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2012年9月

2012年9月 1日 (土)

Xバンドレーダー追加配備_誤報と意味(その2)

前回の続きです。

続いて、配備場所を予測してみます。

日本政府筋によると、両政府は現在、沖縄県以外にある自衛隊基地に配備することで最終調整している。


他の記事でも、日本南部とか島とか報じられています。その上で、沖縄以外の自衛隊基地との報道が間違っていないのであれば、候補は次の3つだと思われます。
・沖永良部島(空自:沖永良部島分屯基地)
・奄美大島(空自:奄美大島分屯基地、海自:奄美基地)
・喜界島(喜界島通信所)

恐らく、周辺のレーダーマスク等も考えると、場所は沖永良部島の可能性が極めて高いと思われます。
Ws000000
沖永良部にAN/TPY-2を配置し、中国大陸方面を監視した場合の監視範囲

これだけ広範囲を監視できるのですから、FPS-5等による監視の補完として、非常に有益な措置です。
イージスやPAC-3による日本のMDにキューイングデータを送る上で、効果があるでしょう。

ですが、この措置の意義は、それだけに止まりません。
車力と沖永良部に配備されることを考えれば、そこには米軍の意図として、別の意味も見えてきます。

AN/TPY-2は、もともとTHAAD用のレーダーとして開発されたものです。
ですから、THAADランチャーを持ってくれば、即THAADシステムとして稼働させられる訳です。

THAADシステムも、C-17等による空輸が可能ですが、ランチャーはどうにでもなるものの、レーダーが十分な性能を発揮するためには、事前にその場所での電波環境にシステムの設定をしなければなりません。
例えば、広範囲を監視するシステムであればあるほど、その覆域内にある他の電波放射源がECMと同様の監視阻害要因となるため、ECCMと似たような活動が必要になってくるからです。
本年度の予算で、石垣島に移動式警戒管制レーダーを展開させるため、防衛省が電波環境調査を行っているのも同様の理由です。

車力と沖永良部には共通点があります。
それは、どちらも極東米軍の戦力発揮に不可欠な重要航空基地の近傍であるということです。(車力は三沢の近傍、沖永良部は嘉手納・普天間の近傍)
つまり、XバンドレーダーAN/TPY-2の配備は、緊急時にTHAADを展開させ、嘉手納等の防護をするための事前措置の可能性があるということです。

嘉手納には、PAC-3が展開していますが、グアムを攻撃できるほどの射程のあるDF-4等をロフト弾道で撃たれると、速度が速いためPAC-3で迎撃できない可能性があります。
現状では、それらに対してはイージスSM-3に期待するしか無い訳ですが、米軍とすれば、THAADとの2本立化を考慮しているのではないかと考えられます。

また、より広範囲なミサイルディフェンスを行う意図もあると思われます。
早期警戒レーダーを追加配備へ…沖縄以外で調整」(読売新聞12年8月24日)

青森の車力分屯基地より西方に配備することで、北朝鮮の弾道ミサイルに加え、米空母への脅威となる中国の対艦弾道ミサイルへの対応がテコ入れされることになるという。


THAADのランチャー配備制限については、資料がありません。
ですが、PAC-3がランチャーをレーダーと離れた位置に展開させ、防護範囲を広げるランリモートランチという機能を持っていることを考えれば、THAADも同様の機能を持っている可能性は高いと思われます。

仮に、THAADランチャーを沖縄周辺の離島(与那国島、石垣島、宮古島、久米島、沖縄本島、沖永良部島)展開させた場合のTHAADによるフットプリントは、次のようになります。
Ws000002

嘉手納は勿論、下地島、そして何より尖閣諸島周辺まで防護範囲に入ります。

つまり、これは中国の接近阻止戦略に対する対抗策ではないかと思われるのです。

今回の話は、急に降って湧いたような話です。
事の真相は、アメリカに「尖閣を巡ってアメリカの関与を望むなら、THAAD展開の事前準備としてAN/TPY-2を配備させろ!」とでも言われたのではないでしょうか。

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2012年9月 4日 (火)

モロッコでのオスプレイ墜落原因は失速_報告書は妥当か?

防衛省がモロッコでのオスプレイ墜落事故に関する分析評価報告書を発表しました。
原因は、なんと失速です。

以前の記事「モロッコでのオスプレイ墜落は、セットリングか?」で、原因はセットリングウィズパワーが疑われると書いたのですが、実際には、もっと遥かに単純な失速だったとのこと。
モロッコにおけるMV-22墜落事故に関する分析評価報告書
Ws000010
防衛省発表の事故概要

ただし、防衛省の報告書には「失速」の語は一語も出てきません。
恐らく、「失速」ではあまりに酷いと言うことで、使用を避けたのだと思われます。
玉虫色であるとも言えるでしょう。

状況を単純に言えば、背風状態のホバリングから、前進速度がつく前にナセルを前傾させたため、固定翼部分が揚力を発生させるに前に、回転翼での揚力も失われたという状況のようです。
原因を詳しく知りたい方は、前掲リンクの防衛省発表資料を見て下さい。

問題は、それが致し方のない人的ミスだと言えるのか、そして、その対策は採られているのかということです。

人間のミスはゼロにはできないため、事故の原因を人的ミスに求めることは、防衛省に限った話ではありません。
しかし、人的ミスは、必ずしも、致し方ない人的ミスとは言えません。
今回のケースなどは、それに当たると思われます。

一つには、フェイルセーフで防げなかったのかと言う疑問です。

人間はミスをするものですから、人間がミスをしても事故に至らないよう、システムを作ります。
このケースでは、前進速度が付くまでナセルを傾けることが出来ないようコンピュータ制御されていれば、事故が防げたはずです。
実際、報告書でも、このことに触れています。

この操作がなぜ上述のコンピュータ制御によって制限されることなく可能となったのかについて、米側より聴取したところ、機速40kt以下におけるナセル角度操作は、ナセル角度を60~75度に設定する転換モードにおける短距離離陸/着陸滑走時に必要となることから、コンピュータ制御によって操作不可能とすることはできず、このため、NATOPS飛行マニュアルによって禁止すること
で対応していると説明を受けた。


一見、なるほどと見えなくもありませんが、転換モードでのSTOL離着陸の場合だけフェイルセーフを働かせないように作り込めば良いだけでしょう。
この説明だけでは、納得し難いです。
むしろ、この書き方では、システム上の欠陥であり、機体というより、設計上の不具合ではないかとさえ思えます。
この事の言及しているニュース記事もあります。

報告書をそう言う方向でまとめないのは、日本政府として、機体設計にまで注文を付けられないという理由があるでしょうが、別の理由があるのではないかとも疑えます。

オスプレイはオートローテーションが難しいと言う情報があります。
そのため、非常時には固定翼モードでの滑空で機体をコントロールするため、強引にナセルを傾斜させられるように作っている可能性が考えられます。
ところが、オスプレイ反対派がオートローテーションが難しいことをもって、欠陥だとのキャンペーンを張っているため、これを言い出せなかったのではないかとも思えるのです。

防衛省がこの報告書をまとめることになった原因は、ウィドウ・メーカーとも呼ばれたオスプレイの欠陥機疑惑です。
ですから、そもそも、この報告書は人的ミスありきでまとめたものなのでしょう。

しかしながら、オスプレイは軍用機ですから、安全だけを考慮して作り込む訳にはいきません。
何らかの攻撃を受けた際、緊急に回避する必要から、通常であれば危険な飛行領域に入れる操作であっても、受け付ける必要もあるはずです。
ですが、そうならば、そうとはっきり書くべきだと思います。

また、対策が採られているのかという問題もあります。
一言で言って、この報告書には対策は何も書かれていません。ただ「事実はこうでした」と書いているだけです。

通常、この手の文書には、原因と対策を書くモノです。まとめるまでにこれだけの時間をかけたのですから、当然そうなっていると誰もが思うでしょう。
だから、沖縄県知事なども反発するのでしょう。

報告書の中を見ても、先ほどのフェイルセーフだけでなく、対策が必要と思われる記述が入っています。

なお、今回の事故を踏まえ、海兵隊においては、NATOPS飛行マニュアルにおける記載の明確化の検討についての提言がなされ、操縦士及び関係者に対する教育の徹底が実施されることとなっている。


この書きぶりも頂けません。
書き出しからして、なお書きで始まっており、読んだ人の印象からすれば、まるで人ごとです。
米軍にマニュアルの是正を求めるか、最低限でも日本政府として、国内で運用するためには特別の手順を求めるくらいは書いてしかるべきだと思います。

この事を指摘しているニュース記事もあります。
米手引書に不備 オスプレイ・モロッコ事故報告」(琉球新報12年8月29日)

米側の調査結果には、調査官の提言として「飛行マニュアル(手引書)内に、追い風の中での離陸から巡航への移行に関する参照事項をほとんど見つけられなかった」と記され、追い風の際の運用に関するマニュアルの不備が指摘されていることが明らかになった。だが、機体の安全性に直結するこの不備は日本側の報告書には明記されていない。


そして、対策についての言及不備は、結局防衛大臣が苦し紛れのコメントをするに至るというお粗末な結果をもたらせています。
オスプレイ:国内運用ルールに人的ミス防止策…森本防衛相」(毎日新聞12年8月31日)

森本氏は「(モロッコでの事故と)ともに人的要因だとすれば、飛行の安全を確保するためにどのような措置ができるのか、日米合同委員会での非常に重要なテーマになる」と述べた。


報告書の発表から、わずか3日でこんなコメントを出すくらいなら、最初からこの事を報告書に盛り込んでおけば、沖縄の反発だって、もう少し落ち着いたモノになっていたはずです。

マスコミは、沖縄の全員がオスプレイに大反対しているかのような書きぶりですが、実際にはそんなことはないでしょうし、政治家もそれなりに歩み寄りは見せています。
知事「受け入れ困難」 防衛相、オスプレイ事故分析を報告」(琉球新報12年8月30日)

 仲井真知事はオスプレイ配備について「原因の究明、安全の確認、日本政府が(安全を)保証することをわれわれが理解、納得できるようにすれば不安は払拭される」と述べ、より徹底した安全性の確認を求めた。


どんな機械にせよ100%の安全はあり得ない以上、保障しろというのは無茶な要求ですが、安全性が納得できれば不安は払拭されるとまで言ってくれているのですから、防衛省としても、もっと腹を割って話すべきではないでしょうか。

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2012年9月 8日 (土)

泥縄の水陸両用車導入

防衛省が来年度の概算要求に水陸両用車の導入を盛り込むそうです。
離島防衛に水陸両用車導入へ…島奪還能力必要と」(読売新聞12年8月29日)

 尖閣諸島を含む南西諸島の防衛力を強化するため、離島の上陸作戦に使う水陸両用強襲車を陸上自衛隊に導入する方針を固めた。
 2013年度予算案の概算要求に4両分、約25億円を盛り込む。
 離島に敵の上陸を許した場合に備え、迅速に洋上から隊員や物資を送り込み、島を奪還する能力の取得が必要と判断した。


南西諸島の防衛能力向上は、必要な処置です。
軍事評論家の中には、陸自の海兵隊化を唱える人もいるくらいですから、一見、妥当な施策のように見えます。

しかし、防衛省は一体これをどこで使うつもりなのか、疑問です。これははっきりさせて欲しい点です。

 導入するのは、米海兵隊が採用している「AAV7」。

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ウィキペディアより

尖閣には、AAV7が上陸できる場所など、ほとんどありません。
であれば、防衛省は、有人島である与那国や石垣、宮古島に対しても、取られてから取り返すという戦術を使うつもりなのでしょうか?
そんなことは許されないはずですが……

尖閣での衝突への拠点として、先島は重要です。
そのための防備なら、従来の戦車や装甲車でいいはずです。

ちなみに、竹島でも使いようがありません。
唯一、北方領土なら使いでがあるでしょうが、長期的視野に立ち、北方領土奪還のために装備するなら、中期防にも入っていないモノを泥縄で装備しても、ちぐはぐなことになるだけです。

離島だから水陸両用車という、非常に安易な発想で要求されているような気がしてなりません。

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2012年9月11日 (火)

UHX談合疑惑と自衛隊の装備開発姿勢

疑惑の内容が良く分からないため、積極的に書きたい話題ではないのですが、ここ数日のアクセス解析を見るに、無視できない話題なので、私が感じた自衛隊の装備品開発の姿勢と絡めて書いてみます。

疑惑の内容自体は、UHXの開発に関して、公示前に、その内容である仕様書の内容を伝えたことのようです。
ヘリ不正納入:陸自佐官級幹部ら 「仕様書」の内容伝える」(毎日新聞12年9月7日)

 陸上自衛隊のヘリコプターを巡る不正納入事件で、契約に関与した防衛省技術研究本部(技本)に在籍した複数の佐官級幹部らが同省の内部調査に対し、ヘリ開発に関する情報を受注企業側に伝えたと認めていることが分かった。必要な性能などを記した「仕様書」の内容を、企業選定時の「公示」の数カ月前に伝えたという。


仕様書自体を川重が代理作成していたとの報道もあります。
防衛省ヘリ談合 川重が“代理作成”か 仕様書で受注有利に」(産経ビズ12年9月7日)

 提案書の参考となるのが、研究や開発を担う技術研究本部(技本)が提示する仕様書。関係者によると、技本の複数の佐官級幹部が川崎重工の担当者らにヘリの機能として最低限必要とする仕様などを漏らし、これを受けて川崎重工側が仕様書を“代理作成”した疑いがあるという。


事実関係は、捜査中なのではっきりしませんが、この報道に対して清谷信一氏が興味深い記事を書いています。
UH-X談合疑惑そもそも論

 防衛省の装備調達で、本命業者が仕様書を書いてるなんで、業界では常識、公然の秘密です。
 実際メーカーの方で、開発しながら仕様書書いたり、本来官側が書くべき各種レポート書いていたと証言する人間を何人も知っています。


私は、開発の最前線で働いた経験はないので、この話が本当なのかは知りません。ですが、感覚的には、ありえそうな話という気がします。
開発中の装備やこれから開発される装備に関して、現場の意見が反映されることが、あまりにも乏しかったからです。
「防衛省として欲しいモノ」が開発されるのではなく、「メーカーが作れるモノ」を開発するという姿勢ありきだったように感じてました。

清谷氏は、こうも書いています。

 既に過去ぼくが指摘してきたように防衛省の調達担当部署の人員は列国に比べて一桁少ない陣容です。それでまともな調達ができるはずないじゃないですか。

 ですが仕様書が書けないということは、本当は自分たちが何を欲しいかと把握していないということです。
 つまり防衛省には当事者能力がない。 


人員不足に加えて、私が感じていた問題は、開発に関する運用系の人間が関与できるチャンネルが非常に少ないことです。

空自の場合ですが、開発集団への現場を知る人員配置が少ないことがあります。技術特技の人間だけでなく、運用や整備の現場に携わった人間が定期的に開発集団にも配置され、開発に携わることが必要だと思いますが、それらは非常に少ないと感じました。
それが左遷ととられる事も問題だと思いますが……

指揮系統に沿った現場意見の反映は、確かにされてます。
空幕に意見を上げて、空幕の装備体系課がそれを開発サイドと調整してゆく訳ですが、何せこちらも人員が少ないためか、十分に機能しているとは思えませんでした。
もちろん、予算の制約とかが多いのでしょうが……

そんな訳で、業者が仕様書を書いてるなんて話は、とんでもない話ではありますが、私は「さもありなん」と感じてしまいます。

結局、調達・開発にかける予算の不足が根本原因なんでしょうね。防衛費総額の問題でもありますが、自衛隊の極端な「槍の穂先重視」が背景にあるように思います。

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2012年9月13日 (木)

コブラボールがJL-2捕捉試験を実施か?

こんなニュースがありました。
沖縄近海でナパーム投下か 外来のFA18」(琉球新報12年9月5日)

 米軍嘉手納飛行場で4日、外来機のFA18戦闘攻撃機6機が、非人道的な兵器として国連が製造と使用の禁止を決議したナパーム弾の改良型焼夷(しょうい)弾MK77計16発を搭載し離陸した。帰還した際には搭載していなかったため、沖縄近海の射爆場で投下したとみられる。
(中略)
 また偵察機の一つで米ネブラスカ州オファット空軍基地所属の弾道ミサイル観測機RC135S(通称・コブラボール)も午前11時20分ごろに離陸した。

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同記事より(Mark77×3発を搭載したF-18)

コブラボールの性能については、極秘中の極秘でしょうから、さっぱり分かりませんが、4日前後に極東で弾道ミサイル発射の情報が無かったこと、及び実に符号するタイミングで離陸していることも考えると、Mark77を使って何らかの試験を行っていた可能性が高いように思われます。
Mark77爆弾(wiki)
11:20頃 コブラボール離陸
11:36頃 F-18編隊(4機)離陸
16:10頃 F-18編隊(2機)離陸

可能性としては2つ考えられます。
①コブラボールの誤警報確率が高く、Mark77等の焼夷弾・ナパーム弾等で誤警報が発生するか確認した。
②東シナ海からの、水中及び水上発射された弾道ミサイルのコブラボールでの捕捉性能を確認していた。

①は、米国内でも試験できますから、わざわざ沖縄近海で試験を行っていたことを考えると②の可能性が高いような気がします。

中国が開発中のJL-2(巨浪2号)対策かもしれません。

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2012年9月15日 (土)

尖閣には危機の演出が必要

尖閣で、もはや示威行為と呼ぶべき中国公船の活動が行われました。
尖閣:中国船6隻、領海を出る」(毎日新聞12年9月14日)

海保幹部は「警備体制を強化していたために対応できた。中国側は抗議行動のレベルを上げており、今後も警戒を強める」と話す。

海保が、本当に「対応できた」と認識しているなら、それは甚だしい誤解です。(少なくとも、現場にはそんな認識はないと思いますが)

先日、このブログが転載されているBLOGOSと日本財団が主催するイベント「最前線から考える領土問題」に行ってきました。

そこで、一色正春氏が、尖閣周辺の中国公船についての活動について、海保巡視船も中国公船も、お互いにこの海域から出て行けと言っており、占有時間と隻数が違うだけで、”実効支配”が非常に危ういと言ってました。しかもこの状況は、中国が公船の拡張を行っている事と相まって、徐々に中国側に傾きつつあるとも言ってました。
今回の領海侵入事案は、まさに一色氏が指摘したとおりの展開だと言えます。

海保の方が、現場海域に多くの隻数、長くの時間止まっていたというだけで、双方の活動には大差ありません。

同趣旨の分析を載せている報道もあります。
中国、多数の船で管轄主張…日本の支配崩す狙い」(読売新聞12年9月15日)

 近く漁業監視船も派遣する予定で、尖閣諸島海域に多数の政府所属の船を常駐させて尖閣海域での「管轄の実態」を作り上げ、日本の実効支配を突き崩すのが狙いだ。


また、尖閣周辺海域では、既に日本人による漁業ができず、中国人ばかりが漁業を行う状態になっており、この点ではむしろ中国の方が主権を行使していると言えます。
弱腰の政府・外務省が尖閣に人を上陸させない状況において、公船の活動においても、中国の活動の方が活発になれば、もはや実効支配しているのは日本ではなく中国ということになります。

これに対抗するには、エスカレーション・ラダーを上がり、危機を高めなければなりません。
ブロガーを含む保守系の言論人でも、危機管理の観点などから、日本側からエスカレーションさせることに関して否定的な人が少なくありませんが、キューバ危機でも、核戦争直前まで危機を高めたからこそ、危機を終息させ得たのだということを学ぶべきです。

エスカレーションをさせるには、大義が必要ですが、今回の事態を考えれば、国際法的には十分に可能です。

日本語で「魚釣島は中国の領土。本船は正当業務を執行中」と無線で応答してきたという。

120914
前掲毎日新聞記事より

通過とは考えられない航路を採り、「魚釣島は中国の領土」とまで言っているとなると、国連海洋法条約19条の2d「沿岸国の防衛又は安全に影響を与えることを目的とする宣伝行為」に該当しており、もはや無害通航とは言えません。
日本の主権に対する明白な侵害行為であり、国際法的には、自衛権を発動することも可能です。

ただし、ラダーを一気に駆け上がる必要はありません。
中国が引き下がりやすいように、一段づつ上がればOKです。

政府、尖閣警戒を強化…中国漁船押し寄せ情報も」(読売新聞12年9月15日)

16日以降、大量の中国漁船が尖閣周辺に押し寄せるとの情報もあり、政府は海上保安庁による警戒監視を強化する方針だ。


中国は、明かに実効支配奪取を狙っており、前回同様に上陸させてやる訳にはいきません。警察を事前に上陸させておくことも必要ですが、海保の手が足りないようであれば、自衛隊に海上警備行動を発令させ、海保を手伝ってやることが必要です。

公船だけが来たとしても、海洋法条約に違反する以上、海警行動を発令して、自衛隊によるブラフを行うことも、日本政府の意志を示すことになります。
ちなみに、海警行動は空自にも発令可能です。那覇のF-15に周辺を哨戒させることも可能ですし、対艦攻撃能力の高いF-2を那覇に緊急展開させることも、中国に対し明白なメッセージを与えることができるでしょう。

何よりも、尖閣を渡さないという、日本の意志を明白に示すことが重要です。

以前の記事「「海保法改正による公用船への危害射撃」は不可能」にも書いた通り、例え海警行動が発令されても、自衛隊、海保双方とも中国の公船に対しては実力行使ができません。
公船の領海侵入に弱い対抗措置」(産経新聞12年9月14日)

 監視船は軍艦に準じる公の船に該当。日本が批准する国連海洋法条約では、領海内で正当な理由のない活動をする公船に、退去要求以外は何もできない。同条約は領海や海洋資源などをめぐるルールを定めているが、こうした公船への対抗措置は定められていないためだ。


ですから、日本が海警行動を発令しても、中国が対応を変えない場合は、次のラダーとして、安全保障会議を招集して、自衛隊に防衛出動を発令する構えを見せることも予期しておくべきです。

ここまで行けば、次は実際に防衛出動を発令しての戦争しかありません。そうなれば、アメリカにも関与してもらう必要があり、さすがの中国も考えを改めるでしょう。

中国は、日本による尖閣実効支配の有名無実化を狙っています。
私は再三主張してますが、これを阻止するためには、エスカレーション・ラダーを上がり、危機を演出する必要があります。

もし、そうなれば、中国は不当な邦人拘束等、理不尽な手を使ってくるでしょう。
そのためにも、そして自衛隊を動かすというブラフを有効化させるためにも、国民の強い意志が必要です。

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2012年9月16日 (日)

見過ごせない尖閣の天気予報開始

中国が、尖閣海域の天気予報を開始しました。
尖閣の天気予報開始、会談や訪日キャンセル…中国が対抗措置 軍事関連株値上がりも」(産経新聞12年9月12日)

 また、中国中央気象台は11日から、尖閣諸島と周辺海域の天気予報を開始した。周辺諸国と領有権を争う南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)、西沙(同パラセル)、中沙(同マックレスフィールド)の3諸島を管轄するため三沙市を新設したのと同様に、中国の領有権を誇示する狙いがあるとみられる。


産経は、領有権主張の誇示を狙いとしていますが、天気予報開始には、もっと恐ろしい効果があります。
それは、一般の中国漁船が漁を行いやすくなるとともに、中国政府として、尖閣海域での漁を明白に容認するとの意味があるためです。

また、このニュースとリンクするような、中国が漁船の進出を容認するとのニュースも過去に流れています。
中国、漁船の尖閣海域進出解禁を示唆」(産経新聞12年7月11日)

中国の漁業監視船が沖縄・尖閣諸島(中国名・釣魚島)沖の日本領海に侵入したことを受けて11日、中国の外務省報道官と国営新華社通信はそろって、同海域における中国漁船の進出容認を示唆する見解を発表した。中国は近年、日中関係の悪化を避けるため同海域に漁船が進入することを禁止しているが、日本政府による尖閣諸島国有化方針など一連の動きに対抗するため、これを解禁する可能性が浮上している。


巡視船に体当たりした船長や尖閣に上陸した活動家に対する日本政府の弱腰対応を見た中国は、公船による管轄権の主張だけでなく、民間による活動実績を作ろうとしていると見るべきです。

尖閣周辺の禁漁が、本日解禁らしいので、要注意です。

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2012年9月18日 (火)

韓国への入国拒否報復

先日、外務副大臣が韓流タレントの入国について発言して物議を醸しました。
来日難しい―外務副大臣 竹島遠泳の韓国俳優」(47ニュース)

外務副大臣の発言は、政府として入国禁止にするようなものではありませんでしたが、発言の発端は、みんなの党所属議員からのビザ却下提案でした。

私は、ニュースを聞いた時には、それはさすがにやり過ぎかなと思いましたが、韓国が同種のことをするなら、やはり対抗措置は採る必要があります。
韓国に「竹島は日本固有領土」のビラ…入国禁止」(読売新聞12年8月30日)

 韓国法務省関係者は29日、ソウル市内にある「独島(竹島の韓国名)研究所」と「韓国挺身隊問題対策協議会」の建物に「竹島は日本固有の領土」と書いたくいやビラを置いた日本人男性2人について入国禁止措置を取ったと明らかにした。
法務省関係者によると2人は、出入国管理法で入国を禁止できる「韓国の利益や公共の安全を害する行動を行う恐れがあると認める相当の理由がある人物」にあたると判断された。


また、観光で済州島に行ったというだけで入国拒否された人もいますし、昨年は佐藤正久議員を始めとする国会議員が鬱陵島を視察しようとした際にも、「「両国の良好な関係に役に立たない」という理由で入国拒否されています。

日本の場合も、出入国管理及び難民認定法第5条1号の14で「日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」は入国を拒否することができることになっています。

しかも、これだけではなく同法5条2号では次のように定められています。

法務大臣は、本邦に上陸しようとする外国人が前項各号(補足:上に書いた5条1号のこと)のいずれにも該当しない場合でも、その者の国籍又は市民権の属する国が同項各号以外の事由により日本人の上陸を拒否するときは、同一の事由により当該外国人の上陸を拒否することができる。


つまり、政府が韓国への入国を拒否された2名や佐藤議員等の処遇について、抗議するつもりがあるなら、対抗措置を採ることが法律にも規定されている訳です。

これだけ、一方的に不当な理由で入国拒否されており、しかも、それに対抗措置をとることを法律で規定しながら、何もしないのは、もはや単なる怠慢とは言えません。

しかし、やはり対抗措置は、もっと盛り上がってからやった方がいいでしょう。
年末を待って、紅白でこれを歌って頂いてから入国拒否がいいと思います。

少女時代 「独島は韓国領土」
(あまり気乗りしなさそうに歌っているのは何故?)

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2012年9月20日 (木)

領土問題改善は国民の意思次第

近頃、急激に盛り上がっている領土問題ですが、改善するか否かは、結局は国民の意思次第です。
竹島で韓国が合同訓練…日本に配慮?内容変更」(読売新聞12年9月7日)

 国防省によると、訓練は軍でなく海洋警察が主導して実施される。海兵隊による上陸訓練も見送られたほか、聯合ニュースによると、当初は4日間通して参加する予定だった海軍も初日だけの参加になった。いずれも、日本を刺激しないための配慮とみられる。


今まで、政府・外務省が形ばかりの抗議をしても、全く効果がありませんでしたが、今回は、国民の反韓感情が、韓国を牽制するという実績を上げたことになります。

別の報道では、韓国大統領府の高官が「友好国と戦争するためではない」と言ったそうですが、韓国は本気で日本を敵視していることを、K-POPを聞いて喜んでいる人たちも知るべきです。
韓国・盧武鉉政権が日本を「仮想敵国」に 05年当時、米に仰天提案していた」(JCASTニュース12年7月3日)

 盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代の2005年に、韓国政府が米国政府に対して、日本を仮想敵国として想定するように提案したというのだ。もちろん、米国側は困惑した様子だったという。
   この提案は、与党の「セヌリ党」元代表の鄭夢準(チョン・モンジュン)氏が、12年7月2日、国会で記者団に対して「まだ報じられていないこと」として明かした。


こんな報道があるからと言って、私は韓国を仮想敵国にすべきだなどとは思いませんが、韓国が日本を敵視していることは知っておくべきですし、それを理解した上で、領土問題で圧力をかけていくべきです。
政府・外務省はあいかわらず弱腰ですが、世論がまとまりさえすれば、韓国にも影響を与えられることがハッキリしました。

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2012年9月22日 (土)

臆面もない野田首相訓示

野田首相が年に1回行われている自衛隊高級幹部会同に出席し、臆面もない訓示を垂れたそうです。

国防に想定外は許されない」首相、自衛隊幹部に訓辞」(産経新聞12年9月11日)

 首相は「みなさんは組織や部隊を動かし、究極的には部下の命さえも預かる立場にある。毅(き)然(ぜん)とした態度でやるべきことを率先垂範し、感謝と信頼の心で部下と結びあうことを心にとどめていただきたい」と語り、リーダーとしての心構えを説いた。


毅然とした態度を取らず、やるべきことをやってない人が、何をか言わんや

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2012年9月23日 (日)

これが陸自の生きる道

先日の記事「泥縄の水陸両用車導入」に、多くのコメントを頂きました。
私としては、そんなに多くの反響がある記事だとは思っていなかったため、ちょっと驚きでした。

今後の陸自の方向性(自衛隊風に言うと陸自のあり方)について、多く方が関心を持っているのだろうと思います。
ですので、今回は、この件について書いてみます。
普段、どちらかと言うと、それなりに軍事知識のある方でないと分かりにくい書きぶりですが、今回は、多少平易に書いたつもりなので、知識のある方には、少々かったるい記事かもしれません。ご容赦下さい。

”今後の”あり方について書く前に、”以前の”陸自が何を考えていたのかについてふれてみます。
過去(ここ数年以前)の陸自は、海自及び空自とは、同じ敵を想定していても、同じ戦場を想定してはいませんでした。

この事については、以前にも関連記事「陸自高射特科の全般防空使用は試金石」を書いています。
今回の記事とダブる部分が多いので、参考に見て下さい。

さて、前述の同じ敵を想定しても、同じ戦場を想定していないとの記述は、場所もさることながら、陸と海・空の間で異なっていたのは時間軸です。

その発想の根源は、北海道の奪取を目論むソ連を仮想敵とした想定です。
この想定に対して、自衛隊の作戦は、着上陸を阻止することでした。
着上陸を阻止するということに付いては、3自衛隊とも共通です。
ですが、局面と様相は異なります。

海自は米海軍と共同し、制海権を維持することで着上陸を阻止しようとし、空自は航空優勢の確保と、航空阻止(AI:Air Interdiction)作戦(分かりやすく書けば対艦攻撃です)で阻止しようと考えていました。
これに対して陸自は、水際作戦も行うものの、最終的には上陸した敵を機甲戦力で撃滅する考えでいました。

海が天然の要害となる日本の場合、海空自衛隊が健在であれば、ソ連としても危険性の高い着上陸作戦を行えません。
ですから、着上陸の前に、海上及び航空撃滅戦を仕掛けて来ます。

ソ連健在当時、ソ連の圧倒的な物量の前に、海空自とも、米軍の助けが無ければ、海空撃滅戦に持ちこたえられるとは考えていませんでした。

結果として、陸自が戦う時は、海空自の壊滅後だと考えていた訳です。
この事が、空自が陸自に対する近接航空支援に無関心だと言われた所以でもあります。
特に、FS(当時)が対航空作戦でも有用な戦力となるF-2に換装された後は、陸自が近接航空支援を必要な時には、F-2部隊が活動可能な状態で残っているはずなどありえない、というのが一般的な航空自衛官の認識だったように思います。「近接航空支援の訓練なんかしても無駄」という訳です。
いきおい、空自は制空戦闘偏重になっていました。

一方で、陸自もこの事は理解していますから、対空戦力を決して手放そうとはしませんでした。ナイキを空自に取られた後も、ホークを配備し続けましたし、強力な中SAMも開発・配備しています。
そしてその任を”野戦防空”とし、ソ連による攻勢対航空作戦が行われ、航空基地が攻撃目標となっている時にも、空自を支援しようとはせず、展開している陸自部隊を防護することしか考えてはいませんでした。
このため、陸自高射特科部隊は、空自BADGEとの連接能力及びその統制下での組織的防空火力の発揮には関心が薄かった訳です。
この点について書いたのが、前掲の過去記事です。
ソ連空軍とすれば、攻勢対航空作戦を行っている時は、陸自対空部隊の展開地を避ければ良いだけなので、わざわざ手を出そうとすることも無かったでしょう。

このように、同じ敵を想定しても、同じ戦場を想定していないというのは、主として時間軸のズレでした。

しかし、ソ連崩壊後、ロシアによる北海道侵攻の蓋然性が低下し、北朝鮮による周辺事態と日本に対する弾道ミサイル攻撃、及び中国による南西諸島、特に尖閣に対する侵攻の蓋然性が高まると、想定される戦闘様相が変りました。

海空自は、弾道ミサイル防衛の任が加わった事を除けば、従来と大きく状況は変化していません。
ですが、陸自が対処すべき状況は一変しました。
空自の策源地(那覇、良くても下地)が遠く離れ、南西諸島周辺海域において、海自に対する一定の接近阻止能力を持つに至った中国は、海空撃滅戦を行うことなく、奇襲的に、あるいは政治的に対処困難な偽装漁民等を用いて尖閣等を奪取する蓋然性が高まっています。

陸自としては、海空自の支援を受けつつ戦うことができるようになった、とも言えますし、海空自と協同しつつ、作戦を行わなければならなくなったとも言える訳です。
このため、つい最近になって、空自のレーダーサイトやSAMサイトを警備する構えも見せるようになりました。
統合が声高に叫ばれるようになったのも、同時期です。
今までは、異なる時間軸で、それぞれ勝手に戦うつもりだったのが、協同して戦う必要に迫られたためです。

米軍でも、陸軍よりも海兵隊の方が、海空と密接な関係を持ってます。
海軍とは言うまでもなくですが、海兵隊独自でも航空戦力を持っているくらいですから、空軍との協同は必須です。

陸自の海兵隊化が進めば、同じ事が言えます。

陸自は、海空自の協力が得られる環境下において、それらと密接な連携を持ちつつ、極めて機動性の高い戦力をもって動的防衛を行うべく体制の変革が必要です。

具体的には、現在の中期防のレベルを超えて、私は次のような施策が必要だと思っています。
・輸送の困難な戦車等は削減し、機動戦闘車のような”戦略”機動性の高い装備を増やす
・特科火力は、自走砲を削減し、M777 155mm榴弾砲のようなヘリでも空輸可能な火砲を増やす
・無反動砲や迫撃砲と言った普通科部隊の火力を増強する
・ヘリを増やすとともに、空中給油能力を付与する。あるいはオスプレイを配備する

基本的には、陸自は動的防衛力という名の下、趣旨としては同じような方向で進んでいます。ですが、私はまだまだだと思っています。

陸自が変わりつつある一方で、海空自も陸自と協同すべく、動いています。
CAS(近接航空支援)を行うため、空自はレーザーJDAMを装備しましたし、海自はP-2にマーベリックを搭載さえします。
空自には、空輸能力の高いC-2が配備され、海自には、護衛艦という名前のまま、輸送艦としての能力を持った事実上の多目的艦として22DDH等を整備しています。

陸自は、更なる大きな変革をすべきだと考えています。

生き残るという意味ではなく、活用されるという意味において、それが陸自の生きる、いや活きる道です。

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2012年9月27日 (木)

オスプレイ沖縄配備と沖縄世論

オスプレイの沖縄配備について、防衛省・外務省が報告書をまとめました。

政府は、これを持ってオスプレイの沖縄配備を粛々と進めたいところなのでしょうが、しかし、残念な事に、沖縄の反発は収まっていません。

その原因は、この件だけでなく、政府が行う多くの行動に、沖縄(県民)を守ろうとする姿勢が乏しいからではないかと思います。

このオスプレイ配備にしても、モロッコ及びフロリダでの墜落後、政府の姿勢は、一貫してアメリカの立場に配慮したもののように”見え”、沖縄(県民)の安全を守ろうという姿勢が乏しいように”見え”ました。

オスプレイの危険性については、今回の報告書に別添として付けられた「MV-22オスプレイ事故率について」を見れば分かるように、実際には危険な航空機だとは言えません。

ですが、この報告にしても、リリースが遅すぎます。
政府は、このデータを、事故直後に手に入れられた、あるいは事故事前に入手していたはずです(何せこれと同趣旨の記事を個人のJSF氏が8月頭に書いています「特殊作戦用CV-22オスプレイとMH-53ペイブロウの事故率」)が、防衛省は、やっと発表した格好です。

そして、それ以上に、モロッコやフロリダでの事故原因と対策について、過去記事「モロッコでのオスプレイ墜落原因は失速_報告書は妥当か?」でも指摘したように、日本政府として、アメリカに対して強く対策を求めたような雰囲気が見えないことが、沖縄の世論が改善しない原因と思われます。

今回の報告書では、日米合同委員会の場などで、アメリカから対策の実施を取付けたことが書かれています。

しかし、折角アメリカから対策実施の言質を取付けたにも関わらず、沖縄世論が改善しないのは、この時点で初めてこれを言うことが、あくまで普天間への配備・運用ありきで言っているだけに”見える”からでしょう。

もっとうまくやるつもりなら、早期に概略をアメリカ側と調整した上、日本政府としてアメリカに断固とした対策を求める等の三文芝居を打てば良かったのだと思います。
日本政府は、単にアメリカに追従するのではなく、沖縄県民の安全に対して、真剣なんだぞと、態度を示せば良かったのです。

また、沖縄(県民)を守る姿勢が見られないことは、尖閣に上陸した中国人や、巡視船に体当たりした漁船船長の取り扱い、そして、それ以上に、尖閣周辺での漁を行う沖縄県民保護の姿勢がなってないからでしょう。

先日参加したBLOGOSの講演で、一色氏が言っていたことですが、尖閣周辺では、小舟で操業する沖縄の漁業者に対して、中国は大型船であるため、実際にはトラブルを恐れて操業できないとのことです。
これは、日中漁業協定の締結にあたり、沖縄の漁業者に配慮して、親身になって交渉しなかったからです。

尖閣に対する、アメリカの姿勢に対しても同じ事が言えます。
アメリカは”一応”尖閣は日米安保の対象だとは言っています。
ですが、尖閣を射爆場として日本から借りている事実もあるにも関わらず、尖閣の領有権に関して日本を支持するとは明言していません。
NOと言える日本政府なら、アメリカに断固抗議してしかるべきです。

かように、政府の沖縄(県民)を守ろうとする姿勢がないことが、沖縄世論が改善しない理由のように思われます。

もう少し、うまく芝居を打つべきでしょう。

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2012年9月30日 (日)

「日本海クライシス2012」の再公開

先日から、「日本海クライシス2012」の公開HPがリンク切れを起こしていました。

「もしや、北朝鮮からハックされたのでは?」
あるいは
「防衛省から目を付けられて、自衛隊のシステム防護隊がやったのかもしれない?!」
なんて思ったのですが、実際は私のネットワーク環境の契約変更にともなってHPのサービスが受けられなくなっていただけでした。

HPの再構成をするなら、リンク集などは修正した方がいい状態だったので、小説部分だけ、ネット小説公開サイトを利用して、そちらに掲載させて頂く事にしました。

以下のリンクから、読めるようになっております。

「日本海クライシス2012」

縦書きPDFや、携帯でも読めるようになっております。

内容的に、今年4月の北朝鮮による弾道ミサイル発射事例等には触れていないため、内容的には、若干古くなって来ておりますので、一応、公開は今年いっぱいを考えております。

考え方はいいが結論が×な前原氏

前原氏が、発想及び考え方は誉められるものの、非現実的な実施不能案を持ち出して、オスプレイ配備を混乱させています。
前原氏、米にオスプレイ沖縄配備の条件提示」(琉球新報12年9月12日)

前原氏は米軍の新型輸送機オスプレイを沖縄に配備する条件として、回転翼を前傾させた「転換モード」での飛行を基地と海の上空に限り、市街地を避けるよう求めた。


モロッコでの事故もフロリダの事故も、転換モード中に起こった事故です。
転換モードを危険だとして、市街地上空での転換モードを規制することは妥当のようにも思えます。

私が書いた以前の記事で、オスプレイの普天間配備にあたって運用制限をすれば良いと書いたことも、趣旨は同じような所にあります。
参考過去記事「オスプレイ事故原因と沖縄配備に向けた運用制限

ですが、前原氏の主張は実現不可能な非現実的プランです。
転換モードを基地上空と海上に限定するなら、固定翼モードで飛行して、基地上空で急減速しながらヘリモードに転換(そんな急な動作は危険ですし、そもそも無理でしょう)して着陸するか、洋上でヘリモードにして、市街地上空をゆっくりと普天間まで飛行しなければなりません。

米軍が現在考えているプランでは、普天間のかなり遠くから遷移モードで飛行するようです。
オスプレイ、市街地でモード変更 米環境審査書に明記」(琉球新報12年9月3日)
Photo
同記事より

ただし、冒頭の報道は、前原氏の発言を正確に報道していない可能性があります。
同じ内容を報じた毎日では「モード変換は基地上空か海上で行うように」と要請したと報じられています。
オスプレイ:市街地上空での飛行モード変換の回避を要請」(毎日新聞12年9月12日)

浅い角度でナセルを固定した遷移モードのまま、海上から基地上空まで来るなら、可能であり合理的な案だと思います。

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