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2012年2月25日 (土)

ニューヨークタイムズは、シリアを迂回と予測

先日の記事「シリア情勢混沌化で高まるイスラエルによるイラン攻撃」で、イスラエルはイランへの攻撃ルートとして、シリア、イラク経由ルートを狙っているのでは、と書きましたが、ニューヨークタイムズは、シリア迂回ルートを予測しているようです。

Iran Raid Seen as a Huge Task for Israeli Jets」(ニューヨークタイムズ12年2月19日)
ニューヨークタイムズが予想する飛行経路(前掲記事より)
20strikemappopup
注釈として「Any Israeli attack on Iran would involve crossing another country's airspace.」と書かれており、イスラエル機による攻撃が、第3国の領空を通過する必要があることを指摘しています。

記事でも、最初の問題が、ルートであると書かれています。

military analysts say the first problem is how to get there. There are three potential routes: to the north over Turkey, to the south over Saudi Arabia or taking a central route across Jordan and Iraq.


ルートの分析の中で、ニューヨークタイムズも、私が前掲記事で指摘したように、イラクを経由するルートが有望であると指摘しています。
イラクは、イスラエル機を阻害する能力を持っていませんし、撤退を完了した米軍も、もはやイラクの領空を守る義務もないからです。

The route over Iraq would be the most direct and likely, defense analysts say, because Iraq effectively has no air defenses and the United States, after its December withdrawal, no longer has the obligation to defend Iraqi skies. “That was a concern of the Israelis a year ago, that we would come up and intercept their aircraft if the Israelis chose to take a path across Iraq,” said a former defense official who asked for anonymity to discuss secret intelligence.


しかし、ニューヨークタイムズは、イラクに至る有効なルートとして、シリアを通過するルートが選択される可能性については言及していません。
シリアは、イスラエルの周辺諸国の中でも、仇敵と言える間柄ですし、装備が旧式のモノが多いとは言え、相当の防空能力を持っているからでしょう。
シリアの防空能力については、アシナガバチ様が、次のブログ記事で紹介しているので、そちらをご覧下さい。
シリア動乱とイラン攻撃の可能性に思うこと」(アシナガバチの巣作り日記12年2月12日)

ニューヨークタイムズは、ヨルダン、トルコ、あるいはサウジが、イスラエル機の領空通過を許可する可能性があると見ているようです。
しかし、イスラエルの周辺国家の中では、比較的温和な国とは言え、これらの国がイスラエル機の通過を許容するとは、到底思えません。
トルコは、ガザへの支援船の問題以降、イスラエルとはかなり険悪ですし、ヨルダンやサウジは、イスラエル機の通過を許したりしたら、共に王制が吹っ飛びかねません。

イスラエルが、これらの国の中で特に防空能力の低いヨルダン領空の強行突破を企図したとしても、如何に能力の高いイスラエル空軍とは言っても、無理があるように思います。
イスラエル-イラン間の距離が遠いため、空中給油機までも、イラク領内まで突破させないと、イラン攻撃は成功したものの、燃料切れで墜落、という結果になりかねないからです。

ここでは触れませんが、ニューヨークタイムズの記事は、この他地中に防護された核施設をイスラエルが保有する武器で破壊できるのか、と言った問題も取り上げています。
興味のある方は、元記事を見て下さい。

実際にイラン攻撃が実施されたとしたら、世界の一大事ですから、滅多な事は不謹慎で言えないのですが、私か、ニューヨークタイムズか、どちらが当たるか、純粋に知的ゲームとして、興味は尽きません。

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国際情勢」カテゴリの記事

コメント

ん~スンニ派の盟主であるサウジからすれば、
宗派上の仇敵であるシーア派のイランが、
核武装する事はとても容認出来ないと思いますけど・・・
それでもイスラエルには協力しないのでしょうかね?

この地域の平和を祈るしかないのですが、イランは核武装を
絶対に諦めないでしょうね。。。。(苦笑)
やっぱりやるのかなぁ~

イスラエル空軍の奇跡の再来を期待する、不謹慎な下名も
いる訳ですが。。。。。

いつもお世話になっております。トラックバックを反映させて頂きました。
まずアサド政権がどの程度まで弱体化しているかですね。
ホムスでの作戦を見てもまだ軍は機能していると見ても良いのではないでしょうか。アサド政権側としましては徹底弾圧しか選択肢がありません。そうなりますと正規軍をコントロールしている政権側が圧倒的に有利です。しかもロシアから武器・弾薬の輸入が継続しています。ロシアと中国がシリア制裁に反対し続ける限りは多国籍軍による介入は不能です。私はそういった観点からアサド政権が乗り越えると見ています。
また、もしシリア上空の飛行をイスラエル空軍に許せば、それはアサド政権にとりこの時期に体面が傷つけられることとなり、核施設を以前に空爆を受けたこともあり、警戒を強めていることは間違いがありません。
しかし反政府運動側が勝利に近づいた場合はご指摘の通り、確かに力の空白が生じます。そういった観点では以前の記事は鋭い分析と感じました。
しかし、シリアの反政府運動が勝利するか否か、それはいつ頃になるかといった不確定要素だけに頼る訳にはいきませんから、当然プランBも考慮されているのではないでしょうか。
ニューヨークタイムズの記事にもあります通り、イランは核施設を分散させており、米軍の支援でもなければ難しそうです。それでもイスラエルは強行するかどうか注目しています。

イヌザメ 様
スンニとシーアが仲が悪いと言っても、イスラムとユダヤほど仲は悪い訳ではありません。
サウジは、イスラエルを国家承認さえしてませんし、彼等が領空侵犯したら、反発せざるを得ないと思いますよ。
サウジ領空を通らずにイランを攻撃したら、表面上は別として、内心では喜ぶでしょうけど。

それに、サウジは、国内に相当数のシーア派住民を抱えており、彼等は現在は和解しているものの、潜在的な反体制派でもあります。
彼等が騒乱を起こして、その機に乗じて反王制デモが盛り上がったりすることは、サウジ王族にとって最も警戒することです。

他の国を通るなら、是非やってくれ、と言いたいところじゃないでしょうか。

やん 様
残念ながら、奇跡は起きないと思います。

アシナガバチ 様
トラックバックありがとうございます。

プランBというか、当然複数案を検討しているでしょうね。
その上で、アサド政権崩壊時の混乱に乗じるのでも無ければ、NYタイムズが報じるように、イスラエルにとって空爆作戦は困難に過ぎ、作戦は実行されないだろうと思っています。

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