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2012年10月 2日 (火)

尖閣領有権問題は台湾から切り崩すべき

尖閣諸島の領有権問題解決には、国際司法裁判所への提訴など、様々な方法が考えられますが、台湾から切り崩すことは、非常に有効です。

その理由は2つあります。
①実行可能性の高い方法がある
②中国に口を出させずに、中国の歴史的主張を否定することができる

①の方法ですが、以前の記事「李大統領の竹島訪問阻止は可能だった」で韓国に対して使用を提言した方法と同じです。
つまり、台湾有事における周辺事態法の適用ストップをさせるというブラフを撃つことです。
そしてそれ以上に、「普天間を閉鎖し、海兵隊を追い出すぞ」というブラフは、更に強力です。

その効果は、対韓国の比ではありません。
韓国には、相当の量の在韓米軍が居ますが、台湾には常駐米軍戦力はゼロです。

台湾有事に対処する戦力は、全て沖縄に駐留しているため、周辺事態法の適用ストップは、その戦力発揮を間接的に阻害することになりますし、普天間の閉鎖は、緊急時の3MEFの台湾展開を大幅に遅延させます。

周辺事態法の適用ストップは、嘉手納からの航空戦力の投射には直接影響しませんが、日本が後方支援を行わなければ、嘉手納からの攻撃能力にも遅効性のボディーブローとなります。
また、台湾有事においては、米空軍は那覇空港やそれ以上に下地島空港を使うつもりでいるでしょうが、周辺事態法の適用ができなければ、それは不可能となります。
如何に、スーパークルーズと長大な航続性能を持つF-22でも、下地島が使えなければ、台湾へのエアカバーは相当きついでしょう。

米海軍の行動についても、佐世保、横須賀における日本の支援が無ければ、影響は無視できません。

日本が台湾に対して、本気でブラフを撃てば、尖閣程度は簡単に投げ出すはずです。
何せ、それは台湾(国民党政権)の生存に直結するからです。

②の中国に口を出させずに、中国の歴史的主張を否定することに関しては、1020年に中国の漁民が遭難して魚釣島に漂着した際、これを救助した事に対して、中華民国駐長崎領事が尖閣諸島のことを「日本帝國沖繩縣八重山郡尖閣列島」と明記して感謝状を贈っていた事実と関係します。
Letter_of_thanks_from_roc_consul_to
wikipedia(尖閣諸島問題)より

ブラフを撃って、台湾(中華民国)政府に尖閣の領有権が日本にあることを認めさせれば、当時の中国の正当政府が、1920年当時から、正式に尖閣の日本領有を認めていたことになるからです。

1920年には、中国共産党は結党さえされていません。(結党は翌年1921年)
当時、中国の正当政府は、現在台湾しか統治していない国民党政権でした。
これによって、中国共産党に口出しされることなく、”中国”が尖閣の日本領有を認めていたことを歴史的に明らかにできます。
尖閣がICJに提訴されるとしたら、この点は提訴前に明確にしておいた方がいいでしょう。

方法があり、しかもその(法的)効果は絶大です。
この方法を実際に行えば、アメリカも大騒ぎになるでしょうから、表立って行わない方が望ましいですが、最近の台湾は増長して日本の巡視船に放水までしていますから、舞台裏で銃を突きつけるくらいはしてOKでしょう。

ちなみに、台湾公船による日本公船への放水を、国連海洋法条約違反だとして咎める報道がありますが、あれは間違いです。
台湾船が海保に放水…国連条約違反、日本は抗議」(読売新聞12年9月26日)
何せ、台湾は国連海洋法条約に加盟してないので……

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コメント

ご存知だとは思いますが、日清講和条約(1895年)で台湾は日本に割譲されています。
従って中華民国政府から見れば、漂着したのが台湾であっても1920年当時は「日本領」でした。

私も国際司法裁判所への提訴に持ち込むのが最も良いと思っていますが、この文書は尖閣諸島が日本領である決定的な証拠になり得ないと思います。

BIFF 様
ちゃんと沖縄県八重山郡と書いてますよ。
ここに台湾付属尖閣諸島と書いてあれば、おっしゃるとおりですが。

なるほど、勉強になりました。
ありがとうございました。

私はこの策を韓国で利用についてもう語ったんですが、台湾向けなら確かに行けそうと想います。海兵隊は兎も角、空軍と海軍の展開まで支障が出たら確かに痛い。

そして、一番良い所は米国に知られた所で、大きいな声を出せない事です。これを公然に問題視なら、自分が台湾問題に「絶対に干渉」するといっていると等しい。これは中国との関係を邪険に成るとは必至で、今の米国はその覚悟が有りません。

さらに、一応台湾は国では有りませんので、不適用でも恣意とは言えません。
=
あの外交文書は確かに重々の一撃ですが、中国は恐らくカイロ宣言で行くでしょう。あれは、流石にViolenceと言えませんので、多分Greedで行くでしょう。

香港からの客人 様
なるほど、確かにアメリカ政府は、公式には声を出せないでしょうね。
日本に対して、水面下で強圧的に言ってくるというところでしょうか。

中国寄り政策にシフトしたクリントン(夫)時代と違って、現オバマ政権ではクリントン(妻)も、中国の人権・経済・軍事に対して歯に衣を着せない直接的な批判をするようになりましたね。
このまま中国の強気外交が続き、中国経済の下降が継続した場合の対中米国外交は数年前と比べて相当変わってくるように感じます。

ただ、同時に台湾の中国寄り外交が強くなったような気もするので、中華人民共和国はいよいよ中華民国を抱き込んだアジア攻勢を展開するような気も・・・・。

純@LA 様
アメリカの対中政策はかなり変わってきていますが、それ以上に、中国自身の外交政策の変化の方が激しいように思います。
その意味では、アメリカは対応しているだけとも言えるのではないでしょうか。

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