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« 歩哨犬の災害救助犬としての活用に異論 | トップページ | ロシア機の日本接近を隠蔽? »

2012年7月28日 (土)

尖閣への自衛隊投入には法整備が不可欠

野田首相が、尖閣への自衛隊投入を示唆する発言をしています。
尖閣問題「自衛隊の活用も」 首相、本会議で答弁」(朝日新聞12年7月26日)

 26日の衆院本会議で、「尖閣諸島を含め領土、領海で周辺国による不法行為が発生した場合は、必要に応じて自衛隊を用いることも含め、毅然(きぜん)として対応する」と述べた。
 民主党の楠田大蔵氏が「中国に尖閣諸島が不法侵入された場合の自衛隊や政府の対応は」と質問したことに答えた。


野田首相は、森本氏の防衛大臣への抜擢等、最近急激に保守色を強めています。今回の発言も、この流れに沿ったものなのでしょう。

もちろん、歓迎すべき流れですが、単なる人気取りのお為ごかし発言であってはなりません。
発言にあったように「自衛隊を用いる」ためには、法整備が不可欠だからです。

国会における上記のやりとりは、最近の中国船籍による領海侵入事例の頻発から交わされたものです。
昨年8月には、漁業監視船2隻が領海に侵入、海保の呼び掛けに対して「中国管轄海域において正当な公務を行っている」と応答しています。
今年になってからも、3月には海洋調査・監視船の「海監50」及び「海監66」が領海に侵入し、海保に対して「パトロールを行っている」と応答したのみならず、今月に入ってからも漁業監視船3隻が領海に侵入しました。

海保は、これら船舶に対して、領海からの退去を求めました。
海保としては、国際法上も国内法上も、これができうる限りの対応です。

国際法上は、領海に対しても、無害通行権があるため、漁業監視船や海洋調査・監視船が、ただ通過しただけなら、それを咎めることはできません。
ですが、無害でない行為を行なった場合は、領海侵犯を行なったことになります。
その場合とは、国連海洋法条約19条で、次の通り規定されています。

a 武力による威嚇又は武力の行使であって、沿岸国の主権、領土保全若しくは政治的独立に対するもの又はその他の国際連合憲章に規定する国際法の諸原則に違反する方法によるもの
b 兵器(種類のいかんを問わない。)を用いる訓練又は演習
c 沿岸国の防衛又は安全を害することとなるような情報の収集を目的とする行為
d 沿岸国の防衛又は安全に影響を与えることを目的とする宣伝行為
e 航空機の発着又は積込み
f 軍事機器の発着又は積込み
g 沿岸国の通関上、財政上、出入国管理上又は衛生上の法令に違反する物品、通常又は人の積込み又は積卸し
h この条約に違反する故意のかつ重大な汚染行為
i 漁獲活動
j 調査活動又は測量活動の実施
k 沿岸国の通信系又は他の施設への妨害を目的とする行為
l 通航に直接の関係を有しないその他の活動

この他にも、潜水艦は浮上航行を義務づけられています。

漁業監視船による漁業監視活動は、これらの項目には該当するとは思われません。
海洋調査・監視船によるパトロールは、j項の調査活動に近いですが、黒とは言い切れないと思われます。
中国としては、条約を踏まえた上で、ギリギリの行為をしている訳です。

過去には、海洋調査船「北斗」が、曳航ソナーのようなものを曳航してj項に該当すると思われる調査活動を行なっておりますが、この時には排他的経済水域に入ったのみで、領海には侵入していません。
こちらのケースは、場所に関してギリギリの行為をしていると言えます。
(このまま領海に侵入すれば領海侵犯)

ちなみに漁業監視船が領海侵入しただけで、直ぐに領海侵犯と書く新聞もありますが、あれは間違いです。

ですが、前述の通り無害でない行為をした場合には、領海侵犯として対処することになります。
しかし、その際にも、相手が漁業監視船や海洋調査・監視船と言った公用船の場合は、国連海洋法条約で定める「軍艦及び非商業的目的のために運航するその他の政府船舶に適用される規則」が適用となるため、損害の賠償は要求できても、拿捕・臨検するとなれば、戦争を覚悟しなければなりません。
(プエブロ号事件のように戦争覚悟で瀬戸際外交を行なう国もあるでしょうが、日本ではムリでしょう)

そして、問題の核心は、国内法です。
上記の国連海洋法条約の規定を受けて、海上保安庁法(以下海保法と記述)第20条2項に「当該船舶の進行を停止させるために他に手段がないと信ずるに足りる相当な理由のあるときには、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができる。」と規定されています。
ただし、この規定は、同条2項一号において「当該船舶が、外国船舶(軍艦及び各国政府が所有し又は運航する船舶であつて非商業的目的のみに使用されるものを除く。)と思料される船舶」の場合のみに適用されることとされており、中国海軍艦艇や、海洋調査・監視船、それに漁業監視船には適用できません。そのため、これら船舶には、強制的な臨検や拿捕ができません。

そして、これは自衛隊を投入した場合でも、海上警備行動では、海保法の準用しかできないため、法的には海保となんら変わるところがありません。

中国海軍が出てくるようなら、防衛出動を発令して迎え撃つしかありませんが、海洋調査・監視船や漁業監視船相手に、防衛出動はできません。

野田首相が、本気で自衛隊を投入するつもりならば、海上警備行動の規定を見直すか、領域警備に関する法令として、新たな法令を制定する必要があります。

ああいった発言をする以上、法改正にも取り組んで欲しいものです。

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防衛関係法規・規則」カテゴリの記事

コメント

自国の領土守る為に軍隊を出す為には、
法整備が不可欠ってのも凄い話ですね;

最近中国の公船は以前に比べてちょっと生意気に成ったので日本政府も慌てる事に成ったらしいが、はっきり言うと今自衛艦を出すのは悪手です。日本感覚だけではなく、世界感覚でも時期尚早でしょう。

相手は未だ海警船でも出してない時点で海軍相当の海自を出すなら、国際慣例でも庶民の意識にでも過剰防衛に成るし、中国にタダで口実を与える事に成るし、切り札を出したから以後の対応の柔軟性を犠牲に成るし、何より今必要なのは重兵器ではなく柔軟に動ける部隊です。国際慣例に参考すると、海保の船がこれに該当します。

そもそも、未だ慌てるの時期ではないと想います。魚政船は「自分の領海」に90分しか入れなかったのは心の何処がで、「これは日本の領海」と意識している、負い目が有る行動だと想います。

(因みに、無害航行の違反態様について(j) "carrying out of research or survey activities"は不該当と思います。日本の正式翻訳に失礼ですが、Researchは調査より研究に該当と愚考します。因みに警邏/哨戒(Patrol)と調査(Investigate)だけでも性質的に結構違うと想います。違反態様は寧ろ(l)及び(d)(特に自分の領土だと宣言した後)。

或いは中国船の動きは果たして「通過」(Passage)に該当できると疑問するも良いと想います。)

話に戻すと、慌てな悪手で対応より寧ろもっと余裕を持つ態度を示べきだと想います。海保に任務を続けさせる。だが、UNCLOS第25と30条へ解釈を変更し、これに伴い海保法第20条2項の「公船適用除外」を消す。これにより、侵害しているの中国魚政船の生存は日本の機嫌や政治的配慮に因る物に成り、これで日本の実効支配は更に強めるに成る。

以前の話の続きにも成るが、この変更に強い反対を出せる国が無いでしょう。先ず、UNCLOSの構成上、第25条は軍艦にも有効の筈。なにせ、第25条はUNCLOSの第二章(Part)、第三部(Section)、副部(Subsection)A「全船舶に適用」の部分に有ります。そして副部Cは「軍艦とその他の非商務用途公船に適用」の部分。つまり、軍艦は副部B「商船及び商務用途公船に適用」の部分だけを無視出来る筈。そして、第25条3項を見ても、第25条は軍艦適用除外の解釈はやはり可笑しいと想います。

そして、確かに公船は慣例上色々な特権が持ち、そしてUNCLOS第十五章に和平な方式で紛争を解決すべくと言った。

がと言って、政治的配慮により撃退保留が兎も角、領海内「無害航行」以上「切迫な侵害」未満の敵国公船に対し半永久的放浪(和平な方式に限定すると、事実上そうに成るから)しか無いと言う法解釈が例えFreedom of Navigationを謳う米国すら容認し難いでしょう。他の国の望む解釈は基本的に米国やイギリスより狭いですから、さらに反対しません。
遥かに狭く解釈しようとする中国は文句を言う筋合いではないし、言おうなら自分の立場もさらに弱く成る。

そもそも、日本の法律を良く理解しているの外国人は凄く少ないらしく、少なくとも中国魚政船は理解していなく、多分「海保は何時か撃つ」と思っているらしい。日本の法律を分かるなら、負い目が有っても90分じゃなく、90日も在留したんでしょう(どうせ撃たれる事が無いから、この方が有効)。なら、法令をこの認識に合わせるでも、別に批判を受ける事が少ないと想います。

因みに、戦争覚悟の必要が有りません。まあ、勿論合法でも相手公船を撃つと相手は逆キレする事が有るでしょう。だが、少なくとも法的には例え日本は領海侵害の中国公船に撃ったとしても、第25+30条の解釈によって必ずしも第279条に違反したとは限らないですが、中国はこの「解釈問題」に乗って戦争を乗ったら、第279条違反から、不正且つ過剰防衛、比例原則違反等に成ります。

仮に「釣魚台是中國的領土」の立場から始めても、魚政船が武装が有るなら正当防衛及び警察力行使として反撃が許す。そして、海保の船は「釣魚台」の領海外に逃げでもHot Pursuitと言う事で石垣まで追撃が許す。だが、仮に戦闘の結果は魚政船の沈没或いは行動不能になら、海保の船は一時的に領海外まで撤退なら再び公海と成り、追跡も一度切断に成ったので中国は此れ以上の追撃が許さない(まあ、多分この時点で日本政府は介入し、石垣まで退却に成りますが)。そして、行動したのは飽くまで「日本の警察」なので「武力攻撃」に該当しないとする。つまり、中国側見ても、軍事行動が取れば過剰防衛、比例原則違反に成ります。そして国際政論なども考慮が有り、結局戦争に成らないだと想います。

いぬざめ 様
れっきとした戦争なら、必要はないです。
もっとも、有事法制が出来たのも最近ですし、不備もまだまだありますが……

香港からの客人 様
私も、今の時点で自衛艦を出すべきとは思ってません。
政治的には、海保には酷かもしれませんが、少なくとも海保に死傷者が出るまでは、頑張って欲しいと思ってます。
ただし、通過することなく居座るようなら、海自を出して威嚇も必要でしょうね。

その時になって慌てないための法整備です。

UNCLOS第25と30条の件ですが、軍艦に対するnecessary stepsがrequireに限定されているだけで、25条は適用されています。

「海保は何時か撃つ」と思っているなら、勇敢な漁船船長もいたものだと思いますが、確かに、居座らないところを見ると、海保が撃つと思っているのかも知れませんね。
その方がありがたいですし。
漁業監視船が、旗を下げてくれれば、不審船として撃てるんですが、どうどうと中国の領海だと宣言するくらいですから、これはないでしょうね。

政治的にも、戦争は覚悟しないといけないでしょう。
中国では、軍事行動を支持する世論も多いみたいですし。もっとも、アメリカが尖閣が日米安保の対象だと認めている内は、中国も大きく出てはこないとは思いますけど。
法的には、漁業監視船が領海内に居座る等、国連海洋法条約に違反する行為を行ない、同条約による保護を受けられない状態になれば、国際法的には強制措置も可能だと思います。

なお、中国でも同じだと思いますが、何らかの強制力を働かせるなら、中央での判断になります。
現地の巡視船は、正当防衛による反撃だって、おそらくしないでしょう。

>政治的には、海保には酷かもしれませんが、少なくとも海保に死傷者が出るまでは、頑張って欲しいと思ってます。

例え死傷者が出ても、相手は軍艦或いはこれに准するの海警船(中国海警は確か053型フリゲート艦を二隻程度保有します故)が出すまで海自の出番は遅れる方が賢明と思う。

> ただし、通過することなく居座るようなら、海自を出して威嚇も必要でしょうね。

今の国際法及び国内法解釈じゃこの威嚇は直ぐに通用しなく成る。海保船は発砲しないのは実行猶予扱いで威嚇力を保てるが、自衛艦まで出すと「これは厳重事態だ」と認めるに等しい。

相手は直ぐに引く内は良いけど、長期に無視された尚発砲しないなら、全体な抑制力の低下に繋がる。

>UNCLOS第25と30条の件ですが、軍艦に対するnecessary stepsがrequireに限定されているだけで、25条は適用されています。

成程。自衛隊法第82条+第93条セットと同じ扱いですね。

日本の安全保障法制はNegative List化前に、こう言う拘束的な解釈から離脱する必要は有りそうね。

Positiveリスト思考なら、第30条で第25条の権限を制限するではなく、第30条の権限を第25条に足して動けるの総空間を割り出す筈です。

そしてそもそも第25条は必ずしも第30条に同時発動と限りません。無害でない(第25条の要件)は国内法違法(第30条の要件)と違うから。
例えば、有る中国公船は尖閣諸島の領海に通過しながら大きく「釣魚台是中國的領土」と叫んだとしよう。この場合、第19条2項の(d)と(l)違反に該当できるので、無害通過ではないと認定する事が出来る。
だが、航海だけは国内法では違法とは言えないし、言論の自由を謳うの民主国家日本に置いて「釣魚台是中國的領土」と宣言した所で意見発表の一つで有り、違法で所が保護すべきの権利すら言える。この場合、第25条しか当てない。第30条で第25条を限定する事も出来ないので貴方の法解釈によっても要求以上の処置を取る事が出来る筈。
そして、この公船は更に汚染物を出したとしよう。この場合第19条2項の(h)違反に該当上に、日本の国内法も違反した。だが、第30条も当てるによって、日本の行動制限が狭く成った?!

この解釈は何処が可笑しいと思わないですが?

>「海保は何時か撃つ」と思っているなら、勇敢な漁船船長もいたものだと思いますが、確かに、居座らないところを見ると、海保が撃つと思っているのかも知れませんね。

漁夫は恐らく法律の「律」も書け辛いの輩でしょう。

だが、漁政も政府機関で有り、日本法律を全く読まない程勉強不足じゃないでしょうが、事実上、もし国際感覚で日本の法律を読むなら、射撃可能の結論にたどり着ける。

日本の政府機関に関する法令は基本的にPermissive性質だと外国人を読んでも出来るですが、外国人は普通は日本の様に二法をベン図の様に被って、被ってる部分だけ使うではなく、二法を足して与える権利の総和を使うのが普通だと想います。そして、法令を政府が最大限利用と想定する。

例えば:
「我らは主権宣言為に船を釣魚台へ派遣する事に成った。そこは日本人が自分の領土及び領海と思っているし、海保の船を哨戒している。法律顧問、彼奴等は*法的*に何が出来る?」
「彼奴等の視点からすれば、わが船が撃沈しても法的だと想います。」
「何故ですが」
「海保は武器使用なら、海保法第20条です。私達は公船なので、流石に20条2項は使えないですが、1項が使える。」
「何ですがあれ?」
「警察官職務執行法第七条準用と言ってます。これに拠ると『公務執行に対する抵抗の抑止のため必要である…場合…武器を使用することができる。』公船除外を言ってません。」
「だが、ほらここ『但し、正当防衛若しくは緊急避難に該当する場合又…人に危害を与えてはならない。』 と書いてるじゃない?」
「そもそもあれは一人の警察官が一人の犯人向けの制約で有って、この場合は役が立ちません。

先ず、我が船は死傷者無く撃沈された場合、そもそも該当出来ません。気を付けて撃つならこの結果が出る可能性が高い。わが船は武装無しだし。
死傷者有ったとしても恐らく溺れるとか爆発に巻き込まれた等だから、別に彼奴等から直接危害を与えた訳じゃないので未だ該当できません。もし彼奴等は『人に危害を被らせる』辺りを書いたなら別ですが…『与え』は主動形です。

そして例え彼奴等は直接銃を我が隊員に向け撃ったとして、そして撃った奴を特定できでも多分あれは上官命令に成る。この場合国家公務員法第98条により、上官命令として正当行為と申すもできるし、彼奴等から見れば私達は『不正』の侵入者で有るため、正当防衛にも成り得ます。
正当防衛は『急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。』と言っただけです。文字通り読めば、飽くまで権利を守るのは優先だし、取り得る行為の絶対上限が無い。

後は法廷の解釈に成るが、私達は中国人、彼奴等は日本の公務員。無罪に取り得るの解釈が有る限り、事実上無罪に成ると思う方が自然だ。で言うか、そもそも法廷に至ると思えません。まあ、彼奴等は海保では無く、海自なら話は違うかもしれんが…」
「国際法は?」
「第30条と第25条を足せば国際法上最後の手段として許します。ただち、第25上は一応『必要』と書いたので、私侵入したばかりに射撃するのは流石にそれの違反に成る。だが、時間が長く成、他の手段も尽くした後、必要性が自然に成立する。」

「分かった。船長に伝えろ:
『命令:海保の船に阻まれる場合でも進路維持して釣魚台周辺の領海に入る。この過程に勿論、我が国の主権を宣言せねば成らない。ただし、脅威に思われる様な行為は厳禁、そして領海内の時間は90分に限定。』」

日本の法に対しの考え方も良く勉強しない限り、日本的解釈はあまり出ていません。

>漁業監視船が領海内に居座る等、国連海洋法条約に違反する行為を行ない、同条約による保護を受けられない状態になれば、国際法的には強制措置も可能だと思います。

これを長期続ける場合、そもそも通過すら呼べないでしょう。無害通過権は飽くまで第2条に認めた主権の例外で有り。違反が有るの無害通過すら該当しない場合、公船を法的に守るのはただ第32条に成る。

この為にも、海保法第20条2項の「公船適用除外」を外すべきと想います。

香港からの客人 様
海保に粘って欲しいのは、純粋に、国内対策です。
先日、東京都がアメリカで意見広告を打ちましたが、国際的にはどんどん問題化して構わないので、中国海軍より先に海自艦艇を出すべきだと考えています。

尖閣に関しては、歴史的にも、法的にも、国際司法裁判所に持ち込めば、日本は負ける要素はありませんから、アメリカが日本を支援してくれる限り、事を荒立てても問題ありません。
日本は、「では、どうぞ国際司法裁判所に持ち込みましょう」と言えます。

25条と30条の件ですが、そちらの解釈だと、30条は死文化(意味のない条文になる)しますよ。

書いて頂いた例ですが、やはり法治国家でないところにお住まいだと、書かれていたようなイメージになるんでしょうね。
「大分感覚が違うな」と思います。

公用船の件ですが、公用船は、陸地における外交官特権と同じですから、できてもペルソナ・ノン・グラータ (Persona non grata)でしょう。
外交官を逮捕・拘束、あるいは殺害するなら、外交問題化は覚悟しなければならないと思います。

数多久遠様
横からすみません。
素朴な疑問ですが、現在の政府の立場は、「尖閣諸島に
領土問題は存在せず、従って国際司法裁判所への提訴の必要を認めない」との立場だったように思います。(すなわち竹島で日本がやられている逆の立場)
ということは、国際司法裁判所に持ち込みでしまったら、日本のアドバンテージを一点放棄することになるんではないかと…

>数多久遠様・横レスまたは素人考えですけれど、
今海上保安庁は国土交通省の外局ですね。
 海保の警備救難部門を防衛省に・か外局にしたら
どういうことになるのでしょう。外国・アメリカの
coast guardは海軍の所属ではなかったでしょうか。
  
灯台と、水路(部・いまは海洋情報部という名前に
なっていますが)は国土交通省で問題ないででしょう
(私の在職当時水路部員の身分?は司法警察員
でした。ずいぶん違和感を感じたものですが)

横から失礼します
米コーストガードは平時は国土安全保障省の指揮下で、有事には国防総省(軍)の指揮下に入ることになっています
2003年以前は運輸省の管轄だった(国土安全保障省ができたのは2002年)ので、形態としては海保とあまり変わらないかと

海保も有事の際の指揮権移管は検討すべきかと思いますが、平時はこのまま国交省傘下のほうが政治的には都合が良いのではと思います
日本版国土安全保障省を作るのであれば話は別ですが、現状では難しいでしょう

アルフォンス 様
政府の立場は、仰るとおりです。
これは、竹島における韓国と同様に、軍事的に衝突しておらず、十分に実行支配しているからこそ主張できる話です。
もし、衝突してしまえば、領土問題は存在しないなどと言ったら、相手の実効支配を黙認してしまうことに繋がり兼ねません。

外務省は、今はまだ国際社会に訴えるべきではないと考えているため、漁船の船長も釈放するのでしょう。

ですが、私は石原都知事が意見広告を出すことと同様に、もう事態を沈静化させることで収拾ができるとは思っていません。
むしろ、事態を拡大させて白黒付けた方がいいと考えてます。
歴史的にも、法的にも、中国が言っているのはただの難癖ですから、中国との国力バランスが悪化しない内に、はっきりさせた方がいい問題だと思います。

j.i  様
アメリカのコーストガードは、国土安全保障省の下です。
防衛省の下だとしても、特に問題はないと思いますが、平時は別の方がいいのではないでしょうか。(防衛省が大変だから)

私は、海保が運輸省(当時)の下だと初めて知った時、「なんで警察庁の下じゃないんだろう?」と違和感を感じたことを覚えています。

灯台等も、信号機を警察庁が管理していることを考えれば、警察庁でもいいと思います。
国際法的には、どちらも警察権ですし。

2S19 様
日本の海保も、有事には防衛大臣の統制下に入れることができるようになってます。(自衛隊法80条)
何で海上保安庁法に規定がないのか疑問ですが……

日本版国土安全保障省は、確かに無理だと思いますが、国交省はでかすぎるので、解体してもいいのでは、とは思います。

>歴史的にも、法的にも、中国が言っているのはただの難癖ですから、中国との国力バランスが悪化しない内に、はっきりさせた方がいい問題だと思います。

確かに、日本に取って速戦即決しなければ成りません。で言うか、例え70年代に中国の棚上げ策を認めざるを得ないとしても、天安門等、中国の外交力が低く成る点を狙って解決させるべきだっだ。まあ、今こんな事言っても…

だが、国際裁判所は両方の同意を得られないなら受理できません(竹島と同じ問題)。中国の政策は裁判拒否、一対一の交渉で問題を解決するのです。まあ、中国の考えは見え見えですが、だからと言って、ルールは変えられません。政論上、裁判所の裁定を拒否するのはいい事とは言えないですが、国際間ある程度の理解も得られているので、致命的な弱点ではない。

なら、どうしても国際裁判所に決着を付けたいなら:
A)軍事と経済圧力を使って、強制的に中国を応じさせる。日本だけは無理でしょうし、米国はそこまでの圧力を配りたくないから期待しても無駄。
B)国際政論を操って、中国に裁判を応じざるを得ないな場面を作る。

或いは直接国際政論の土俵で勝って、中国との交渉が有利させるしか有りません。どの道、国際政論を無視している策は愚策としか評価できない。

もし、今の場合に護衛艦を出すなら、比例性原則を無視したの重大なエスカレーションとして認められる。中国も以前にやり過ぎたな部分が有った(例えば、レーアアースの件とか)が軍艦派遣は簡単にこれを超えている。

中国にとって良いカードばかりだ:
A)我慢の態度を示し、抗議しながら今まで同じな行動を取ります。これは忍耐力は評価され、中国の政論優性に成ります。そして、今まで通り魚政船派遣を続けると、すぐに気づく事は自衛艦が有るとは言え、発砲できなければ自衛艦の有用性は巡視船以下の事です。大きいので小回りが比較的不利ですし。訓練の趣旨が違うので練度にも必ずしも有利と限りません。
そして、自衛艦の76mm砲で無武装な船を攻撃したら、法的がそうでないが関係なく、どんな言い訳も通用しませんでしょう。

B)加減の良い対応ができる。この場合に置いても、飽くまで日本の儀礼違反への対応ですので、ある程度のオバーマッチでも政論上許されます。例えば、日本は護衛艦1-2に対し、中国海軍からへり搭載出来るのフリゲート艦1、補給艦1、ミサイル艇4-6隻を出しても、過剰反応と評価されないでしょう。ミサイル艇のトン位が低いので寧ろ控え目。だが、対艦戦力に置いて護衛隊群にも脅威になり得るし、一隻乃至二隻の護衛艦じゃ制海権は中国の物に成ったと等しい。この場合、日本の対応は?

どの道、中国の株が上がり、日本の株が下がる。

>アメリカが日本を支援してくれる限り、事を荒立てても問題ありません。

万が一の時、米国に泣いて助けを求める事も出来ますが、もし日本の非が有るの状態で米国の助けを乞うなら、助け自体が有るだろうけど、後の対価は想像したくない。頭は永遠に上げられないでしょう。

>25条と30条の件ですが、そちらの解釈だと、30条は死文化(意味のない条文になる)しますよ。

貴方の解釈では、25条は事実上第30条に被られるに成るし、以前の例の示した通り、かなり不都合の結果が残せる。

逆に言えば、30条と第25条はそれそれの役割が有ります。第30条は比較的温厚且つ必要性条項が無いので、通常に使えるに対し、第25条は第30条が失敗し、かなりの必要性を集めた後発動する物に成ります。よって、どれも死文化しません。

>書いて頂いた例ですが、やはり法治国家でないところにお住まいだと、書かれていたようなイメージになるんでしょうね。

貴方の評価はそれとして:
1)法治国家日本に置いても、その様に法を最大限活用する人間が有ります。例えば、検察庁は良く刑訴法第208条2項を「活用」しています。
2)日本は今までこんな法制で有りながら、抑制力が維持出来るのはこの認識の差に功労が有ると考えざるを得ない。米国も比較的に五月蝿いではないも、この差に関係有ると十分思われる。
3)政府機関は主権者たる国民の為に必要に応じて与えたの法令を最大限を利用する事はけして悪ではありません。法を蔑ろ等でも有りません。寧ろ、面倒事を怯えて本来日本国民を守る為に与えらたの権限を狭く解釈し、この解釈を根拠として取るべき行動を取らない、且つこれによって悪い結果を招いた場合、ただ「法整備が不備が有る」と言うのは済まない。

>公用船の件ですが、公用船は、陸地における外交官特権と同じですから、できてもペルソナ・ノン・グラータ (Persona non grata)でしょう。

外交官を例えにすると、確かに最初はPNGしか出来ません。だが、Vienna条約9条2項に:
2. If the sending State refuses or fails within a reasonable period to carry out its obligations under paragraph 1 of this article, the receiving State may refuse to recognize the person concerned as a member of the mission.

つまり、ある程度の我慢が必要ものの、半永久的にこの状況を容認せねば成らないではない。

だから、同じの理屈で、侵犯している公船を半永久に容認せねば成らんは恐らくUNCLOSの趣旨ではないと愚考します。

数多久遠様
成る程
事態がエスカレーションした場合と言うことですね。

現行憲法の法体系の中で取りうる最大限の範囲、というところでしょうかねぇ。

香港からの客人 様
>確かに、日本に取って速戦即決しなければ成りません。
別に、即刻解決しようと焦る必要はありませんし、中国が大きく出てくるなら、いつでもエスカレーションさせればいいだけです。(そのためには、アメリカがコミットし続けるだけの日米関係を継続しなければなりませんが)

国際裁判所に負託したい訳ではなく、「国際裁判所に持ち込みましょう」と提案することが大事なのです。
中国が拒否することは承知の上です。
裁判負託を拒否するってことは、それだけその主張に根拠がないと認めるようなものですから。

中国は、こちらが我慢すれば我慢するほどつけ上がる国なので、我慢が上策とは思いません。
立場が違うので、主張が噛み合うはずもないでしょうけど。

対米ですが、日本にもカードはあります。
周辺事態法適用の凍結とか。
もちろん、秘密交渉の場で使う事が得策ですが。

25条と30条の件ですが、条約だけでなく、各種の法律でもそうですが、被る条項はいくらでもあります。
人間全体に関わる条項と性、あるいは年齢などで適用になる条項等です。

確かに、日本の検察・裁判所も、恣意的な法令適用を行う事はありますね。
中国と比べたら、微々たるものでしょうけど。

公用船の件ですが、あくまで国連海洋法条約に違反し続けるなら、同条約による保護を受ける権利を失いますから、その場合には、強制力を働かせることも、国際法的には可能です。
国内法的には、問題が残りますが。

ところで、疑問があるのですが、居住は中国以外ですか?
あなたの身柄は大丈夫なんでしょうか?

アルフォンス 様
別の方へのレスでも書きましたが、負託しましょうと提案して、中国に拒否させることが有用だと思っています。
戦争直前で、国際社会に訴えれば、宣伝効果は高いですから。

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