米海軍の音響測定艦行動にみる対中シフト
リムピースに象徴的な記事が載っています。
「佐世保に音響測定艦がずらり」(リムピース12年11月30日)
3隻が並んだ米海軍佐世保基地の立神岸壁(手前からインペッカブル、エイブル、エフェクティブ)(11月30日撮影)
同記事より転載
また、以前には沖縄のホワイトビーチに、2隻の音響測定艦が並んだこともあります。
「音響測定艦2隻、ホワイトビーチに同時寄港」(リムピース10年9月2日)
同記事より転載
「WBに音響測定艦2隻」(リムピース11年1月14日)
音響測定艦や海洋観測艦、航空機ではコブラボールやリベットジョイントと言った特殊な艦艇及び航空機は、情報収集手段であり、かつその用途が非常に限られているため、運用者の意図を正確に反映しています。
そのため、その動きを見ていると、運用者の思考が見えてきます。
ちなみに、米軍は、自衛隊になんでも教えてくれる訳では無いので、これと同じ事を、自衛隊の情報組織も行っています。
ただし、自衛隊の場合、それら艦艇・航空機の動きを、港や基地にいるかどうかだけではなく、どこで行動しているか等も把握できるため、分析の精度は格段に違います。
少々情けない話ですが、日本が情報収集衛星を配備する前は、こんな情報もかなり貴重な情報でした。
話を元に戻しましょう。
米軍が5隻しか保有していない音響測定艦という艦種を、佐世保に3隻同時寄港、あるいはホワイトビーチに2隻同時寄港させているということからは、米軍の意図が透けて見えてきます。
音響測定艦は、長大な曳航ソナーを備え、潜水艦の観測を行う艦艇です。
佐世保やホワイトビーチでは、乗員の休息と補給を行っていると見られています。つまり、佐世保や沖縄に近い海域において、これらの艦艇が重点的なパトロールを行っているということです。
北朝鮮の潜水艦は、質も量も非常に乏しいため、これら音響観測艦の目標は、中国の潜水艦であると言えます。
つまり、米海軍は、世界各国の潜水艦の動静に払う関心の半分以上を、対中国に向けているということです。
しかも、この潜水艦に対する対中シフトは、近年になって急激に強化されたものです。
「定着した音響測定艦と測量艦」(リムピース12年1月26日)
特殊艦艇の佐世保への寄港状況
同記事より転載
佐世保への音響測定艦の寄港回数・停泊日数
同記事より転載
海底地形等、地誌データと呼べる資料は、以前から継続して調査がされている反面、潜水艦の動静を探る音響測定艦は、2009年あたりから急激に日本近海で活動していることが分かります。
これらリムピースの記事は、米海軍の中国潜水艦に対する脅威認識と衝突の可能性に関する認識が、ここ数年で急激に高まっていることを示す明確なデータです。
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