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2012年4月14日 (土)

早期警戒警報(SEW)の不正確性と官房長官の失言_2012北朝鮮「衛星」発射

「衛星」発射に関する政府対応のまずさとその原因については、別の機会に書きたいと思いますが、今回はコレに関連した(衛星による)早期警戒警報(SEW)の不正確性と官房長官の失言について書きます。

政府対応の言い訳として、誤情報を防ぐためにダブルチェックしていたなどと言われています。
「衛星」打ち上げが、あまりにも早い段階で失敗したことが、そもそもの原因ではありますが、米軍からの早期警戒警報(SEW)がありながら、政府が及び腰になった技術的背景には、早期警戒警報(SEW)の不正確性があります。

藤村官房長官は、13日午後に行われた会見で、「SEW情報だけでは、発射の燃焼実験などさまざま(なことが)考えられ、ミサイルと確定できない」と発言しました。

SEWの不正確性が原因となった過去の事例としては、2つあります。

一つは、2009年の「衛星」発射時における誤報です。
この時はSEWがなかったものの、SEWが不正確だったり遅延したりする可能性を踏まえて、SEWなしに、FPS-5による誤探知だけで発表したことが誤報の原因でした。
詳しくは、過去の記事「誤報の原因と課題」をご覧下さい。

もう一つは、2001年11月22日に、韓国が済州島の西にミサイルの発射実験をした際、SEWを受けた防衛省・自衛隊が一時騒然となった事態です。

韓国がミサイル発射、済州島周辺に落下 試射と説明

 日本政府に22日夕、入った情報によると、同日午後4時過ぎ、韓国から弾道ミサイル一発が発射され、約10分後に済州島の西で、九州からは約300キロ西方の海域に落下した模様だ。

韓国側は研究開発の目的で、東シナ海に向けてミサイルを試射したと説明しているという。

日韓両国の複数の政府筋によると、韓国国防省の国防科学研究所がミサイルの発射実験をした際に、何らかの原因で誤った地域に落下した可能性もあるという。

 日本の政府筋は「誤射説が濃厚だ」と指摘し、別の政府筋は「誤射ではないが、ちょっと間違ったようだ」と語った。

 一時は、「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)がテポドンを発射した可能性がある」との未確認情報が流れ、防衛庁、外務省、内閣官房には、緊迫した空気が流れた。(20:50)

http://www.asahi.com/international/update/1122/013.html


この時、SEWによって問題が発生したと言うことは、SEWの情報において、発射地点が北朝鮮なのか韓国なのか、着弾地点が東シナ海なのか日本まで届くのかが不明確だったということです。

SEWが不正確なことを証明する明らかな事例として、この2つがある訳ですから、ハインリッヒの法則によれば、実際には、一般には公表されていない誤警報が多数存在し、普段はレーダー情報等と照らし合わせたダブルチェックにより誤警報を防いでいるということです。

政府(防衛省)・自衛隊としては、だからこそ今回のような事態になったのだろうとは思われます。
だからといって、今回の明らかな失態は許容できませんが……

ちなみに、DSP衛星によるSEWは、どうあっても不正確です。
そのため、私は日本による早期警戒衛星の独自保有には反対しています。
興味のある方は、過去記事「日本独自の早期警戒衛星は不要だ!」をご覧下さい。

最後に、藤村官房長官による「SEW情報だけでは、発射の燃焼実験などさまざま(なことが)考えられ、ミサイルと確定できない」発言が失言だろう、ということについて書いておきます。

私は、今までにもSEWが必ずしも正確ではないとは書いてましたが、明確に書くことはDSP衛星による米軍偵察能力の暴露になるため避けてきました。
ですが、藤村官房長官は、地上での燃焼試験に対してさえ誤警報を発する可能性があると暴露してしまいました。

前記2001年の事態でも、発射地点や落下地点が相当不正確だったことは類推可能ですが、あくまで類推です。
官房長官という政府の重要情報を明らかに知ることができる人間が、これほど不正確だと明言することは問題ではないでしょうか。

もしかすると、アメリカ政府から抗議を受けているかも知れません。

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コメント

どうでしょうか・・・
今までに民主政権がやらかした、
エキセントリックな失態の数々からして、
敵国も今回の官房長官発言を、
真に受けて良いモノかどうか、
迷っているのではないでしょうかね;

ヤバいのは、防衛大臣だけではなかったということですね(苦笑)
この政権でこの防衛大臣では、日本を侵略してくれっていうメッセージ
を送っているようなものです(汗)

今回の北朝鮮のミサイル事案を奇貨として、まともな防衛論議が
日本で巻き起こることを願っております。

今朝方TVに佐藤議員が出演されて、ダブルチェックをするなら展開されたイージス艦のうち1隻は黄海に入れるべきだった旨の発言をしておられました。

ただ、黄海に入れてしまうとその艦は迎撃が出来なくなってしまうのですよね…。
SPY-1の軽量バージョン搭載して、前方警戒を行う艦艇とか欲しいところですね。

イヌザメ 様
なるほど。
確かに、「民主党政治家の言うことは当てにならん」と思ってくれたかも知れませんね。
防衛大臣からしてアレですからね。

やん 様
民主党は、安全保障に対する意識が低すぎるんですよね。
もっとも、自民党(当時)の田中真紀子氏が、9.11の際に米国務省の避難先を暴露したなんていう事例もありましたが……今はやっぱり民主党ですね。

藤宮 直樹 様
BMD能力のないあたご型でもいいから、黄海に入れるべきでしたね。

おそらく、もっと飛ぶだろうと予想して、沖縄以南に展開させてたんでしょうけど。
わずか100キロ程度しか上がらないとは、防衛省としては、想定外だったんでしょう。

数多様
田中真紀子も酷かったですね(笑) 金正男を捕まえておきながら、
何もせずにさっさと釈放&お見送りでしたから。。。
残念ながら、国民のレベル以上の政治家は出てきません。

やん 様
金正男の件は、金でも積んで懐柔していたとかだったら誉めるところなんですが、だったら秘密にしておくべき話なんですよね。

やっぱり無策だったんでしょうね。

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1 :壊龍φ ★:2012/04/14(土) 11:58:58.80 ID:???  日本政府関係者は、北朝鮮の“ミサイル”発射について、防衛省が置く10カ所のレーダーで、13日午前7時45分から54分までミサイルが飛行していたことを確認して...... [続きを読む]

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