違法?_道義?_自衛隊グッズのネットオークション出品
陸自の隊員が、ネットオークションに戦闘用糧食や教本、戦闘服、弾帯などを出品・販売していたとして、警務隊が調べているそうです。
「ミリ飯:ネット出品 宮崎の陸自隊員を捜査」(毎日新聞12年6月8日)
マニアらの間で「ミリ飯」と呼ばれ人気がある自衛隊の戦闘用糧食や武器の教本などをインターネットオークションに出品していたとして、陸上自衛隊警務隊が、都城駐屯地(宮崎県都城市)の2等陸曹(41)を捜査していることが分かった。
問題になるのは当然でしょうね。
私が自衛隊を退職した際には、ほとんどの教範類も被服も、返納分以外は、裁断破棄したくらいです。(正直、かなり大変だった)
ただし、警務隊は、司法警察員として違法行為を摘発することが仕事です。
この件で、果たして本当に違法行為があったのか、実に微妙に思えます。
官品を不正に取得した疑いがあり、処分も検討している。
確かに官品を不正取得していれば、当然違法です。
が……
関係者によると、2曹は昨年1月ごろから今年5月に発覚するまで、訓練などで食べる缶詰などミリ飯50個以上の他、155ミリりゅう弾砲の取り扱い方法を説明した隊員向けの教本、戦闘服、弾帯などを出品していた。
陸自によると、教本は駐屯地内で販売されているが、90年以降は購入の許可が必要。
支給された糧食を、その時点で食べずに持ち帰ったとしても、不正取得とは言えないでしょう。販売の意図があったとすれば、不適切ですが、不法とは言えないように思います。
教本も、被服も、弾帯も、PX等で販売されているものですから、これを個人の金で買ったのなら、不正取得と言うことは難しいです。
陸上幕僚監部広報室は「現在調査中で詳しいことはコメントできない」としている。
防衛省とすれば、看過できない問題でしょうが、非常にビミョ~な問題です。
個別の懸案詳細が分からないので確定的な事は言えませんが、違法とまでは言えず、検察への送致は難しいような気がします。
もし、違法行為が無かったとすると、内部での懲戒処分も難しいと思われます。
そうなると、最高度の処分としては、実態的に依願退職を迫ったりということになるでしょうが、もし本人が抵抗すると、間違いなくモメます。
依願にならなければ、窓際に追いやる、という所でしょうか。
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コメント
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規定が無ければ、処分出来ませんから、どうなるかわかりません。
個人配分された食糧の横流しが横領に当たるかと言えばなりません。
個人で買ったものを流したとしても、流すなという規定が無いし、他に流さないという誓約書が無いので、民法で言う信義則違反に絡めた処分も難しいのが現状ですね。
他の組織内での処分との兼ね合いもありますから、罰するのも大変です。
どう考えても、処分を行う根拠となる規定は、副業禁止の規定しか私には思いつかないです。
投稿: Suica割 | 2012年6月20日 (水) 00時54分
Suica割 様
今回の行為が、横領や副業に該当しないとしても、懲戒処分の根拠は、自衛隊法に「隊員たるにふさわしくない行為のあつた場合」とあるため、他の処分との兼ね合いで軽重はあるものの、処分ができない訳ではないです。
ただ、違法行為でなければ、せいぜい注意じゃないでしょうか。
何にせよ、判断が難しい事は確かですが……
投稿: 数多久遠 | 2012年6月20日 (水) 21時22分