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2012年7月 2日 (月)

イランによる原潜建艦の可能性と真意

イランが原潜の建造着手を表明しました。
原潜設計に着手か イラン海軍が表明」(産経新聞12年6月13日)

これについては、論点が二つ存在します。
①本当に作れるのか?
 (兵器として実用レベルのものが作れるのか?)
②本当に作るつもりなのか?
 (狙いは別にあり、偽装なのではないか?)

まず、原潜が作れるのかという点ですが、世界最初の原子力潜水艦「ノーチラス」が、1954年の竣工だったこと、世界最初の原発の運転開始が同年だったこと、及び既にイランのブシェール原発が商用運転していることを考えれば、原発と原潜用の炉がかなり異なることを考慮に入れても、技術的な下地はあるものと思われます。
(潜水艦の建艦技術についても、既に小型のものは実績あり)

ただし、単純に建造年で考えれば、イランの原潜建造技術は、「ノーチラス」レベルとも考えられる訳です。
しかも、ブシェールは、ロシアによるバックアップがあってこそな事を考えれば、「ノーチラス」以下かもしれません。

となると、これが実用に耐えるかと言われれば、答えはNOでしょう。
例え、航行できたとしても、恐らく静粛性に問題がありすぎ、姿を隠してこその潜水艦でありながら、当面は”どこにいても存在が分かる”というレベルのものにしかならないと思われます。

イランが、原潜を持ちたがる軍事的な意義としては、MDによって無力化されかねない地上発射式の弾道ミサイルに代り、戦略ミサイル原潜を持つことで、MDを回避できる核戦力を持ちたいのでしょう。

ですが、「ノーチラス」レベルあるいは、それ以下であれば、出航時から米攻撃原潜に貼り付かれ(しかもそれに気が付かないまま)、
弾道ミサイルを発射するそぶりを見せた時点で沈められてお終いでしょう。

ですから、「本当に作れるのか?」という疑問に対しては、少なくとも実用レベルのものは無理という結論になるでしょう。
中国が、練習用空母を持つことと同様に、練習用原潜のつもりかもしれませんが……

で、作れるのかという論点に対して、答えが”無理”であるのならば、なおのこと第2の論点「本当に作るつもりなのか?」のかが問題になってきます。

これに関しては、同記事を報じたロイターの記事が、良い記事を書いてます。
イラン海軍が原潜建造計画を表明、核協議に影響も」(ロイター12年6月13日)

外交問題のシンクタンク、カーネギー国際平和財団の核専門家マーク・ヒッブス氏は、多くの原子力潜水艦が燃料として、核爆弾を製造できるレベルの濃縮ウランを使用していると指摘。より濃縮度の高いウラン製造を正当化するために、イランが原子力潜水艦の建造計画を利用する可能性があると語った。


原潜建艦は偽装であり、本意は原爆の製造にあるのではないか、と言うのです。

原発に使用される核燃料のウランは、濃縮度わずか数%です。
対して、原爆を製造するためには90%以上の濃縮度が必要とされます。

このため、ナタンツの核施設が、高濃度のウラン濃縮を行なおうとしているなら、目的は原爆製造にあるとされる訳です。

ところが、同じ原子炉とは言え、一部の潜水艦や原子力空母に使用されるウラン燃料は、原爆と変らないレベルの90%以上の濃縮度であると言われています。
これは、原発と異なり、潜水艦等では、核燃料の交換が非常に困難だからであり、当初から高濃縮の燃料を搭載しておけば、船の寿命が来るまで、核燃料の交換を必要とならないからです。

イランとすれば、「原潜を造るために高濃縮ウランが必要なのであって、原爆を作るつもりじゃないよ」、という訳です。
ですから、「核技術を平和的に利用する権利がある
」などと言うのです。(原潜が平和的なものなのかは、大いに疑問ですが……)

イランの真意を証明する証拠はありません。
ですが、イランの技術力を鑑みて、遠い将来を見越した訓練用原潜を気長に作るのでなければ、原爆製造のための偽装として、原潜を造ると宣言した可能性が高そうです。

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