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2012年6月

2012年6月 2日 (土)

領域警備の法制化と防衛関係法のネガティブリスト化

産経が、防衛にからむ法体系について、興味深いが、問題もある記事を載せています。

中国海軍が砲撃してきたら… 日本滅ぼす「101本目の法律」」(産経新聞12年5月21日)

この記事で、九州総局長の野口裕之氏は、超党派の保守系議員によって検討されている領域警備法の制定に反対すると言っています。

領域警備については、以前の記事「自衛隊法の不備「領域警備」について法改正の動き!」でも書きましたが、2年ほど前の尖閣における中国漁船衝突事故の反省から、検討されだしたモノで、是非とも必要なものです。

「それに反対するなんて、産経はどうしたんだ?」と思いましたが、良く読んでみるとなるほど納得できる反対理由です。

 わが国は、安全保障上の100個の事態に100本の法律で対処している。これでは101個目の事態が生起した場合、101本目の法律を必要としてしまう。自衛隊法はじめ安全保障関係の法律は増殖を続け、既存法との整合性を図らなければならないこともあって肥大・複雑化する一途(いっと)だ。あたかも本館-別館-新館が、迷路のような廊下で継ぎ足される巨大温泉ホテルのようだ。建築・消防・観光関係の法律をクリアしていても、いざ火災となれば死傷者を輩出する危険は、シンプルな建家に比べ格段に高いはず。


要は、領域警備そのものに反対しているのではありません。それを実現する法的根拠として、自衛隊法に自衛隊の恒常的権限として盛り込むのではなく、イラク派遣を特別措置法実施したり、PKOをPKO協力法で実施したり、テロ対策特措法を作ったりしたように、「領域警備法」なるものを作ろうとしている動きに反対しているとのことです。

これは、なるほどもっともな主張です。
確かに、防衛関係法は、それらを網羅した防衛実務小六法が2534ページにもなるほどに、複雑怪奇に肥大化しています。

これでは、現場の自衛官や大臣を補佐する内局のプロでさえ、頭を抱える程です。

プロは、
・どの法令を根拠とすることが可能な事態なのか?
・その際の発令権限者は誰で、手続きはどうなのか?
・発令された場合の、権限(制限)は?
ということを熟知していなければなりませんが、日本の場合、これが余りにも複雑過ぎるのです。

その上、法令の実際の適用では、常にグレーの範囲で判断に迷うことになりますが、マスコミが過剰に防衛省・自衛隊を叩くことが通例になっているので、法令適用の現場では、白と判断することが可能なグレーまでも、黒と判断する事なかれ主義が蔓延しています。

演習の中でのことになりますが「部隊にそんなことをさせて、お前は司令官に責任を取らせるつもりなのか!」と何度怒られたか知れません。(私は、グレーを白と言いたがるイケイケ派でした)

さて、前掲記事に戻ります。

野口氏は、弾道ミサイルの破壊措置について、次のように述べています。

 だが「日本の安全保障関係の法体系は進歩した」などと、感心してはいけない。まともな国に、この種の法律は存在しない。軍事組織の根源的任務は国家主権と国民の生命・財産を守護することに尽きるからだ。これまた自然権の発露で、法を課す必要など全くない。逆に問いたい。「創隊以来、自衛隊の任務は何であったのか」と。小学生中高学年でも回答できる問い掛けだ。

 軍の権限は「原則無制限」で、予(あらかじ)め禁止されている行為・行動以外は実施できる「ネガティブ・リスト」に基づくことが定石。軍は外敵に対しての備えであり、国民の自由・権利侵害を前提としていないためだ。


これは、さすがに暴論だと感じます。
軍事行動に政治的なモノを含め、制限がかかることは当然で、それが憲法だろうが、法律だろうが、施行規則だろうが、訓令だろうが、達だろうが、事前に定まったものであることは変りません。
私は、あくまで現場感覚で書きますが、それがどのレベルで決まっていたにせよ、現場はその範囲内でしか動けないのです。
(イザとなれば、その規則の制定権者に、規則を覆す決定を促すことも可能ですが)
だから、法を課す必要などなく、軍の権限は「原則無制限」であるべきという主張には賛成できません。むしろ、主権者たる国民が、その結果責任を受けるためにも、”適切”に制限されるべきだろうと思います。
(「それ見たことか」という結果になるかもしれませんが、国民主権である以上、マイナスの結果も国民が受けるべきだと思います)

ただし、野口氏が言うように、ネガティブリスト化することは必要です。
軍事におけるポジティブリストとネガティブリストについては、以前の記事「ネガティブリスト」で、結構詳しく書いたので、そちらをご覧下さい。

ただし、ネガティブリスト化は、非常に大変な作業です。
以前の記事を読んで頂いているという前提で説明ははしょりますが、憲法、法律、施行規則……という法体系にあって、どの段階であれ、全てポジティブリストで書かれている中、どこかの段階でネガティブリストとするためには、「○○してはならない」と書くだけで、上位法令に違反しないよう、解釈上の齟齬が発生しないよう、あらゆる場面を想定してネガティブリストを作らなければならないからです。

野口氏も書いているとおり、このネガティブリスト化は、防衛関係法体系の大手術です。
ですが、確かに必要なことです。

これがなされなければ、テロや尖閣への偽装漁民の漂着など、意図的に法的グレーを突いてくる非常事態の際、部隊行動が致命的に遅延する可能性があります。

阪神淡路大震災の後、中方総監が涙の会見を行いましたが、領域警備の自衛隊法としての法制化と防衛関係法体系のネガティブリスト化を行わなければ、いずれもっと上の立場の方が、悔し涙を流すことになるでしょう。

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2012年6月 5日 (火)

森本新防衛相についての懸念

野田内閣の改造人事で、防衛相は森本敏氏となりました。

全くの素人を2人続けた(一川、田中)民主党政権なので、期待はしてませんでしたが、今回は専門家と言える人選で、ちょっと驚きでした。
消費税増税のために、自民の支持を取付けことが目的だなどと言われていますが、防衛の観点からすれば、良い事には違いありません。

この人事について、何点か懸念が伝えられていますので、今回はこの事について書いてみます。

懸念①:文民統制の点で問題
元自衛官なので問題視されているのかと思いきや、「民間人」だからという報道が多いです。
……理解不能です。
元自衛官だから、というのなら、問題だとは思いませんが、問題視する理屈としては理解できなくもないのですが……

懸念②:議員でない(選挙で選ばれていない)
この点については、民主党内からも自民からも批判が出ています。
まず鳩山氏
鳩山氏、森本防衛相人事に疑問 「選挙の洗礼なくていいのか」」(産経新聞12年6月5日)
続いて石破氏
野田、やっぱり人事オンチ!防衛相本命は五百旗頭氏だった」(zakzak12年6月5日)

石破茂元防衛相も「どんなに優秀であろうと、軍事的な出来事に責任を負えるのは選挙の洗礼を受けた政治家だけ。禁じ手だ」と批判している。

最高司令官たる内閣総理大臣だって、大抵は、どっかの田舎(地方の方失礼! 言葉のアヤです)の一部の支持があるだけです。
こんな論が通るなら、首相は直接選挙じゃなければダメです。

懸念③:森本氏の持論
森本氏の持論については、今後問題になりそうな点が2点あります。
・集団的自衛権の行使と改憲の必要性
森本大臣は、集団的自衛権の行使を認めるべきとの主張をしてきました。また改憲論者でもあります。
この点については、閣内不一致だとの批判を受けることを認識してか、早くも手を付けないことを宣言してしまいました。
集団的自衛権 従来からの政府方針に変更ない」(サーチナ12年6月5日)

 森本敏防衛大臣は集団的自衛権についての考えについて、学者としてでなく、閣僚の立場から「我が国政府が従来から集団的自衛権を有権解釈として認めていないことは十二分に理解している。私の任期中、大臣として、この問題について(政府の集団的自衛権の考え方を)変更する考えは毛頭ない」と、これまでの政府解釈を維持する考えを明言した。

  拓殖大学大学院教授としては、これまで集団的自衛権について、その行使を容認する側の学者としても知られてきた。そのことについて、森本防衛大臣は「学者とか、研究者というのは自由な発想で、自由に物を考えている。集団的自衛権についても一研究者、一学者として個人の考え方があったことは確かで、それは認める」と語ったうえで「(閣僚としての視点では)野田政権の方針の下で大臣としての職務をまっとうする」と述べた。

こう言った問題に手を付けないのであれば、大臣になった意味がないでしょうに……

・海兵隊の沖縄駐留の必要性を否定
森本防衛相の横顔:海兵隊抑止力に異論も」(沖縄タイムス12年6月5日)

在沖米海兵隊について沖縄に駐留する必然性を否定。10年に沖縄タイムス社が主催した日米同盟を考えるシンポジウムでは、「(海兵隊が)沖縄にいなければ抑止力を発揮しないという論理は破綻している」と述べた。

これに関しては、早速釈明しています。
森本防衛相、辺野古移設を推進」(沖縄タイムス12年6月5日)

 当時の発言と現在の認識の整合性を問われ「司令部、飛行部隊、戦闘部隊、後方部隊のすべてがそろっていれば、例えば鹿児島では抑止力にならないという軍事的合理性は持たない。だが(シンポジウムでは)仮定として(海兵隊すべてを)地元が受け入れ、訓練、戦略的要地として十分な場所があれば、沖縄でなくてもいいと言った」と釈明。「現実の政治環境で(辺野古が)日米両政府が到達した結論だ」と強調した。


最後に、報道ではあまり問題視されてはいないながら、私が懸念する点を上げておきます。

私的懸念①:玄人であること
確かな知識に裏打ちされた持論を持っている方なので、部下である内局や制服自衛官の意見に耳を傾けることができるのか?
部下を論破してしまわないか、ちょっと心配です。

私的懸念②:耐えられるか
これも持論を持っていることと関連してきますが、大臣となると、前掲の集団的自衛権や海兵隊の必要性等、自分の考えと違うことを、さもそのように考えているかのように言わなければならなくなります。
どんな中間管理職でも同じですが、大臣ともなれば、そのプレッシャーは相当なものでしょう。
航空自衛隊での指揮官職や外務省での宮仕えで、そのつらさは分かってらっしゃるとは思いますが、評論家・研究者として長い間”自由”にモノを言ってきたことを思うと、果たして耐えられるのかな、という疑問は持ってしまいます。

さて、いろいろと懸念ばかり書きましたが、基本的には応援すればこその懸念です。

日本の防衛のために、ぜひ尽力して欲しいと思います。

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2012年6月 8日 (金)

丹羽駐中国大使は「健康上の理由」によって即刻交代させるべき

私は、保守を自認してますが、記事ネタの選択には防衛問題に絡むかどうかを一つの基準に置いています。
別の言い方をすれば、ネトウヨ的記事は書かないということです。

ですが、このネタは酷すぎます。
官房長官:丹羽駐中国大使を注意 尖閣購入に反対表明で」(毎日新聞12年6月7日)

 藤村修官房長官は7日の記者会見で、丹羽宇一郎駐中国大使が英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューで東京都の石原慎太郎知事が表明した尖閣諸島(沖縄県石垣市)の購入に反対を表明したことについて「政府の見解と違う」と述べ、外務省を通じ、丹羽氏に注意したことを明らかにした。

 丹羽氏はインタビューで「(購入が)実行されれば日中関係に重大な危機をもたらす」と述べた。これに対し、藤村長官は「丹羽氏の個人的見解で、政府の立場を表明したものではまったくない」と説明。その上で「政府は尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持管理を継続するための方策を検討している」と述べるにとどめた。


正確な発言は「「実行されれば、日中関係に重大な危機をもたらすことになる。私たちは、これまでの数十年間の努力を無にすることは容認できない」」だそうです。

国家公務員でありながら、日本の国益ではなく、中国の国益のために働いている時点で論外です。
民主党政権では珍しくないので、今更感がありますが……

ですが、外交を職務とする外交官が、外国有名新聞のインタビューに対して発言したことを”個人的見解”として済まそうとしている政府の姿勢は、それ以上に問題と感じます。

民主党政権(鳩山)下では、2010年に44普連連隊長が、首相の発言を揶揄するようは発言を行ったことにより、注意処分を受けていますが、このケースを振り返ってみます。
 ・発言内容:同盟の在り方についての首相発言批判。
 ・発言者:連隊長(1等陸佐)
 ・情報の受け手:演習参加自衛官及び米軍人
 ・処分内容:注意
関連過去記事「無抵抗?

また、自民政権下ですが、田母神元空幕長の論文問題も見てみます。
 ・発表内容:政府見解とは異なる歴史認識
 ・発言者:航空幕僚長(空将)
 ・情報の受け手:公表(公募論文)
 ・処分内容:更迭
関連過去記事「田母神元空将論文問題

で、今回のケースをまとめます。
 ・発言内容:政府見解とは異なる領土問題発言
 (政府の立場は、尖閣には領土問題は存在しない。参考外務省HP「尖閣諸島に関するQ&A」
 ・発言者:駐中国大使
 ・情報の受け手:公表(英有名新聞)
 ・処分内容:注意

3つのケースを見てみると、今回の事案の処分内容が突出して軽いと感じます。
内容は、重要な領土問題ですし、立場は外国においては日本政府の代弁者たる大使、情報の受け手は、事実上全世界です。

これらを勘案すれば、最低でも更迭が必要ですし、国会での喚問をしてもいいくらいです。
ただし、中国に着け入れられるネタになるので、穏便に済ませた方が適当です。

ですから、突如「健康上の理由」が発生したことにでもして、大使は、即刻交代させる必要があります。

もしこのまま注意だけで終わるとしたら、尖閣の漁船衝突事件とならび、民主の媚中・弱腰外交の象徴的事案と言えるのではないでしょうか。

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2012年6月10日 (日)

小説「黎明の笛」連載スタートします

「シミュレーション小説と防衛雑感」と銘打ちながら、ほとんど小説について書いていない当ブログですが、この度、新作小説を連載することに致しました。
1月末にアナウンスしたやつです。

内容は、純粋なシミュレーションよりは、エンターテイメントを意識したモノになります。
ジャンルとしては、司令部アクション?モノのミリタリーサスペンスになるかと思います。

私自身あまり好きではないのですが、日本でのミリタリー物の嗜好を踏まえ、現役自衛官が引き起こす竹島がらみの日韓関係危機を描いています。
「自衛官がこんなことを起こすことはあり得ない」と思っていますが、起こそうとしたら起こせてしまう事を書いたという点は、私の拘りです。

なお、先日毎日新聞が国家公務員に対して、「適格」審査のための身辺調査を無断で行っているというニュースが流されておりますが、本小説中で、重要なギミック(仕掛け)の一つとして利用しています。
機密扱う国家公務員:国が無断身辺調査…「適格」5万人」(毎日新聞12年4月11日)

また、以前から公開している小説「日本海クライシス2012」とギミックの一部が被る部分があり、前作を読んで頂いた方には、既視感を覚える人もいるかと思いますが、そのあたりは、私がその辺を重要視(危惧)しているのだとして、ご容赦下さい。

司令部が中心の航空アクションで、日韓危機で、防諜がからむという、それだけ書くと、既に何だか分からない小説のようですが、一応ちゃんと繋がっております。

小説の掲載方法とコメント、それからブログ全体の更新タイミングについて書いておきます。

掲載の方法は、当ブログで、先行掲載することとしますが、特に過去掲載分が、ブログ形式では読みにくいと思います。
そこで、ある程度まとまったら、別サイトに転載して、ブログ内の掲載分は削除するつもりです。
途中から読み始めた方は、別サイトで過去掲載分を読んで頂き、最新を当ブログで読んで頂ければと思います。
転載先は、小説公開用の個人サイトでも良いのですが、縦書き、携帯、スマホ等での表示に対応した多機能の小説掲載サイト「小説を読もう!」様がありますので、そちらを利用する予定です。
転載後は、リンクを追記します。

当ブログ内のカテゴリーは、本記事をトップ記事とした”連載小説「黎明の笛」”です。
また、連載中は、過去記事の表示方法が、古い記事から昇順表示となります。

コメントについては、分散すると分かりにくいですし、転載が済んだ連載分記事は削除する予定なので、連載分については、コメントを受け付けない仕様にする予定です。
感想等コメントにつきましては、
「小説を読もう!」内の転載先か、この記事にお願いします。

小説の掲載と今後のブログ更新タイミングですが、今までと同様の防衛雑感については、ほぼ変らぬペース、2~3日で1回更新を続け、その間に小説掲載を挟み込むパターンで考えております。
そのため、小説掲載中は、ほぼ毎日更新となる見込みです。

原稿用紙にして、約420枚程度の小説のため、おそらく連載は50回前後くらいになると思います。

しばらくの間、おつきあいの程、宜しくお願い致します。

以下、連載小説のあらすじです。

 陸自の特殊部隊、特殊作戦群の一部隊員が、突如として竹島に上陸、韓国の独島警備隊を拘束して竹島を占拠した。竹島を占拠した秋津2佐は、日本政府に対して、竹島の実効支配を宣言するよう要求する。
 陸自部隊が実際に占拠してしまった以上、要求の拒否は、国際的に竹島の支配意志放棄とも取られることから、政府はジレンマに陥る。
 一方、秋津2佐と婚約していた空自航空総隊司令部の倉橋3佐は、秋津2佐に協力していた疑いをかけられ、尋問を受ける。
 自らの疑いを晴らすため、そして秋津2佐が企む本当の狙いを阻止するため、倉橋3佐は調査を始めた。
 彼女は、暴走する秋津達の企みを阻止できるのか?

2012年6月11日 (月)

黄海にイージス艦配置はムダ

今後の北朝鮮によるミサイル発射の際、黄海にもイージス艦を配置することを検討するそうです。
黄海にイージス艦配備検討 北朝鮮ミサイル探知で防衛省」(朝日新聞12年5月30日)
Photo
同記事より

報道は、防衛省がまとめた「衛星」騒ぎの検討報告書案についてのものです。
今後は、黄海へのイージス配置が検討されることになります。(もちろん、東倉里を使い、南方向に発射する際だけでしょう。)

しかし、こんな事はバカげてます。

なぜなら、北朝鮮のミサイル技術情報を収集するため貴重なリソースであるイージス艦を無駄に使うことになるからです。

前掲記事の図にもある通り、「衛星」発射の際、先島諸島への落下を防止するため、沖縄近海に2隻、東京方面への飛翔落下を警戒して日本海に1隻のイージス艦が配置されていました。

ここで言われているイージス艦は、弾道ミサイル対処能力のあるこんごう型イージスです。
通常、4隻あるこんごう型の内、1隻は整備中ですから、「衛星」騒ぎの際、海自は出し惜しみをしていた訳ではありません。

この状況で、黄海にも配置するとなれば、当然それはあたご型イージス艦になります。
あたご型は、弾道ミサイル対処能力が付与される予定にはなっていますが、現状では捜索・追尾は可能ですが、迎撃はできません。
先日の「衛星」騒ぎの際に、あたご型がどこに展開していたのか、私が知る限り、情報はありませんが、北朝鮮のミサイル技術情報を収集するため、沖縄南方か、第2段ロケットの落下予定だったフィリピン近海まで進出していたと思われます。

黄海にイージス艦を入れるとなれば、この情報収集リソースであるあたご型を、”たとえ政府がマヌケでも、ちゃんとした警報が出せる”ようにするために使うということになります。

不正確なSEW情報だけでも、「何かが発射された可能性がある」という警報は出せるのですから、ミサイルがほとんどまともに飛ばなかった時(いくら北朝鮮でも、そうそう失敗しないでしょう)に備えて、黄海に貴重なイージス艦を振り向けるなんて、経済観念(軍事的な言い方では節用の観念)がなさ過ぎます。

もちろん、この報告は、防衛省の本意ではなく、マヌケな民主党政権の意志でしょう。
防衛省は、今回の事案においても、合理的に考えた結果として、これほど極端な失敗になる可能性は低いだろうし、なったとしたら当然実害はないだろうし、黄海に入れたら中国等から情報収集されるということで、入れない決定をしたと思われます。
それなのに……

マヌケな政府の尻ぬぐいを防衛省・自衛隊にさせるのは止めて欲しいモノです。

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2012年6月13日 (水)

小説連載開始遅延のお詫び

待っている方は少ないと思いますが、一応お詫びします。

諸般の都合により、お知らせした小説の連載スタートが遅れております。
今しばらく、お待ち下さい。

申し訳ありません。


2012年6月14日 (木)

取引可能な防衛産業がなくなる!

このままでは、防衛省が取引可能な防衛産業がなくなります。
今年1・2月に発生した三菱電機グループの指名停止に加えて、住友重機グループも指名停止になりました。

三菱電機
三菱電機、子会社など4社も防衛省から指名停止」(産経新聞12年2月24日)

住友重機
住友重機械工業(株)及び住重特機サービス(株)による過大請求事案について」(防衛省発表12年5月25日)
住友重機と子会社を指名停止処分に」(朝雲新聞12年5月31日)

もちろん、工数の過大申告をした住重が悪いのですが、これだけ何件も出てくるということは、やはり背景的要因があると言わざるを得ないでしょう。
当然、その背景的要因とは、防衛予算の減少です。

既に防衛産業から撤退した企業も多いそうですが、こんな状況では、これから撤退する企業は増えてくるでしょう。

WINWINが、実現できていないと思われます。
このままでは、防衛省が取引可能な防衛産業がなくなります。

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2012年6月15日 (金)

小説連載延期のお詫び

やるやる詐欺になってしまい、申し訳ないのですが、小説連載開始を延期させて頂きます。

と言いますのも、無理かなと思っておりました出版の可能性が、まだちょびっとありそうなので、もう少し粘ってみようと考えた次第です。

いずれ何らかの形で公開したいと思っておりますので、連載を開始する可能性も大いにあります。

期待をして頂いた方には、誠に申し訳ありません。

防衛雑感の方は、変らず続けますので、今後とも宜しくお願い致します。

2012年6月16日 (土)

オスプレイ事故原因と沖縄配備に向けた運用制限

4月に発生したモロッコでの墜落事故に続き、今月13日には、フロリダでもオスプレイの墜落事故が発生してしまいました。
オスプレイ、米で訓練中に墜落 日本配備に影響必至」(朝日新聞12年6月14日)

こうなると、旧式過ぎるCH-46を使い続けることが間違いなく危険であるとは言え、「オスプレイに更新した方が安全だ」とは言いたくても言えなくなってしまいます。

原因については、まだまだ分かりませんが、2日後には飛行を再開したようです。
つまり、米軍は、4月の事故だけでなく、今回の事故も、機体の不具合が原因ではないと、ほぼ断定しているのでしょう。
「基本設計の欠陥を疑う理由ない」 オスプレイ墜落で米司令官」(産経新聞12年6月15日)
飛行再開については、次の元記事に記載があります。
Air Force begins investigation of CV-22 Osprey crash at Eglin」(スターズアンドストライプス12年6月15日)

この記事を見ると、事故はルーチン的な射撃訓練中に発生したようです。

"This particular mission was a gunnery training mission, so it was a two-aircraft formation," Slife said. "When the lead aircraft turned around in the gun pattern, they did not see their wingman behind them, so they started a brief search and found that they had crashed right there on the range."


発生時刻は18時45分とのことで、フロリダでの日没がはっきりしませんが、薄暮か夜になったばかりだったでしょう。
射撃が、固定翼モードだったのか、回転翼モードだったのか不明ですが、乗員が助かっていることから見ても、回転翼モードだった可能性が高そうです。
今までの事故の多くが回転翼モードでの事故でしたから、興味の尽きない点です。

これは推測ですが、2機編隊での後続機が、恐らく回転翼モードで、恐らく低速・低高度で事故を起こしたとすれば、前方機を避けるために高度下げ、セットリングウィズパワーに入ったとされる3回目の事故に類似した状況だったかもしれません。
もしかすると、事故前にセットリングウィズパワーを警告する音声が出ていたことを乗員が聞いていたのかも。
というか、そんな状況でもない限り、たった2日で飛行再開するとはちょっと考え難いですし……

ティルトローター機のメリットを考えれば、オスプレイの価値は、通常のヘリとは比べるべくもないですが、今回の事故が、それほど高難易度な訓練を行っていた訳ではないことも考えると、(事故が回転翼モードだったとすると)回転翼モードでは、通常のヘリと同様の能力があると考えることも無理があるのかもしれません。
そもそも、通常のヘリと同様の操縦性があるなら、CSAR-Xがオスプレイにならない理由が、想像すらできませんし。

この事を持って、オスプレイ配備反対派の方は、「構造的な欠陥」と呼ぶかもしれません。
ですが、もし回転翼モードでの操縦性が、通常のヘリに劣るとしても、普天間や辺野古では、”離着陸はSTOLでしか行わない”と言った運用上の制限を設けることで、安全性の確保はできると思います。
沖縄をなだめるだけではなく、今回の事故が、そう言った突っ込んだ説得を始める契機にもなれば良いと思います。

なお、今回の事故の機長、ブライアン・ルース少佐は、2010年にアフガンで発生した事故の際の副操縦士だったそうです。
この時も生き残り、今回も生き残った訳です。
何ともダイハードな方です。

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2012年6月18日 (月)

違法?_道義?_自衛隊グッズのネットオークション出品

陸自の隊員が、ネットオークションに戦闘用糧食や教本、戦闘服、弾帯などを出品・販売していたとして、警務隊が調べているそうです。

ミリ飯:ネット出品 宮崎の陸自隊員を捜査」(毎日新聞12年6月8日)

 マニアらの間で「ミリ飯」と呼ばれ人気がある自衛隊の戦闘用糧食や武器の教本などをインターネットオークションに出品していたとして、陸上自衛隊警務隊が、都城駐屯地(宮崎県都城市)の2等陸曹(41)を捜査していることが分かった。


問題になるのは当然でしょうね。
私が自衛隊を退職した際には、ほとんどの教範類も被服も、返納分以外は、裁断破棄したくらいです。(正直、かなり大変だった)

ただし、警務隊は、司法警察員として違法行為を摘発することが仕事です。
この件で、果たして本当に違法行為があったのか、実に微妙に思えます。

官品を不正に取得した疑いがあり、処分も検討している。

確かに官品を不正取得していれば、当然違法です。

が……

 関係者によると、2曹は昨年1月ごろから今年5月に発覚するまで、訓練などで食べる缶詰などミリ飯50個以上の他、155ミリりゅう弾砲の取り扱い方法を説明した隊員向けの教本、戦闘服、弾帯などを出品していた。

 陸自によると、教本は駐屯地内で販売されているが、90年以降は購入の許可が必要。

支給された糧食を、その時点で食べずに持ち帰ったとしても、不正取得とは言えないでしょう。販売の意図があったとすれば、不適切ですが、不法とは言えないように思います。
教本も、被服も、弾帯も、PX等で販売されているものですから、これを個人の金で買ったのなら、不正取得と言うことは難しいです。

陸上幕僚監部広報室は「現在調査中で詳しいことはコメントできない」としている。

防衛省とすれば、看過できない問題でしょうが、非常にビミョ~な問題です。

個別の懸案詳細が分からないので確定的な事は言えませんが、違法とまでは言えず、検察への送致は難しいような気がします。

もし、違法行為が無かったとすると、内部での懲戒処分も難しいと思われます。

そうなると、最高度の処分としては、実態的に依願退職を迫ったりということになるでしょうが、もし本人が抵抗すると、間違いなくモメます。
依願にならなければ、窓際に追いやる、という所でしょうか。

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2012年6月20日 (水)

日本版NSCに警察関係者を入れることの疑問と違和感

民主党が、日本版国家安全保障会議(NSC)の創設に向けた中間報告をまとめました。
日本版国家安全保障会議創設求める中間報告了承」(読売新聞12年6月7日)

こう言ったモノができれば、今までと異なり、外交政策にも防衛配慮が”少しは”成されるようになるでしょうから、もちろんこれは歓迎すべきニュースです。

ただし、気になる部分もあります。

 政府の安全保障分野の機能を向上させるため、安全保障部門から危機管理部門を分離することも提言している。


何だか意味不明です。
この文を言い換えれば、「安全保障から危機管理を分離しないと、安全保障が機能しない」ということになります。

推測の入った考察になりますが、これは、日本版NSCに、安全保障とは別に、危機管理のための椅子(ポスト)を設けるという意味であると思われます。

「危機管理のための椅子(ポスト)」とはなんぞや、ということになると思いますが、これはつまり、危機管理監と同様の椅子だろうと想像します。
内閣危機管理監(wiki)

危機管理監は、内閣官房の事務のうち、危機管理に関するものを統理することを職務としています。
ただし、「国の防衛に関するものを除く」となっており、当然ながらグレーゾーンがほとんどの危機管理にあって、防衛が関わらない範囲が存在する(というか多い)のだ、という考え方に則って設置されています。

具体的に、防衛が関わらない危機管理が何かが問題になりますが、早い話が、警察の仕事がこれに当たるとされています。
このため、危機管理監は、警察関係者の椅子(ポスト)なのです。
過去の危機管理監の経歴をまとめると、次の通りです。
安藤忠夫(1~4代):警視総監
杉田和博(5~7代):警察庁警備局長
野田健(8~11代):警視総監
伊藤哲朗(12~16代):警視総監
米村敏朗(17代現):警視総監

つまり、「安全保障部門から危機管理部門を分離」する、とは日本版NSCに危機管理部門として、警察関係者を入れるということだと思われるのです。

「別に警察が入ったっていいだろ?」と思うかもしれません。
ちょうど映画「外事警察」をやってますが、外事警察の扱う範疇の話は、確かに安全保障に絡む話です。

しかし、「外事」とは付いていても、基本的に国内法に則って、内政事項を処理するのが警察です。

ですから、本家NSCには、FBI長官は入っていません。
非常に大きな権限を持っている上、FBIがテロ・スパイなど国家の安全保障に係る公安事件を捜査するにも係わらず、です。
アメリカ国家安全保障会議(wiki)

ちなみに、韓国のNSCにあたる韓国国家安全保障会議にも、警察関係者は入っていません。(韓国の国家安全保障会議は非常に少数の会議ですが)

逆に、警察関係者が入っているNSC相当組織を持つ国を見てみると、次の通り、薄ら寒い思いのする国がほどんどです。
ロシア(内相)
タタールスタン(内務相)
ウクライナ(内務相)
アゼルバイジャン(内務相)
グルジア(内務相)
カザフスタン(内務相)
トルコ(内相)
by wiki国家安全保障会議

諸外国のNSC相当組織を見てみれば分かるとおり、諸外国では、NSCが扱うべき事項は、国家の一大事として、国内法で左右されるべき事項ではない。
言い換えれば、警察関係者の意向で左右されるべきではないものだと認識されていると思われます。

詳細を見た上での話でないため、断言はできませんが、民主がまとめた日本版NSC中間報告には、疑問と違和感があります。

もっとも、自民がまとめても入りそうな気はしますが……

参考過去記事「危機管理監ポストと危機管理監の位置付け

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2012年6月22日 (金)

イスラエルによるイラン空爆が秒読みに

野口雅昭氏が書いているブログ「中東の窓」の最近の記事を見ていると、いよいよイスラエルによるイラン空爆が秒読みに入ったか?
と思われる記事が続いています。

ヨルダンに亡命するシリア軍機が出たようです。
シリア航空機のヨルダン亡命?
朝日も報じました。
シリア兵、ミグ戦闘機でヨルダンへ逃亡 通信社報道」(朝日新聞12年6月21日)
続報「シリア情勢(21日)

政府軍はアラウィ派多数地域を固め、戦線を縮小しようとしているようです。
シリア情勢(イスラエル紙の分析)

反政府軍は、周辺諸国からの支援を受けているようですし、CIAとアメリカ特殊部隊がバックアップをしているとも伝えられています。(ただし、対空ミサイルや重火器は供与されていないもよう)
シリア反政府に対する武器供与とCIAの関与

シリア政府軍の統制が崩壊すれば、このチャンスをイスラエルが逃すとは思えません。

以前の記事「シリア情勢混沌化で高まるイスラエルによるイラン攻撃」で書いた通り、イスラエルから、シリア、イラクを経由したイランへの防空能力空白地帯が発生するからです。

中東情勢に目が離せなくなってきました。

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2012年6月24日 (日)

イスラム教徒への無差別攻撃容認教育

先月、共同通信が不気味な記事を配信しました。
米軍の統合軍参謀大学において、イスラム教徒への無差別攻撃が容認され得ると教育されていたと言うものです。
一般のイスラム教徒への無差別攻撃容認 米軍大学、原爆が「前例」と講義」(産経新聞12年5月18日)
イスラム教徒攻撃は容認され得る 米軍参謀大学が講義」(47ニュース12年5月18日)

 【ワシントン共同】米統合軍参謀大学(バージニア州)で、一般のイスラム教徒に対する無差別攻撃が容認され得るとの講義が行われていたことが17日までに明らかになった。「前例」として第2次大戦時の広島や長崎への原爆投下、東京やドイツ・ドレスデンの空襲を挙げた。

 オバマ大統領は「イスラム教とは戦争しない」としているが、米軍内ではこの方針に矛盾する教育が行われていたことになる。原爆を前例にしていたことと併せ、批判が上がりそうだ。

 統合参謀本部は適切な内容ではないと認め「講義は既に中止している。米軍内の教育や訓練のカリキュラムの内容を点検する」としている。


47ニュースと配信を受けている地方紙の内容は同じでしたが、産経は、オバマ大統領の発言との矛盾に触れていないだけでなく、共同のソースが市民団体のウェブサイトであることと、講義内容がジュネーブ条約を遵守する必要がないとしていることを報じていました。

市民団体については、以前の記事「核兵器使用の正当性とキリスト教」で触れた軍における信仰の自由財団だろうとあたり付けて探すと、やはりありました。
MRFF blasts Joint Forces Staff College material advocating total war against Islam, files FOIA request

ただし、元のソースは別で、どうもウィキリークスのような暴露サイトのようです。
U.S. Military Taught Officers: Use ‘Hiroshima’ Tactics for ‘Total War’ on Islam

ここで公開されていたのは、8枚のスライドで、内容を見てみると、今回のニュースとなったのは、この内の一枚です。
Dooley_presentation_slide1
以下スライドは全てdangerroomより

内容を見てみると、確かに報じられたような内容が教育されていたようです。

市民の大量虐殺が肯定されていたり、ジュネーブ条約に疑問を投げかけていたりと、おぞましい内容になっています。

ですが、共同通信や信仰の自由財団の批判が妥当だとも思いません。

と言うのも、この資料が、統合軍参謀大学がテキストとして認めた教範であるならば、確かに大問題ですが、このスライドは、どう見ても、一教官が副教材として自分の講義用に作成した資料にしか見えないからです。

確かに、このドゥーレイ中佐は、問題教師でしょう。
しかし、そう言う人物の排除が難しいことは、日本の学校でも、問題教師とされる人が山ほどいることを見れば、分かることだと思います。
統合参謀本部が問題を認め、既に改善を図っている事を鑑みれば、それほど騒ぐべきニュースではないように思います。

問題視する人からすれば、一人混じっているだけで大問題なんでしょうけど……
共同通信だけでなく、産経まで反応してしまっているのは何でかな、と思います。

なお、前記dangerroomが掲載していたその他のスライドは、イスラム教やイスラム法について、その非寛容さ等を教育していたもので、取り立てて騒ぐべき程のものではありませんでした。
イスラム批判自体を問題視する人もいるかもしれませんが、似たような内容は、日本の大学でも講義されていますし、一神教の非寛容さという点では、キリスト教だって似たようなところがあります。

ちなみに、広島や長崎は当然ですが、ドレスデンと並び、東京も書かれていたことは、ちょっと驚きでした。
この手のアメリカ人でも、ちゃんとそうした認識があるんですね。

問題のスライドは、一応、転載しておきます。

Dooley_moderate2

Slide3

Our_response4

Understanding52

Coughlin_driods6

Coughlin_dog7

Slide8

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2012年6月27日 (水)

モロッコでのオスプレイ墜落は、セットリングか?

一般紙は詳しく報じていませんが、モロッコでのオスプレイ墜落原因について、琉球新報が興味深い記事を載せています。
「原因は操縦ミス」 オスプレイモロッコ墜落」(琉球新報12年6月27日)
Img4fea596ef21fd
同記事より

防衛省は26日、モロッコと米フロリダ州で起きた垂直離着陸輸送機オスプレイの墜落事故について、米国防総省から受けた説明の内容を公表した。海兵隊のMV22オスプレイが4月にモロッコで墜落した事故は、追い風を受けた中、旋回しながらエンジン部分を前方に傾けたことでバランスを崩して墜落したとし、操縦ミスによるものとの見方を示した。


先日のフロリダでの事故について、セットリングウィズパワーだったのではないかとする記事を書いたばかりですが、モロッコの事故も、報道を見ると、セットリングウィズパワーが疑われるような飛行をしていたようです。

一般論として、セットリングウィズパワーに入りやすい状況を列挙してみると、次の通りになります。
・低速度
・高降下率
・バンク状態
ちなみに、ヘリの場合は、速度は、対気速度12ノット以下、降下率は毎分300フィート以下だと危ないそうです

前掲記事では、モロッコでの墜落時、ホバリングから水平移動に遷移するため、ナセルを前方にティルトした時、追い風でバランスを崩したために墜落したとされています。

これを見ると、前述のセットリングウィズパワーに入りやすい条件の内、二つを満たしていることになります。
・ホバリング後の低速度状態の際に後方から風が吹いたため、対気速度が、さらに低い状態になった。
・ティルトしたため、ローターがバンクした状態になった。

事故は離陸直後であり、高度が高い訳ではなかったでしょうから、それほど高い降下率ではなかったと思われますが、ホバリングから高度を下げながら急速に前進させる操作は、ヘリの展示飛行などでは時々見られます。
もしかすると、モロッコでも、オスプレイでの飛行に慣れてきたパイロットが、調子に乗って同じ事をやろうとした可能性もあります。

琉球新報の記事では、「バランスを崩した」とされていますが、条件を見てみると、セットリングウィズパワーに入ったのか、と思える状況でした。

だとしたら、やっぱり”操縦ミス”ということになるんでしょうね。

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2012年6月30日 (土)

不安と緊張の行進訓練

レンジャー訓練で都内のど真ん中を行進したそうです。
陸自「レンジャー」行進始まる 23区内では42年ぶり」(朝日新聞12年6月12日)

 陸上自衛隊の精鋭隊員「レンジャー」の訓練生ら約20人が12日、東京都練馬区と板橋区の市街地を行進した。武装したレンジジャーによる東京23区内での行進は42年ぶり。顔に迷彩を施し、小銃にヘルメットといういでたちのレンジャーの姿に驚く住民もいた。

 11週間の訓練の最終日で疲れた表情の訓練生らは午前9時、板橋区内の荒川河川敷を出発。練馬駐屯地までの約6.8キロの道のりをゆっくりと歩いた。

T_tky201206120147
同記事より

徒歩での行進は、軍隊の移動方法の基本です。
レンジャーに限らず、新隊員過程の訓練などでも定例的に行なわれています。

それでも、23区内となると、さぞや目立ったことでしょう。

レンジャー訓練の最終日に行なわれたとのことなので、気力も尽きそうな被訓練者に対して、周囲の目を利用して、限界以上の精神力を鍛錬しようというのが、訓練を計画した側の意図だったのでしょう。
自衛隊の姿を国民に見せるという政治的な意図もあったかもしれませんが、こっちはオマケでしょうね。

行進訓練は、私も、自身の訓練としてもやりましたし、新兵の訓練教官としてもやりました。

決して難しい訓練ではありませんが、重量のある荷物を背負っての行進は、なかなかにきついものがあります。
それは、肉体的にというより、少しでもダラけた姿は見せられないという精神的な負担が強い訓練です。

また、この周囲の目というのは、別の意味でも、被訓練者に不安と緊張を強います。

自衛官も人の子、一般の人に、どんな風に見られるのか気になるのです。

河川敷には約100人の市民が集まった。反対派が「私たちの町を演習場にするな」と抗議する一方、賛成派は「自衛隊頑張れ」という声援を送った。


やはり反対されれば落ち込みますし、声援を貰えれば嬉しいものです。

私が教官として新兵訓練で行進を行なった時には、心ない非難で自衛隊に入ったばかりの隊員がショックを受けないか、ちょっと不安にもなりました。
その時は、黄色い帽子を被った幼稚園児が手を振ってくれたりしたため、不安は杞憂でしたが。

少し穿った見方をすれば、今回のレンジャー訓練は、震災などで対自衛隊感情が好転したことを自衛官も感じる中、相変わらず存在するあからさまな非難にも耐え得る精神力を鍛えたかったのかもしれません。

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