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2012年6月11日 (月)

黄海にイージス艦配置はムダ

今後の北朝鮮によるミサイル発射の際、黄海にもイージス艦を配置することを検討するそうです。
黄海にイージス艦配備検討 北朝鮮ミサイル探知で防衛省」(朝日新聞12年5月30日)
Photo
同記事より

報道は、防衛省がまとめた「衛星」騒ぎの検討報告書案についてのものです。
今後は、黄海へのイージス配置が検討されることになります。(もちろん、東倉里を使い、南方向に発射する際だけでしょう。)

しかし、こんな事はバカげてます。

なぜなら、北朝鮮のミサイル技術情報を収集するため貴重なリソースであるイージス艦を無駄に使うことになるからです。

前掲記事の図にもある通り、「衛星」発射の際、先島諸島への落下を防止するため、沖縄近海に2隻、東京方面への飛翔落下を警戒して日本海に1隻のイージス艦が配置されていました。

ここで言われているイージス艦は、弾道ミサイル対処能力のあるこんごう型イージスです。
通常、4隻あるこんごう型の内、1隻は整備中ですから、「衛星」騒ぎの際、海自は出し惜しみをしていた訳ではありません。

この状況で、黄海にも配置するとなれば、当然それはあたご型イージス艦になります。
あたご型は、弾道ミサイル対処能力が付与される予定にはなっていますが、現状では捜索・追尾は可能ですが、迎撃はできません。
先日の「衛星」騒ぎの際に、あたご型がどこに展開していたのか、私が知る限り、情報はありませんが、北朝鮮のミサイル技術情報を収集するため、沖縄南方か、第2段ロケットの落下予定だったフィリピン近海まで進出していたと思われます。

黄海にイージス艦を入れるとなれば、この情報収集リソースであるあたご型を、”たとえ政府がマヌケでも、ちゃんとした警報が出せる”ようにするために使うということになります。

不正確なSEW情報だけでも、「何かが発射された可能性がある」という警報は出せるのですから、ミサイルがほとんどまともに飛ばなかった時(いくら北朝鮮でも、そうそう失敗しないでしょう)に備えて、黄海に貴重なイージス艦を振り向けるなんて、経済観念(軍事的な言い方では節用の観念)がなさ過ぎます。

もちろん、この報告は、防衛省の本意ではなく、マヌケな民主党政権の意志でしょう。
防衛省は、今回の事案においても、合理的に考えた結果として、これほど極端な失敗になる可能性は低いだろうし、なったとしたら当然実害はないだろうし、黄海に入れたら中国等から情報収集されるということで、入れない決定をしたと思われます。
それなのに……

マヌケな政府の尻ぬぐいを防衛省・自衛隊にさせるのは止めて欲しいモノです。

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コメント

民主党は、官僚の言いなりというイメージがあるのですが。。。
なぜに、このような話になるんでしょうか?

>民主党は、官僚の言いなり

脱官僚とか叫んでいたのはほんの1年前のことですけど

 そもそも今回のように探知前または探知途上で弾道ミサイルが墜落しても、日本に実害があるわけではありません。今回の日本政府上層部の醜態にしても、民主党政権固有の問題と言い切っちゃってもあながち間違いとは言い切れないでしょう(それでも多少の反省点はあるでしょうが)。
 黄海にイージス艦を配備するというこの話で北朝鮮はただの口実で、実際は対中を意識した牽制球、もしくは観測気球かなと思ってました。PLANの太平洋進出がよほどウザいのかなぁ、と。

私も、「黄海に我が方の艦を入れる」が本題だと思います。

政治的意味ではフィリピンより黄海でしょう。

黄海にいれるとすれば、アメリカとより緊密な連携が必要とされるでしょう。
また中国が北に圧力をかけざるを得ない情勢をつくりだす可能性も高くなるでしょう。

また一度黄海に入れれば前例が出来ますから、以後ほかの艦が入り易くなるでしょう。

たとえ情報収集をされるとしても「黄海に我が方の船をいれる」のは政治的にかなり協力なカードになりえると思います。

(黄海に日本の自衛艦が入るのは)中国の機嫌を損なう可能性が高いと考えられますので、民主党政権の意思ではないんじゃないでしょうか。

おそらく中国へのブラフでしょう。
我が国防衛のため、黄海にイージス艦入れるよ→北朝鮮に圧力かけるから止めてくれを狙って出しているのでしょう。

やん 様
尻ぬぐいさせたいからじゃないでしょうか。
適切な警報を出せなかったのは、「防衛省のせいだ」と言いたいのではないでしょうか。

名無し 様
そう言えば、言ってましたね。
脱官僚!
今、言ったら知らんぷりされそうですが。

だ 様
渡りに船 様
みやとん 様
Suica割 様
確かに政治的なアピールにはなりますが、空母と違い、高級な兵器とは言っても防御兵器ですから、ブラフや牽制とは、中国が取ってくれないのではないでしょうか。

政治的な問題の場合、自衛隊の最新兵器の船が入る--のが問題なので(防御兵器だから)中国がとってくれないという事はないと思います。
特に、今は(中国の)権力の転換期ですから、問題にならないワケがありません。

もし、イージス艦がはいれば次は--というように中国は思うでしょうね。

また、そう思わなくとも、北がナニかをやればやるほど、日本の軍備が増強される思わせるだけでも価値があるでしょう。

数多様
なるほど! 民主党なら、責任逃れの為にやりそうです(苦笑)

みやとん 様
もちろん中国は騒ぐと思います。(意地と体面で)
ですが、(日本の)イージス自体も(対地)攻撃能力は皆無ですし、その後に続くべき核もなければ、ミサイルもないですから、脅威は感じないと思います。

やん 様
民主の体質ですよね。


実際に配備する事と配備するかもとの情報を流す事は別でしょうが、議論を表に出す事は今の日本に必要でしょう。
そして韓国も実のところ強く抗議はしないでしょう。離於島(韓国名)=蘇岩礁(中国名)問題で日本を引っ張り込み優位に立ちたいはず。
しかし、北も南も実はどうでもよい。あくまで対中対露そして対米です。

中国軍の旧ソ連製空母「ワリャーグ」が近く北海艦隊に配備されるらしい。山東省の青島海軍基地を拠点にするという情報あり。

つまり配備は無駄ではない。
PAC3の件もイージス艦配備の事も、北朝鮮は日本に通じているのではと勘繰りたくなる位のナイスアシスト!!

まったく政府の責任を防衛省・自衛隊に押し付けるものであると思います。

政治的にアメリカにとってカリブ海が裏庭とされるのと同様に、黄海は中国にとっては中庭(日本海は「東海」だから前庭?)という感覚でしょうから、日本護衛艦の配備はやはり脅威というよりもむしろメンツの問題として捉えられるのではないでしょうか。

彼の国は四川大地震のときに日本からの救援物資が空自機によって搬入されるのを拒否しましたね。
このときは「国民感情が日本軍用機の飛来を受け容れない」というような理由でした。

今回の場合はPLA海軍が大騒ぎしそうですね。
民主党政権はこと外交防衛に関して機能不全に陥りますから、配備検討が表面化してしまったからにはやるしかなさそうです。
ここで撤回したら恥をかくだけでは済まないことになると思います。

>>(日本の)イージス自体も(対地)攻撃能力は皆無ですし

一瞬これが最終的な目標なのかな?なんて思いましたが
さすがに妄想が過ぎました

黄海に展開
 ↓
せっかく北朝鮮領に近接したのでついでにノドン(テポドン)狩りもやってみたい
 ↓
弾道弾を発射前に破壊可能な高速・長射程の対地ミサイルが必要
 ↓
新規開発案件

山桜花 様
私の筆力不足だろうと思いますが、記事趣旨を誤解されているようです。

私が書いたムダというのは、フィリピン近海で貴重な情報収集手段として使用可能なあたご型を、ブースト段階の極めて初期のデータしか得られない黄海に入れることが、情報収集リソースのムダ使いだということです。
政治的にムダという意味ではありません。

それにしても、軍事的要素よりも政治的な要素を重視される方が多く、ちょっとビックリしました。

まりゅー 様
仰るとおり、黄海への日本のイージス入りは、中国にとってメンツの問題だろうと思います。
「アメリカのイージスに入られることは致し方なくとも、小日本のイージスに入られることは許せない」というところではないでしょうか。

名無し 様
今の日本にトマホークを越えるようなミサイルの新規開発は、まず資金的に無理じゃないでしょうか。
トマホークでさえ、遅すぎてノドンハントの用をなすかどうかは疑問なくらいですし。

数多久遠 殿

お忙しいなか御返事有り難うございます。
大変興味深い貴殿のブログを発見出来た幸運に喜び、思いの丈を書きなぐり失礼をば致しました。
今後とも勉強の為にお邪魔致します。

数多久遠様

>トマホークでさえ、遅すぎてノドンハントの用をなすかどうかは疑問なくらいですし。

テポドンならともかく、ノドン相手じゃ遅すぎますよねぇ
ただ黄海発射なら、飛翔距離が短くなるので、技術的なハードルは若干下がるかもしれません

山桜花 様
こちらこそ、宜しくお願い致します。

名無し 様
そう言った目的用として、日本もそろそろ潜水艦発射巡航ミサイルを検討しても良いかもしれませんね。
イージスと比べて、遥かに海岸線に近づけますから。

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