初の陸自によるパトリオット部隊警備
九州・沖縄方面への大規模な部隊機動と奄美の民有地への対艦ミサイル展開などが話題になって統合実働演習ですが、ほとんど話題にならなかった項目で、非常に重要なものがあったので、今回はそこにフォーカスしてみます。
「統合実動演習始まる 九州・沖縄方面 島嶼防衛へ対艦ミサイルなど展開」
(朝雲新聞11年11月17日)
私が注目したのは、空自パトリオット部隊に対する、陸自による警備です。(朝雲以外は見当たらず)
朝雲新聞より
空自パトリオットを警備する陸自隊員
今回の訓練では空自高射部隊の警備に当たる陸自部隊との連携も重要なポイントとされ、空自部隊の周辺に掩体を設置、32普連(大宮)の隊員による歩哨や軽装甲機動車による定期的な哨戒が行われた。
4高射隊長の松本英法2佐は「首都圏を守る1高群として航空機、弾道ミサイルへの対処が最大の目的。今回は陸自に警備してもらうので連携要領も演練したい」、2高射隊長の芳之内真典2佐は「弾道ミサイル対処訓練を安全確実に実施したい。陸自との共同警備、巡察、車両検索などを行い、陸空で警備要領を確認したい」と述べた。
首都圏防護のためには都心に展開せざるを得ないなどの理由で、警備が非常に困難なパトリオット部隊ですが、訓練を含め、過去には陸自による警備が行われたことはありませんでした。
2009年の北朝鮮による飛翔体発射の時もです。
陸自とすれば、陸自には、他にもやるべき仕事が多数あるのだから、空自部隊は空自が警備しろという話なのです。
ですが、パトリオット部隊自体は、パトリオットの運用を行っている間は、警備に関しては、せいぜい展開地への接近統制を行う程度の人員しかいません。
おまけに警備の技量は、航空陸戦隊と揶揄されるだけに、他の空自部隊と比べれば高いですが、陸自と比べたら雲泥の差があります。
自衛隊全体として考えれば、陸自が周辺の警備を行う以外に、適切な解決策はないと思うのですが、大綱の改正などを受けた陸自の変革の中で、やっと重い腰を上げてくれたようです。
公開している小説の中で、陸自による警備が行われながらも、ペトリオット部隊を警護しきることは難しいことを描いてますが、それが多少なりとも影響を与えたりしたのだとすれば、嬉しいのですが……
今回の協同警備は、初めての機会ということもあり、双方の連携要領の確認が主体になったようですが、どれだけのエリアを安全化しなければならないのか等、しっかり詰めて、イザという機会にしっかり協同できるようにして欲しいものです。
« H24概算要求-その4_その他 | トップページ | 意識ではなく厳罰化を »
「基地警備」カテゴリの記事
- 歩哨犬の災害救助犬としての活用に異論(2012.07.25)
- 実弾装填で実戦的警護_2012北朝鮮「衛星」発射(2012.04.22)
- レーダーサイトもやっと……(2012.02.20)
- 祝!_FN303調達(2011.12.22)
- 初の陸自によるパトリオット部隊警備(2011.12.11)
あれ?北朝鮮のミサイル事案の時は陸自が警備しているはずでは?
投稿: さば | 2011年12月11日 (日) 19時09分
日本の組織は特に横の連携が弱いので、こういう統合訓練はじゃんじゃんやって欲しいです。どれだけ訓練してもどうせ有事にはイレギュラーで混乱するのでしょうが、普段から訓練していれば混乱からの立ち直りも早いかと期待できます。
東日本大震災や原発事故では(自分から見ると)予想外に上手くやったと思ってます。どんだけ期待してないんだよw、と言われればマァその通りなんですが(笑)。
投稿: だ | 2011年12月13日 (火) 13時44分
さば 様
陸自に対して、所要の支援を行えとの命令は出ておりましたが、私が知る限り、陸自は警備を行っていなかったと思います。
もちろん駐屯地内に展開していた部隊を、駐屯地の警備が間接的に警備していたとは言えるでしょうけど。
改めて、当時のニュースをググッてみましたが、それらしいものは見つかりませんでした。何かご存じでしたらお知らせ下さい。
だ 様
震災に関しては、「災派は陸」という共通理解があったのと、統合部隊が編成され、一元指揮されたのが大きかったと思います。
でなければ、もっと混乱するでしょうね。
投稿: 数多久遠 | 2011年12月13日 (火) 23時26分
2009年撮影の不肖宮嶋氏による写真です。
東北の演習場でも同様に陸自が出張っていたようです。
確かに駐屯地警備の一環でやっているようですね。
http://www.fushou-miyajima.com/gekisya/090928_1.html
投稿: さば | 2011年12月15日 (木) 20時53分
さば 様
リンク先拝見しました。
写真が望遠の上、解像度の低い写真しか載っていないため断言はできませんが、写っているのは空自隊員のように思われます。
迷彩も空自のもののようですし、銃は64、パート2の最後から2枚目の写真には、空士長の階級章がはっきりと写ってます。
ちょっと驚きだったのは、パート1の中段に炊事風景が写っていたことです。
警備支援どころか、給食支援さえしてもらえなかった様子。(警備より給養の方が大変です!)
投稿: 数多久遠 | 2011年12月15日 (木) 22時30分
複数の写真のうち、コルゲートの掩体に入って89式を提げているのは陸自の隊員に見えますがどうでしょう。不肖宮嶋氏がガン飛ばされたとか書いてますように……。
投稿: さば | 2011年12月16日 (金) 01時09分
さば 様
改めて見てみましたが、89と断定できる写真はないと思います。
迷彩着て白マスクとか、陸自ではありえないようにも思います。
宮嶋氏も間違っていたのかもしれませんし、写真とは別の外柵沿いの巡回警備の陸自隊員にガンとばされたのかもしれないと思います。
投稿: 数多久遠 | 2011年12月17日 (土) 18時49分