゾンに専売権を与えるよりも、複数のチャンネルで売った方がいいという見解のようです。
KDPの印税70%

私の見解は、販売する人が、どこまで営業努力できるかだと思います。
電子書籍は、自分でやってみたことで分かりましたが、結構めんどいです。
これを複数のチャンネルで販売用に、変換したり体裁を整えたりすることは、なかなかに苦労です。
藤井氏は、もともとDTPをやっていたプロですから、その辺の苦労が少なかったのでしょう。

つまり、面倒なら、販売はアマゾン任せにして、70%オプションを行使するのも悪くないと思います。

ただし、これには価格を250円以上に設定しないといけません。
問題は、100円で数を売る場合と、250円で利幅を大きくする場合の優劣ですが、書かれた本が万人に受けるモノか、一部の人にしか受け入れられるニッチ作品かによると思います。

例えば、恋愛モノなど、万人受けするものなら、250円で少数を売るより、100円にして多くの部数を捌いた方が、利益は多そうな気がします。
もともと読者が限られるニッチ作品(私の「黎明の笛」のような)だけが、70%オプション向きなのではないか……。

またまた藤井氏のことになりますが、Gene Mapperも、適宜値下げキャンペーンなど行なって試行錯誤しているようです。

私は、これ以上の販売努力が面倒になってきた事もあって、当面このままで行こうと思っていますが、また何か思い付いたら、レポートもします。

追伸
最新のレビューに「専門用語の解説がないことが多い」とありました……。
自分としてはスゴク多くの解説を書いたつもりだったのですが……
まだまだのようです。

2013年1月24日 (木)

防空識別圏(ADIZ)に関する誤解

以前にも書いた事がありますが、未だに誤解が蔓延っている、どころか、ほとんど正しい理解はされていない防空識別圏(ADIZ:アディーズ)について書きます。

小野寺防衛大臣の記者会見で次のようなやり取りがありました。
大臣会見概要(13年1月15日)

Q:中国の国防軍は、先週中国の軍の飛行機が中国と日本にある尖閣に入ったことに関して、「日本側の自衛隊の戦闘機が先に追跡をしたからだ」と、つまり「日本側が挑発をした」というふうに説明していますが、この説明に対する大臣のお考えをお聞かせください。

A:すみません、正確に今のお話なのですが、それは日本の領空に中国の公機、公の飛行機が入ったことが日本の航空機の追跡によるということなのでしょうか。

Q:東シナ海の上空において、中国の戦闘機が日本の防空識別圏に入ったといった報道がありました。この事実に関してはまず防衛省の方では公表はされていないかと思うのですけれども、しかし、日本側としては「中国の飛行機が入ってきたので日本の戦闘機も緊急発進した」というふうに説明しているかと思うのですが、それに対して中国の国防軍は「中国が正常にパトロールしている中で日本の戦闘機が追跡をしてきたので、日本側が挑発をした」と説明しています。

A:我が省からは正式に、例えば今言った戦闘機の話とかそういうことは公表しておりません。あくまでも私どもとしましては、通常の警戒態勢を日々行っているということでありますので、その範囲から抜けない活動をしているのだと思っています。


防衛大臣の記者会見における質問者が誰なのか承知していませんが、恐らく記者クラブの記者でしょう。
防衛に関して、全くの素人ではないはずです。
しかし、その記者にしても、ADIZを全く理解していません。

中国機の尖閣接近事例は頻発しているため、記者が質問した事例が、どの事例なのかハッキリしませんが、1月10日に発生した中国機(恐らくY-12だが裏付け情報なし)による日本領空接近に対して、那覇のF-15がスクランブルし、その空自機に対応する形で中国軍機が進出した事例を念頭に質問したと思われます。
日中の戦闘機がスクランブル発進、尖閣上空で一触即発―中国」(レコードチャイナ13年1月12日)

中国国防部の公式サイトによると、同部は10日、尖閣付近に戦闘機を緊急発進させた問題について説明した。

現在、中国は尖閣諸島について「海と空からの定期巡視」を実行していると主張している。10日、巡視の航空機が日本の防空識別圏に侵入したため、自衛隊のF-15がスクランブル発進。自衛隊機が接近してきたため、中国軍がJ-10戦闘機2機をスクランブル発進させたという。なおJ-10戦闘機は防空識別圏には侵入していないという。


この事例、日中の戦闘機が接近する事態になれば、確かに緊迫した事態にはなります。
ですが、最近のY-12の飛行態様を見る限り、この日も、Y-12は、それほど尖閣には接近していないと思われます。
そうであるならば、両国の戦闘機が接近したとしても、国際法的には、互いに何ら権利がない状態ですから、特に目くじらを立てるような事態でもありませんし、もし空自機が攻撃を受けるような事態になれば、中国の無法ぶりは明かで、政治・法的には日本はむしろ有利な立場になります。

領空は、国際法で認められた日本の主権が及ぶ範囲です。
一方、ADIZは、法的には何らオーソライズされていない
各国が勝手に決めた範囲です。

ウィキペディアの防空識別圏ページにも、明らかに間違った情報が載っています。

領空の外周の空域に防空識別圏を設定し、届けのない航空機が防空識別圏に進入した時点で空軍力による強制措置を含む対応がなされる。そのためのスクランブルは、当該機が防空識別圏に進入する姿勢を見せた時点で行われることが多い。


防空識別圏と対領空侵犯措置については、領空侵犯に対する措置に関する訓令及び達で記載されていますが、これらは公開されていません。

私が知る限り、防空識別圏について、ネット上で最も正しい情報が記載されている場所は、元空自の要撃管制官であり、現参議院議員である宇都隆史議員のブログです。
防空識別圏って?【決戦まで、残り46日!】」(宇都隆史オフィシャルブログ10年5月27日)

ADIZはあくまで識別圏であって、自衛隊の行動範囲や日本の主権の及ぶ領域を表すものではありません。つまり、この識別圏内を飛行する全ての飛行物体については、味方機(フレンドリー)なのか、敵機(ホスタイル)なのか、あるいは彼我不明機(アンノウン)なのかを航空自衛隊は識別しますという領域を設定しているに過ぎないのです。基本的にADIZの殆んどの範囲は公海上空なのですから、どの国にも自由航行権がありますし、他国にとやかく言われる筋合いはないエリアなのです。
中略
ADIZに通報なく侵入したからと言って緊急発進(スクランブル)の対象となるわけではありません。先任管制官が緊急発信を下令するか否かは、総合的な情報から、「領空防護の必要性」に基づいて判断されるのです。しかも、相手国が勝手に決めているADIZに侵入するのですから、別に許可など必要ないのです。(そのような法的義務はどこにも存在しません。)侵入の許可を必要とするのは、相手国の主権が及ぶ領空に侵入する場合です。しかし、例え公海上であるからと言って、許可なく領空に近づけば間違いなく要撃機による防空行動の対象となりますので、「公海上空だから問題ないだろう!」という飛行活動は、相手国の防空体制を強く刺激するので賢明とはいえません。


ADIZは、防空識別圏という名前が、実態を反映した名前となっています。
防空のため、この範囲に入った航跡は、ちゃんと識別しろという範囲です。

連日報道されているY-12の防空識別圏に進入しての飛行は、尖閣の領空まで、まだかなり距離があります。
それでも空自機がスクランブルしている理由は、以前の記事でも書いたとおり、那覇基地が遠いため、尖閣周辺まで距離があるため、Y-12が尖閣に進路を向けた場合、領空侵犯されてしまう恐れがあるためです。

ですが、宇都
議員が「総合的な情報から、「領空防護の必要性」に基づいて判断される」と書いているとおり、進路を領空に向けた場合、領空侵犯されてしまう恐れがあるケースでも、空自機は必ずスクランブルしている訳ではありません。

北方領土に対する領空侵犯は、無視するとしても、メドベージェフ首相による国後島訪問の際、同氏搭乗機は、方位を北海道に向ければ、容易に領空侵犯が可能な範囲を飛んでいたはずです。
しかし、空自はこの搭乗機にスクランブルはしていません。私は姿勢だけでも、行なうべきだと思ってますが、実際にやっていればロシアは大分強く反発したでしょう。

Y-12の飛行についても、実際に領空侵犯が発生し、首相から対処を厳格に行なう旨指示が出ているため、逐一反応していますが、私は感覚的にはそこまで一生懸命やらなくてもいいくらいじゃないかと思っているくらいです。

だからこそ、中国とすれば、その後に行なわれた戦闘機10機ほどによるADIZ進入事案につても、恐らく訓練だったでしょうから、空自の対応を逆に批判するような状態になっています。
中国戦闘機が日本の防空識別圏に侵入、新華社「言いがかりだ」」(サーチナ13年1月11日)
詳細が報じられていないので、訓練態様は分かりませんが、日本のADIZの内側にある中国のオイルリグを艦艇と見立てた対艦攻撃訓練でも行なっていたのではないかと想像しています。

ただし、中国の反応は、次の引用する部分も、後半は完全な宣伝になっているので、こちらには注意が必要です。

 日本の報道について、「誇張により情勢を緊迫させ、わざわざ危機をあおり高めている」と批判。日本の防衛識別圏については「そもそも法的な根拠がなく、国際法に違反している。釣魚島(尖閣諸島の中国側通称)は中国の領土であり、日本が釣魚島の主権を有すると認める国はない。米国も釣魚島は日本の固有の領土とは認めていない」と論じた。


色々と書いてしまったため、論旨が拡散しがちですが、結論としては、ADIZに進入(あえて侵入とは書かない)した程度では、最近の報道が報じる程ヒステリックになる必要はないし、その権利もないということです。

対領空侵犯措置では、主権の範囲である領空さえしっかり守っておけばOKです。

再び、冒頭の記者会見です。

Q:今の件に関連してなのですけれども、結局、戦闘機が防空識別圏の中に複数入ったということで我々は報道していますし、情報も掴んでいるのですが、防衛省が「公表していない」と言って、中国の国防部というのはマスコミに対してそういうアナウンスメントをするわけで、今後防衛省として、こういった事案について積極的に公表していくということをやられるのか、今回の事案のことが起きても、引き続き防衛省として公表しませんということで済ますのか、どうなのでしょうか。

A:私どもは、日本の領土・領空・領海を守るという仕事でありますので、そのことを目的に活動させていただいております。公表できる事案につきましてはしっかり公表していきたいと思いますし、また反面それが逆に我が国の様々な能力ということも相手側に分かられてしまう内容でもございます。私どもとしては、しっかり対応しているということで、ご理解をいただきたいと思っております。

Q:公表するかしないかの基準というのは、以前、多分何かで作ったものがあると思うのですが、昨今の尖閣を巡る事案というのは、中国側の行動というのが変わってきている、事態が変わってきている中で、過去作ったルールに則したものでいいのでしょうか。

A:まず、公表させていただいておりますのは、特異的な事例ということ、それがあった場合に、公表させていただいております。また今後、この特異的なという判断がどういう形でなされるかは、今後も検討していく課題だと思っております。


防衛省としても、ADIZに進入したダケの事例まで、一々公表しないということです。

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2013年1月26日 (土)

防衛計画の大綱見直し_焦点となる動的防衛力

自民党政権が発足し、民主党政権下で改訂された防衛計画の大綱及び中期防が、年末までに見直される事となりました。
尖閣念頭に自衛隊拡充…民主の防衛大綱見直し」(読売新聞13年1月25日)

大綱の見直しに関しては、読売の社説が、私のスタンスにかなり近いモノです。
「安保政策見直し 「動的防衛力」構想は推進せよ」(読売新聞13年1月11日)

 自衛隊の装備と体制の拡充は急務だが、重点分野を決めて、「選択と集中」を徹底することを怠ってはなるまい。

中略

 重要なのは、尖閣諸島を含む南西方面の防衛体制を強化することだ。海上・航空自衛隊の警戒監視活動を質・量とも充実させねばならない。冷戦終結後の艦船や航空機の大幅な数量削減に歯止めをかけ、反転させることが重要だ。

 優れた情報収集能力を持つ高高度無人偵察機グローバルホークに加え、在沖縄米軍が昨年配備した新型輸送機オスプレイの導入も、前向きに検討してはどうか。

中略

 一方で、厳しい財政事情を考えれば、防衛予算を野放図に伸ばすことはできない。優先順位を定めて、陸上自衛隊の定数削減、施設の統廃合、装備調達の効率化などは着実に進める必要がある。

 政府・自民党が、現大綱の柱である「動的防衛力」構想の見直しを検討しているのは、疑問だ。

 動的防衛力は、多様な事態への対処能力を重視し、警戒監視や訓練など、部隊の運用を通じて抑止力を利かせる概念である。装備の保有や部隊の存在を抑止力とする「基盤的防衛力」構想に代わるもので、その方向性は正しい。

 米国も高く評価し、共同の警戒監視活動、訓練など日本との「動的防衛協力」を進めている。

 民主党政権の構想だから取りあえず見直そう、という発想なら、安易に過ぎよう。


陸自の定数削減以外については、ほぼ同意できる内容です。
一部では海兵隊機能の創設まで噂されているのに、陸自の定数削減が出来るのかは疑問です。

社説では、動的防衛力の維持を主張していることが重要な点です。
動的防衛力については、小野寺防衛大臣が、就任直後に見直しについて言及し、今年になってから一転して容認する姿勢を見せています。
「動的防衛力」継承も=防衛相」(時事通信13年1月)

防衛計画の大綱は、今までにも何度か見直されています。
しかし、現大綱は、それまで金科玉条だった基盤的防衛力を捨て、動的防衛力を掲げるという、今までの改正の中でも際立った改正をされたものです。
確かに、民主党政権の意向も入っているでしょうが、ほとんど防衛音痴の民主党に、これだけの大改正を主導できる能力などあるはずはなく、それまで防衛省内で検討されてきた成果が集約されたモノであるはずです。

見直すと言った自民党のメンツがあるでしょうから、動的防衛力という名前は変えても構いませんが、コンセプトは維持して欲しいと思います。

基盤的防衛力は、私から見ると自衛隊の防衛力整備を歪んだモノにしてきたガンのようなものでした。
これを再度紹介すると、また戦車問題で火に油を注ぎそうですが、過去にこの基盤的防衛力について解説した記事があるので、動的防衛力とどう違うかは、こちらの過去記事をご覧下さい。
悪魔の辞典的「基盤的防衛力」解説-機甲師団廃止の序曲

また、この現大綱が示された際、民主党政権下でまとめられたモノながら、私はこの大綱を大いに評価しました。
もちろん、疑問を抱く部分は多々あったのですが、自己変革能力が乏しいと思っていた防衛省・自衛隊が、大きな変革を宣言したモノとして大変驚き、歓迎しました。

もう既に2年以上前の記事で、今からすると妥当では無かったと思う部分もありますが、大筋としては今も間違っていないと考えています。
防衛計画の大綱&中期防改正_その1 全般所感
防衛計画の大綱&中期防改正_その2 対中華空母
防衛計画の大綱&中期防改正_その3 戦車200両削減も機甲師団は存続

特に、無用な油を注がないように書いておきますが、その3で書いた戦車の7師団への集中配備ですが、確かに訓練上の効率は良いモノの、各方面の普通科隊員に対戦車戦術を理解させる必要性等を考慮すれば、やはり分散配備の方が良いだろうと考え直しております。

防衛計画の大綱見直しは、今年の防衛政策トピックの中心になりそうです。

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2013年1月28日 (月)

最後に失言を残し自民党政権の足を引っ張る森本前防衛相

森本前防衛相は、最後にドデカイ失言を残して去って行きました。
森本前防衛相発言 軍事的不合理を証明した」(琉球新報13年1月7日)

 森本敏前防衛相が昨年末の退任前の記者会見で、米軍普天間飛行場の移設先について「軍事的には沖縄でなくてもよいが、政治的に考えると沖縄が最適の地域だ」と述べ、名護市辺野古沖に移設する現行案は軍事的、地政学的な理由からではなく、政治的状況を優先しての決定であることを認めた。


森本前防衛相は、海兵隊の沖縄駐留には軍事的合理性がないと明言しました。
私も認識していませんでしたが、森本前防衛相は、実は県外移設推進派だったようです。
なんで、民主政権なんかの閣僚を受けたのだろうかと疑問でしたが、この発言でその疑問が解けました。
彼は、防衛省の辺野古移設案を修正したかったのでしょう。

海兵隊がオスプレイという長く速い翼を得れば、中台危機の緊急時に海兵隊を急遽投入する能力が飛躍的に高まるため、確かに海兵隊の駐留場所が沖縄である必要性は低くなります。

今までは、空中機動の手段がCH-46やCH-53でしたから、中台危機の緊急時に海兵隊を急遽投入するため、海兵隊の沖縄駐留は必須と言えました。
参照過去記事
普天間の代替候補地条件
在沖海兵隊の意義_沖縄県民は無知なのか?

オスプレイが配備されつつある現在、この理由は弱まりつつあります。
しかし、海兵隊が台湾の自然環境と近いコンディションで訓練するためには、北部訓練場の存在は重要です。

森本前防衛相は、北部訓練場の存在については、”政治的”な理由と考えているのでしょう。
そのため、今回の失言になったと理解しています。

森本前防衛相の発言は、防衛問題の評論家としては、適切だったかもしれません。
ですが、現職(当時)防衛相の発言としては最低です。
冒頭琉球新報の記事です。

 森本氏は普天間県内移設の政治的な理由として「許容できるところが沖縄にしかない」からと説明した。沖縄以外の場所には強制できないが、沖縄ならそれができる、というわけだ。皮肉だが、正直な表現だ。沖縄に過重な基地負担を長年強いている「構造的差別」の内実を端的に表している。


防衛大臣が、「海兵隊という周辺住民にとってのお荷物を、押しつけることができるのは沖縄しかない」と言っているのも同然で、沖縄メディアでなくとも反感を持つのは致し方ないところです。

幸か不幸か、あるいは琉球新報が、次のように評するように、本土住民にとっては、所詮人ごとであり、ないがしろにしていい話題なのかもしれませんが、全国メディアでは、この発言はほとんど注目されませんでした。

指摘しなければならないのは、今回の森本発言を等閑視するような土壌が日本社会にありはしないかということだ。


この発言当時、森本前防衛相は既にレイムダックとなっていたため助かりましたが、この発言は、自民新政権の普天間移設問題を解決困難にしかねない大失言でした。

森本氏は、防衛問題の評論家としては高いレベルかもしれませんが、政治家としては最低レベルと評価させて頂きます。

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2013年1月30日 (水)

那覇の2個飛行隊化とソフトハード両面の増強を急げ-スクランブル実績の分析

24年度のスクランブル実績の途中経過が発表されました。
平成24年度3四半期における緊急発進実施状況について
H24_34hanki
同資料より

中国がらみの南混団の負荷が急増していることが、防衛省の資料から読み取れます。
しかし、以前も行なった各方面別の1個飛行隊あたりのロードを計算してみると、南混団、具体的には那覇の204飛行隊のロードは基地外じみた程高まっていることが明かです。
H24_34_sq
2012年のみ3四半期(9ヶ月)のデータ
(後3ヶ月あるので、2012年通年ではもっと増えるでしょう。)

21年に南混団の危機的状況を記事「21年度スクランブル実績」にした時には、南混団の負担は、西空の10倍、北空の3倍でした。
しかし、今や西空の14倍、北空の6倍にもなっています。

那覇の2個飛行隊化を急がないと、海保が11管だけで回せなくなっているように、空でも主権の維持が困難になってきます。
これほど負担が増えると、各方面からローテーションで展開して支援しないと204飛行隊が音を上げる事態になりかねません。

また、気になる事項として、中国が早期警戒機を沖縄方面に指向していることがあります。

中国機は早期警戒機に対して多くの緊急発進を実施しました。


こちらの対領侵の実施状況及びその能力把握を行なっている可能性がありますし、通常訓練の偵察を行なっている可能性もあります。
中国の早期警戒機が進出して来た時には、データを取らせないため、空自として訓練も中断している可能性もあるでしょう。

南混団については、太平洋側に訓練空域を増やす等、ハードだけではなく、ソフト面でも増強を図る必要があると思われます。

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