ブログランキング&ツイッター

  • 軍事・防衛 ブログランキング
  • ツイッター

« 「衛星」情報開示不手際から透けて見える日米の不平等_2012北朝鮮「衛星」発射 | トップページ | 嘉手納以南返還によってムダに支出される年間220億の思いやり予算 »

2012年4月22日 (日)

実弾装填で実戦的警護_2012北朝鮮「衛星」発射

先日の「衛星」騒ぎは、自衛隊としては、数少ない実戦的態勢を取る機会でした。
注目されたPAC-3やイージスは言うに及ばず、メチルヒドラジン汚染を警戒した化学防護小隊もそうでしょう。

しかし、自衛隊の歴史上、もしかすると「エポックメイキングになった」と言われるかもしれない実例は、これだけではありませんでした。

PAC3警備に銃携行 石垣島の陸自部隊 実弾装填、国内初」(産経新聞12年4月6日)
(共同通信、及び配信を受けた地方紙も同様の内容を報道してます)

自衛隊が銃を携行していることはあたりまえです。
ですが、基地等外において、実弾を”装填”して警備を行うことは、過去になかったことです。私が実例を知らないだけかもしれませんが……
(ただし”装填”は、薬室装填ではなく、マガジンの装填だけだと思われます)

なぜかと言えば「国民に銃を向けるつもりなのか!」という批判を恐れたがためです。

ただし、”装填”が初なのであって、95条を適用し、武器等防護のための武器の使用によって警備を行う事は、従来から頻繁に行われてきました。
何せ、何ら出動任務が発せられていない平時において、武器を使用する根拠法令は、9.11以後に、95条の2(自衛隊の施設の警護のための武器の使用)が出来るまでは、他に何もなかったからです。
(対領侵を除く)

一応整理しておくと、平時における武器使用の根拠は次の通りになります。
9.11後の自衛隊法改正以前
 ・通常の基地等の警備も含めて武器等防護
自衛隊法改正以後
 ・基地等内においては施設警護
 ・基地等外においては武器等防護

「じゃあ、装填してなかったら、どうしてたんだ?」という話になると思いますが、実弾入り弾倉は、別に携行したり、別保管だったりしてました。
銃は弾倉自体が未装着か、空弾倉を装着(ゴミ等の侵入防止にはこの方がいいが、イザ銃を使いたいときに空弾倉を抜く手間がかかるので、良し悪し)でした。

何にせよ、実戦的ではなかった訳です。

それが、今回はPAC-3部隊に陸自の警護が付いた上、実弾を装填する等、随分と手厚い状態になりました。

2009年の「衛星」騒ぎでは、どちらもやらなかった訳ですから、随分と進歩です。

2009年の際の反省事項として、事前に調整準備されて来ただけなのかもしれません。
もしくは、2009年以上に北朝鮮が自衛隊の対応を強い調子で批判しており、何らかの活動が行われる可能性があるとの情報分析があったのかもしれません。
もしかすると、配備が沖縄であることや基地等外に展開したことも、多少は影響した可能性もあります。

何にせよ、本来、これが当然です。
テロ分子等が展開地内に侵入し、PAC-3を奪取でもすれば、民間機を落とすことも簡単だったのですから、国民の安全を考えれば、自衛隊が自衛隊の装備を、武器を持って防護することは、やって当たり前です。

参考:自衛隊法

(武器等の防護のための武器の使用)
第九十五条  自衛官は、自衛隊の武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備又は液体燃料を職務上警護するに当たり、人又は武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備若しくは液体燃料を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。ただし、刑法第三十六条 又は第三十七条 に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。

(自衛隊の施設の警護のための武器の使用)
第九十五条の二  自衛官は、本邦内にある自衛隊の施設であつて、自衛隊の武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備若しくは液体燃料を保管し、収容し若しくは整備するための施設設備、営舎又は港湾若しくは飛行場に係る施設設備が所在するものを職務上警護するに当たり、当該職務を遂行するため又は自己若しくは他人を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には、当該施設内において、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。ただし、刑法第三十六条 又は第三十七条 に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。

« 「衛星」情報開示不手際から透けて見える日米の不平等_2012北朝鮮「衛星」発射 | トップページ | 嘉手納以南返還によってムダに支出される年間220億の思いやり予算 »

基地警備」カテゴリの記事

コメント

当然のことが、なかなかできなかった訳ですから、今回の事案では
北朝鮮に感謝するべきなのかも知れません。
対中国にも、今回の自衛隊の展開は良い訓練になったと思います。

ミグ25の函館強制着陸事件では、迎撃に向かったF-4にミサイルが
搭載できなかったらしいです(汗)
あの当時は、訓練ですら実弾を装着できなかったですから、いざと
いう時に不具合が発生しても仕方なかったです。 
亡命ですから良かったものの、旧ソ連が攻めてきていたら、エラい
ことになっていた訳です。 

今回は、日本国民に危機を理解させる良い機会になったと考えます。

>マガジンを装填しただけ・・・
マガジンを挿しただけで、薬室に弾薬を装填していないなら・・最近流行りの用語なら「半装填」ですね。無論装填したら何時でも撃てますので、即応性は高いですし、また状況によれば、目標の見ている前で装填して見せれば「警告」になりますので、「射撃」に至る前の段階では、一つの武器の使い方になりますね。

また武器の安全管理上さすが薬室に弾薬を装填するのは射撃直前まで良くないでしょうね・・・・

やん 様
危機を理解させるという意味では、仲井間知事の「(発射が)失敗して予定外のことが起こった時に備えるという趣旨だったが、事態が起こり得ることがはっきりした。いろいろな手を打っていただいたことに心から感謝する」というコメントが印象的でした。

海族 様
棹桿を警告として使うためにも、半装填はいいですね。
薬室装填だと、飛び出しちゃいますし。

薬室装填させてたら……暴発事故が起るでしょうね。

数多様
仲井間知事も、優秀な政治家ですね。 
ある意味「古狸」なのですが。。。(汗)

やん 様
意外に、ちゃんと「政治家」してますね。

仲井間知事のことは、よく知らなかったのですが、本当に意外です(笑)

はじめまして。
私は元陸自普通科小銃小隊です。
一般の方が自衛官の警備実施における、実弾の装填か半装填かの議論がある程、安全保障に関心を持つ事は非常に重要と思います。
私的(現場)としては、もちろん実弾を薬室装填して歩哨を実施したいと考えます。しかし指揮官は、(1)四方が海に面していて遮蔽物が無く、海上から攻めて来る敵に対し、目視による確認が容易である事。
(2)付近の陸路から攻めて来る場合、警察による検問が実施されている為、第1防衛線を突破された場合においも応射まである程度の時間がある事。
上記の判断により半装填であると判断するでしょう。
海族様が仰るように、不審者に対し実弾を薬室装填し警告する方法は場合によっては大変有効ですが、この状況では無理でしょう。相手は犯罪者ではなく戦闘員です。しかも特殊部隊若しくは情報機関の工作員が想定されます。能登半島沖不審船事件を思い出してみて下さい。
皆様が懸念されている暴発事故に関してですが、自衛官(特に普通科)は銃の扱い方は徹底されており、実弾射撃においては銃口管理から安全装置及び薬室内に至るまで神経を尖らせて実施します。
過去に暴発事案は確かにありますが、いずれも訓練終了後等の気の緩みや、新兵によるものが大半です。
今回は「実戦」であり事の重大さもよく理解して行います。それに加え銃には安全装置が付いています。
以上の事から暴発事故は絶対に起きないものと考えます。
長文失礼致しました。

元自 様
もちろん、即応するためには薬室装填が望ましいとは思っていますが、やはり暴発事故の可能性は考慮しておかないといけないのではないかと思っております。
今回も警備についたのは、支援に来てくれた普通科部隊だけではなく、必ずしも小銃を扱うプロとは言い難い空自隊員も居たでしょう。
それに期間だって、長期化する可能性だってありました。そうなれば気の緩みも出たでしょう。

私も実際に暴発事故(空砲でしたが)は目にしてますし、執銃教練で立て筒をした時に、「カチャン」なんて怪しい音を耳にしたことも一度ならずあります。
半装填でも、以前に比べたら相当な進歩ですし、安全施策として、安全装置だけでは、ちょっと不安があります。

数多久遠様へ
懇切丁寧に返信して頂きありがとうございます。
まず、貴殿が自衛隊に関係していた(秘密保全上、答えて頂かなくて大丈夫です。)事実を確認しないまま投稿した事に大変お詫び申し上げます。
私が指摘させて頂いた内容は、釈迦に説法でございました。 本当に申し訳ございません。
ただ、一つ言わせて頂きたかったのは、自衛隊に対する批判が多い中、自衛官は己の任務を自覚し、文字通り命がけで頑張っている人達がいる事を世間の皆様に分かって貰いたく、投稿させて頂きました。
私は自衛隊を辞めた身です。しかし現在においても、ボディーガードとして個人の生命、財産を守るため、自衛隊で培った危機管理を活かし精進しております。 何かを命がけで守る信念は、警察、消防、自衛隊、海上保安庁etc、一緒ではないでしょうか。
かつての仲間達が一方的な偏見による批判にさらされる事に私は憤りを感じます。
あなたのように安全保障に対し正面から考え、一般の方に興味を持って頂くための活動には大変賞賛させて頂きます。
これからも応援させて頂きまかすので、宜しくお願い申し上げます。

元自 様
お詫びなどして頂く必要は、全くありません。
自衛隊OBであることは公言しておりますが、ことさら喧伝している訳ではありませんので、元自様が承知していなくても、それを避難するつもりは全くありません。
むしろ、気にすることなくコメント頂けたら幸いです。

理不尽な自衛隊批判は、昨年の震災などで大分減ったとは思いますが、まだまだ根強いですね。
私がブログを書かせて頂いて居るのも、現役自衛官による情報発信が規制されている中、少しでも役に立てればとの思いからです。

同じOBとして、同じ思いで、またコメント頂ければ嬉しいです。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 実弾装填で実戦的警護_2012北朝鮮「衛星」発射:

« 「衛星」情報開示不手際から透けて見える日米の不平等_2012北朝鮮「衛星」発射 | トップページ | 嘉手納以南返還によってムダに支出される年間220億の思いやり予算 »

アマゾン

  • 航空自衛隊 副官 怜於奈3
  • ルーシ・コネクション 青年外交官 芦沢行人
  • 航空自衛隊 副官 怜於奈2
  • 機巧のテロリスト
  • 航空自衛隊 副官 怜於奈
  • 北方領土秘録 外交という名の戦場
  • 深淵の覇者 新鋭潜水艦こくりゅう「尖閣」出撃 (文庫)
  • 半島へ 陸自山岳連隊
  • 黎明の笛 陸自特殊部隊「竹島」奪還 (文庫)
  • 深淵の覇者

最近のトラックバック

ブックマーク、RSS