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2012年7月17日 (火)

屋根の上の地対空ミサイル……東京での五輪開催に意外な障害

前回の北京オリンピックの際、中国は、テロを警戒して、会場周辺に地対空ミサイルを配備しました。
テロ対処等には万全を期す方向で考える私としても、「やりすぎじゃね?」と思ったのですが、今回のロンドン五輪でも地対空ミサイルを配備する方向のようです。
アパート屋根の上の地対空ミサイル 住民、テロ攻撃に不安、差し止め訴訟に発展」(産経新聞12年7月4日)

 ロンドン五輪へのテロ攻撃に対抗するため、英国防衛省(MOD)が計画しているのが、五輪競技施設近くの民間アパートの屋根の上に地対空ミサイルを配置するというものだ。今回の五輪は都市部で開催されるため、周辺に十分な防衛拠点を築くことができない。そこでMODが目を付けたのがアパートの屋上。ここに地対空ミサイルを配備することで空からのテロ攻撃に対抗できるという。


どうも、この流れが定着しそうです。
そうなると、これは東京がオリンピックを誘致するための障害となりかねません。

テロに対する備えも、開催地決定の考慮要素とされるであろうにもかかわらず、東京では、地対空ミサイルによる会場警備が、政治的にも、法的にも、難しいからです。

政治的な問題は、もちろん周辺住民の反対です。
前掲記事のようにロンドンでさえ問題になっているのですから、軍事アレルギーのある日本なら尚更でしょう。

自分の住むアパートの屋根に高性能爆弾が配備されるというのは物騒なもの。案の定、アパート住民によるミサイル配備の差し止めを求める訴訟が起こされた。住民を代表する弁護団は「アパートに住む住人の人権を侵害するもの」とし、「人口密度の高い住宅街にミサイルを配備することは容認できない」としている。


また、同記事は、テロにおいてもSEAD(シード:敵防空網制圧)/DEADが行なわれ、これによって配備地であるアパートが危険にさらされる可能性も指摘しています。

空からの攻撃を想定した場合、第一目標として周辺の地対空ミサイルを破壊。攻撃の第二波として五輪施設を破壊するというシナリオが考えられる。つまり、防御のための地対空ミサイルは格好の攻撃目標にもなり得るわけだ。


反対住民が出るのも、さもありなんです……

法的な問題もあります。
自衛隊が、テロ機に対して地対空ミサイルを撃つためには、治安出動が必要ですが、治安出動は「間接侵略その他の緊急事態に際して、一般の警察力をもつては、治安を維持することができないと認められる場合」に発令されるものなので、オリンピックだからという理由で発令できるとは考えられないからです。
(日本の場合、理解不能な解釈論を持ち出して、発令できることになるんでしょうけど……)

ちなみに
防衛出動が発令されていれば可能ですが、オリンピック開催のための警戒で防衛出動なんて、治安出動以上にありえません。
警護出動は、自衛隊の基地等か米軍基地等周辺でしか使えないので、ムリです。
災害派遣では、武器が使えませんし、被害が出る(テロ機が突っ込む)前に対処することはできません。
対領空侵犯措置は、外国機なら可能ですが、日本国内でのテロのために、わざわざ外国機を用意して領空侵犯するテロリストはいないでしょう。

ロンドンでの地対空ミサイル配備は、裁判所判断になるみたいですが、ロンドンでも行なわれると、東京がオリンピックを誘致するためには、考慮しておく必要がありそうです。

最後に、爆発物としてのミサイルの安全性に関しては、「抱いて寝ろ」と言われても、私は平気です。(そのくらい安全)

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コメント

日本は「代々木公園にパトリオット」どころか
「戦車が一般道を走ってる」と非難される国ですから

なぜか防衛兵器を「自分たちに向けられた危険物」と思い込んでいる市民団体。

北海道洞爺湖サミットではどの様な根拠だったのでしょう?
もしくは東京湾にイージス艦を展開させることは可能でしょうか?それであれば近隣住民はいません。

メリッサ 様
アレルギーは、大分改善してきたように思いますが、まだまだですね。

名無し 様
いわゆる市民団体の方々は、軍隊が国民を恐怖させるための暴力装置だというプロパガンダに染められてますね。

アシナガバチ 様
サミット警備ですが、「武器の使用」(警告・危害射撃等の法律で言うところの「武器の使用」)をせず、警戒するだけなら、自衛隊に行なわせる根拠法令は、何種類か考えられます。
①一番しっかりしたものとしては、自衛隊法第七十九条の二に規定された「治安出動下令前に行う情報収集」
②伝家の宝刀として、防衛省設置法第四条四項「(防衛及び警備や自衛隊の行動に関する)事務に必要な情報の収集整理に関すること」
③航空限定ですが、自衛隊法第八十四条「領空侵犯に対する措置」
④警察庁から依頼を受ける形で、国家行政組織法第二条第2項を根拠としたいわゆる「官庁間協力」
⑤いちばん乱暴なものとして「訓練」

①の治安出動下令前に行なう情報収集を出しておくことが最も望ましいと思いますが、流石にこれをさせていたなら大臣の命令が必要ですし、防衛省としては発表すると思いますから、洞爺湖サミットは②か④(戦闘機に関しては③)が使われたのだろうと思います。
①と官庁間協力以外は、どれも普段から行われているモノで、いちいち大臣命令等は不要なので、使いやすいです。

ただし、いずれにしても武器を使う必要が出てくれば、治安出動命令等を発して、それまでの任務から任務転用する必要があります。

オリンピックでイージスを東京湾に入れるとしたら、①~⑤のどれでも可能です。
が、ロンドンでも最も警戒しているのはラジコン機とか、かなりの小型機でしょうから、法律というより、実際の能力上、イージスではコラテラルダメージの方が大きくなってしまうでしょうね。

もはや先進国ではオリンピックを開くのは難しい時代なんでしょう。
国民に国家威信を高めるという意識の高い発展途上国なら物々しい警備も受け入れやすいですが、今の日本のように、イベントで生活のペースが崩されるのが嫌な層が増えると理解が得にくいですね。

Suica割 様
世界のどこで開催されても、リアルタイムで映像が見られる時代では、自国開催したところで国威発揚の効果が乏しいですから、先進国では開催の意義自体が低くなってきているでしょうね。

私も、正直言って興味ありません。
どんな警備が成されるのかは興味ありますけど。

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