尖閣切り崩しは国際司法裁判所と台湾から
政府は、尖閣に領土問題は存在しないとの立場です。
ですが、現状を鑑みるに、その主張は既に困難ですし、拘泥する必要もないと思われます。
中国が、領土的野心を引っ込める可能性がない以上、むしろ、国際問題化させた方が、日本の正当性を強く世界に喧伝できると思われます。
具体的には、現在の実効支配を続けることは勿論ですが、竹島以上に国際司法裁判所の活用を考えるべきです。
国際法的には、先占についても、実効支配についても、日本が裁判で負ける要素はありません。(だから中国が提訴に応じるはずはないのですが……)
中国国内は情報統制されているため、歴史の事実などが正しく伝えられていませんが、ICJに提訴されれば、中国版ツイッターで拡散したような法的論拠も、中国国内で知られる可能性が高くなるでしょう。
「広東の企業幹部が「尖閣諸島は日本領土」、中国版ツイッターで発言、人民日報記事など証拠挙げ、賛同広がる」(産経新聞12年8月25日)
中国広東省の民間企業幹部が24日、中国版ツイッター「微博」で「1949年から71年まで中国政府は釣魚島(尖閣諸島)を日本の領土と認めていた」と異例の発言をした。日本領有を示す53年1月の中国共産党機関紙、人民日報の記事や、複数の公式地図など根拠を挙げている。
政府が尖閣問題をICJに持ち込まない理由は、おそらく台湾への配慮だと思われます。
私も、断言できる程の知識はありませんが、台湾(中華民国)は、日本政府としても国家承認していませんし、台湾自体が国連に加盟していません(1971年脱退)から、ICJへの負託権限がないはずだからです。
ですが、ICJに負託せずとも、台湾とは政治上の対話で、解決できるはずです。
台湾は、戦略的に、日本との関係を悪化させることはできないからです。
アメリカは、台湾関係法を根拠として、台湾と事実上の同盟関係にありますが、中国に配慮して、直接戦力は配備していません。
台湾有事のための緊急展開戦力は、3MEFを始めとした在沖縄駐留米軍ですし、後方作戦基地は、嘉手納や横須賀を始めとした在日米軍基地です。
尖閣を理由として、日本の対台湾感情が悪化すれば、それによる不利益は、竹島における韓国の比ではありません。
そのため、現在でも台湾の尖閣問題でのトーンは決して高くありません。
「竹島・尖閣不法上陸 中国メディア、攻撃的トーンに終始…韓国では「冷静」呼びかけも」(産経新聞12年8月20日)
与党・中国国民党寄りとされる有力紙、聯合報系列の聯合晩報は16日付の解説記事「進退窮まる台湾」で、「小島の主権争い」のために、地域のバランスが崩れ、対中包囲網が崩壊しかねないと、アジア全体を見渡す視点で危惧を示した。
台湾については「中国と連携して反日のレッテルを貼られることを恐れる余り、怒りを飲み込んで声を出せずにおり、韓国のような強硬姿勢をとれない」と微妙な立場にあることも示唆した。
尖閣の領有権については、中国に対してはICJ提訴で、台湾に対しては政治解決で、それぞれ切り崩しができると思います。
問題が存在しないという政府・外務省の方針は、間違いでしょう。
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尖閣は確かに日本のものですが、以前から台湾の漁師が漁をしていた事も事実です。
そのため既得権としての、台湾漁師の漁業権はみとめるべきでしょうね
大陸の漁師の漁業権は認めるべきではありません。
大陸の人間には関係のないはなしです。それに、もし、認めれば乱獲により死の海となるでしょう。
基本的に台湾でも中共でも提訴してくれれば良いのですけどね。
投稿: みやとん | 2012年8月26日 (日) 19時15分
海外の新聞でも、竹島を取り返そうとする日本の姿勢を、中国の尖閣に対するそれに重ねて揶揄するような論調がありましたが「国際裁判に付託する気があるかどうか」という点では決定的に違うんですよね。
要は日本の周辺国は2国ともが自分の主張の法的根拠に自信がなく、日本にはあるという。
ちなみに韓国の掲示板では「国際司法裁判所での判決は国力で決まるので、提訴に応じたら日本に負ける」という言い訳がまことしやかに囁かれているようです。ひょっとしたら韓国政府関係者が意図的にそういう噂を流しているのかもしれません。自分達の正当性に実は自信がないということを国民に悟られないために。
仮に日本より国力のある中国の共同提訴に日本が応じて、それで日本が勝利したら今度はどんな風に言い訳するつもりなのでしょうか。小さな可能性ではありますが、興味深くもあります。
投稿: 名無し | 2012年8月27日 (月) 07時32分
ご確認下されば幸いです。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/08/23/2012082300653.html
台湾の真の狙いは、尖閣の帰属を議論する過程で台湾そのものの帰属問題(中国の一部か独立国か)を明らかにさせる事であると推測しています。
投稿: 松の陰 | 2012年8月28日 (火) 00時14分
みやとん 様
一定の漁業権を認めてやるから、日本の領有を認めろという交換条件は、いいかもしれませんね。
名無し 様
日本は、選択条項受諾宣言をしているので、「いつでも出るとこ出ようじゃないか」と言っている訳で、裁判を恐れる韓国とは180度逆ですね。
松の陰 様
ご推察の通り、台湾とすれば、尖閣が日中間でICJに提訴されれば、ICJが実際の裁判に進む前に、受理可能性を審議する過程で、台湾に言及せざるを得なくなることに期待しているのかもしれませんね。
投稿: 数多久遠 | 2012年8月28日 (火) 00時46分