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2012年12月

2012年12月31日 (月)

用語解説付き「黎明の笛」第3版リリース

毎晩3時まで頑張った結果、何とか「黎明の笛」第3版の年内リリースに漕ぎ着きました。(おかげで風邪引いた)

変更点は、全章分の用語解説のページを追加したことです。
初めて読む方に優しいのは勿論、以前の版で用語が分からず投げてしまった方(ブログを見て頂いている方にはいないと思いますが)、いま一つ理解できないと感じた方も、解説付きで読み返して頂ければ、より楽しめると思います。

初版と比較し、文字ベースで20%超の大幅増補になってます。

アマゾンで電子書籍化する前は、直前まで紙ベースでの出版の方向で編集者さんと話していたため、解説を付けることなど考えていませんでした。
ですが、読んで頂いた方の複数から用語が分からず、話が分かり難かったという感想を頂いたため、用語解説を巻末にまとめ、ハイパーリンクを埋め込みました。
解説が付いた用語は、初出の際に文字サイドにラインが入っています。文字をタップして頂ければ、解説ページにジャンプします。解説の最後に元のページに戻るリンクがありますので、読んでいたページに直ぐ戻れます。
こう言う事ができるのは、電子書籍の強みですね。

解説を読まずとも読み進められますが、理解して読んで頂ければ、より作品を楽しんで頂けます。
1回目は、解説を読まずに通読、2回目は解説の内容も理解しつつ読んで頂くのも、いいと思います。
もちろん、1回目から解説を熟読しつつ、謎と事態の解決策を考えながら読み進んで頂いてもOKです。

また、第1章の用語も含め、wikipediaに写真の載っているモノは、写真も付けています。
(パブリックドメインか、クレジット表記を条件として転載可とされているモノのみ。このため、小説としては異例の1M(ePub)強のファイルサイズとなっています。DLには多少時間が必要だと思います)

また、20%増量したこともあり、価格を250円に改定しています。
これは、今回選択したKDPのロイヤリティ70%オプションが、250円が最低価格となっているためでもあります。
多分に実験的な措置なので、この結果についても、いずれレポートしたいと思います。

全ての読者に優しくなった「黎明の笛」を、是非お楽しみ下さい。

それでは、今年一年、当ブログにお越しいただきまして、ありがとうございます。
来年も、よろしくお願いいたします


2012年12月28日 (金)

オスプレイは離島防衛に寄与するか?

オスプレイの自衛隊導入を検討するそうです。
関連の記事としては、以前も「オスプレイ配備で一挙三得」を書いてますが、今回のニュースを踏まえて、有効な活用策があるか考えてみました。

オスプレイ、自衛隊導入に向け検討へ(読売新聞12年12月22日)

 南西諸島など離島の防衛強化をにらんだもので、安倍新政権の下で導入に向けた検討が加速する可能性がある。

 防衛省はすでに、オスプレイの具体的な活用方法などに関する調査研究費500万円を13年度予算案に計上する方向で調整中だ。


本音は、むしろ沖縄の世論対策な気がしますが、建前である離島の防衛強化という点で、費用効果が高い使い方としては、目達原駐屯地の西部方面ヘリコプター隊に配備し、相浦駐屯地の西部方面普通科連隊の輸送を行なうという方法があります。

オスプレイの航続距離を持ってすれば、地元の反感が強い沖縄にオスプレイを配備しなくても、尖閣で緊急事態が発生した際、相浦から離島対処即動部隊であり、島嶼防衛を主な任務とする西普連の精鋭を載せて、一気に尖閣まで飛行後、リペリングで降下させ、無給油で宮古島の宮古島分屯基地まで飛行させることが可能です。(さすがに
搭乗人数は満載という訳にはいかない)
Photo
目達原-相浦75km、相浦-尖閣1030km、尖閣-宮古220km、総行程1325km
オスプレイ航続距離:
ペイロード2,721kg、垂直離陸700nm (1,295km) 以上

ちなみに、CH-47は航続距離を伸ばしたJAでも航続距離は1037kmに留まるので、相浦からでは尖閣まで到達するのがやっとです。

しかも、所要時間は、相浦から尖閣まで2時間程です。目達原から相浦への移動を考慮しても3時間も要せずに、尖閣にレンジャーを主体とした陸自の海兵とも言える西普連を送り込める意義は大きいものがあります。
この時間は、中国本土から活動家を乗せた漁船や公船が出航してから動き出しても、先に到着が可能な時間です。

今後、主権の主張のために陸自を緊急に送り込む必要が出てくれば、少数でも、高価でも、オスプレイを配備する意義はあるでしょう。

何より、恐らく政府の本音である沖縄世論の沈静化のために役立ちます。
調査費500万などとケチな事を言わずに、一気に配備に動いても悪くないと思います。

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2012年12月27日 (木)

KDP出版記 その5 個人電子出版における価格

前回記事で、「黎明の笛」を100円から200円に値上げすると書きましたが、その結果を踏まえて、個人による電子出版の値付けについて考えてみます。

最初に、同じテーマで書かれた記事をチェックしておきます。
Kindleインディーズ本の適正価格は?」(togetter)

この記事はアマゾンがKDPのサービスとして、KDPセレクトに登録し、本の価格を250円以上にすると、印税として70%を受け取れるサービスを始める前の記事ですので、現在と状況が少し変わっていますが、趣旨とすると、紙の本の価格や、アフィリエイターが紹介してくれる際の利益を考えると、安すぎても良くなく200円から300円くらいが良いのではというものでした。

で、これらの情報を参考として、当初100円で売っていた「黎明の笛」を200円に値上げしました。

規約により詳細は書けないのですが、結果はと言いますと、販売部数としては、値上げ前の平均売れ行きの60%程度、値上げ直前のピーク週と比べると、40%程度にまで低下した事になります。

ただし、これは発売開始から1ヶ月が経過し、ブログ等で私と接触があった人には行き渡った結果なのかもしれず、果たして値上げだけが原因で販売部数が低下したのかは、正直読み切れません。

しかし、値上げ後もペースは落しながらも、コンスタントに売れていることを考えると、100円だからモノは試しに、ということで買ってくれた人が多かった事も確かなようです。

これは、出版社が売る電子書籍が、かなり古い作品であっても、かなり高い値付けがされていることと、関係があると思われます。
ブックオフで100円で売られている本が、電子書籍でも100円で売られ出したら、恐らくこう言った購買行動はされていないと思うからです。(みんなそっちを買う)

マンションの販売と同じで、今更値を下げると怒られそうなので、今のところ値下げは考えてはいないのですが、こう言った状況があることを考えると個人電子出版の価格については、Gene Mapperのように相当に認知が図られた作品以外は、値付けが難しいですね。

と言うのも、価格を250円以上に設定し、販売サイトをアマゾンに限定すれば、著者の受け取るロイヤリティが倍の70%になるプランを、アマゾンが始めたからです。
また、料率を詳しくチェックしていませんが、パブー経由でアマゾンから販売すると、受け取れるロイヤリティは高くなるようです。(ただしその場合は、パブーに定額の支払いが必要)

売り上げを上げようと思ったら、低い値付けにして数を捌くか、高い値付けにして利益を確保するかという、どんな商品でも考えなければならない命題にぶち当たる訳ですが、現物がないコンテンツにとっては、値付けによる振れ幅が大きそうです。

私の場合は、正直失敗したかな~と思っております。もう少し100円で売って、モノは試し派への浸透を図った方が良かったかもしれない。

ですが、第3版に向けて、大量の解説追加という手のかかる作業に追われているので、第3版をUPした時には、再度価格の見直しをするかもしれません。
これは下げるつもりなのではなく、どのみち、後はミリタリー好きの方しか手にしてくれる可能性は低いだろうから、手がかかった分は頂こうかなという発想です。
一部の方には、安過ぎるという評価も頂けることもあるので。

しかし、アマゾンの場合、囲い込まれているユーザーが多い反面、PCで読めない等、購入者にとって不便な点もあるため、KDPセレクトの縛りが解ける2月には、また販売方法を含めて見直すかもしれません。

今だ、悩み中です。

2012年12月24日 (月)

E-2Cはヘビーローテーション

先日の領空侵犯に引き続きY-12が尖閣近傍に飛来し、対領侵機がスクランブルを行なっています。(本日もスクランブルしたようですが、まだ資料なし)
中国機の東シナ海における飛行について」統幕発表資料
Ws000000
同資料より

資料では言及されていませんが、初度捕捉が中国近海と言えるほどなので、空自が
探知したとすれば、探知は、間違いなくE-2CかAWACSです。
(ただし統幕発表資料の写真が海自提供なので、空自は全く捕捉していない可能性もあり。
可能性としては、先日の言及のとおり、海自護衛艦をピケット艦としている可能性アリ

対象機もE-2C(
AWACSの可能性もありますが、那覇展開しているE-2Cの可能性が高いので)も高度が不明ですが、先日の領空侵犯機が高度60mで飛行したとのことなので、それを元にレーダー方程式で探知距離を求めると、約420km程であるはずです。
Ws000002
この範囲内までE-2Cが進出。

となると、E-2Cは久米島付近まで進出していれば、捕捉できた計算になります。(レーダー位置を上に上げられる効果は大きいです)
那覇からの進出距離としては約100kmです。

しかし、アラートに付くF-15での迎撃を考えると、この位置では、間に合わない可能性があります。
増槽付きのF-15で、冬場の沖縄が標準大気程度の気温であることも踏まえると、AB使用でも最高速度はマック1.6程度、平均1.5と仮定すると、那覇から尖閣まで14分かかります。
方や、低速のY-12でも、最高速度は292km/h。仮に250km/hで飛行していたと仮定すると14分間で58kmも飛行します。

Y-12が尖閣西から接近した場合、発見からF-15が迎撃するまでのY-12飛行距離。
Ws000003
実際、これではギリギリでしょう。

しかも、沖縄付近に頻繁に飛来するY-8ですと最高速度は660km/hにもなりますから、この飛行距離が倍以上に伸びることになります。

Y-8が尖閣西から巡航速度550km/hで接近した場合、発見からF-15が迎撃するまでのY-8飛行距離。
Ws000004

つまり、完全に間に合っていません。

仮に、戦闘機クラスの航空機が、スマック0.8程度で低高度で尖閣に西から接近したと仮定すると、F-15が迎撃するためにはE-2Cの哨戒位置は、次の図に示す程の遠方まで進出する必要が生じます。
Ws000005

実際には、戦闘機がこの高度で侵入してくることは考え難い(やるとしたら領侵する意図は明白)ですが、逆に速度を出すことはもっと容易なので、対戦闘機を考えた場合、むしろ高高度を高速で飛行することを警戒するべきでしょう。

Photo_2

この場合、中国の空軍基地が図のとおりなので、中国軍機が領空侵犯をするつもりなら、F-15による迎撃は、どうやっても間に合いませんが、出来る限りのことをするためには、E-2Cは、市路、福州の両空軍基地上空を監視している必要があります。

必ずしも低空まで見えている必要はないので、E-2Cの方は、最大探知距離で考えることが出来ます。
沖縄には、ホークアイ2000相当の最新改修型が投入されていると仮定すると、最大探知距離は560kmです。
この能力で市路、福州の両空軍基地上空を監視するとすれば、E-2Cの哨戒位置は那覇の西200km程になるはずです。
これは、前述の戦闘機による低高度接近を警戒するための位置とほぼ同じです。
Ws000006

しかし、今回のY-12の探知に関する防衛省の発表が正しいと仮定すると、E-2Cは、ここまでは進出しておらず、那覇から100kmの久米島付近にいると考えた方がよさそうです。

欲を言えば200km程進出させるべきなのに、100km程しか進出させていない。その理由は、やはりE-2Cのローテーションでしょう。

那覇への展開機数が分かりませんが、警戒航空隊が保有する全13機の内、アイラン等で使用できない機体があることも考慮して、半数の6機が展開していると仮定して考えます。

E-2Cの無給油最大滞空時間は6.2
5時間。実際にはそんなギリギリで飛ぶ訳には行きませんから、ここでは飛行時間を6時間と考えます。
速度(巡航490km/h)や上昇率(海面1430ft/min)、それに空港周辺で余分な時間を取られることを考慮すると、100km先までの進出帰投に30分程度、200kmだと1時間程度かと思われます。

それほど大きな差ではないと思うかもしれませんが、ローテーションを考えると、かなりキツイことが分かります。
進出距離200kmの場合、進出帰投にそれぞれ1時間、オンステイション4時間
Ws000007
どう考えても無理です。
機体は回るかもしれませんが、
クルーは無理です。24時間戦えますか?

進出距離100kmの場合、進出帰投にそれぞれ30分、オンステイション5時間
Ws000008
なんとかなるか。
最低機数は3機くらいでしょうか
故障したらOUTですが。

実際には、夜間は固定サイト
頼みにするか、AWACSが肩代わりするかでしょう。

それでも、これを365日続けなければならない訳ですから、これは相当に負担です。
警戒航空隊の那覇展開要員はAKB並の忙しさに違いありません。

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2012年12月23日 (日)

「黎明の笛」表紙画像募集!

アマゾンで販売している電子書籍「黎明の笛」の表紙画像を描いて、あるいは作成してくれる方を募集してます。
ちゃんと謝礼も出しますし、著者欄にも表記します。

詳細は次のリンク先をご覧下さい。
【表紙イラスト】描いて&描きます(きんどるどうでしょう)

自分で作った表紙は、我ながらセンスないな~と思っていた所、「きんどるどうでしょう」さんがイラストマッチなる企画を始めたので、乗ってみることにしました。
今までの売り上げでも多少のお金は入ってくる見込みなので、その分で謝礼も出します。
(おかげで手元にはほとんど残りませんが)

ちなみに、現在の表紙はこんなのです。
Photo

こんなのでも、実は苦労したんです。
写真は、先日の入間基地の航空祭で撮影したものです。
それに文字を載せただけなんですけど、フォトショップやイラストレーターなど言う高尚なものは扱えないので、画像は筆まめで作成しました。(何と言う安直)
これだけで、実は丸一日ぐらいかかってます。
それでこのレベル……

応募して頂ける方がいればいいのですが……

このブログを見て頂いている方には絵描きさんはいらっしゃらないかもしれませんが、ツイッター等で拡散して頂けると助かります。
宜しくお願いします。

2012年12月22日 (土)

撤収判断は妥当なのか_ゴラン高原PKO

UNDOFに派遣されている自衛隊のゴラン高原PKO部隊が撤収するとのこと。
ゴラン高原PKO、年内にも撤退へ シリア内戦激化受け」(朝日新聞12年12月8日)

 野田内閣は7日、中東・ゴラン高原の国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)に国連平和維持活動(PKO)で派遣する自衛隊の部隊について、年内にも撤退を始める方針を決めた。UNDOFはイスラエルとシリアの停戦を監視するが、シリアの内戦激化で自衛隊員に危険が及びかねないと判断。国連とも調整し、関係閣僚が協議して決めた。


自衛隊員に危険が及びかねないとの判断だそうですが、ゴラン高原で起こっている戦闘は、UNDOFが引き離し監視を行なっているシリア正規軍とイスラエル軍との間の戦闘ではありません。
朝日の記事にもあるとおり、シリア内戦の余波です。

戦闘が発生している理由は、シリア反体制派が安全地帯として同地域を利用した事に端を発します。シリア正規軍がイスラエルとの停戦合意からゴラン高原に入り込めないからです。
その結果、シリア政府軍が停戦合意を無視してUNDOF展開地域に侵入攻撃しています。

UNDOF兵士は、眼前でシリア政府軍と反体制派の戦闘を目撃しているようですが、シリア、イスラエル間の戦闘ではないため、見ているだけです。
UNDOFが標的として攻撃を受けた訳ではありません。

しかし、反体制派とすれば、戦況が不利になれば、シリア正規軍がUNDOFを攻撃できないことを理由として、それこそUNDOFの後方に回り、UNDOFを盾にすることもあるかもしれません。

また、シリア内戦の経過によっては、ゴラン高原にシリア難民が押し寄せる事態になるかもしれません。
そうなれば、UNDOFが武装難民も混じるであろう難民の管理もせざるを得なくなります。

もし、UNDOFが武装難民のコントロールをできないような事態に陥れば、イスラエル北部を正確に砲撃可能な高台であるゴラン高原をイスラエルが武装勢力の根拠地として放置する訳がありません。
自ずとイスラエルが地上侵攻することになります。

それを考えれば、確かにゴラン高原のPKOは危険です。武装難民が押し寄せる事態にでもなれば、物資を狙ってUNDOFの輸送部隊が襲撃を受ける可能性も否定できません。

しかし、事態はまだそこまで行っていませんし、何より自衛隊部隊は6月からシリア側宿営地への輸送業務を6月から停止しています。
つまり、自衛隊PKO部隊に危険が及ぶ可能性は大きいとは思えません。

今回の撤収決定に当たっては、制服組から撤収を求める声が上がっていたとのことですが、輸送や施設部隊である以上、駆けつけ警護を求められるような事はないはずですし、法的にも自衛戦闘なら可能なのですから、撤収が妥当とは思えません。
危険があるから止めるというなら、最初から自衛隊である必要性さえ無かったはずです。

UNDOF全体が撤収するなら構いませんが、「危険だから俺は帰るよ」と言って自分だけ引き下がる自衛隊を見て、他国部隊が何と言うか懸念を持ちます。

こう言う事を行なうと、今まで築いてきた他国PKO部隊の信頼は、一瞬で地に落ちかねません。

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2012年12月20日 (木)

アサド政権崩壊とスカッドミサイル

いよいよシリアのアサド政権崩壊が間近になってきました。
先週、この予兆が政治・軍事両面で観測されています。

政治的には、長くシリア政権の後ろ盾だったロシアの政府高官が、「反体制派の勝利も排除できない。残念ながら、事実を直視せねばならない」と述べたことが伝えられています。
露外務次官「シリア反体制派勝利も」 政策の変更は否定」(産経新聞12年12月14日)

情勢がこのまま進展すれば、シリアの新政府が反ロシアとなることが確実でしょうから、ロシアとすれば、反体制派への接近を始めたいという意志表示なのでしょう。

また、ロシアは自国民の避難も開始したようです。
長らくアサド政権の後ろ盾だったロシア人は、政権が崩壊すれば、危険な立場に立たされることは間違いありませんから、当然の措置でしょうね。

一方で、軍事的には、もはや最後の悪あがきとでも言うべき行動に出ています。
シリア軍、スカッドミサイル攻撃開始か 投入兵器拡大の兆候」(CNN12年12月13日)

スカッドミサイルには、クラスターや燃料気化弾頭もあるとされていますが、それでも弾頭重量は爆弾1個程度であり、核や化学を使用しない限り、ミサイル1発の威力は、純粋に軍事的には微々たるものです。
それさえも投入しなければならない、あるいは各地の空港が反体制派によって攻撃され、空爆さえも困難になって来ているという証左でしょう。

また、これによってシリア政府は悪循環も引き起こしています。
NATOが、スカッドの流れ弾を警戒して、パトリオットのトルコ配備を始めたからです。
(前掲CNNのリンク参照)

トルコが、国境付近にパトリオットを配備すれば、シリアの北部地域はパトリオットの射程にカバーされます。
NATOがシリア上空の航空機を攻撃する可能性は低いですが、シリア空軍のパイロットは、撃たれないとは思いつつも、常に銃口を向けられたような気持ちで北部地域の空爆を行なわなければならないからです。

シリア政府軍が、北部地域の空爆ができなくなれば、反体制派は更に地盤を確かなモノにして行きます。

いよいよアサド政権崩壊の日も近づいて来ました。

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2012年12月19日 (水)

ツイッター開始&「黎明の笛」第2版UP

冷やし中華、もとい!
ツイッター始めました。

脱線
自衛隊では、言い間違えたときに「もとい!」と大声で言います。「もとへ」の聞き間違いかも知れませんが、間違いなく「もとい!」と聞えます。
入隊して、初めて聞いた時には、危うく吹き出しそうになりました。
脱線おわり!

ツイッターは、今まで、何だかめんどくさそうだな~と思って手を出さずにいたのですが、携帯を買い換えた(スマホではなく、wifiルータ機能付きのPHS)ので、これを機にツイッターを始めました。

ブログほど意味のある事を書くつもりはありませんが、軍事・防衛以外も含めて、ブログに書くほどではないネタや、ブログの更新情報などをつぶやくつもりです。

まだまだ使い方が良く分かってませんが、気が向いた方は、左上のフォローボタンからどうぞ。

それから、アマゾンで販売中の「黎明の笛」ですが、第2版をUPしました。
ただし、配本データが更新されるまで2日ほどかかる可能性があるようなので、表示されている版が2版になっていることを確認してからDLして下さい。

更新内容は、電子書籍の利点を活用して、自衛隊用語や軍事の専門用語について、巻末に解説を設け、そこにハイパーリンクで飛べるようにしたことと、誤字脱字の修正です。

ただし、用語解説は、第1章で出てくる用語分だけです。
と言うのも、思っていた以上に解説を書くべきと思われる語が多く、最後まで解説を書くのは時間がかかると思われるからです。

用語自体を伏線としている部分もありますし、これだけ解説を要する語が多いと、内容の理解ももとよりですが、作品の楽しみも十分に理解してもらえなかったのではないかと思っております。

ですから、用語が分からずに途中で投げてしまった方にも再挑戦してもらいたいですし、最後まで読んだ方も、用語を押えながら再度読んで頂けたら、最初に読んだ時以上に楽しんで頂けると思います。

また、誤字脱字については、ご指摘を受けたので、ワープロの校正機能を使って修正してみました。
その結果、あまりにも優秀でビックリしました。こんな事なら、最初から校正機能を使うべきでした。反省!
ほぼ、改善できていると思います。

2章以後の用語解説も、順次作業は進めています。
できれば、全章分の用語解説を、年明けぐらいにはUPしたいと考えています。
もう少しお待ち下さい。

2012年12月18日 (火)

自民圧勝の評価と中国の尖閣政策の変化

衆院選で自民が圧勝しました。

これについて、思うところが
点ほどあるので、簡単に書いておきます。

まず、自民が勝利した理由ですが、前回の投票率が高く、今回の投票率が低かった事と合せて考えると、従来は政治への関心が薄く、政治に関する
見識が乏しい方が、前回は民主に投票し、今回は投票に行かなかったのでしょう。
民主に投票した結果、政治経済がズタズタになったことで、自分の見識のなさを認識して、今回は自重したのかも知れません。

次に、自民大勝の評価ですが、重要な事は、320議席という重要な数字を、特定の政党にキャスティングボートを握られずに越えられる数を確保したことです。

ニュースでは、自公で320を超えたことで、衆院での再可決が可能になったと言ってますが、当然ながら、自民&維新でも320を超えています。

憲法改正など、公明が抵抗しそうな重要案件で、「嫌なら他と組むよ」と言える状態になった事は大きいです。
公明、あるいは維新、どちらか一方と組んだ場合だけ320を越える状態であれば、その政党の主張をある程度飲まざるを得ませんでした。
(憲法改正は参院で×でしょうけど)

もう一つは、自民が大勝したことで、中国が尖閣問題のトーンを落とすだろうということです。

この状態で中国が強く出れば、安倍政権としては、強い支持を受けているだけに容易にエスカレーションさせるオプションが選択可能ですし、今まで強く言ってきた以上、強く出ざるを得ません。

今までも再三に渡って書いてますが、事態をエスカレーションさせて困るのは中国の方です。
そしてそれが分かっているからこそ、軍高官が盛んに勇ましい発言をして、民主党政権をけん制して来ました。

そして、強く出れば民主党政権が引いたからこそ、尖閣問題で強く出てきていました。

中国は、独裁で政治的に安定しており、それが故に、焦る必要はありませんし、反対に、民主主義の日本では、永遠に自民が勝ち続けることもない事は分かっています
恐らく、今後は当面の間、中国公船の活動は低下すると思いますし、領空侵犯が起こる可能性も低いと思います。
前回の選挙で民主に騙されたような愚かな人が、再び投票に行くまで待つでしょう。

うなると、日本側としても拳を上げにくい所ですが、この間に憲法や領域警備など、法の不備を、徹底的に、淡々と、是正して欲しいと思います。

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2012年12月16日 (日)

尖閣の領空侵犯に対する対策

中国機が尖閣周辺空域を領空侵犯しました。
この事件に対するアプローチには、何をすべきかという話と、何ができるのか(できないのか)という話があると思います。

(自制の効いた)何をすべきなのかという話を書ける人はいくらでもいるので、私は(自制などせず)何ができるのかについて書いてみます。
久々のロング記事です。分割掲載も考えましたが、本日の選挙に間に合わせたかったので、一挙掲載します。
おつきあい下さい。

まず最初に、一部で問題視されている航空自衛隊が領空侵犯に気が付かなかった事について、触れておきましょう。
自衛隊、中国領空侵犯探知なぜできぬ 「レーダー死角」解消策は2年前から「検討」」(JCASTニュース12年12月14日)

   政府の発表によると、海上保安庁の巡視船が2012年12月13日11時6分頃、中国のプロペラ機1機の領空侵犯を確認し、無線で領空外に出るように求めた。4分後の11時10分頃、領空外に飛び去ったという。航空自衛隊では海保からの連絡を受けてF15戦闘機8機とE2C早期警戒機1機を現場に向かわせたが、現場に着いた時には、すでに飛び去っていた。


この尖閣上空の監視に問題があることは、以前の記事「与那国島上空のADIZ再設定は大したニュースじゃない」(10年5月31日)でも簡単に触れました。

それよりも更に問題なのは、与那国だけでなく、尖閣上空なども含めて「見えないし、間に合わない」と言う事です。
言うまでもなく、これは与那国に一番近いレーダーサイトが宮古島であり、スクランブル発進する飛行場が那覇だということです。
レーダーサイトが遠すぎるため、高高度でも近くに来てからでなければ見えないし、低高度であれば全く見えません。


そして、同年10月には防衛省も重い腰を上げ始めます。
那覇へE-2Cローテーション配備 尖閣周辺防空網の欠陥を改善」(10年10月7日)
この時には、尖閣上空では、2000m以下が宮古のレーダーで監視が不可能であることが明らかにされています。

が、実際に措置が講じられ始めたのは、やっと今年になってからです。

那覇基地における早期警戒機(E-2C)の整備基盤を整備(空自)(2億円)
・南西地域において早期警戒機(E-2C)を常続的に運用し得る態勢を確保するため、整備器材等を取得

24年度の予算の概要」から

この措置は、25年度も継続される予定で、概算要求には同じ内容で少額(7千万円)が計上されています。

なお、23年度にも移警隊展開関連の予算が投入されてますが、石垣島への展開なので、平時の尖閣上空の監視強化にはあまり有意な変化がない施策でした。

この措置によるE-2Cの配備で、今回の領空侵犯事案でもE-2Cが飛行したようですが、以前の記事で指摘した通り、常時監視には程遠い状態で、監視の間隙を突いて領空侵犯されています。

今回の事案を受け、岩崎統合幕僚長は、「できるだけAWCAS(早期警戒管制機)、E2C等を使った補完をしていかなければならない」と述べたそうですが、”できるだけ”と逃げの言葉が挟まれているとおり、空自の全AWACS、E-2Cを投入しても、尖閣上空に常続的監視網をしくのは、まず無理です。(器材的にも、要員的にも、とてもローテーションが回りません)

物理的に、安定的な常続監視網を敷くためには、魚釣島にレーダーサイトを設置するか、海保あるいは海自艦を尖閣周辺に常に遊弋させ、いわゆるレーダーピケット艦として活用しないと不可能です。
しかし、政治的に問題もある海自艦艇の投入ができればいいですが、海保の場合は次の2点が大きな問題として残ります。
①識別:海保は自衛隊、米軍が使うIFF(モード4)による識別ができない。
②連接:データリンクできない。

という訳で、海自の人には「また仕事を増やすつもりなのか!」と怒られそうですが、海自艦艇を尖閣周辺に貼り付けるべきだと思います。

続いて、監視ができたとしても、対処の問題が残る事について書きます。
前掲の過去記事でも、尖閣上空の対領侵には、那覇からでは間に合わないと書きました。
これについては、下地島の必要性を書いた次の記事で詳述しています。
下地島空港を自衛隊が使用する効果

興味のある方は、この記事を読んで頂きたいところですが、この時に作成した次の地図を見れば、
大体事足ります。
Photo
那覇-尖閣間の距離は、中国大陸-尖閣間の距離とほぼ同じです。
つまり、例え尖閣周辺に海自艦をピケット艦として配置しても、那覇から対領侵機が上がったのでは、まず間に合わないのです。

これに対し、もし現状の体制で対処するなら、尖閣までとは言わずとも、那覇と尖閣の中間地点あたりで、常にCAP(戦闘空中哨戒)を行なわなければなりません。
しかし、普通に地上待機を行なうのでさえ、現在の83航空隊の勢力では困難で、そのために2個飛行隊化して航空団に格上げしようとしているのですから、常時CAPなど、2個飛行隊化したところで不可能なことは分かって頂けるでしょう。
ちなみに2個飛行隊化に向けては、25年度の概算要求でも「那覇基地における戦闘機部隊の2個飛行隊化に向けた所要の施設整備を実施(34億円)」となっており、施設整備さえこれから行なう状態ですから、如何に道のりが遠いか分かると思います。

政治を無視して書けば、前掲の地図を見て分かるとおり、対領侵機は、下地島を利用して前進待機させなければなりません。
沖縄(特に先島)の方は、尖閣の実効支配が危うくなり、いずれは自分達が脅威にさらされる事を良しとするか、屋良覚書を破棄するか選択することが必要です。

ですが、最初に政治を無視して書くと言ったのですから、他にも策があることを書いておかなければなりません。

それは、前述のレーダーピケット艦とすると書いた海自艦艇に対領空侵犯措置まで行なわせてしまう事です。
現在、海上自衛隊は対領空侵犯措置を行なっていません。ですが、空自に対領空侵犯措置を行なわせている根拠である自衛隊法84条には”自衛隊の部隊”と書かれているだけで、海自がダメとは書いていません。

(領空侵犯に対する措置)
第八十四条  防衛大臣は、外国の航空機が国際法規又は航空法 (昭和二十七年法律第二百三十一号)その他の法令の規定に違反してわが国の領域の上空に侵入したときは、自衛隊の部隊に対し、これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる。


正確には、対領空侵犯措置ではありませんが、空自のパトリオット部隊も、いざという時に備えて地上待機を行なっていますし、過去には陸自のホーク部隊さえ地上待機を行なっていました。

防衛大臣が、海自部隊にも対領空侵犯措置の任務付与をしてしまえば、海自艦艇でも対領空侵犯措置が可能なのです。

法律の問題に触れたので、法的に物理的な対処が可能なのかも書いておきましょう。
まず、国際法的には、大韓航空機撃墜事件への反省から、民間機についてはハイジャックされたのでも無い限り、撃墜する訳にはいきません。
ですが、今回のように中国政府が運用する機体は、国際法的には撃墜することさえOKです。この点は、公船に対して、一切手出しできない船とは全く状況が異なります。

一方、国内方的には、現状の自衛隊法84条に関する政府見解では、今回のように領空を侵犯しただけでは撃墜することは不可能です。
ですが、射撃を含む警告を行なうことは可能です。
撃墜もできるよう、自衛隊法の改正も必要でしょう。

次に、海自艦艇が物理的に対領侵を行ないうるのかについて考えてみます。
イージス艦はこんごう型、あたご型6隻しかなく、先日の北朝鮮のロケット騒ぎにも駆り出される中、それこそローテーションが無理じゃないかと思う方もいるかもしれませんが、対領侵を行なうだけなら、イージスなどのミサイル護衛艦(DDG)だけではなく、汎用護衛艦(DD)でも十分です。

DDの中でも艦齢の古いはつゆき型でも、射程26kmのシースパローを備えており、12マイル(21.6km)の領空を守るには十分です。

それに、対領空侵犯措置は、警告射撃を行なう必要からも、ミサイルよりも艦載砲の砲が便利です。
はつゆき型などは、76ミリ砲しか備えていないため、射程が少々苦しいですが、撃墜するよりも警告として使うケースの方が遙かに多いことを考えれば、76ミリ砲でも事足ります。
それこそ、発煙弾をばらまいてやれば、肝を冷やすでしょう。
たかなみ型以降は127ミリ砲を搭載していますから、尚良しです。

最初に断った通り、今回の記事は政治を無視して書いています。
ですが、逆に言えば、政治決断さえできれば、今回の事件を受けて一部報道が示したような、領空侵犯されながら、何もできないことで実行支配が危うくなる事態は回避できます。

それを政府が行えるようになるか否かは、本日の衆院選挙で決まります。
投票に行きましょう。
でも、くれぐれも日本の防衛をズタズタにした某党に投票しちゃダメですよ。

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2012年12月15日 (土)

KDP出版記 その4 値上げ編

おかげさまで、ここのところ「黎明の笛」は、かなりの数がDLされています。
販売部数は、アマゾンの規約に抵触するらしいので書けませんが、無料配布分をあっさりと越えました。

当然ながら、ベストセラーランキングは気になってみていますが、私が知る限りの瞬間最高位は、現在のところ、Kindleストアの有料タイトルランキングで32位。
Photo
紙の本を含めた文芸書カテゴリーで14位です。
Photo_2

ただし、アマゾンが如何に巨大書店とは言え、ただの1店舗でしかないランキングに、そこでしか売っていない本の全量が計上されてきたら、ランキングは上がって当然で、実売数で言えば、正直大きな数とは言えません。

小説を公開した私の狙いとしては、このブログを見てくれるような、軍事・防衛に興味の無い人にも読んでもらい、興味を持ってもらいたいというものでした。
公開からまだちょうど1ヶ月ですが、概ね成功だったと言って良いと思っています。

その原動力は、アマゾンのレビューもさることながら、やはりネットの評判であるような気がします。
目に付く範囲で、取り上げて頂いたリンクをまとめてみました。

キンドる速報 「国防フィクション『黎明の笛』元航空自衛隊幹部が描くリアリティ」

NAVERまとめ Kindleで読める!面白いインディーズ小説

ebook三昧! 「[Kindle]事件はリアルタイムで…な、自衛隊が舞台の本格ミリタリー小説「黎明の笛」」

読書メーター

これらの情報のおかげで、思いの他、好評を頂いた訳ですが、一つ気になって来たことが出てきました。
果たして、販売価格が100円のままで良いのか、と言う点です。

ランキング上位は、多くが価格の高い単行本や有名作家の文庫本が並ぶ中、100円の「黎明の笛」が、なんだか酷くみすぼらしいモノのように見えてしまったのです。
ブランド物のアパレルが、価格が高い故に良いモノに見えることと同じです。

それでも、私は売り上げ金額の最大化を図るのではなく、販売部数の最大化を図ることを目的としているため、やはり安価な方がいいだろうと考えて、100円で売っておりました。

しかし、そんな思いを抱いていたところ、前掲のキンドる速報にこんな記事を見つけてしまったのです。
個人出版の電子書籍の値付けについて考えておくべき9つの論点

これによると、100円で売っていたのではアフィリエイターの利益にならないので、ネットで取り上げてもらえる可能性が低いとのこと。
これは盲点でした。
マーケティングの手段が、ほぼネットで取り上げてもらえることしかない中で、100円で売ったのでは取り上げてもらえないのであれば、価格を上げた方が結果的に販売部数を上げられる可能性があることになります。

もちろん、買う人にとっては安い方がいいに決まってますから、この記事を読んでも、正直迷ってました。

で、「じゃあ、Gene Mapperのランキングを越えたら値上げすることにしよう!」と決意しました。
Gene Mapperをご存じない方が多いと思いますが、アマゾンがKDPサービスを始める前から、Kobo等を利用して個人で販売され、電子出版に興味を持つ人の間では、大変に話題になったSFです。


ところが、Gene Mapperが販売開始からある程度経過したこともあったのか、北朝鮮が衛星を打ち上げたり、選挙関連で、このブログ記事がヤフーの特集記事でリンクを貼られたり(ヤフーは時々リンクを貼って頂けます)したおかげか、意外にあっさりGene Mapperのランキングを越えてしまいました。
Photo_3

Gene Mapperを書いている藤井太洋氏は、Gene Mapperを販売するために独自のサイトを構築する等、大変な努力をされています。
Gene Mapper | Official Web Site

そして500円(アマゾンでのキャンペーン中は300円だった)で個人の電子書籍販売を成り立たせようとしている中、私が100円で価格破壊をしてしまうと、申し訳ないようにも思えました。
それに、電子書籍個人販売が、まだまだ創生期にある中、他にも個人で電子書籍を売ろうとしている方のモチベーションを下げてしまいかねません。

そんな訳で、値上げに踏み切る事に致しました。
一旦値上げしてしまうと、上げた価格で買って頂いた方に申し訳ないので、おいそれと引き下げができなくなってしまい、販売部数の低下を招くのではないかと懸念はあるのですが、決断致しました。

今後は、何らかのプロモーション手段も考えて行かなければならないと思っています。
今後とも、ブログともども応援をお願いします。

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2012年12月13日 (木)

北朝鮮の衛星打ち上げは成功?

北朝鮮が衛星を打ち上げました。
ちょっと多忙で、長い記事を書いている余裕がないので、コメントだけです。

事故が起こらず、どこにも被害がでなかったようなので、そのことは幸いと言えます。
ですが、これで北朝鮮のミサイル戦能力が1段階上がったと言え、その意味では不幸な事件でした。

とまれ、打ち上げられた衛星は、太陽同期準回帰軌道への投入に成功したようです。
ただし、この事実をもって北朝鮮による衛星打ち上げが成功だったと判断するべきか否かは微妙です。

少なくとも、北朝鮮の政治目的としては、"アメリカまで直接何かを打ち込む能力を示して見せた"という点で成功です。
ですが、狙った軌道に乗ったのか、つまり、軍事的に有効な”ミサイルと言えるのか”と言う点では、不明だと断言してもいいでしょう。

RVを使用して、大気圏再突入してないという点も勿論ですが、太陽同期準回帰軌道に乗ったとは言え、狙った軌道とは程遠かった可能性は十分にあります。
何せ軌道計算なんて、一重に太陽同期準回帰軌道と言っても相当幅がありますし、正確なら手計算でもできる程度のものですから。
(実際アポロ13号は、船長が手計算で軌道計算して地球に帰ってきた)
アポロ船長手帳、3千万円 手計算の跡、米で落札」(47ニュース11年12月2日)

例えて言えば、今回の打ち上げは、遠投で100m投げる能力を示したに過ぎません。
これが軍事的に有効なものになるには、100m遠投して、カゴに入れられないといけません。
もっとも、核弾頭の小型化ができれば、カゴではなく、サッカーのセンターサークル程度に入れられるだけでも有意なものになりますが……

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2012年12月 9日 (日)

北朝鮮ロケット迎撃の垂直面評価

いよいよ、北朝鮮によるロケット打ち上げが近づきました。

春の打ち上げの際には、琉球新報が当ブログの記事をパクって頂いたりと、なかなか盛り上がりました。
琉球新報にパクられた~!_2012北朝鮮「衛星」発射

で、水平面での防護可能性については、一連の記事で書いてしまったので、今回は垂直面での検討をしてみたいと思います。
(水平面での防護可能性については、記事を探すのがめんどいので、前掲のリンク先よりしばらく前の記事をいくつかご覧下さい)

まず、迎撃対象が何かですが、ほぼ予定通りに飛行し、途中で燃焼が止った結果、先島方面に落下するとした場合、落ちてくるのは次の画像の赤丸で囲まれた部分、第2段ロケット以上の部分です。(第1段は分離して黄海に落下。第1段での不具合や分離不能な場合は、日本まで届きません)
  Photo_3
Copyright Fabe27 2009/5/30 wikipediaより転載の上加工

この部分が落下してくると予測された場合、まずイージスSM-3が迎撃します。
その際に、どの程度目標を破壊できるかですが、目標は第2段ロケットが高さ8m、第3段が6m(by wiki)もあります。重量は不明ですが、テポドンの全重量から推定すると、10t程度と推定されます。

対するSM-3のキネティック弾頭は、重量わずか23kgしかありません。速度エネルギーが大きいため、エネルギーとしては大きい(約125メガジュール。目標の速度も大きいため、実際には更に高い数値となる)ですが、その多くは瞬時に熱エネルギー化してしまい、全高14mを越えるロケット全体の破壊は不可能と思われます。特に当たり所と衝突角度によっては、目標を2つに分断するだけになってしまう可能性もあります。

ですが、ロケットに回転モーメントを与えることは間違いなく、ロケットが大気圏内に再突入した際、空気抵抗による飛翔速度低下による飛翔距離の低下と摩擦熱による弾体の破壊で内部の危険な非対象ジメチルヒドラジンが燃焼・拡散してしまうことは確実です。
そのため、先島に落下する予測がされていたのでしたら、その北方海域に落下しますし、ヒドラジンが地表まで届く可能性は低いと思われます。

次にSM-3による迎撃が失敗し、宮古島あるいは石垣島に落下してきた場合のPAC-3による迎撃を考えてみます。
この時、目標であるロケットの速度は、飛翔距離からしてマッハ9程度だと思われます。
対するPAC-3の速度もマッハ5を越えますが、重量は320kg以下(ロケットモータの燃焼分は重量低下)です。推定重量10tのロケットからすれば、3%でしかありません。こちらもSM-3と同様に、ロケット全体を破壊するには小さすぎます。

そのため、このデータを元に、以下ものっっっすごく大雑把な推定をして、PAC-3弾が目標の飛翔経路をどの程度変更可能か推定してみます。
PAC-3弾はロケットに対し速度が55%程度、重量が3%程度だとすると、PAC-3弾がヘッドオンで迎撃した際にロケットに与える速度エネルギーは、ロケットの速度エネルギーの約7.2%です。
実際には、かなりのエネルギーが熱に変化してしまうとはずですが、仮に全てがロケットの速度を減ずる方向で作用したとすると、ロケットの速度は3.7%減少し、マッハ8.67程度になる計算です。
さらにPAC-3が通常2発発射されることを考慮すると、ロケットはマッハ8.34程度に減速させられることになります。

PAC-3が2発とも命中する可能性や、前述の熱エネルギーへの変換のため、実際にはこれよりかなり悪い結果になることは明かですが、一応この数字を画面上に落とし込んで見ます。
Photo_5
石垣市役所に落下するロケットを想定した場合、ちょうどその背後にPAC-3が展開するような配置になります。

そして、石垣市役所に落下するロケットを、仮に20km付近で迎撃した場合のロケットの落下経路を前記速度低下を前提に計算(鉛直方向の加速度は無視)すると、市街地外側の畑付近にロケットを落下させられる計算になります。
吉原小に落下するロケットの場合、迎撃ポイントが近くなるため、小学校をなんとか躱し、海岸付近に落下させられるようになる見込みです。
Pac3

相手の剣先を、首の皮一枚で躱すようなものでしょうか。
このため、PAC-3部隊は、どの場所に落下する場合は迎撃し、どの場所なら無視するのかという細かいマップを作成し、システムに入力していると思われます。

たとえば、バンナ岳西付近に落下する見込みの場合は、迎撃したことで逆に名蔵中付近に落下することになるため、迎撃しない方が適切だということになります。
これは、先日のハマスのロケットを、イスラエルのアイアンドームが迎撃した時と同じです。

ただし、微妙な場合は迎撃した方が適切です。
なぜならSM-3の場合と同様に、迎撃することで毒性を持つヒドラジンを上空で拡散・燃焼させてしまえるためです。

上記は、かなり粗い計算ですが、自衛隊はもっと綿密に、同様のシミュレーション(自衛隊では見積もりという事が多い)を行ない、計画を立案しています。

今日の報道によると、発射が若干遅れるようですが、万が一どころか、億に一で落下して来た場合は、確実に対処してくれることを期待しましょう。

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2012年12月 8日 (土)

KDP出版記 その3 KDPセレクト編

KDP出版記その3は、失敗だったと判断したアマゾンに独占販売を承認するKDPセレクトへの登録について書きます。

KDPセレクトは、1億1000万円の基金の中から、分配金を受けられるなどとしてKDPサイトの中で盛んに宣伝されています。
私の場合は、決してその基金に目が眩んだ訳ではなく(ホントか?)KDPセレクトに登録することで実施可能になる無料キャンペーンを展開するためでした。
ですが、レビューがアマゾン側の審査で拒否されているらしいこともあり、無料キャンペーンがあまり効果的ではなかったことで、正直ハズレだったかな~程度に考えてました。

が、ハズレもハズレ、大ハズレでした。
前回も書いた通り、現在アマゾンの電子書籍はパソコンで見ることができません。
で、スマホやキンドルを持っていない方からの要望でいろいろ調べたました。
結果、パブーで一太郎ユーザー特典として、無料でePub
形式UPできる事が分かり(その他、Gumroadというサイトならば、あらゆるファイルを販売可能)、KDPセレクトを解除してパブーを使いPCユーザーに読んで頂けるようにしようとしたところ、なんどKDPセレクトが登録から3ヶ月しないと解除できないことが判明!

契約上、3ヶ月間はアマゾンに独占販売権を認めた事になっておりました。
と言う訳で、携帯端末をお持ちでない方には、あと2ヶ月少々はお届けできません。
楽しみにして頂いていた方もいたのに、申し訳ないです。

アマゾンが、日本でもkindle for PCのサービスを提供してくれれば良いのですが、現在はキンドルを売るためにkindle for PCのサービス提供を始めていないようです。

アマゾンはKDPセレクトの最大のメリットは冒頭で上げた1億円以上の基金から分配金を受けられることだとしています。
ところが、このサービスは日本のアマゾン内では行なわれておらず、日本語のコンテンツを提供している人にとっては、実質意味のないメリットです。

つまり、私の感じる範囲として無料キャンペーンがあまり効果的でなかった以上、メリットはほぼなく、アマゾンに独占販売権を与えたしまったため、PCしか持っていない方には供給できないというデメリットだけ被る結果となってしまいました。

今後、KDPでコンテンツを公開しようとしている方は、ご注意下さい。
少なくとも、アマゾンがサービス体制を変えない限り、私はKDPセレクトを解除します。

なお、「黎明の笛」は、おかげさまで紙の本を含めた文芸作品のベストセラー100位以内にも結構入ってくるようになりました。
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まだ手にとって頂けてない方は、下記リンクから無料サンプルだけでもDLしてみて下さい。

2012年12月 7日 (金)

H25概算要求-その3_消えた後方任用制度と防災要員

H25概算要求についての3回目は、ネタが多くはありませんが、結構重要な人事関係についてまとめてみます。

最も注目なのは、H24の概算要求に防衛省が入れなかったにも関わらず、財務省・民主党連合が予算にはねじ込ませた後方任用制度でした。

後方任用制度は、H24予算では「制度官庁との協議を23年度中に開始し、今中期防期間中において、可能な限り早期の制度運用開始を目指す」となっておりました。
この流れで行けば、H25は現中期防の中間年ですから、当然何某かの施策が入ってくるモノと予想されました。

ですが、公表された概算要求資料には、後方任用制度についての記述は見当たりません。
民主党政権の命運はこれまでと見切り、財務省にも盾突いて盛り込まなかったと思われます。
恐らく、今年度の検討の中で、やはり異論が多かったのだろうと思います。当然ですが。

新政権が、財務省の説得に負けて、再度ねじ込むことがないよう祈るばかりです。

人事関連のもう1項目は、援護に関してです。

内容に入る前に、詳しくない方には、「援護」について解説しないといけないでしょう。
自衛隊における「援護」とは、再就職の援護であり、退職する自衛官に再就職先を周旋することを言います。

H25概算要求では、「援護施策の充実」として、
自衛官の公的部門等への再就職に資するよう防災・危機管理教育を強化(0.2億円)
と記述されています。

9月末に「退職自衛官の地方公共団体防災関係部局における在職状況」の資料が更新されておりますが、本年3月の203名から更に増え、244名に達しています。

増え続ける自治体防災部門への退職自衛官の再就職ですが、何らかの教育が必要だとの認識になっているようです。
概算要求資料には、理由まで記載されていませんが、恐らく所属外の他幕の部隊について、知識が足りないのではないかと推測します。

陸・海・空の各幕では、それぞれ指揮系統などがかなり違うので、災害派遣においてもそれらの事を知らないと災害派遣についてアドバイスする上でも支障があるのだろうと思います。
実際、佐官級自衛官でも、統合運用される部隊に所属する経験でもないと、他幕の事は良く知らないことが多いです。

予算が2000万だけなので、箱モノではなく、自治体への再就職要員を集めて、集合教育等を行うのだろうと思います。

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2012年12月 6日 (木)

「黎明の笛」第2版への改訂作業とレビュー未反映の件

アマゾンで販売している「黎明の笛」ですが、おかげさまで徐々に販売が伸びている状況です。

紙の本も含めた全書籍のランキングで150位前後をうろうろしています。
大した数字だと思います。
誠にありがとうございます。

しかしながら、早くも課題も出ております。
一つには誤字が多いと指摘頂いたこと……
何度もチェックはしたものの、自分では何度見ても気が付かないものです。
この点は、気が付いたら都度修正致します。

もう一つは、専門用語が多く、分かりにくいとのご指摘を頂いたこと。
電子書籍なので、解説にリンクすることができるので、現在、解説とリンク作成の作業中です。
第1版をお買い上げ頂きながら、用語が理解できず挫折した方は、2版が出るまでお待ち下さい。

しかし、改めて解説を加えた方がいい用語をチェックしてみると……なるほど数が多い。
確かにこれでは分かりにくかったかもしれません。
前作「日本海クライシス2012」に対して、用語の説明が話の流れをぶった切っているため良くないという批判を頂いたため、今作では、話を追う上で最低限の用語だけを、会話の中や地の文で説明しました。
が、自分でも思っていた以上に、何気なく専門用語や自衛隊用語を織り交ぜてしまったようです。
一部伏線も、用語一つで伏線としている部分なども多く、その当たりが理解されないが故に、ご都合主義にも見えてしまったかもしれません。

なるべく早く第2版を上梓したいと思いますが、思った以上に解説を書くべき用語が多く、しばらく時間を頂きそうです。

なお、レビューを書いて頂いたにも関わらず時間が経過しても反映されていない場合は、アマゾンによって拒否されているようです。
拒否されたのかどうかは、再投稿が可能かどうかで判断できるそう。(再投稿が可能=拒否された)
拒否の理由は、長すぎたり、ネタばれを書いていたりなど、レビューガイドラインに抵触していると判断された場合との事です。

レビューを書いて頂いていても反映されていない場合は、申し訳ありませんが、再投稿していただけると助かります。

2012年12月 5日 (水)

北朝鮮の人工衛星発射の真意は大統領戦でも、衆院選挙でもない……かも

北朝鮮が今月10日から22日の間に、人工衛星を打ち上げると発表しました。

その真意が韓国の大統領選挙にあるのではないかと言うニュースが報じられています。
北ミサイル予告、接戦の韓国大統領選を「直撃」」(読売新聞12年12月1日)

 選挙戦は最新の世論調査で朴氏が3ポイントの僅差でリードする接戦状態。4日には外交安保政策を主要テーマとするテレビ討論会がある。両陣営とも、「ミサイル」問題が有権者の動向に影響するとみる。

 北朝鮮はこれまでも、朴氏が当選すれば「(南北は)戦争状態に陥る」として、文氏の当選を願う姿勢を露骨に示してきた。


また、日本の衆院選への影響も取りだたされています。
衆院選の日 杞憂であればいいが…」(産経新聞12年12月2日)

北朝鮮の日本に対するメッセージは「第2次安倍政権」への牽制(けんせい)と受け止めるのが筋だろう。安倍氏は北朝鮮による拉致問題に対し「圧力」を重視した「対話と圧力」の姿勢を貫いている。国際社会を巻き込み、拉致問題の解決に北朝鮮を追い込む戦略を持つ安倍氏が政権の座に就くことは、核開発をちらつかせ恫喝(どうかつ)外交を繰り広げる北朝鮮には“難敵”と映るからだ。


確かに、韓国の大統領選や衆院選には、少なからぬ影響がるだろうと思われます。
しかし、真意がそんな高等な理由とは限りません。

韓国ロケット「羅老」 今度は過電流感知…年内打ち上げは難しく」(中央日報12年11月30日)

北朝鮮が長距離弾道ミサイル発射実験をごまかすために、
”初の”人工衛星の打ち上げとして今年4月に飛翔体を発射したことは誰でも知っていますが、実は韓国も”初の”自力での人工衛星発射を目論んでいます……が、現状では度重なる失敗で、遅延しています。

  韓国初の人工衛星搭載ロケット「羅老(ナロ)」(KSLV-1)打ち上げがまた延期された。
中略
  「羅老」は1、2度目の打ち上げに失敗し、先月26日に3度目の打ち上げが実施される予定だったが、1段目ロケット連結部のゴムリングが破損し、打ち上げが延期されていた。


羅老(ナロ)は、韓国が独自技術だけでは作りきらず、紆余曲折の上、ロシアの技術を大幅に取り入れた国産とはとても言いがたいロケットです。
それでも、韓国国民は国の名誉をかけたロケット発射を心待ちにしていました。

韓国ロケット「羅老」の打ち上げカウントダウン停止…全国で落胆とため息」(中央日報12年11月30日)

「羅老」(KSLV-1)の打ち上げが延期になったというコメントが出ると、手に太極旗(韓国の国旗)を握りながら「羅老」の飛翔を待っていた住民と観光客およそ1000人は一斉に落胆した表情を見せた。

  展望台の下のナムヨル海水浴場で打ち上げを見ようとしていた住民と観光客およそ200人も、海の向こうの宇宙センターをぼう然と眺めていた。一部の観光客は展望台に設置された望遠鏡で16キロほど離れた発射台を見ていた。


冷戦時代、米ソが、核ミサイルでの攻撃能力を強化するため、宇宙開発でしのぎを削っていたことと同じ図式が、今北朝鮮と韓国の間にある訳です。

4月の北朝鮮によるミサイル発射を見て、韓国国民は安心するとともに、これで我々が先を行けるとほくそ笑んだでしょう。
一方、韓国の衛星発射が4度も失敗すると、失敗の原因は、技術的なものだけではなく、もしかすると北朝鮮によるサボタージュなのではないかとさえ疑われてきます。

韓国は、延期した打ち上げを、年内に設定することは難しいようです。

国際機構に通知した期間の来月5日までに打ち上げるのは容易でない見込みだ。「羅老」を発射台から分離して組立棟に移すだけでも一日かかり、調査は来月1日から可能だ。またTVCは上段ロケットの核心部品であるだけに、故障の原因を確認して問題を解決するのに長い時間がかかる可能性もある。このため「年内の打ち上げは不透明で、来年に延期される」という見方が出ている。


北朝鮮が予告する衛星発射に対して、韓国国民は、安全保障上の懸念としてだけではなく、下賤なメンタリティーからも失敗を祈ってます。

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2012年12月 4日 (火)

KDP出版記 その2 無料キャンペーン編

出版界に黒船とまで言われたアマゾンによる電子書籍への参入ですが、結果的にその片棒をわずかながらも担いでしまっているため、状況報告を行なって行こうと思います。

前回、出版に漕ぎ着けるまでに、如何に苦労させられたかは書いたのですが、今回は多くの人の目に留まるようにするため、言い換えれば販促に関して、KDPで何ができたのか、そして結果がどうだったかについて書いてみたいと思います。

キンドル本を販促するにあたって、アマゾンのシステム内で恣意的にできることは、価格の引き下げと無料キャンペーンの設定しかありません。
セルフパブリッシングの先駆者とも言える”Gene Mapper”などは、低価格に設定するというキャンペーンを行なっていたようですが、”黎明の笛”では、そもそも価格設定可能値の下限に価格設定しているため、無料にするしかキャンペーンの行ないようがありませんでした。(価格の下限が100円となっている。これ以上下げるとアマゾンが儲からないからでしょう)

この無料キャンペーンですが、販売チャネルを、電子書籍に限っては、アマゾンにだけに限定しないと設定できません。
そのため、悩みどころではあったのですが、パブーでも”黎明の笛”のようにかなり量のあるコンテンツは、有料会員になってお金を払わないとUPできないため、結果的にアマゾンに限定することとなり、無料キャンペーンも5日ほど設定できることになりました。
(ただでさえ一太郎を買わざる得なかったため大赤字ですから、これ以上の出費は避けたいところでした)

で、この無料キャンペーンですが、販促の側面もあるものの、普段から私のブログを見て頂けている方には、無料で公開したかったため、KDPでUP後、直ぐに設定するつもりでした。
が、前回記事に書いた通り、UP自体で四苦八苦したため、チェックが終わるまではキャンペーンもスタートさせず、ブログを見て頂いている方には、キャンペーンスタートまでDLしないよう告知しました。
ですので、ブログを見て頂いている方は、5日の無料ダウンロード期間があれば、無料でDLして頂けると思ってました。

が、私も理解していなかったのですが、アメリカのアマゾンでは、キンドル本をPCでもソフトをDLすれば読めるのですが、日本のアマゾンでは、キンドルの他、iPad、iPhone、iPod touch、もしくはアンドロイド端末がないとDLどころか購入操作もできなかったようです。
これは、単にkindle for PCの対応が間に合わなかったのか、アマゾンの戦略なのかは不明ですが、少々誤算でした。

このブログは、最近ではユニークアクセスで500~600はコンスタントに数字が出ているので、重複の方がいるにしてもキャンペーン期間中に1500人くらいは告知を見て頂けるだろうと思っていたのです。
ところがが、DL数は、その約1/10で、アメリカやドイツ、フランスからのDLも含めて、総計163でした。

DLするための端末を持っていない人が多かったのか、あるいは小説に魅力が無かっただけなのかは分かりませんが、私の思惑以上に少ない数でした。

私としては、小説をこのブログを見てくれるような、普段から軍事防衛に必ずしも興味のない方にも読んで頂きたいという思いがありました。
アマゾンで電子書籍化したのも、そう言った思惑です。
普段ブログを読んで頂ける方には無料で公開し、レビューを書いて頂ければ、それ以外の人の目にも、アマゾンという巨大なプラットフォームを通じて目にして頂けるのではないかと思っていたのです。

ところが無料キャンペーンのDL数が少なかった事もあり、現在のところ頂けているレビューは日本で1件、アメリカで1件という状態です。
ただ、アマゾン内のレビュー以外では、読書メーターなどでも書評を書いて頂けるケースがちらほらでています。
http://book.akahoshitakuya.com/b/B00A84ZPJO

そのため、アマゾンに独占販売させるのではなく、何か別の方法を考えなければならないかと思案しています。

現在も、そこそこの数を日々DLして頂いているのですが、アマゾン任せにするのでは無く、何か自分でも何か宣伝する方法を考えないとならないようです。

2012年12月 2日 (日)

米海軍の音響測定艦行動にみる対中シフト

リムピースに象徴的な記事が載っています。
佐世保に音響測定艦がずらり」(リムピース12年11月30日)

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3隻が並んだ米海軍佐世保基地の立神岸壁(手前からインペッカブル、エイブル、エフェクティブ)(11月30日撮影)
同記事より転載

また、以前には沖縄のホワイトビーチに、2隻の音響測定艦が並んだこともあります。
音響測定艦2隻、ホワイトビーチに同時寄港」(リムピース10年9月2日)

100902wb1s
同記事より転載

WBに音響測定艦2隻」(リムピース11年1月14日)

音響測定艦や海洋観測艦、航空機ではコブラボールやリベットジョイントと言った特殊な艦艇及び航空機は、情報収集手段であり、かつその用途が非常に限られているため、運用者の意図を正確に反映しています。
そのため、その動きを見ていると、運用者の思考が見えてきます。

ちなみに、米軍は、自衛隊になんでも教えてくれる訳では無いので、これと同じ事を、自衛隊の情報組織も行っています。
ただし、自衛隊の場合、それら艦艇・航空機の動きを、港や基地にいるかどうかだけではなく、どこで行動しているか等も把握できるため、分析の精度は格段に違います。
少々情けない話ですが、日本が情報収集衛星を配備する前は、こんな情報もかなり貴重な情報でした。

話を元に戻しましょう。
米軍が5隻しか保有していない音響測定艦という艦種を、佐世保に3隻同時寄港、あるいはホワイトビーチに2隻同時寄港させているということからは、米軍の意図が透けて見えてきます。

音響測定艦は、長大な曳航ソナーを備え、潜水艦の観測を行う艦艇です。
佐世保やホワイトビーチでは、乗員の休息と補給を行っていると見られています。つまり、佐世保や沖縄に近い海域において、これらの艦艇が重点的なパトロールを行っているということです。

北朝鮮の潜水艦は、質も量も非常に乏しいため、これら音響観測艦の目標は、中国の潜水艦であると言えます。
つまり、米海軍は、世界各国の潜水艦の動静に払う関心の半分以上を、対中国に向けているということです。

しかも、この潜水艦に対する対中シフトは、近年になって急激に強化されたものです。
定着した音響測定艦と測量艦」(リムピース12年1月26日)

Nenjirec2011
特殊艦艇の佐世保への寄港状況
同記事より転載
2011ssbtagos
佐世保への音響測定艦の寄港回数・停泊日数
同記事より転載

海底地形等、地誌データと呼べる資料は、以前から継続して調査がされている反面、潜水艦の動静を探る音響測定艦は、2009年あたりから急激に日本近海で活動していることが分かります。

これらリムピースの記事は、米海軍の中国潜水艦に対する脅威認識と衝突の可能性に関する認識が、ここ数年で急激に高まっていることを示す明確なデータです。

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2012年12月 1日 (土)

星5つ頂きました~!

アマゾンで販売している「黎明の笛」にレビューで星5つを頂きました。
ありがとうございます。

どうも、他にもレビューを書いて頂いた方はいるようなのですが、アマゾンのレビューは書いてから反映されるまでに数日から最大2週間程度要するらしく、今のところ表示されているものはcom分を含めて2件です。

レビューを書いて頂けた事もあって、少しずつ読んで頂けている方が増えております。
12月1日現在、紙の本を含めた販売ランキングで151位に入ってます。

書いている側の人間として、読んで頂いた方の感想が聞けるのは、お叱りも含めて、非常に喜ばしいことです。

また、以下の
サイトでも紹介して頂いた方がいらっしゃいます。
http://ebook3my.com/post/36125030404/kindle
ありがとうございます。

一応、しょっぱなですので、今回頂いたレビュー
、転載しておきたいと思います。

co.jp
Youkyさんのレビュー
基地内の司令部もまた、最前線の戦場であることを教えてくれる作品

基地内の描写や主人公の心の葛藤、自衛隊組織の動き方などとても丁寧に描かれていて読んでいて没入できました。
ミリタリーものの小説だとどうしても砲弾やミサイルが飛び交う戦場が舞台になりがちだが、この物語は基地内の司令部が舞台。武器は拳銃でも刃物でもなく「情報」。現代の戦争では情報が重要とのことだが、この小説ではまさにその情報を如何にして制するかが物語の後半のキーとなってきます。

ドンパチやらずとも、世の中の裏側ではこういった情報戦が行われそのおかげで我々が平和を享受できることを考えると自衛官の方々にはただただ感謝の気持ちばかりです。

同じ主人公で今度は別の事件での物語を是非読んでみたい。そう思わせる作品でした。
あっという間に読めてしまうスピード感です。面白かった!


.com
J. Tsuzukiさんのレビュー

日本の知人に紹介されて読みました。
専門的な武器や車両が登場するハードボイルド小説にありがちの、『登場する武器や車両の構造や性能が3ページに1度長々とカタログスペックの写しのように書かれていてストーリーの腰を折られる』という事が一切無い、非常にテンポの速い展開でどんどん引き込まれてしまいました。
M2が何であるのか?SAMはどんな武器なのか?保全班というのはどんな部署なのか?知らなくても違和感無く先へ読み進む事が出来、そして次の会話や状況描写の中でさりげなく特徴が書かれている。
もちろん、知っている人が読めば用法に納得が行く。
つまり、軍事に詳しい人が違和感無く読む事も出来る、軍事関係に一切知識の無い人も抵抗無く読む事が出来る『専門分野に特化した小説』になっていました。
この本は、軍事小説であり、推理ゲームであり、心理サスペンスでもあると思います。
(ただし、自衛隊の階級については事前に知っていた方がストーリーを理解しやすいと思います)

日本の映画とアメリカの映画での一番の違いは、現実との整合性にあると思っています。
何発撃っても弾が無くならない銃や低速未舗装路でタイヤが軋むカーチェイスなどがあると、アクション映画がいきなりコメディ映画になってしまう事をアメリカ映画界はよく知っています。
ですからアメリカの映画は脚本家が書いたストーリーを各分野の専門家が詳細の修正をしています。
軍事映画などは、軍からの正式なバックアップと数人の退役軍人のアドバイザーを雇っています。
この小説は、アメリカドラマで言えば『24』のテンポの速い展開、『JAG』の専門性、『CSI』の心理描写を日本の軍事関係を舞台に一般娯楽向けにストーリー展開した小説と言えるかも知れません。
(主人公が女性である事も、大衆向けソフトタッチに貢献していると感じました)

実際には屋外のシーンは非常に少なくほとんどの展開が建物内(地下)で進んでいるのに、読者には外の状況が手に取るように見えてくる手法、軍事には関係ない部分での登場人物の心理描写とこまかな無意識の行動描写に引き込まれて読み進めているうちに、いつのまにか軍事専門用語を覚えてしまっているという不思議な読後の感覚です。

つい先へ先へと引き込まれるので、仕事の合間や通勤電車の中での読書には向かないかも知れません(笑)

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