先週火曜の13日、FXにF-35を選定する方向で最終調整に入ったとのニュースが複数紙で報じられました。
この際、16日(金)にも安保会議で決定されると報じられましたが、これは20日(火)にずれ込むことになったとのことです。(金正日が死んで、当然延期でしょうけど)
これは、最終調整に入ったと報じられた13日、F-35の開発が、機体不具合により2年遅れることが明らかになったためだと思われます。
「F35 開発2年延長 米国防総省方針 日本2016年導入困難」(産経新聞11年12月13日)
F35に多数の亀裂が見つかったのを受け、米国防総省がF35の開発調達計画を2年間遅らせる見通しとなった。
(中略)
方針を受けてF35の運用開始は、当初の2017年から19年以降にずれ込むことが確実となり、日本のFX調達計画も抜本的な見直しが迫られそうだ。
今までもFXにF-35を選定した場合の納期の問題は、たびたび指摘されて来ましたが、来年1月に行われる、この国防総省の諮問機関「国防調達委員会(DAB)」会合による決定は、F-35の運用開始時期を2019年以降に確定させるものであるため、F-35の日本への納期も、2019年以降となることを確実にします。
これを受けて、産経がちょっと気になる記事を書いています。
「F35開発延長 FX選定見直し必至 空白埋める代替案必要」(産経新聞11年12月13日)
日本側には、仮にF35を選定する場合、(1)DABの結果を見極めるためにFX選定を延期する(2)F35を選定した上で、(3年間近く生じる)実戦配備までの力の空白を埋めるための措置をとる-という代替案としての“プランB”の策定が不可欠となってくる。
決定が更に遅延したり、土壇場での大どんでん返しの可能性もありますが、以下では、FXにはF-35が選定されるという前提で、同記事が報じる3年(恐らくそれ以上)の”空白を埋めるための措置”について考察してみます。
”空白を埋めるための措置”を講じないというオプションもありますが、空白を放置すれば、財務から純減圧力が高まるのは確実で、空自が措置を講じないことはないと思います。
さて、この”空白を埋めるための措置”ですが、簡単に考えれば”数合せのつなぎ”を調達する方法があります。
その機種に関しては、極めて限られます。FXはF-35に決定するという前提があるわけですから、FX選定に入っていたような新機種調達はありえない訳です。
つまり、F-15かF-2しかないのです。
未だ諦めきれない駐日英大使は、2機種採用なんて言う、愚にも付かない事も言ってますが。
「2機種採用も選択肢に FX選定で、駐日英国大使」(産経新聞11年12月15日)
調達方法も限られます。F-2なら再生産するしかありませんし、F-15なら中古機の購入、あるいはリースです。
個人的には、FXへのF-35選定による防衛産業への悪影響を考えても、F-2の再生産がいいと思いますが、数合せのつなぎであることを考えても金はかけられませんし、中古F-15の調達が実現性が高そうです。
自衛隊が中古機を買った事例が少ないですが、先日3次補正で中古C-130を海自が買いましたし、ありえない話ではなくなってます。
ここまで、”数合せのつなぎ”調達について書きましたが、実は、もう一つ可能性のあるオプションがあります。
それは、07大綱を受け、2000年に航空総隊から教育集団隷下に(事実上)隷属替えとなった23飛行隊(飛行教育航空隊:F-15)の機体を引き抜き、作戦機に戻すことです。
ただし、この場合、23飛行隊の機体がなくなりますから、その手当が必要です。
その際の問題は、23飛行隊が行っている戦闘機操縦課程に使用する戦術戦闘訓練が可能な適当な機体が見当たらないことです。(ちなみにF-15の機種転換過程は、他のF-15装備の作戦部隊でも実施できます)
ブログ「北大路機関」様では、戦闘機操縦過程の使用機体として、グリペンを推す案を書かれています。
「JAS39Dグリペン:松島基地第四航空団F-2B補填に関するPBL方式運用基盤案」
FX候補に推す声まであったグリペンを戦闘機操縦過程に使用するのは贅沢過ぎなので、私はこれが適当とは思いませんが、23飛行隊から機体を引き抜けば、4空団での戦闘機操縦過程が震災によって停滞していることを考えても、飛行教育に対する影響は大きいので、何らかの措置は必要です。
建前的には、T-4は、T-2が負ってきた高等練習機の後継でもあるので、T-4で戦闘機操縦過程を行うべきかもしれません(財務はそう言うかも)が、F-1を原型とするT-2と違い、T-4は純然たる練習機ですから、戦闘機操縦過程を現状のままのT-4で行う事は無理があります。
T-4の改造余地が分かりませんが、もしかすると23飛行隊からF-15を引き抜いた上、T-4改によって、戦闘機操縦過程を代替すると言った案が、今後出てくるかも知れません。
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