自民圧勝の評価と中国の尖閣政策の変化
衆院選で自民が圧勝しました。
これについて、思うところが3点ほどあるので、簡単に書いておきます。
まず、自民が勝利した理由ですが、前回の投票率が高く、今回の投票率が低かった事と合せて考えると、従来は政治への関心が薄く、政治に関する見識が乏しい方が、前回は民主に投票し、今回は投票に行かなかったのでしょう。
民主に投票した結果、政治経済がズタズタになったことで、自分の見識のなさを認識して、今回は自重したのかも知れません。
次に、自民大勝の評価ですが、重要な事は、320議席という重要な数字を、特定の政党にキャスティングボートを握られずに越えられる数を確保したことです。
ニュースでは、自公で320を超えたことで、衆院での再可決が可能になったと言ってますが、当然ながら、自民&維新でも320を超えています。
憲法改正など、公明が抵抗しそうな重要案件で、「嫌なら他と組むよ」と言える状態になった事は大きいです。
公明、あるいは維新、どちらか一方と組んだ場合だけ320を越える状態であれば、その政党の主張をある程度飲まざるを得ませんでした。
(憲法改正は参院で×でしょうけど)
もう一つは、自民が大勝したことで、中国が尖閣問題のトーンを落とすだろうということです。
この状態で中国が強く出れば、安倍政権としては、強い支持を受けているだけに容易にエスカレーションさせるオプションが選択可能ですし、今まで強く言ってきた以上、強く出ざるを得ません。
今までも再三に渡って書いてますが、事態をエスカレーションさせて困るのは中国の方です。
そしてそれが分かっているからこそ、軍高官が盛んに勇ましい発言をして、民主党政権をけん制して来ました。
そして、強く出れば民主党政権が引いたからこそ、尖閣問題で強く出てきていました。
中国は、独裁で政治的に安定しており、それが故に、焦る必要はありませんし、反対に、民主主義の日本では、永遠に自民が勝ち続けることもない事は分かっています。
恐らく、今後は当面の間、中国公船の活動は低下すると思いますし、領空侵犯が起こる可能性も低いと思います。
前回の選挙で民主に騙されたような愚かな人が、再び投票に行くまで待つでしょう。
こうなると、日本側としても拳を上げにくい所ですが、この間に憲法や領域警備など、法の不備を、徹底的に、淡々と、是正して欲しいと思います。
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日本って不思議な国ですよね。
「銀行の前に警備員を立たせておくと、却って強盗を刺激して襲撃され易くなる」
「むしろ防犯措置などを一切執らない方が、犯罪に合わないのだ」
なんて奇怪極まりない論評が、
メディア上で普通に聞かれます;
投稿: いぬざめ | 2012年12月18日 (火) 17時46分
>憲法改正は参院で×でしょうけど
320議席があれば、参院で×食らっても、衆議院で再決議すれば法律可能じゃなかったでしたっけ?
投稿: ナオ | 2012年12月19日 (水) 00時08分
いぬざめ 様
海賊船対処で武装警備員を乗せる話がでた時にも同じ主張ありましたね。
理解不能でしたが……
ナオ 様
残念ながら、憲法は衆参両院で2/3となってます。
そのために、安倍氏もまず、9条ではなくこの規定を修正しようとしています。
投稿: 数多久遠 | 2012年12月19日 (水) 00時47分
数多 様
すいません。完全に忘れてました・・・orz
投稿: いぬざめ | 2012年12月19日 (水) 13時58分
問題は自民党にどの程度の学会票が入っていて、それが自民党の議席獲得数をどの程度上乗せしているかです。
投稿: アシナガバチ | 2012年12月19日 (水) 22時29分
いぬざめ 様
いえいえ。
しかしこんな奇妙な論が、根付いているというのが怖いです。
そのくせ、ALSOKとか契約するんですよね。武装してないからいいのでしょうか。
アシナガバチ 様
選挙はそれほど詳しくモニターしてませんが、選挙協力が巧く行ったとのことなので、学会票はかなりあったんでしょうね。
その点でも、安倍政権は公明配慮をした方向は取らざるを得ないところはあると思います。
投稿: 数多久遠 | 2012年12月20日 (木) 00時14分
記事にあるように中国の示威的活動が低下することを期待しましたが、約1ヶ月たっても低下しているようには思えません。むしろスクランブルをせざるを得ない状況を作り出し、日本が戦闘機を飛ばしてきているから中国も飛ばした、というように少しずつでもエスカレーションを望んでいるように思えます。
予想が外れているのか、判断するにはまだ早いのか、数多さんの見解を教えてください。
(当方、軍事、防衛関連はまったくの素人です)
投稿: はてな | 2013年1月12日 (土) 22時55分
はてな 様
公船による領海侵犯については、私も、もう少し抑えてくるかなと思っていたところですが、継続している状況が続いております。
これについては、以前の記事にも書きましたが、海保としても退去するよう呼び掛けるしかできず、国際法的にも非難できる事ではないため、中国として「ここまでなら良いだろう」と判断しているものと思います。
しかし、民間船舶の場合、行動次第によっては日本側に拿捕される可能性があるため、領海内侵入を抑えさせているようですし、当方の予想が大きく外れたとは思っていません。
今後、漁船等民間船舶が領海侵入してくるかが大きな分水嶺になると思います。
領空侵犯については、問題になった昨年の1回以降は、侵入するほど近寄っていません。
侵入させれば、今度は自衛隊機としては警告射撃等もする可能性があるので、中国としては領空に入らせることはしないだろうと考えています。
最近の接近事案は、あれは以前では問題にもしていなかった飛行態様に対して、厳しく対処するよう指導が出ているためスクランブルしているだけだと思います。
私の感想からすると、こんなのにまでスクランブルしなくて良いのにと思うくらいの飛行態様です。
領空に入りさえしなければ、国際法的にも問題のない行為なので、今後も領空侵犯するか、あるいは中国側のリアクションとして進出してきた迎撃機と睨み合う状態にならなければ、エスカレーションをしてきていると判断する必要はないと思っています。
中国だけが急に問題視されていますが、ロシア機による日本の周回飛行などは、領空ギリギリをかすめるように飛行しており、あちらの方が遙かに挑発的です。
中国とすれば、なんでコッチだけ問題視するんだと思っているかもしれません。
投稿: 数多久遠 | 2013年1月13日 (日) 21時29分
数多 様
丁寧なご回答、恐れ入ります。どうもありがとうございます。
しかし国際法を厳密に守りつつ面倒な状況にも対応しなければならない現場は本当に大変ですね。努力が報われることを願うのみです。
投稿: はてな | 2013年1月15日 (火) 23時08分