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2012年3月

2012年3月 1日 (木)

危機管理監ポストと危機管理監の位置付け

警察が牛耳っている内閣危機管理監ポストを防衛官僚が狙っていると、産経が報じています。
防衛省が“宣戦布告” 警察庁の牙城に触手」(産経新聞12年2月5日)

 ある警察庁キャリアと話していると唐突に切り出してきた。「市谷が『警察官僚に危機管理監は務まらない』と騒いでいる」。
中略
 (震災時)自衛隊が10万人態勢を敷き、米軍も大規模な人員・装備を展開させた「戦時」並みのオペレーションを把握するには、警察庁出身の伊藤氏には「荷が重かった」との指摘が防衛省内には多い。
 防衛省側には、震災のみならず大規模テロなどに備え、危機管理センターの機能強化を図るには、危機管理監ポストを警察官僚から引き離すべきだとの不満がくすぶる。逆に、警察庁側は「政府を挙げた対応のとりまとめは防衛官僚に務まらない」と反論する。


10万人もの災害派遣が実施された震災対応では、警察出身者がこれを掌握することは不可能だろうと思います。

オウムの対応でも、オウムが最後に備蓄していた武器やサリンを用いて抵抗していたら、警察だけでは、対応不可能だったでしょう。
たった5人が立てこもっただけのあさま山荘事件でも2名もの警官が死亡していますし、愛知長久手町立てこもり発砲事件でも1名が殉職する等、射殺をせずに犯人逮捕を意図した方針のせいもあるにせよ、犯罪者側が警察並以上の装備を持っている場合には、普通の警察力で対処しようとすること自体に問題があると思われます。

オウムの対応等、”一般の警察力をもつては、治安を維持することができないと認められる場合には、”自衛隊を出動させることができる訳ですが、その際に警察出身者が危機管理監として事に当たろうとしても、やはり困難でしょう。

この事を考えれば、今後も警察出身者が危機管理監では、荷が勝ちすぎる場面が出てくると思われます。

ですが、産経の記事は、防衛省出身者を配置することも問題だと指摘しています。

そもそも危機管理監は「国の防衛に関するもの」は担当外で、自衛隊の運用には権限が及ばないとされる。
中略
不審船の例をみてもわかるとおり、狭い意味の危機管理の問題が結果的には防衛の問題に発展するケースもあって、中途段階において両者を明確に区分することが難しいケースも少なくない


そもそも「危機管理監」とは、国の防衛以外を扱う職である上、国の防衛に発展するかどうか分からない段階では、防衛問題を取り扱わない「危機管理監」に事態を掌握させた方が良い、という論旨のようです。

正直言って、この論の展開は、私には良く理解できませんでした。
確かに、危機管理監の職務は、「危機管理(国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生じ、又は生じるおそれがある緊急の事態への対処及び当該事態の発生の防止をいう。)に関するもの(国の防衛に関するものを除く。)を統理すること」にあるそうです。
ですが、では危機管理監と同じように内閣内にあるポストに、「国の防衛を統理」すべきモノがあるかと言えば、ないのです。

防衛大臣はいますが、政治家ですから、防衛問題に造詣の深い方でも、官僚ほどの専門知識はありません。
総理大臣補佐官の安全保障担当も、同様に政治家です。

防衛以外の危機管理を統理するポストはあっても、防衛を統理するポストがない中で、現行の危機管理監は、防衛を扱わないのだから、防衛に移行するかどうか分からない段階での事態では、警察出身者が危機管理を統理していれば良い、との産経の考えは、私の理解の範囲を超えました。

防衛を統理する新たなポストを内閣内に作らないのであれば、防衛に移行する可能性のある事態は、防衛省出身者が統理していなければ、先が見えないまま事態を悪化させるだけではないでしょうか。

危機管理監の職務として、防衛に関することも統理させた上、防衛官僚を配することがベストだと思います。
どうしても警察官僚が抵抗するなら、内閣内に防衛を統理する国防管理監みたいなポストを作る必要があるでしょう。

2012年3月 4日 (日)

自衛隊組織の人事制度からの瓦解_後方任用制度

財務省と民主党は、組織としての自衛隊を、人事制度から瓦解させようとしています。

以前にも「「準自衛官」制度の創設は疑問」として記事を書いて反対した、後方職種自衛官の人事制度上の差別化ですが、「準自衛官」では響きが悪く反対されると踏んだのか、財務省・民主党は、今度は「後方任用制度」と名前を変えて、24年度予算案にねじ込んできました。
Ws000011
平成24年度予算の概要より

この資料だけでは、後方任用制度とは如何なるモノなのか良く分かりません。
3月3日時点で「後方任用制度」でググッて最初にヒットする資料は、財務省の広報誌「ファイナンス」の2011年4月号に掲載された「平成23年度新防衛大綱・新中期防と防衛関係費について」(主計局主計官 市川 健太)です。

その他の職務に係る処遇を最適化する制度
(後方任用制度:後方業務分野において、中
高齢の隊員を有効活用し、職務職責に応じた
給与、定年等の処遇を適用)を設計・導入し、
人件費の追加的な負担を招かない範囲で所要
の実員を確保する。


これを見ると、いわゆる定年後自衛官の再任用制度のようにも見えます。
ですが、再任用制度は既に実際に導入されているもので、後方任用制度はそれとは異なります。

財務省・民主党は、反対を恐れてか、詳細・実態を説明しようとはしていないようです。

現在ネット得られる資料で、後方任用制度の姿が分かる記述は、佐藤正久議員のブログ記事くらいしかありません。
部隊の士気低下を招く閣僚の発言に唖然!

「後方任用制度」とは、財務省が打ち出したもので、「必ずしも自衛官でなくともできる仕事については、自衛官に準ずる身分を新設し、現役自衛官をこれに移し、事務官・技官に準じた処遇をする」というもの。要は、現役自衛官を職種で2種類に区分して、人件費を抑制しようとする制度。


早い話が、やはり「準自衛官」の改名焼き直し制度なんです。
人をモノとしてしか見ていない、現場を知らないキャリア官僚の考え方ですね。
佐藤議員の記事タイトル通り、軍事組織の士気というものを、恐ろしく軽視した制度です。

アメリカのように、戦争とは、あくまで国外で戦うものと考え、それを実現している国はそれでも良いかもしれません。
ですが、現代戦では、航空機やミサイルの発達、及び特殊作戦による後方攪乱により、後方と前線の区別、危険度の差異は非常に薄く曖昧なものになっています。
下手をすれば、重要目標となりやすい後方拠点にいるよりも、前線でタコツボに入っている方が、むしろ安全かもしれません。

これが導入されれば、例えば補給処などは、全員が後方任用制度の適用を受けた、後方任用自衛官になるでしょう。
その補給処が空爆を受けたり、特殊部隊によるゲリコマ攻撃を受けた時、普段から正規自衛官としての扱いを受けていない後方任用自衛官が、命を賭して、補給物資を守るとは思えません。
普段から、そんな差別処遇を受けていたら、私なら、安全な所に隠れて、危険が去るのを待つかもしれません。

制度として、どんな名称を付けようとしているのかも気になります。
ここでは仮に「後方任用自衛官」と書かせてもらってますが、財務の発想は「準自衛官」そのものです。
自衛官に限らず、軍事組織に属する人間は、極言すれば、名誉のため、もっとブッチャケた言い方をすれば、格好付けのために命を賭します。
「準」と呼ばれた人間に、それを期待するのは過剰な期待と言うものでしょう。

さて、しかしこの後方任用制度ですが、「必ずしも自衛官でなくともできる仕事」をさせる言う点で、賛成する人もいるかもしれません。
ですが、そもそもこの発想にはオカシナ点があります。
防衛省を支えている既存の制度である事務官は、一体なんなの?、という点です。

現行制度でも、制服自衛官と「必ずしも自衛官でなくてもできる仕事」をする事務官という制度があり、制服自衛官が配置されている職務は、制服自衛官を当てるべきだとの考え方がで制服自衛官が配されているのです。
この後方任用制度が制度化されるのであば、それは、現在制服自衛官がやっている仕事の一部が、実は「必ずしも自衛官でなくてもできる仕事」でした~、と言っていることと同じです。

腹の虫が治まらないので、何やら乱文になって申し訳ありませんが、この後方任用制度については、今後も微力ながら反対して行こうと思います。

そしてそのためには、野田政権を倒さなければなりません。
何せ、この後方任用制度、前述のように「準自衛官」と言われていた当時、反対する北沢防衛相に対して、「座敷に踏み込んできた」のが当の野田財務相(当時)なのです。
もしかすると、野田首相としては、反対する北沢氏を外し、言うことを聞く田中氏を防衛相に据えることで、この後方任用制度を通そうと考えたのかも知れません。

最後に、この件に関する素朴な疑問をあげておきます。
本件を推進する野田首相のお父さんは、習志野駐屯地勤務でしたが、空挺団の所属ではなく、業務隊の所属だったそうです。
つまりは、後方任用制度の適用を受けたはずの自衛官だったようなのです。
野田首相は、お父さんに対して、どんな気持ちで、後方任用制度の適用を推し進めているのでしょうか。

2012年3月 6日 (火)

階級詐称

突然ですが、クイズです。

自衛官が自分の階級を偽ることを階級詐称と言いますが、実際の階級よりも上の階級を偽る場合と下の階級を偽る場合、どちらが重い処罰を受けるでしょう?

普通、階級詐称を言えば、威張り散らすために、実際の階級よりも上の階級を詐称することが普通です。
ですが、下の階級を称しても、やはり階級詐称です。
果たして、どちらが重い処罰を受ける詐称でしょうか。あるいは階級の段階差が同じなら、上でも下でも同じでしょうか。











答え
実際の階級よりも下の階級を称した方が、より重い処罰を受ける。

だそうです。
だそうです、と伝聞で書いたのは、実を言うと、私も明確なソースを知らないからです。
ですが、現役自衛官時代に、某学校の教官から聞いた話ですので、真っ赤な嘘ということもないと思います。

理由としては、下の階級を詐称することは、階級に伴って付随する責任の放棄にあたるからだそうです。
何となく、納得のいく説明です。

ちなみに、実際の階級詐称事案としては、第3代の航空幕僚長だった源田実氏が、訪米の際に、空将として、本来銀色桜星3つの階級章のところ、勝手に4つの桜星階級章を付けた事例があったそうですが、この時も処罰は無かったそうです。(by wiki)

2012年3月 8日 (木)

平和を謳うJAXA法改正反対運動は、国民の生命・財産を危険に曝す

JAXA(宇宙航空研究開発機構)の活動を安全保障にも配慮したものにさせようとするJAXA法の改正に対して、有志の研究者が反対署名活動「JAXA・フォー・ピース」を行っています。

JAXA法改正:平和利用目的削除で反対署名を開始」(毎日新聞12年3月7日)

政府の同法改正案は、「研究を平和の目的に限る」との記述の削除を目指し、JAXAを安全保障に配慮したものにしようとしています。

これに対して「JAXA・フォー・ピース」は、改正に対して、次の5つの点から反対しているそうです。
①憲法の平和原則に抵触する
②宇宙の軍事利用のさらなる拡大につながる
③科学の公開性・民主性の原則が侵される
④研究の自由の侵害につながる
⑤一部の人たちの議論だけですすめられており,当事者であるJAXAの研究者・技術者,および国民の声が反映されていない

①の「憲法の平和原則に抵触する」ですが、既に過去の遺物となった感もある共産化を意図して反戦平和を唱える共産党や社民党とそっくりな主張で、苦笑いしか出ません。

②の「宇宙の軍事利用のさらなる拡大につながる」ですが、日本の平和、ひいては国民の生命と財産を守るため、宇宙開発も安全保障に配慮したものにすることの何が悪いというのでしょうか。

③の「科学の公開性・民主性の原則が侵される」ですが、公開することが公共の福祉に反して、国民の危険に曝すことに繋がるのであれば、それは当然非公開にされるべきです。
「JAXA・フォー・ピース」のHPでは、国民に情報が伝わりにくくなることをもって反対してますが、国民に伝わる情報は、日本の安全を脅かす他国にも伝わることを認識すべきです。
同運動の世話人である浜田氏(東京工業大学・特任助教)は、小惑星探査機「はやぶさ」が、全ての情報がオープンになっていたを評価していますが、宇宙空間を高速で移動する微小な小惑星に、極めて正確に会合させる技術は、弾道ミサイルの迎撃を含めた宇宙空間における軍事技術に、そのまま転用できる技術です。
それを北朝鮮や中国に垂れ流すことを良しとするなんて、論外としか思えません。

④の「研究の自由の侵害につながる」ですが、研究者の自由にさせることが、国民の安全を脅かすなら、それは当然規制されるべきです。
先日も、インフルエンザウイルスに関する研究が非公開とされましたが、これと同じ事です。
また、HPでは、研究者の思想・良心の自由を侵害するともしてますが、国家斉唱に起立しない教員と同じ事で、思想・良心とは関係ありません。

⑤の一部の人の意見しか反映されてないとのことですが、改正の端緒となった宇宙開発戦略専門調査会の報告は、大学の学長・教授,民間企業経営者など、むしろ安全保障とは関係無い方がまとめていますし、JAXAの関係者2人も入っています。的外れもいいところです。

さて、長々と反論を書きましたが、反論をしたいからこの記事を書いた訳ではありません。
署名活動「JAXA・フォー・ピース」は、見て頂ければ分かりますが、オンライン署名だからなのか、この反対活動に対して、賛同する署名だけでなく、反対する署名も可能です。
是非、この反対運動に対して、逆に反対し、宇宙の安全保障への貢献を大切だと考えている国民が如何に多いかを、平和ボケした研究者に思いやらせてやりましょう。

ちなみに、この運動の賛同者を見ると、共産党員とか日朝協会の方とか、明らかに日本国民ではなく、他国の利益になるよう考えている方がいらっしゃいます。
運動を始めた方は、そういうつもりではないかもしれませんが、利用されていることは認識すべきでしょう。

3月11日追記

賛同している匿名のJAXA研究者が「今までも軍用・民間用の区別はぎりぎりなところはあります。」とコメントしています。

そのぎりぎりな成果が、日本に害を及ぼすことを意図する外国勢力に解放されている現状は、憂慮すべきものでしょう。

2012年3月11日 (日)

DVD評「ハート・ロッカー」

第82回のアカデミー賞において、作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞、音響編集賞、録音賞を受賞した映画です。


爆弾処理班という、従来あまり焦点の当てられることがなかった職務を描いており、興味を持って見ました。

イラク戦後、戦術?として急速に発達したIED(Improvised Explosive Device:即製爆発装置)とは何ナノかを知るには、参考資料になる映画だと思います。

アカデミー賞では、音響編集賞、録音賞を受賞を受賞してますが、私は、爆発シーンとかの映像が美しいと思いました。ただし、必ずしもリアルという訳ではなく、見栄えのする爆発シーンになっているような気がします。

映画としては……、何でこれがアカデミー賞なの?
特に、作品賞、監督賞、脚本賞を取っていることは理解に苦しみます。

危険度の高い爆弾処理現場の極限状態を描いた作品かと思いきや、ただのアドレナリン中毒患者が無茶をしているだけで、そこには苦悩もへったくれもありません。
普通の人間が、恐怖と戦いながら、爆弾処理に臨む映画なら、そこにドラマがあると思いますが、この映画で描かれているのは単なるジャンキーです。
私自身、危険が嫌いだった訳ではないので、ある意味ジャンキーの気持ちが分からないでもないですが、ジャンキーの目的は基本的には自己満足なので、感情移入の必要さえなく、見ていてかったるい映画でした。

なお、完全蛇足ながら、アマゾンにはこんなモノも売られています。
パッケージも名前もそっくり!
これって、詐欺じゃないのでしょうか?

ただし、アマゾンのレビューでは、こっちの方が高評価です!


2012年3月13日 (火)

自衛隊施設の防災対策と抗たん化・欺瞞施策

「これって、ありなの?」
Photo
松島基地の変電設備(朝雲新聞より)

と写真を見て考えたのは、自衛隊施設の防災対策と抗たん化・欺瞞施策についてです。

写真の元記事は、震災から1周年で朝雲が載せた次の記事。
3.11被災の自衛隊施設 いまだ癒えぬ傷跡 異なる被害 冠水でダメージ 多賀城駐 松島基地 揺れで倉庫類が損壊 仙台駐」(朝雲新聞12年3月8日)

東日本大震災に伴う津波で、松島基地は、ほぼ全域が水没し、機能が麻痺しました。
電源関係も軒並み被害を受けたようです。
ですから、写真にあるような電源設備の津波を含む防災対策は、必要な措置だと思います。
重要な設備ですから。

ですが、自衛隊にとって重要な設備が、「これがターゲットですよ」と言っているような丸裸な状態でいいんでしょうか。

松島の第4航空団は、戦闘部隊ではなく、飛行教育を行う訓練部隊です。だから、抗たん化や欺瞞施策は必要ないという論理はあるでしょう。
しかし、松島基地は、有事には三沢や百里の代替飛行場になります。敵に狙われる可能性は、当然あるのです。

また、商用電源の受け入れ設備は、商用電源自体が遮断(送電鉄塔の破壊等)される可能性があるのだし、自衛隊は自家発動発電機を備えてるんだから、抗たん化等を考える必要は無いという考え方もあると思います。
しかし、自家発を常続的に運転することは、無理がありますし、効率(燃料確保、コスト両面)もよくありません。

昨年夏には、百里が東電の電力供給制限を受けて、訓練を小松に移転させたことを見ても、空自は電気がないと活動に支障を来たすという証左でしょう。

そのための商用電源の受け入れ設備は、防災対策を施すだけでなく、ある程度の抗たん化と、せめてこれが電源設備だと外見からは判断できない程度の偽装は必要だと思います。

恐らく、写真の設備は、松島の復旧のためについた補正予算での措置なんでしょうけど、もう少しなんとかならないものかと思います。

もっとも、松島だけの状況ではありませんが……

2012年3月15日 (木)

これはやってみたい!_陸自高射学校の対空戦闘シミュレータ

陸自高射学校に、対空戦闘シミュレータが完成したそうです。
高射校 「GSM17」の改修完了 CGで対空射撃訓練」(朝雲新聞12年3月8日)
Gsm17
朝雲新聞より

同シミュレータは、ドーム型スクリーンにCGで表示される対空目標を、対空火器(12・7ミリ重機関銃、携SAM、短SAM(恐らく目視標準具のことだと思われます)、近SAM)で射撃するシミュレーションが出来るとのこと。

自衛隊のシミュレータと言えば、パイロットの飛行訓練に使用されるフライトシミュレータが、まず念頭に浮かぶと思いますが、たとえ素人が乗ったところで、まともに離陸させることもおぼつかなく、面白いものとは言えないと思います。

ですが、これなら楽しめます。
携SAMは、ろくに字も書けないゲリラでも扱えるような代物ですし、短SAMの目視標準具は、もっと簡単です。
ただし、ミサイルとは言え、ちゃんと操作しないと当たりませんので、シミュレータでは当然それも模擬しているでしょう。
そして、ミサイル以上に、50口径機関銃での対空射撃は、地上に対する射撃以上に、バラバラと撃ちまくるような射撃をすることになるので、興奮すること間違いなしでしょう。
衝撃や発射音まで模擬されているなら(空砲も可能なんでしょうが、こんな閉鎖空間で50口径を撃ったら音が大変ですし、衝撃波でシミュレータが壊れるかもしれません。硝煙も問題でしょうし)尚更面白いと思います。

これが、空自の基地防空隊用として装備されることになれば、おそらくVADSにも対応すると思いますが、そうなれば、50口径以上に面白いんじゃないでしょうか。

是非やってみたいですが、一般公開はしないでしょうね。
防衛秘密の上でも問題ですが、それ以上に、かなりのお金を取ったとしても、客が殺到するでしょうから。

りっくんランドに、廉価版でも作って有料公開したらどうでしょう。

2012年3月17日 (土)

北朝鮮が4月に予定する弾道ミサイル発射の意味と沖縄の反応

北朝鮮が自称「人工衛星」の発射を予告し、政府が対応策を検討しています。

北朝鮮、「地球観測衛星」の打ち上げ予告 長距離弾道ミサイルか」(産経新聞12年3月16日)
2009年の自称「人工衛星」が光明星2号だったので今回は、光明星3号になるのでしょう。
光明星2号は、北朝鮮が発射成功を報じたにもかかわらず、海没したので、3号も潜水機能を備えているかも知れません……

と冗談はさておき、今回の「光明星3号」の発射等について、ざっと探してみたところ、日本での報道は、今のところ産経が一番詳しいですが、朝鮮日報日本語版が、「衛星」でありながら、射程4000kmと記載するなど、日本語記事としては、一番詳しく報じています。
北朝鮮「打ち上げ」予告 首相「安保理決議違反」」(産経新聞12年3月16日)
ミサイル:北朝鮮が10年かけて建設した東倉里発射台」(朝鮮日報12年3月16日)

両紙の予測情報等を整理してみます。
北朝鮮による発射関連
 ・発射は、西海衛星発射場(北朝鮮呼称、日本では東倉里)
Ws000012
グーグルマップより
 ・飛翔経路は、全羅北道辺山半島の西方約140キロの公海上空を経由して東シナ海を通過、フィリピン東方海上へ
 ・第2段ロケットの落下地点は、2500~3000km離れたフィリピン東方の海上
 ・射程は、4000km(フィリピンのミンダナオ島南東付近)
Ws000014
今回の予想飛翔経路(地図はグーグルより)

日本の対応関連
 ・首相官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置
 ・田中防衛相は、情報収集と警戒監視に万全を期すよう指示
 ・当面は海上自衛隊のEP3など電子偵察機による情報収集を強化
 ・政府は「弾道ミサイル等に対する破壊措置」命令を検討(イージス&PAC-3)

産経は、今回の発射について

日米韓をそろって牽制(けんせい)する意味合いが強いという。

と報じています。

ですが、発射場が、燃料注入設備等が自動化・地下化されておらず、情報の秘匿が困難な舞水端里ではなく、設備が自動化・地下化され、北朝鮮側からアナウンスしなければ、4月の発射について、まだ発射兆候が補足されなかった可能性も高いにもかかわらず、現時点で北朝鮮側がアナウンスを行った理由と、朝鮮日報が報じる発射諸元を考えると、北朝鮮の意図はアメリカへの恫喝だと思われます。

なお、2009年の発射時には、舞水端里で発射準備を行い、アメリカの補足されニュースになったため、北朝鮮は慌ててアナウンスを行っています。
北朝鮮が弾道ミサイル発射を「予告」…テポドン2号か」(読売新聞09年2月16日)

北朝鮮の意図を、単なる牽制ではなく、アメリカへの明確な恫喝だと考える点は次の通りです。
・今積極的にアナウンスをすることで、アメリカは万全の観測態勢がとれることから、北朝鮮は、能力の秘匿よりも誇示を意図
・射程4000kmは、グアム攻撃を可能とする飛距離
Ws000016
今回の予想飛翔経路とグアムの位置関係

2009年の発射でも、飛翔体は3200km程度飛翔されたと見られていますが、これがアメリカへの恫喝となるためには、飛翔距離だけではなく、核を搭載できるだけのペイロード(搭載重量)がなければ意味がありません。
今回は、アメリカに観測させることにより、グアムに到達可能な飛翔距離と核を搭載可能なペイロード(落下時の速度減速の観測により推定可能)を見せつけるつもりなのだろうと思われます。
おそらくミンダナオ島南東付近には、オブザベーション・アイランド等のミサイル観測支援艦か、イージスが展開して観測態勢を敷くことになるでしょう。

また、今回、MD迎撃(弾道ミサイル等に対する破壊措置)により、PAC-3による迎撃も検討される可能性がありますが、飛翔経路を考えると、対象地域は沖縄・那覇になります。
沖縄(県民とメディア)がどんな反応を示すのか、楽しみです。
自衛隊の行動に反対するのか、自分達の安全確保を主張するのか……、在沖メディアは苦悩するでしょうね。
今のところは、北朝鮮によるアナウンスの事実報道のみのようです。

なお、産経は長距離弾道ミサイルかと報じていますが、射程4000kmは、中距離弾道ミサイルです。

2012年3月20日 (火)

先島のPAC-3展開予想地と防護範囲_2012北朝鮮「衛星」発射

北朝鮮による「衛星」発射に対して、PAC-3の先島諸島展開させる方向で調整がされているとの報道がされています。
沖縄にPAC3配備へ 北朝鮮発射に備え 宮古島が有力」(朝日新聞12年3月20日)
「衛星」備え、先島諸島にPAC3配備検討」(日テレ12年3月20日)

朝日は宮古島、日テレは石垣島を含む先島諸島と報じています。
まだ検討段階ですから、確かな情報ではありませんが、北朝鮮が国際海事機関(IMO)に事前通報した情報から、「衛星」が先島上空付近を通過することはほぼ間違いないでしょうから、PAC-3の展開されるとしたら、候補地が先島諸島であることは間違いありません。

軍事的には、イージスをどこに置くかも重要ですが、沖縄世論への影響など、政治的な要素ではPAC-3の展開地が非常に重要であるため、今回はPAC-3の予想展開地と防護範囲について考えてみます。

2009年の「衛星」発射では、PAC-3の展開地は、演習場など、全てが防衛省の管理地でした。
この点からすれば、宮古島が有力です。
沖縄本島より南の防衛省管理地は、現時点では宮古島分屯基地しかない(地本の施設を除く)からです。

24年度予算で与那国に用地取得される予定ですが、これはまだですし、本年度予算化された石垣島での移警隊展開用の電波環境技術調査費用には、用地取得費用は入っていません。

宮古島分屯基地の位置
Ws000020_2
宮古島分屯基地の範囲
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パトリオットPAC-3の配備には、レーダーと発射機の間に多少の離間距離が必要ですが、偶然に宮古島分屯基地は南北に長い形状をしているため、PAC-3の配備にはちょうど良い形をしています。

問題は、PAC-3を宮古島分屯基地に展開させた場合の防護範囲(フットプリント)です。
既に、当ブログではおなじみになった感もあるフットプリントを描いてみました。
Ws000014

宮古島に限って言えば、宮古島市の市街中心部を含む、ほぼ全島がフットプリント内に入るため、宮古島分屯基地は適切な展開地と言えそうです。
ですが……
Ws000019

ご覧の状況ですから、同じ先島諸島と言っても、離島まで手が回らないのはともかくとして、宮古島に次ぐ人口のある石垣島及び西表島の人からしたら、「なんだよコレは!」と言いたくなるものでしょう。

特に、石垣市長は沖縄では希有と言える保守ですから、「PAC-3を石垣にも展開させてくれ!」なんてことになるかもしれません。
そうなると、もしかすると本土でも行われなかった防衛省管理地以外へのPAC-3展開もありえるかもしれません。
ただし、問題は、石垣市の中心街が島の南端にあり、PAC-3をどこに置くかが悩ましい点でしょうが……

地図等は、全てグーグルマップより

2012年3月22日 (木)

沖縄の反応(1報)とPAC-3展開地情報_2012北朝鮮「衛星」発射

渡辺周防衛副大臣が海自幹候校の卒業式訓示でPAC-3の石垣と沖縄本島への展開検討を明言したことで、注目の沖縄メディアの動きが出てきました。

在沖2紙の内、琉球新報は期待はずれの事実報道のみですが、沖縄タイムスはやってくれました。
「(弾道ミサイルの発射は)国による「自作自演」」で、武器に対して市民の目を慣らすことが目的だそうです。
PAC3に石垣困惑「自衛隊地ならしか」」(沖縄タイムス12年3月22日)

 北朝鮮のミサイルに対処する名目で、沖縄本島と石垣島に地対空誘導弾パトリオット(PAC3)が持ち込まれる。降って湧いたようなきな臭い動きに、地元では21日、戸惑いが広がった。識者からは「本当にミサイルなのか」と根本的な疑問も出され、自衛隊先島配備に向けた国の「自作自演」の可能性も残る。

中略

 PAC3は民間フェリーで運ばれる。八重山地区労の波照間忠議長は「万が一、港で爆発したら港湾の機能も動かなくなる。そもそも石垣まで来なくても対応できるのではないか」と疑問視。「与那国など先島への自衛隊配備を見越し、武器に対して市民の目を慣らす目的も感じる」と指摘した。


真面目に書かせて頂けば、私は決して期待していた訳ではありません。
杞憂に過ぎないことを期待しつつ、危惧していました。

ですが、やっぱり危惧が現実のものとなってしまいました。
今時、こんな記事を書くのは、赤旗か在沖メディアくらいなものでしょう。

しかし、こんな事を書く在沖メディアが、シェア99%もあるのです。
こんな異常な情報に曝されていれば、沖縄世論が怪しげな方向に行くことも当然です。
震災時の米軍の活動に対する記事や今回の記事で、本土では笑いものになっていることが、ネット等でもっと知られるといいんですが、まだまだマスコミの力は大きいです。

記事の内容については、私には異次元のお話なので、まともにはコメントしません。

PAC-3の展開地情報だけ載せておきます。
石垣と本島にPAC3配備検討」(沖縄タイムス12年3月22日)

 石垣島は、公有地を使って配備する予定。本島の配備先は航空自衛隊第5高射群(本部・那覇市)の知念分屯基地(南城市)など空自関連施設となる見通しだ。


石垣は、野底マーペー氏にコメント頂いた石垣市の南に位置する人口島、八島新港地区が有力なようです。
沖縄本島は、フットプリントを那覇等の南部市街地にかぶせる意図だろうと思いますが、知念分屯基地が主軸となるようです。恐らく、那覇基地にも展開になるものと予想されます。

一応、フットプリントだけ載せておきます。

沖縄本島(展開地:那覇基地、知念分屯基地)
Ws000013

石垣島(展開地:八島新港地区)

Ws000018

2012年3月24日 (土)

「衛星」による被害_2012北朝鮮「衛星」発射

脅威を煽るような内容になってしまうため気が引けるのですが、北朝鮮が予告した光明星3号(のロケット)が落下し、日本(沖縄)に被害をあたえる場合の可能性と被害について書いてみます。

北朝鮮「衛星」:破壊命令を検討 PAC3、イージス艦で」(毎日新聞12年3月19日)
まず、何が落ちてくるのかですが、この毎日の記事に掲載された図表では、「トラブルで部品などが落下」と書かれており、一部の部品しか落ちないような印象を与えますが、実際には、第2段ロケット以上の部分の全てに、落下の可能性があります。

というか、むしろ落下するとしたら、第2段ロケット以上の部分が、全て落ちてくるでしょう。
それは、先島付近に落下するとしたら、何らかの原因で、第2段ロケットの燃焼中に燃焼が止まった場合だからです。
ただし、ロケットが予定軌道を外れた場合は、通常であれば指令爆破されるため、第2段以上が一つにまとまったまま落下してくる可能性は高くありません。指令爆破さえ受け付けない場合は、そうなります。その場合でも、空気との摩擦で分離する可能性が高いですが。

そして落下が起った際、何が怖いかと言えば、それはロケット本体ではなく、燃焼が止まったため、ロケット本体内に残った燃料です。

先島に落下する場合、第2段ロケット内の燃料は、半分程度は使用済みとなっているはずです。
それは、国際民間航空機関(ICAO)や国際海事機関(IMO)に通報した資料によると、第1段が韓国西方に、第2段がフィリピン東方に落下することになっているためです。
韓国・フィリピン沖に落下予測 北朝鮮ロケット」(朝日新聞12年3月19日)
また、ロケットが3段式の場合、3段目の燃料も、また同様に落下してくる可能性があります。
ただし、前述のとおり、通常は指令爆破されるので、燃料が落下してくる可能性は、決して高くありません。ですが、前回の「衛星」も北朝鮮が意図したとおりには飛びませんでしたから、今回だって怪しいモノです。

さて、その燃料が落下するとなぜ危険なのかと言えば、可燃性の高い燃料が火災を起こすことは勿論ですが、北朝鮮のロケットが、燃料として毒性の強い非対象ジメチルヒドラジンを使用していると見られているからです。
これは、日本のH2などと異なり、北朝鮮のロケットが、基本的に弾道ミサイル用であるため、ロケット内に燃料を注入したまま保存できる必要があるからです。

ただし、前回2009年のミサイル騒ぎの後、軍事評論家の野木恵一氏は、軍事研究誌2009年6月号において、ロケットの炎が明るいオレンジ色だったことから、燃料はヒドラジン系ではなく、ケロシン(灯油)とガソリンの混合物ではないかと分析しています。

このように、燃料については異論もありますが、ここではまだ一般的にはヒドラジンが定説ですので、ヒドラジンを前提に書きます。

さて、その非対象ジメチルヒドラジンですが、化学に明るい方は、次に張ったリンクを見て下さい。
非対象ジメチルヒドラジン(1,1-ジメチルヒドラン)

そうでない方(私もですが)用に説明すると、毒性の強い燃料であるため、アメリカ同時多発テロ事件の際、旅客機が突っ込んだワールドトレードセンターの被害とサリンを撒かれた地下鉄の被害が重複して発生すると思えば、一番近いと思われます。

被害想定としては、2009年の弾道ミサイル騒ぎの際、FNNが政府による被害予測(政府による公式発表は無かったと思うので真偽不明)を報じているので、そちらが参考になります。
既にネットからも記事は消えていますが、ネット間で転載されていた記事の一部を転載すると次の通りです。

政府は最悪の状況を考え、ある政府機関にシミュレートさせていた。
それは、ミサイルの2段目、3段目が日本国内に落下した場合の影響予測だった。
まず、ミサイルの2段目が燃料を満載の状態で地表にしたときの物理的な影響。
爆発ととともに生じる炎の影響で、半径およそ700メートルの範囲で家屋や人体に影響が及び、さらに爆風や破片などの影響は半径900メートルにも及ぶとしている。
岡部氏は「ここで忘れてならないのは、非対称ジメチルヒドラジンという非常に毒性の強い物質です。これが地面の近くで拡散した場合が怖いんです」と語った。
分析によると、30分以内に救出されないと、有毒ガスにより元の健康状態に戻れない危険な範囲は、中心からおよそ900メートル。
さらに、30分以上吸い込んだ場合に健康被害が生じる有毒ガスの影響範囲は、半径9kmにも及ぶとしている。
そうした墜落の危険について、今回の分析では「非常に低い」としている。
しかし、中国で1996年2月、ロケット「長征」が打ち上げ直後、コントロールを失い、市街地に落下した。
犠牲者の数は500人ともいわれ、宇宙開発史上、最悪の事故となった。
この時、長征に積まれていた燃料が、非対称ジメチルヒドラジンとみられている。


2段目の燃料が満載状態での被害予測なので、今回もそこまでは行かないハズではありますが、有毒ガスによる健康被害は、最悪9kmもの範囲に被害が及ぶとの分析ですから、甘く見ることはできません。

前述のように発射に失敗しても、北朝鮮が指令爆破させれば、このヒドラジンは宇宙空間で拡散して被害がでる可能性は低いと思われます。
ですが、指令爆破に失敗すれば、イージスのSM-3、あるいはパトリオットPAC-3によって、破壊拡散させなければ、地上に甚大な被害が及ぶ可能性があります。

政府が検討する弾道ミサイル等の破壊措置命令は、先島の人々にとって必要な処置です。

2012年3月26日 (月)

沖縄の反応(2報)_2012北朝鮮「衛星」発射

沖縄の反応についての第2報です。

在沖大手メディアは、やはり沖縄タイムスだけでなく、琉球新報もネガティブな社説を載せてきました。
PAC3配備 外交努力で発射止めよ」(琉球新報12年3月)
内容は、先日紹介した沖タイ程にはぶっ飛んでないので、紹介しつつ突っ込んでみます。

通過する物体が衛星なのか長距離弾道ミサイルなのかを、どうやって見極めるのか。

見極める必要はありません。弾道ミサイルだろうと、衛星だろうと、落ちてきたら地上に被害が出ます。
迎撃しても必ずしも被害がゼロになるとは限りませんが、迎撃しないよりもマシです。特に前回記事を書いた燃料が落下してきている場合は、迎撃の如何で地上被害は大差が出ます。

PAC3の射程は20キロ。広大な海域を防衛するには限界がある。迎撃できる確証はない。

海に落ちる場合は、迎撃する必要がありません。PAC-3にせよイージスにせよ、弾の無駄です。

PAC3が外れたら、どこに着弾するのか。

リーサリティエンハンサ(弾頭のようなもの)が付いているので、もし外れれば、自爆するため、PAC-3ミサイル自体は破片になります。
確かに地上に降ってくる可能性はありますが、迎撃せずに非対象ジメチルヒドラジンが落ちてくるのと、どちらがマシでしょうか。

北朝鮮からの飛来物が事故などで一部が落下する場合、落下地点の予測はさらに難しくなる。沖縄だけでも広大な海域に大小約160の島が点在し、迎撃は非常に難しいとみられる。

別に予測は難しくありません。
意味不明です。

島嶼(とうしょ)防衛を打ち出した防衛当局が、南西諸島周辺の危機を演出しようとしている、とみる向きもある。PAC3を配備することで、市民の目を慣らそうとしているという懸念も広がっている。

沖タイと同じ論調ですね。

 国際社会が連携し、あらゆる外交チャンネルを通じて、北朝鮮に自制を促すことが重要だ。
 現実的な選択が発射させない外交努力であり、迎撃でないのは明らかではないか。
 日本政府は北朝鮮の挑発に乗るのではなく、あくまで平和的解決を追求すべきだ。

ボケてますね。

沖縄本島をメインとする在沖主要2紙がネガティブキャンペーンを展開するなか、実際に脅威が及ぶ可能性のある先島・八重山では、逆の動きがあります。

保守派首長のいる石垣は予想どおりでしたが、与那国もPAC-3配備を要求し、議会が決議しています。
与那国 PAC3配備決議」(沖縄タイムス12年3月)
与那国への陸自配備への賛否がほぼ互角だったため、ギリギリの決議かと思いましたが、なんと全会一致(棄権2)だそうです。

沖縄本島と離島の温度差は、やはり実際の危機感の違いでしょう。
沖縄本島には、自衛隊もいますし、大量の米軍がいます。反対しつつも、肌では中国が攻めてくることなどあり得ないと感じているのでしょう。

ですが、先島・八重山は違います。
現状では、宮古に小さな分屯基地が一つあるだけですし、何より中国が恐れる米軍はいません。

それ故、今回のことに限らず、温度差があります。
石垣市長が保守派なこともその現れですし、八重山日報のように、まともな新聞もあります。

先島の人々からしたら、在沖主要2紙と沖縄本島の感覚は、先島を見捨てようとしているようにも見えるでしょうね。

2012年3月27日 (火)

資料検索依頼_SAMの射程と射高

PAC-3の射程とフットプリントについて記事を書こうと思い資料を探したのですが、適当なものが見つからず、難儀しております。

中射程以上の地対空ミサイル(PAC-3でなくて構いません。ロシア製でもなんでも)の射程と射高を示した模式図(断面図)を見かけた方は、コメント欄にて、リンク先等を教えて頂ければ助かります。
もちろん、日本語でなくてもOKです。

一般論として自分で図を描くことも可能なのですが、ソースがないと説得力がありませんので、探しております。

よろしくお願いします。

2012年3月29日 (木)

1項か3項か、破壊措置命令_2012北朝鮮「衛星」発射

今回は、破壊措置命令の法的根拠について考えてみます。非常にマイナーな話ですが、おつきあい下さい。

この件について、早い段階で言及していた報道は、次の毎日の記事です。
北朝鮮「衛星」:破壊命令を検討 PAC3、イージス艦で」(毎日新聞12年3月19日)

ここで、問題になるのは、根拠法令が、自衛隊法第82条の3の内、1項が適用になるのか、それとも3項が適用になるのかです。

この点について、政府(民主党)は明確に方針を決めていないのか、若干の混乱が見られます。

当初は、1項が適用される見込みでした。
北の「人工衛星」、田中防衛相が破壊命令検討」(読売新聞12年3月19日)

 田中防衛相は19日の参院予算委員会で、北朝鮮が人工衛星を打ち上げると発表したことについて、「自衛隊法第82条の3第1項に基づき、首相の承認を得た上、破壊措置を命ずることを考えている」と述べ、日本飛来に備え、自衛隊に破壊措置命令を出すことを検討する考えを表明した。

田中防衛相は、明確に1項の適用を示唆していました。

ですが、準備命令の発出がなされた27日現在、どうも前回2009年と同様に、3項での破壊措置命令発出が検討されているようです。
発射場にミサイル本体搬入か」(NHKニュース12年3月25日)

「破壊措置命令」は、自衛隊法82条の3の第1項と第3項に定められています。第1項は弾道ミサイルなどが日本に飛来するおそれがある場合、第3項は人工衛星の打ち上げ用のロケットなどが事故などで日本に落下するおそれがある場合を想定していて、今回、政府や防衛省は第3項に基づいて命令を出すことを検討しています。

NHKの1項と3項に関する説明はおかしいのですが、これはまた別の機会に書きます。

また、準備命令発出と同日に行われた外交防衛委員会で、佐藤正久議員が、田中防衛相を追求するネタとして、この件を持ち出しています。
3月27日外交防衛委員会で質問しました。」(佐藤正久議員公式ブログ12年3月27日)

○ 弾道ミサイルなどへの対応の流れの中で、弾道ミサイルなどの破壊措置について、自衛隊法第82条3項から1項に対処方法が変わるときの弾道ミサイルなどの発射の兆候について大臣の意見を尋ねた。対処方法が変わると、部隊の運用方法もずいぶん変わるので、北朝鮮の「衛星発射」だけではなく、一般論として質問をした。

こちらからも、今回も3項で発出されるような雰囲気が見込まれます。

さて、では内容です。1項と3項は、何がどう異なるのでしょうか。整理してみます。
なお、隊法82条の3の全文については、記事末尾に載せておきます。
状況
 1項:弾道ミサイル等の落下が予想される時
 3項:常時(緊急の場合のためあらかじめ命じる)
発令権者
 1項:防衛大臣、ただし総理の承認を要する
 3項:防衛大臣、総理の承認は不要
実施要領
 1項:命令で示す
 3項:緊急対処要領により事前に規定
    現在防衛省のサイトで見つかる緊急対処要領は、2007年3月に閣議決定されたもの
http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2008/2008/html/ks316000.htmlですが、「弾道ミサイル緊急対処要領 海上配備型を追加 上・下層の運用規定整う」(朝雲新聞2008年1月3日)によると、少なくとも同年末には一部改正になっています。内容的には、この時の改正以後、変更を要する事業は行われたていないので、おそらく現在もこの改正された緊急対処要領が生きているモノと思われます。

大雑把に言えば、1項は、都度命令するための規定で、3項は、不意を衝かれ、いきなり撃たれた時のための規定です。
防衛省にとって、1項はとても面倒で、3項はとても使いやすい条項です。極論すれば3項さえあれば、1項など必要ありません。1項は、いちいち首相の承認が必要です。

自衛隊が自由に動くことを良しとしないであろう民主党にとっては、3項よりも1項の方を好みそうです。
実際、前述の通り、田中防衛相も当初は1項での発出を明言していました。

ですが、前回2009年の時は1項ではなく3項が適用され、命令が発出されていました。
実を言うと、2009年の記事「破壊措置命令-展開部隊」でも言及しましたが、前回がちょっとオドロキの根拠法令の適用だったくらいなので、今回1項での発出を田中防衛相が明言していた頃は、「まあ当然だろうし、妥当だろうな」と思っていました。

恐らく、前回2009年も3項での発出をした防衛省サイドが、説得をしたものと思われます。
日本のお役所の場合、「前例」が大事ってことなのか、このまま3項の適用を定着させてしまえば、防衛省として都合が良いからなのか……

最終的に、どちらになるのかは、明日には判明しそうです。


参考:自衛隊法
(弾道ミサイル等に対する破壊措置)
第八十二条の三  防衛大臣は、弾道ミサイル等(弾道ミサイルその他その落下により人命又は財産に対する重大な被害が生じると認められる物体であつて航空機以外のものをいう。以下同じ。)が我が国に飛来するおそれがあり、その落下による我が国領域における人命又は財産に対する被害を防止するため必要があると認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に対し、我が国に向けて現に飛来する弾道ミサイル等を我が国領域又は公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。)の上空において破壊する措置をとるべき旨を命ずることができる。
2  防衛大臣は、前項に規定するおそれがなくなつたと認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、速やかに、同項の命令を解除しなければならない。
3  防衛大臣は、第一項の場合のほか、事態が急変し同項の内閣総理大臣の承認を得るいとまがなく我が国に向けて弾道ミサイル等が飛来する緊急の場合における我が国領域における人命又は財産に対する被害を防止するため、防衛大臣が作成し、内閣総理大臣の承認を受けた緊急対処要領に従い、あらかじめ、自衛隊の部隊に対し、同項の命令をすることができる。この場合において、防衛大臣は、その命令に係る措置をとるべき期間を定めるものとする。
4  前項の緊急対処要領の作成及び内閣総理大臣の承認に関し必要な事項は、政令で定める。
5  内閣総理大臣は、第一項又は第三項の規定による措置がとられたときは、その結果を、速やかに、国会に報告しなければならない。

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