ブログランキング&ツイッター

  • 軍事・防衛 ブログランキング
  • ツイッター

« 東洋経済誌特集「自衛隊のコスト」 | トップページ | 総額3億円の小型衛星_防衛省も検討してみたら? »

2012年1月19日 (木)

やっぱり出来レースだったFX選定

昨年末の20日、FXの選定結果について、防衛省から正式アナウンスがありました。

航空自衛隊の次期戦闘機の機種決定について

「性能」、「経費」、「国内企業参画」及び「後方支援」の4要素について総合的な評価を行い、これら4つの要素の評価点の合計が最も高かったF-35Aを次期戦闘機として決定した。


詳細は、
別添資料(PDF)
で公開されています。

「性能」、「経費」、「国内企業参画」、「後方支援」の4要素で評価でしている訳ですが、詳細を見ると、「やっぱり出来レースだったんだな」、というのが感想です。
で、その詳細を見てみます。

まず「性能」
Ws000010
ここはまあ当然でしょうね。問題は、どの程度評点に差があったかですが、肝心のそこは公開されておりません。

次に「経費」
Ws000012
経費でも、F-35が最高点?
僅差だったとは言え、俄には信じられません。

そして、この「経費」要素に、空中受油方式を評価項目として盛り込んでいる点が、非常に恣意的に見え、ついては、全体が出来レースだったと印象を強化しています。

プローブ・アンド・ドローグ方式のF-18及びタイフーンは、追加の改修経費が必要とのことですが、KC-767の方をプローブ・アンド・ドローグ方式にも対応できるよう改修すれば、それほど費用は要しないでしょう。機数が少ないですから。それに、将来的に、KC-767による空中給油での国際貢献(海自の補給艦のように)の場が出てくる可能性等を考慮しても、なんで当初から両方式対応にしなかったのか疑問なくらいです。(イタリアのKC-767Aは、両方式対応)

それに、F-35では、国産ミサイルをウエポンベイ内に搭載しようとすれば、ミサイル側を含めて、相当の改修費用が必要になるはずですが、それらの費用は見込んでないのか疑問です。
(国産ミサイルを搭載するつもりは、はなから無いのかもしれません)

続いて、「国内企業参画」
Ws000013Ws000015
一応、F-18と特にタイフーンを持ち上げてはいます。ですが、F-35は、明確に低かったと思われるものの、やはり、どの程度低かったのかは分かりません。

最後に、「後方支援」
Ws000016
3機種で評価が拮抗したとされていますが、F-35に関しては、各所で表面処理に係わるメンテナンスの困難があると言われているものの、それによるマイナス評価については言及されていません。現場の苦労を相当すると、この点ではF-35は、相当のマイナス評価を下すべきと思うのですが、おそらく安易にセールストークを承認してしまっているのではないかと思われます。
また、F-35については、故障部位の特定機能や交換時期の予測診断機能があることをもって高評価を下したようですが、米軍なら良いでしょうが、自衛隊では、大した役には立ちません。(個人的には、むしろマイナス評価を下したい)
米軍では、マニュアルを読むだけで精一杯の整備員が整備を行うからですし、補用品のストックが少ない自衛隊では、故障部位を特定した上でデポに送り返せと言われるのが関の山で、こんな機能があれば、かえって現場での整備は苦労させられるくらいです。
どう見ても、無理くりF-35に最高評点を付けたように見えます。

以上の4要素をもって、総合評価を決めた結果、F-35になったとのことです。
Ws000017

ですが、総合評価の決めてとなる配点は、残念ながら資料に載っていません。
ただし、ソース不明ながら、wikiには「性能」50点、「経費」22.5点、「国内企業参画」22.5点、「後方支援」5点となっています。
これだけ見ても、経費や国内企業参画、後方支援で無理な評価を付けなくても、F-35に決まりそうです。まあ、その意味では、妥当な結論になったとも言えますが。
一川当時防衛相も「基本的に性能重視に尽きる」と言っておりました。

それならば、最初から出来レースなのであれば、大仰な選定などしなくても良かったのに……と思えてしまいます。

まあ、ロッキード・マーチンから誓約書を取付けるための揺さぶりとしては役に立ったのでしょうが、当て馬にされた2機種のメーカーや国はたまらないでしょう。
Ws000018

« 東洋経済誌特集「自衛隊のコスト」 | トップページ | 総額3億円の小型衛星_防衛省も検討してみたら? »

F-X選定問題」カテゴリの記事

コメント

RfPの段階で要求仕様は提示されており、空中給油方式に関する事項もあったと思われますが、ボーイング社とBAE社がどの様に回答したかも興味深いと考えます。

F-35は、運用側の切なる要求だったようですので、仕方無い
のかもしれませんが、防衛業界人としては残念な結果でした。
また、数多様の仰る通り、選定結果を見るとおかしいと思う
部分がありますネ。 財務省が良く認めたなと思います。

ミサイルは、どれを搭載することを想定しているのか、非常に
興味があります。 AMRAAMは導入しないから、AAM-4を
開発したという話も聞いたことがあります。

アシナガバチ 様
いっそのこと、この2社が提示した、空中給油方式変更に伴う改造費を、2社が公開してくれないか、という気がしますね。
それほどの額ではないような可能性もあるのに、防衛省が特記したのかもしれないですから。

やん 様
Pre-MSIP機後継もF-35になるだろうことを考慮すると、ウェポンベイと搭載ミサイルの件は、今後の国産ミサイル開発にも影響大きいですね。
国産ミサイルを搭載しないとなれば、こちらでも国内産業への打撃は大きいですから。

数多様
F-35を改修してAAM-4を搭載するにしても、AMRAAMを搭載する
にしても、余計なお金がかかりそうです。

なぜに、運用側がここまでF-35にこだわったのかが不思議です。
後方支援は、整備部品もFMSになりますから、いつ部品が入手
できるか分からなくなります。 (E-2Cの例を見れば、明らかです。)

運用側も国産メーカーに対して、どれだけ無茶を言ってきたかが、
身に沁みて分かると思います。 下名の輸入商社に対してもそう
ですが。。。。(汗)

まあ今回の決定は致し方ないのかな・・・と思うトコロがあります。
運用側の第5世代機に対する切望感・・・そして今回第5世代機を導入出来ない場合の次の機会が当分の間、得られそうにないという焦燥感・・・またもっと考えれば我が国の財政状況が下手したら次の機会すら更に延ばさせられる可能性すら出てきた中では何としてでも(F15とF2を限界まで延命させる)と言うところでしょうか・・・

ただ今回、空の本音がチラリと見えるのは。
「例え・・・戦闘機の製造・開発基盤を完全に確保しても、将来技術的にも予算的にも日本単独ではトップクラスの戦闘機の開発は難しい・・・」というところでしょうか・・・

無論ならどうしていくか?
という構想をチャンと考えているかは分かりませんが・・・

ただF35自体が知れば知るほど、運用・整備・補給システムが余りにも違う代物であるようで・・・
空自の様々部分で近代化を誘発する可能性はあると思います。

やん 様
F-35のレーダーミサイルは、C型のAMRAAMで一本化なんでしょう。

運用とて、後方の苦労を全く知らない訳ではないですが、骨身にしみるのは後方や防衛産業界が音を上げてからでしょうね。

海族 様
私も結論自体に反対している訳ではありません。
Pre-MISP機後継の導入後、4機種体勢なんて馬鹿げてるだけだと思ってますし。

ご指摘の通り、単独開発には見切りを付けたというのは、3原則の緩和の理由が、共同開発に道を付けるものだったという点からしても、そのとおりなんだろうと思います。
実際、予算的に苦しすぎますし。

F-35の補給・整備に関しては、今までの職人芸から転換は必要なものの、対応はできると思います。
その一方で、運用については、思想からして転換せざるを得ないでしょうから、なかなか大変でしょうね。


数多様
やはりAMRAAMですか。 AAM-4がもったいないですネ(汗)

>転換せざる得ない・・・

運用面では当然機体の特性を生かした戦術を作るのは当然ですが・・
ステルス機である以上様々な面で面倒になるかもしれませんね。

軽々しくアラートにも使いずらいかもです。当然周辺国はデータ取りに躍起になるでしょうし・・ステルスとは完全に消え去るのではなく、レーダー上のノイズに隠れるという本質がありますので・・・レーダーのソフトを弄ればすぐにでも探知される可能性すら有ります。また高度な戦闘システムである航空機である以上・・何らかのレーダー以外の電波を発しているかもしれません。

私はF35に関しては、米国が導入国に対して何らかの、運用上の保全基準を統一規格化して履行を求めるのではと考えます。普段の訓練飛行は当然のこと報道や一般公開での見せ方やひょっとしたら、機体・基地警備に関しても一定の水準を求めるのでは考えます。
10年後、空自航空祭で展示されるF35の前に立つのは、パイロットでは無く、武装した警護自衛官かもです。

やん 様
「ダクテッドロケット飛しょう体の研究」成果を踏まえて、開発できればいいんですが、F-35への搭載は、たとえ技術的には可能でも、いろいろとハードルが高そうですね。

海族 様
F-35は、対領侵には使わない可能性もありますね。
そうなると、4世代機部隊の負担が厳しそうですが。

イージスに対してもいろいろと言ってきた経緯がありますから、F-35となると、当然言ってくるでしょうね。
共同開発機体ですから、意外にゆるいかもしれませんが。

 F35では、結局、ステルスだけが売りですが、ファントムF4と松島基地で津波で使えなくなったF2の補充を考えると、
ユーロファイターのライセンス生産で、日本の爆弾、ミサイルに合わせた火器管制システムの開発と搭乗員の
飛行訓練を平行してできるのはないかと思います。
 F15の更新は、上記の日本の登載兵器に合った火器管制システムと心神の開発で得たもので、本格的に
F22と同等のものを開発して欲しかったな。
 空中給油の方式も、B767の中古機をタンカー仕様にして、プローブをつければいいじゃん。
 それに海上自衛隊のYS-11Aの更新で、中古のC-130の給油装置は、この方式でしょう。
 購入する時に、取り外すより、補修して、ユーロファイターの空中給油にとりあえず使えるような気がするが
高いもの買わされる気配が濃厚だし、調達機数もF2と同じく、財政上の制約で30機とかとなりそう。
 中国、ロシア、韓国の戦闘機とわたり合える戦闘機の調達を考えているとは思えないな。

久我山のチ那ッピー 様
ユーロファイターは、ブラックボックス無しで、国産ウェポンの搭載に関しても、対応可能が売りでしたね。
空自は、そこをそれほど重視しなかった、ってことですが。

タンカーのC-130は、戦闘機用としては、速度や滞空性能が不十分なので、安く上げるとしたら、767になったんでしょうね。

おはようございます

私はユーロファイター派です♪
それにしても、数多さんが言う通り、端からF-35ありきが露骨に感じて取れる内容ですねぇ(-""-;)
BS8のプライムニュースに於いて、神風が日本国内に於けるFACOの確約を取り付けた~更に、期日も価格も守る確約も得た~なんて自慢気にドヤ顔でふん反り返ってましたが…まぁ、これも鳩山の普天間の最低県外と同レベルの与太話? ま、FACO はともかくとして…
大体我が国のミサイルが搭載出来ないのに、何が費用が~なんだか(-""-;)
私個人は先のFSX のトラウマから脱する為に、兎に角エンジン技術だと考えます。その為にもユーロファイターを導入して、スーパークルーズを習得する事だと思います。
F-35なんて、FXX辺りで充分です。その頃には価格も能力も安定しているでしょうから…

土方 様
この内容で、よく当て馬関係者が動いたものだと思うくらいです。

私は、ユーロファイターは妥当だとは思っていませんでした。ステルス性が不十分で、Pre-MSIP機後継の候補に成り得ない以上、これ以上保有機種を増やすことは妥当ではありませんから。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: やっぱり出来レースだったFX選定:

« 東洋経済誌特集「自衛隊のコスト」 | トップページ | 総額3億円の小型衛星_防衛省も検討してみたら? »

最近のトラックバック

ブックマーク、RSS