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2012年5月20日 (日)

「衛星」騒ぎで露見した艦船輸送力の不足

先般の北朝鮮による「衛星」発射騒ぎの際、わずか4個のパトリオット高射隊(それもフルスペックではなく最低限)でさえ、海自の輸送部隊だけでは運ぶことが出来ませんでした。

行き先と輸送艦(船)は次の通りです
石垣島:LST-4003くにさき
宮古島:LST-4001おおすみ
沖縄本島:民間船

おおすみ型輸送艦の2番艦しもきたが、どこにいたかは、調べがつきませんでしたが、整備中か何かだったのだろうと思われます。

おおすみ型以外の海自輸送艦は、ゆら型のみで、こちらもまもなく退役の予定のため、今回のパトリオット部隊輸送は、海自輸送力の全力と言ってもおかしくないものでした。

重量物の輸送を一手に引き受ける艦船での輸送力は、この程度しか整備されていなかった訳です。
動的防衛力と言っても、このままでは画餅と言うべきでしょう。

それに問題は、海自輸送艦の不足だけではありません。
次の写真を見て下さい。
Photo
石垣島
PAC3が石垣到着 配備地の新港地区へ」(沖縄タイムス12年4月4日)より

Photo_2
宮古島

Photo_3
沖縄本島
那覇と宮古島にPAC3到着 自衛隊700人展開へ」(朝日新聞12年4月4日)より

全てパトリオットの発射機(LS)ですが、一目で分かるとおり、民間船で運ばれた発射機にはミサイル(実弾)が搭載されていません。実弾を搭載していないため、火薬類取締法で定められたマル火マークも取付けられていません。
沖縄本島に運ばれたパトリオット部隊用の実弾は、空自輸送機が空輸しました。
那覇港と宮古島にPAC3到着」(沖縄タイムス12年4月3日)

弾薬部分は空自の輸送機などで運んだとみられる。


大きすぎて積めなかった訳ではありません。
海自艦船と違い、自衛隊車両を積んだとしても、民間船は、あくまで民間船です。
そのため、法令(危険物船舶運送及び貯蔵規則等)による制限で、実弾が運べなかったのです。

動的防衛力を実現するため、艦船での輸送能力確保は必須ななずです。
今回の「衛星」騒ぎで、国民や沖縄県民にも、かなりのアピールが出来ました。

輸送艦の追加配備、民間船の法的制限緩和等を早急に進めないといけないでしょう。

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先島防衛」カテゴリの記事

コメント

法的緩和より、システムとしての整合性を高める必要があるのではないでしょうか。

昔、ゼロ戦をつくっていて時に、なんと牛に曳かせて運んだというのを思い出しますね。
あるいは首なしの三式戦がずらりとならんだ、とかですね。

首なしならぬ実弾無しミサイル部隊では、なにをかいわんやですね。

移動に関する法的な整合性(特に実弾・実戦関係のもの)を高める必要があると思います。
これは規制緩和の範囲ではなくて有事立法関係のものではないでしょうか。

以前から「動的防衛力」という言葉が良く分かりませんでした。
豊富な輸送力と、輸送を援護する強力な護衛が必要になる
と思いますが、今の日本にそのような能力があるようには
思えません。

輸送力と海上防衛力を同時に整備することは困難でしょう。
だとすれば、民間輸送力の活用しか無い訳で、そのための制度設計が急がれます。
経緯困難なフェリー航路はいくらもあることですし、これ等を購入し予備自衛官による外郭団体化するとか、補助金による赤字補填で防衛省の実質支配下会社化とか、方法はあると思います。
国民にとっても脚の確保につながって一挙両得。

自衛隊の輸送力不足は今に始まった話ではないとは思いますが・・・。動的防衛力云々いうなら、それこそ輸送力の整備は急務であると思うのですが。

「しもきた」は、瀬戸内海の三井造船玉野造船所で整備中でした。
たまたま、ミサイル発射の次の日に宇高フェリーに乗船したところ、目撃しました。

みやとん 様
確かに、法的緩和というより有事法制の範疇ですね。
まだまだ未整備の有事法制は、多いですから。

やん 様
以前にも、記事で書いたような気がしますが、動ける部隊を作ろうとはしているものの、動かすための手段は、立ち後れてます。
防衛省がどう考えているのか、聞いてみたいくらいです。

名無し 様
以前に、同じような案を別の方からもコメントを頂きました。
防衛予算は、むしろ縮減する中、いろいろと知恵を絞らないとダメですね。

啄木鳥 様
同感です。
槍の穂先ばかり重視は、自衛隊どころか、旧軍からの悪しき伝統ですから、なかなか難しいでしょうけど。

黒鉛 様
情報、ありがとうございます。
3隻あるので、おそらく1隻は整備中だろうと思っていましたが、やはりそうだったんですね。
輸送艦が、実質2隻しかない訳ですから、輸送力整備は緊喫の課題だと思います。

数多様
我が国の輸送隊が安全に移動する為には、仮想敵国の攻撃を
優勢に撃退できる戦力を保持しなければ、動的防衛という言葉
は画餅です。
ぜひとも、どのような思想で動的防衛力と主張しだしたのかを
防衛省に問い質してみたいです。
素人には想像もできない方策を、防衛省は持っているのかも
知れません。 (むしろ、そうあってもらいたいものです。)
メディアで報道されている限りでは、輸送力不足を隠しきれない
と思います。

やん 様
大綱があって、それに基づいて中期防、各年の予算、となって行きますから、大綱が出された時点においては画餅でも、そこからそれに向けた防衛力整備がされれば問題ないとは思います。

ただ、大綱の改編以後、中期防でも、今年の予算でも、海上輸送力の向上施策は乏しいですね。
民間船利用を考えているにしても、すぐにでも行うべき施策は、数多くあるはずだと思います。

まぁ、言いたいことは色々とありますが…

事ほど左様に、我が国の海上輸送力というのは貧弱なんですよ。

エネルギーや、物資のほとんどを海上輸送に頼っている現状にありながらね。
便宜置籍船に頼って、自国船は百隻を割っているわけですから。

思えば、百姓に介護に船員。不景気にもかかわらず、人手不足の職種が多数ある現実。国民自身がそういう現実にちゃんと向き合わない限り解決しませんよ。この手の問題は。

数多様
確かに、将来に適正な防衛力整備が進めば良いかと思いますが、
素人目に見ても輸送力や戦闘力が増強されているようには見えません(汗)
削減され続ける予算で、理想に近づけるのは難しいですね。

動的防衛力という考え方には、第二次世界大戦で補給路を断たれて、
現地の部隊が干上がった悪例を見るような危機感を感じます。

アルフォンス 様
貧弱ですね。
置籍船の数だけでなく、船員も少ないそうですし。
もっとも、私自身、艦艇勤務は嫌だな~、と思ってた口なので、大きな事は言えないのですが……

国民が、向き合うためには、まず知ることが必要だと思います。
そのためには、防衛省とすれば今回の事例なんか、「足りません」と言うための良い機会だったと思いますが、アピールする気配はないですね。

やん 様
国家予算全体が逼迫する中、防衛費だけ増額というのも、おいそれとできる選択ではないですから、無理なからぬところがあると思います。
私は、動的防衛力が、コンセプトとしては悪くないと思います。
ですが、本当にそれを実現できるかどうかは、疑問符が付きますね。

自衛隊全体として、輸送力の貧弱さは酷いの一言です。
緊急時には借り上げや買い取りでどうにかすると言っても、国家経済への影響や特に沖縄などからの国民の避難を考えると余り良い事とは思えません。

Suica割 様
予算化されている最近の輸送力の増強策としては、C-2とPLSトラックくらいでしょうか。
全く持って不十分でしょうね。

借り上げをするつもりだとしたら、それならそれで、記事に書いたような問題が、山とありますから……

>輸送力の増強
一応、建造中の22DDHでは人員(400名)と車両(大型トラック50両)の輸送能力(+他艦への給油能力)が盛り込まれているみたいです
とは言っても焼け石に水だとは思いますが・・・

ゆら型輸送艦も代艦無しで退役するようですし・・・

金が無いのが最大の原因とは思います・・・・

ゆら型輸送艦の更新について、全く要求や予算措置が行われないのは、例の「ナッチャン」購入の話が進んでいるのかと思いましたが(ゆら型の乗員は30名程度で米軍の同種の輸送艦の乗員数を考えると割り切れば、何とか人員を捻出できるかも)・・・どうも違うようですし・・・

世が世なら(好景気)なら実績作りでテクノスーパーライナー型高速輸送艦とかが作られたのもしれませんが・・・

2S19 様
22DDHは、DDHとは言っているものの、いわゆる多目的艦ですからね。

しかも50両とは、防衛省の自称?であり、実態的には3.5tトラック50両であって、一般には中型トラックとされる車両での話ですから、重量物を輸送したい艦船としては、看板に偽りありです。

無いよりはマシですけど。

海族 様
結局、お金に行き着いてしまうんですよね。
ただ、輸送艦については、今まで陸自に振るつもりだった予算を回してもいいようには思うんですが……
もっとも、陸の予算ばっかり削られている状況なので、陸としたら冗談じゃないと言いたいでしょうが、メインユーザーは陸なわけですし……
動的防衛力への転換という、ドクトリンの転換があるわけですから、3軍種の予算配分の抜本的見直しがあっても良いとは思ってます。

>陸の予算を・・・

個人的には、艦艇乗員が、もはや限界を通り越している海では、それら輸送艦には手が回らないですので、メインユーザーである陸自に直接管理運営していただいても良いと思っています(中央輸送業務隊隷下ぐらいで)。

ただ予算の無駄を無くすために要員教育や基地の提供や補給・修理に関しては海で面倒を見る必要があるでしょうが・・・

空にも予算確保でも協調して(当然艦の利用権や輸送性能に口出し可能)いただければ・・・ひょっとしたら・・・と思います。

案外、海で運営させるよりユーザーでの直接管理ですので使い勝手が良いかもしれません。

海族 様
それは流石に無理でしょう。

実際に乗り込む人間については、海自で教育してもらえば使えるようにはなると思いますが、指揮する人間が、船の運用に無知では、まともな命令が出せません。

それに、護衛艦に護衛してもらったりもするでしょうし。

やはり、餅は餅屋じゃないかと

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