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2012年5月 2日 (水)

嘉手納統合案によりアメリカは那覇拡張を求める

在日米軍再編計画見直しの「共同発表」がリリースされました。これは再編計画の中間報告にあたります。
普天間移設、辺野古以外も検討へ 再編で日米共同文書」(琉球新報12年4月27日)

この共同発表最大のポイントは、普天間の移設先候補として辺野古を「唯一の有効な解決策」とする方針を転換し、事実上、県内移設の可能性を示したことです。

方針転換の理由は二つです。
 ・辺野古への移設が、地元の反対により、政治的に困難になっていること
 ・アメリカ(議会)の国防予算削減要求(事実上、選択肢は嘉手納統合のみ)

文言としては、移設先として次の4つの条件を満たすこととしています。
 (1)運用上有効
 (2)政治的に実現可能
 (3)財政的に負担可能
 (4)戦略的に妥当


「戦略的に妥当」との条件により、沖縄県外は困難です。
その一方で「政治的に実現可能」との条件がありますから、辺野古以外のどこにもっていったとしても、地元の反対は変らないでしょうし、「財政的に負担可能」との条件も踏まえれば、この条件は、辺野古を断念する場合の候補として、事実上の嘉手納統合1択となります。

問題は「運用上有効」との条件が付されたことです。
嘉手納統合案だと、回転翼と固定翼が同一基地で運用されることをもって、アメリカが問題視しているとの論もありますが、米軍基地でも自衛隊基地でも、両方が同一基地で運用されているケースは山ほどあり、この点が問題になるとは思いません。

では、何が問題になるかと言えば、以前の記事「普天間の代替候補地条件」や「普天間は嘉手納の予備飛行場」で書いたとおり、嘉手納統合案だと、米軍が自前で使える嘉手納の予備飛行場が確保できなくなるということです。

嘉手納統合案で動くことになれば、有事の予備飛行場としてはもとより、平時の天候不良やフラットタイヤ等によるランウェイ閉鎖の際のダイバート先としても、米軍が那覇を使う事態が、当然として発生します。

ですが、那覇は超過密状態で、空自の2個飛行隊化でさえ苦労している状況です。
有事に嘉手納が被害を受け、在空機が那覇に押し寄せるような事態でも飛行場機能を維持できるためには、那覇空港の拡張は必須となってきます。

那覇空港の拡張の軍事的価値については、以前の記事「那覇空港の拡張案は軍事的にも評価できる?」を参考にして下さい。

幸い?にして、以前から拡張プランはありますので、検討を早めることはできます。
ちょうど、5月末を目処に沖縄県が拡張の基本計画をまとめるところですし、観光面からの要望もあります。
県観光審議会が知事答申 那覇第2滑走路要望」(沖縄タイムス12年4月24日)

苦々しく思う点は、予備飛行場の確保が、米軍のニーズであるにも関わらず、那覇空港の拡張となれば、100%日本側の費用負担で行わなければならない点でしょう。
辺野古への移設でも日本側負担があるので、単純に増える訳ではありませんが、嘉手納への統合にあたっても日本側負担を要求されるでしょうから、やっぱり釈然としないものがあります。

とは言え、そもそも辺野古への移設が政治的に困難になった理由が、日本政府(鳩山民主政権)にあるので、国防費の削減を目指すアメリカ議会としても、那覇拡張を裏からプッシュすることはあっても、金を出すはずはありません。

おそらく、アメリカとしては、政治上の配慮(沖縄が反発する)から、表面上で那覇の拡張を要求することはないでしょう。
ですが、裏で要求することは間違いありません。
もしかすると、共同発表がされたことで、既に動き出しているかもしれません。

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