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2012年4月 9日 (月)

嘉手納PAC-3による弾道ミサイル迎撃根拠_2012北朝鮮「衛星」発射

昨日の「パクられた~」記事で載せた琉球新報の「PAC3の配備態勢と射程」ですが、一つ気になっている点があります。

それは、嘉手納のPAC-3によるフットプリントも描かれていたことです。

沖縄本島の自衛隊PAC-3部隊は、今回知念分屯基地と那覇基地に展開しており、嘉手納はおろか、普段からパトリオット(PAC-2)が配備されている恩納分屯基地にも展開していません。
琉球新報の記事には、ハッキリと米空軍嘉手納基地と書かれていますし、これは米陸軍が2006年に嘉手納に配備したPAC-3のハズです。

米軍PAC-3の活用を期待しているのか、はたまた懸念しているのか、琉球新報の意図は分かりません。

しかし、米軍PAC-3の活用に関しては、法的な問題もあり、一部ではそれを懸念する報道もなされています。
PAC3 米軍の活用「非公表」」(東京新聞12年4月7日)

 北朝鮮が「人工衛星」と主張する長距離弾道ミサイルに対し、米軍が沖縄本島の嘉手納基地に配備している地上発射型迎撃ミサイル「PAC3」を活用するか否かの事実を、政府が「非公表」としていることが分かった。

中略

 嘉手納基地のPAC3が活用されるか否かは、外務省、防衛省とも「米軍の運用にかかわることなので公表できない」としている。

中略

 防衛省幹部は「米軍にPAC3の活用は要請していない」というが、そもそも嘉手納基地のPAC3がどのような場面で活用されるのか日米間の取り決めが存在しない。このため、PAC3を展開したり、発射したりする判断は米側に委ねられているのが実情だ。

中略

 基地からのミサイル発射は軍事行動にあたり、日本の主権侵害となるおそれがある。 (編集委員・半田滋)


今回の「衛星」に対する自衛隊の行動根拠は自衛隊法第八十二条の三、弾道ミサイル等に対する破壊措置です。
自衛隊法ですから、当然のことに、これは米軍PAC-3に活動根拠となるものではありません。

東京新聞の報道が正しければ、今回は、米軍PAC-3の活用は要請していないとのことですが、もし要請するとしたら、それは当然ながら日米安保条約を根拠とした要請ということになります。

しかし、その場合の法的枠組みについては、東京新聞が報じるとおり、日米間になんら取り決めがありません。
もし、米軍PAC-3がが勝手に迎撃するような事態が発生すれば、防護される近隣住民にとっては必要なこととは言え、政治問題になることは間違いありません。
おそらく、問題は承知しつつも、放置されてきた、と言っていいでしょう。

「政府が無策だ!」と単に政府批判しても詮無いことなので、では安保を根拠とした要請を行う場合、どんな法的枠組みがあり得、それにはどんな問題があるかについて、考えてみます。

考えられる方法は、3つあります。

①「衛星」の脅威を武力攻撃であるとみなし、日米安保の発動を要請する方法
もっとも、強力な日米安保の使い方です。
ですが、これはまず不可能でしょう。
何せ、守られる側の日本が、「衛星」対処を自衛権の発露ではない弾道ミサイル等に対する破壊措置で行おうとしているのですから、不整合にも程があります。

②対領空侵犯措置として要請する方法
対領侵の米軍への要請は、実は実績があります。
昭和33年に、航空自衛隊が対領侵任務を開始するまでは、(旧)日米安保条約を根拠として、米軍が日本政府の要請を受けて実施していました。
条約が改定され、以前に根拠とされていた条文が1条から6条に変っていますが、同様の内容が継承されているので、対領侵を根拠とした要請には、法制局等の関係機関もそれほど抵抗せずに連携してくれそうです。
ですが、自衛隊が行う弾道ミサイル等に対する破壊措置も、対領侵を根拠としたのでは、領空内でしか実施できないといった問題が発生してしまうために、自衛隊法が改正された経緯がありますから、これも法理的に苦しいものがあります。
嘉手納のPAC-3に限定するなら、適用できないこともない、といったところでしょうか。
なお、対領侵は航空機が行うものとの認識があると思いますが、自衛隊でも、隊法上は、陸海の部隊さえ対領侵を行えることになっており、高射部隊を対領侵任務に就けさせることができます。

自衛隊法84条
防衛大臣は、(中略)自衛隊の部隊に対し、(中略)必要な措置を講じさせることができる。


③自衛隊が行う弾道ミサイル等に対する破壊措置に準じた措置として、要請する方法
法理などの面では、これがもっとも適切でしょう。
根拠としては、対領侵と同様に、日米安保条約の6条を使う事になると思われます。

日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約 第6条
 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。


ですが、実績もない方法についての要請を一から調整するのですから、内閣法制局などの国内の調整も、アメリカとの調整も、そう簡単にできるとは思えません。

どれにも、相応の問題があり、PAC-3の場合は、沖縄であることも踏まえて非常に難しい問題となります。

もし、今回嘉手納のPAC-3を要請するとすれば、とりあえず対領侵として要請して、事後に弾道ミサイル等に対する破壊措置に準じた措置として要請する、と言ったところが妥当ではないでしょうか。
(米軍イージスにも迎撃を要請するなら、破壊措置に準じた枠組みを作るしかあないでしょう)

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