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2012年11月 9日 (金)

儒教思想と中国の厭戦世論

先日、キオスクに「中国軍に致命的欠陥」という大見出しが踊っていました

またぞろ、スポーツ紙が下らない煽り記事を書いてるな、と思っておりましたが、ネットで記事を見てみたところ、
あながち下らない煽り記事とは言えないかも、と思えてきました。
中国軍に致命的欠陥 “弱腰兵士”が増加 「一人っ子政策」が直撃
(zakzak12年10月30日)

 日本の防衛省は、総兵力230万人の中国人民解放軍が抱える決定的な弱点を見抜いていた。中国政府が1970年代から進めた一人っ子政策で誕生した「一人っ子軍人」だ。兄弟姉妹のいない環境で過保護に育てられた別名「小皇帝」が軍内部で増加。有事でまともに戦えそうにない“本性”を、災害派遣などの場面でさらしているという。
中略
 「両親から甘やかされて育った一人っ子たちが軍の中でかなり増え、わがままぶりを発揮しているそうだ。2008年にあった四川大地震でも、救援活動の派遣を『危険だから』と渋った若手軍人がいたと聞いている。いざ実戦となったら兵士として役に立たない。幹部級は彼らの扱いに苦慮している」


一人っ子=使えないという図式は、あまりにも単純な上、一人っ子の増加は、日本に限らず先進国では、ある程度一般的な状況と言えることからも、一人っ子→わがまま→軍人として不適、という論は、とても妥当だとは思えません。

しかし、記事中半に言及される親の考えについての記述は、なるほどと思えるところがあります。

両親にとっても大切なたった一人の子供なので、『もし戦場に出てもお前だけは生き残れ』と教え込む。中国軍は戦意が著しく乏しい兵士を抱えたまま戦わなければならない」と分析する。

 わが子を守りたい両親たちが、戦争を阻止する巨大な抵抗勢力になるケースも考えられる。


中国は、儒教思想の国です。
子は親を養うべき存在で、親とすれば養われて当然と考えてい
るようです
にも関わらず、子供が軍事作戦で命を危険に曝すとなれば、
自身は戦場に出ていない親にとっても、それは死活問題となります。

日本では、自衛官の命を大切にしろなどという世論はありません。
これは、一部の方々は憤る少し寂しいことではありますが、合理的に考えれば幸いなことです。

いざ、日中間で紛争になれば、中国軍ではなく、中国の世論が、意外な弱さを露呈する可能性はあるように思われます。

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周辺国動向」カテゴリの記事

コメント

 一言で言うと「戦いは数だよ兄貴」?
 この手の「兵の質」の話は当てにならないことこの上ないです。特に数で優る側が兵の質だの士気だのを持ち出すならともかく、劣る側が持ち出すのは得てして願望が紛れ込んだ負けフラグです。日本も過去の大戦で痛い目を見た筈です。
 近年のPLANの近代化・拡張は著しいですが、ある時期まで乗組員の質で海自や米海軍に大きく遅れを取っていると言われ、遠洋航海や洋上給油を行う練度なんて無いと言われていました。その結果がPLANのソマリア派遣と洋上給油です。兵無くして軍はありませんが、装備が兵を鍛えるということをまざまざと見せ付けられたと思います。
 儚い期待に安住するよりも、目に見える脅威を時には馬鹿正直に受け取っ(たことにし)て備えましょう。備えあれば憂い無しです。

一人っ子に親の老後がかかっているというのは重要な着眼点ですね

>日本では、自衛官の命を大切にしろなどという世論はありません
右も左も自衛官の命なんてなんとも思っていないような意見を、表明する方が多いですね
実際には政治的な材料となるので、気にしないというわけにはいかないでしょうが…

数多様

しかし、まぁ…最近は教育隊でもモンスターペアレントの問題もありますから、お互い様なんじゃないかな…と、思ってもみたり…
何れにせよ、だ様のおっしゃるように、彼の能力を低く見積もる事だけは避けなければいけないのかな、と…。

>だ様

過大評価も過小評価も危険です
それにこの記事の本質は、敵戦力の大きさの評価ではないと思います
なぜなら、敵兵士の人間的性質を利用することは、兵力差を覆す効果的な手段だからです

将来の中国軍は自衛隊に比べて圧倒的に強大でしょう
なぜなら、現時点で既に彼らは我に倍する軍事費を獲得できているからです
それに対抗するとき、我らはどうするべきでしょうか?
あなたの考え方では「とにかくがんばる」という結論しか導けません

しかしこの記事はより具体的な戦略を示唆してくれます
親の子への依存性が高いということは、より多くの子を殺傷する、あるいはその能力を示すことで
「うちと戦争するとお前を将来養ってくれる子がいなくなるぞ」という脅迫が可能になることを意味するからです

自衛隊には、より多くの中国軍兵士を殺害する、あるいは少なくとも「一生まともに働けない」程度に
生体機能を破壊する装備を与えましょう
そして国家戦略としては、中国人の儒教志向をいっそう高めるような文化・外交戦略を展開しましょう
それによって、将来の軍事力の不均衡を、我々にとって有利な方向に是正することができるでしょう

ちなみに、この手の心理戦は過去のベトナム戦争や近年の対テロ戦争でも効果的に利用されています
戦争の目的とは所詮、「敵の戦意を破壊する」ことにあるからです
肉体や兵器・社会インフラの破壊はその手段に過ぎません
ゆえに我々は敵の戦意をどうすれば破壊できるのかを考えなくてはなりません
そのためには、この記事のような情報や考察が常に必要なのです

無名氏
> あなたの考え方では「とにかくがんばる」という結論しか導けません

貴方の「自衛隊には、より多くの中国軍兵士を殺害する、あるいは少なくとも「一生まともに働けない」程度に生体機能を破壊する装備を与えましょう」も余り具体性がありません。

そして、安直に頼れない策に乗るより無策と認め、そして探し続けるのはよほど良いと想います。

日本は小さいな島国で有り、真面目に防衛すれば実はやれないも無いと想います。核兵器を保有し(私は核の傘を信じ無い派ですので、例えある程度の経済制裁を受けでも痛みを耐え、悠久の保障をたどり着くこそが国是)。これで最悪を防ぐ後、潜水艦等で必要な時中国の貿易と止める。更に、対艦、対空ミサイルの増設等。

まあ、GNP*1%は無理ですが、日本の経済を保存しながらを要塞化とは不可能出はないと想います。

だ氏も言った通り、旧軍はこんな理論に頼って痛い目が受けた。だが、違うのは「旧軍が国力を出来る限り防衛に回したでも足りないので仕方なく精神論に頼った」に対し「今の日本は国力を防衛に回ろうともしない内に既に精神論者に成った」。こう言う意味で、今の日本は大帝国時代よりも劣るに成ります。

>そのためには、この記事のような情報や考察が常に必要なのです

だが、この考察は余りにもへっぽこ過ぎる。

『もし戦場に出てもお前だけは生き残れ』と教え込むの親は恐らく全世界にも有ります。恐らく例え大日本帝国帝国やNaziドイツ等非常に軍事化した国家でさえひそひそ行えています。だが、だからこそこれは反戦勢力に成るのは結構楽観視過ぎる。

全国は「釣魚台」の「不平」に熱く騒いてる内、彼奴等は「自分の子が可愛い」と言う理由で反対するの勇気、いや、考えも無いでしょう。いやですが、国家への「忠」も重要ですので、精々ひそひそ自分の子供に「無理しないで」位言うしかないと想います。

効果は限定的です。
儒教には忠の概念(国家に尽くすことは尊いという考え)があり、そのために死ぬ事は悲しい事だが、社会的に高い評価がされる事だという宣伝を行い、親の考えを国家寄りに誘導する事が可能です。
その上で、戦死者や負傷者についての孝の部分を国家が代替する制度設計や本人への生活保障を行えば、戦意低下を補えるでしょう。
人海戦術対策(人を安く使えないと存在出来ない戦法)や補償金の増大への負担増で相手の軍備強化を遅らす手段としてはありですが。
最悪手段として、犯罪者を無罪にしたり、戸籍が無い人間に社会的立場を与える事と引き換えに損害無視な作戦をされる恐怖があります。

上をまとめると、中国政府は、軍の強化のため、国に忠を尽くす事と親に孝を尽くす事は同じという概念を広める。
その概念を正しいと感じさせるために、戦死者遺族などに金を手配させる必要がある。
ゆえに、軍の拡大のための予算が抑えられるというスパイラルになるように持っていくしか無いということです。

ベトナム戦争で、米国が敗北撤退しましたが、原因は戦争後期に国内で反戦意識が高まり、親も本人も周辺も世論も「戦争するな!死ぬな!殺すな!」という風潮が高まったから・・・・・では無いと思います。
戦術には全く素人の私ですが、素人目には近代戦法とゲリラ戦との戦術の違いによって苦戦していたように思えます。

60年代後期-70年代敗戦まで、国を挙げての反戦運動。徴兵拒否がなされた状態で、あそこまで大量動員して戦争を繰り広げる事が出来ましたから、今の中国の機運がどんなに陰で反戦・我が子大事になったとしても、60年代米国以上の強制力で大量動員する事は可能だろうと思えます。

まして、ベトナム戦は南北を挟んだ陸地での陸軍の歩兵戦が主でしたが、仮に日中戦となると、どちらかの領土上での歩兵戦になる可能性は低いのではないかと思います。

そうなると、主に空戦・海戦となる可能性が高く、海軍は船に乗ってしまえば「俺は嫌だ、国の為に死にたくない!」と言っても逆に生き延びる為には任務遂行しか無いわけで、空軍の『兵』の主な任務は整備や地上勤務(直接戦闘任務ではない)に就く事が圧倒的に多いと思います。

中国軍人、日本自衛隊に友人は居ないのですが、米国軍人の友人たちは、空軍のメカニックは「俺はメカニックだ、敵と戦う事は無い。戦い方も知らない。戦う道具も持っていない。もし敵が基地に攻めてきたらスパナで殴るしか出来ない・・・」と言っていましたし、空軍警察の友人たちの多くも「俺・私は基地内のケンカ・窃盗・交通事犯を取り締まって基地の治安を維持する警察官だ。月に一度他の部隊と野戦訓練に参加させられた時にだけ、ああ自分は軍人だったと思い出す」。
海軍通信基地の友人は「初期訓練の時に素手で敵と戦う方法とかを習ったので、飲み屋で絡まれた時とかには役に立つ。それ以外は自分の持ち場(通信基地)を守る為に通信機能を妨害されない事にしか神経を使っていない。M16?あぁ昔訓練で撃った事はある」
海軍では数少ない戦地陸上で活動するSea Bee部隊で、実戦を何度か経験した事のある友人たちは「俺たちは戦地の土建屋だ。M16抱えてブルドーザーで整地する。基地建設の最中に敵の砲が着弾した事もあるけど、『この野郎!せっかく整地したのになんて事するんだ!』って思ったぜ・・・」(つまり実戦中でも意識はあくまで基地建設部隊で、戦闘要員としての意識は無い)

数多さんを始め、こちらの多くの方々には素人の私の感覚(とても意見とは言えない)などは、まさに釈迦に説法と思われますが、上記の米軍人の個々の感覚のように、軍人・軍隊・戦争のあり方が大きく変わっていると思います。

僕の米軍人の友人たちの中で、常に「俺達ゃ戦士だ!実戦になったら一人でも多くの敵を倒したる!!」という意識を持ってるのは海兵隊の連中しか知りません。(陸軍に友人は居ませんでした)

PS. 
空軍のPoliceは、他の空軍兵士から多少煙たい目で見られるので非番の時には自分がPoliceだという事はなるべく口外しないようにしていました。
でも、海兵隊のMPの友人はいつも「俺たちは平時は基地治安維持が仕事だけど、Marinesはいつ・どこでもMarinesだ!当然、有事には一人でも多くの敵を倒す戦闘要員!海兵隊万歳!」と胸を張っていました。

海兵隊の連中は所属がどこであろうが「We are the Marines!」で、飲み屋で会うと一致団結乾杯大合唱・・・。

彼らのあの異常なまでの士気は、入隊前の個々の意識ではなくて入隊後の訓練と日々の共同生活で作り上げられたものだと思います。

だ 様
私も数は重要なファクターだと思いますが、自衛隊は、今でも極端な質重視です。
現役時から懸念している事項でした。

SUS 様
はたして本当に気にしてもらえるでしょうか。
PKOなども、明らかに法的に無理のあるまま送り出し続けてます……

アルフォンス 様
自衛隊でもモンスターペアレントですか。
私は幸いにも当たりませんでしたが……

名無し 様
親による世論形成にばかり期待する訳には行きませんが、事実そのような要素があるなら、当然に活用すべきですよね。

香港からの客人 様
>「旧軍が国力を出来る限り防衛に回したでも足りないので仕方なく精神論に頼った」に対し「今の日本は国力を防衛に回ろうともしない内に既に精神論者に成った」。こう言う意味で、今の日本は大帝国時代よりも劣るに成ります。
これは痛い指摘ですね。
まさに平和ボケの成せる技です。

香港からの客人 様
Suica割
「忠」も重要というのは、まさにその通りですね。
中国共産党が、これからも忠の対象たり得るかが重要ですし、日本とすれば、民主化が進まないことを非難する等、忠を下げる施策も必要だと思います。

純@LA 様
戦い方は変わってますが、士気が戦力に影響することは変わってません。
空軍のメカニック氏のケースですが、嘉手納が化学弾頭付きのミサイル攻撃を受けた際、とにかく自分が生き残りたければ、マスクを着けるだけでなく、できるだけ閉鎖された空間に閉じ篭もって、呼吸を少なくした方が生き残れるでしょう。
でも、その時に士気の高いメカニックは、機体を飛ばせるために努力するでしょうし、結果的にそれで戦いの帰趨が決まるかもしれません。
ただ、肉弾戦をやっていた時代と比べれば、比率が下がっていることは、紛れもない事実だと思います。

マリーンの士気は、確かに後で培われた要素が強いでしょうが、やはりそれに魅力を感じて入っている人が多いという背景はあると思います。

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