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2011年10月10日 (月)

熾烈化するFX売り込みと速度性能

来年度の概算要求にFX4機の調達が盛り込まれ、FX選定がいよいよ熾烈化してきました。

ボーイングは、軍事研究誌の裏表紙に、8、9、10月とスーパーホーネットの宣伝を続けて打ってます。
鈍足とのイメージを払拭するためか、ショックコーンが映った写真です。
F18
ロッキードマーチンは、軍事関係書籍ではない日経ビジネスにまでF-35の宣伝を乗せてました。
BAEシステムズは、上級軍事顧問で前英空軍参謀長のグレン・トーピー卿を送り込み、トップセールスでタイフーンの売り込みをかけてます。

そんな中、F-35に関して、最大の懸念だった国内産業への悪影響を払拭するため、ロッキード・マーチンは、一部国産化を認めているという報道が出ています。
次期主力戦闘機、F35が最有力候補に 米側が一部国産化容認」(産経新聞11年10月3日)
F35の主要部、国内企業も参加…米社提案」(読売新聞11年10月8日)

FX選定は、実質的には、F-35かF-18かの2択のような気がしますが、3機種の内、どれが最適なのかは、一長一短あって難しいです。
純粋に戦力として考えるならF-35ですが、来年度予算に費用を計上したとしても、調達時期は不透明ですし、前記報道の一部国産化が可能だったとしても、国内産業へのダメージは大きそうです。
ただし、FXXを国産で5世代機を作るという決意があるなら、技術吸収のためにも、一部国産化の約束をとりつけつつ、F-35は妥当な選択だと思います。

詳しくは別の機会に書きたいと思いますが、来年度概算要求にF-15へのIRST搭載改修が盛り込まれました。
これなんかも、前衛としてF-35で全般航空優勢を確保しつつ、その中をステルス性でかいくぐってくる中国のJ-20からAWACSなどの目を護衛するためか、などと思えます。

さて、F-35は、足が遅いと言われるF-18より更に遅く、要撃戦闘を実施する空自向きではないとする批判があると思います。

詳しいデータは公表されていないので、一概に述べることは難しいですが、少なくとも、外装物なしのクリーン状態でのカタログスペックをもって、F-35を鈍足とすることは間違ってます。

説明がめんどいので、私が言いたいことは次のリンクを見て下さい。
戦闘機の『最高速度』とは
どこから持ってきたのかソースがとっても怪しいですが、カタログスペックで最高速度M2.5と言われるクリーン状態のF-15が、外装物を付けると如何に遅くなるか、が非常に良く分かると思います。
そして、重要なことは、戦力として考える場合、クリーンでの性能なんて何の意味もないということです。(逃げ足には影響しますが)

対して、F-35は、基本的に武装をウェポン・ベイ内に収容するため、カタログスペックが、ほぼ戦力として稼働する際の性能です。
ロッキード・マーチンのサイトなので、割り引いて見る必要があるかも知れませんが、FX候補となっているF-35Aは、ウエポン・ベイ内にミサイルを搭載した状態でM1.6の速度が出せます。
F35spec
オマケで、ネットサーフしている際に見つけたF-35とF-22のミリタリーパワーでの速度性能比較を貼り付けておきます。
F35f22flightenvelope
ソース
信憑性が分かりませんが、この通りだったとしたら、この一事を持ってしても空自のF-22への拘りようが理解できるというものです。
ギリギリの限界性能の差異が、決定的に勝機を分けかけない戦闘で、50%もの能力差があったら、結果は歴然でしょう。

最後に蛇足を
防衛省はあまり気にしていないと思いますが、韓国にF-35購入の動きがあることを気にする方は多いでしょうね。
ロッキード・マーチンのサイトでは、F-35の売り込み先として、日本とならんで韓国が書かれています。
F-35.com韓国ページ
F-35.com日本ページ
日韓どっちがF-35を買っても、相手側では騒ぎになるでしょう。それを予想するから、ロッキード・マーチンも、こうやって双方を煽るような宣伝をするんでしょうね。

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F-X選定問題」カテゴリの記事

コメント

どうもこんばんは。

日本の防空力強化・防衛産業の発展を考えると、
スーパー心神は是非とも開発して欲しいですね。

・・・トコロでF-35を導入してしまうと、
国産ステルスの開発意義が薄まってしまう、
そういう印象を財務省に与えてしまう、
何てことはありませんか?

防衛省がキチンと説明して、
分かってくれると良いのですが・・・

イヌザメ 様
これから新規に開発される機体は、全てステルスになってゆくんでしょうね。

財務省の印象の前に、防衛省にも、独自開発はもう無理だという認識があるのではないでしょうか。
だからこそ、3原則緩和の方向なのではないでしょうか。

戦闘機本体だけ戦力が構成されているとでも?

ステルスボケ 様
残念ながら、仰りたいことがよくわかりません。
戦闘機だけが戦力じゃないと言いたいのであれば、十分理解しているつもりですし、このブログで戦闘機ネタを載せることがむしろまれなのを見て頂ければ分かると思いますが。

数多 様(2011年10月11日 (火) 21時34分)
そういえば、
心神は国産ステルスの叩き台というよりは、
欧米の航空機メーカーに対して、
日本が共同開発のパートナー足り得る事を、
示す狙いもあるのだ、
という論評をドコかで聞いたような・・・
もし本当に独自開発を諦めたのだとしても、
せめてエンジンだけは造り続けて欲しいです。

数多 様( 2011年10月12日 (水) 21時10分)
恐らくですが、
AWACSやガメラレーダーと連携すれば、
ステルス機に頼らなくても何とかなる、
と言いたいのではないでしょうか?(多分)

F-35プロジェクトも資金不足で必死なんでしょうね。
今後更なるスケジュール遅延がなければF-35で決まりじゃないでしょうか。

少しでも性能の良い機体が欲しい空自としてはF-35が一番でしょうし、一部でも国産化が認められればタイフーンやF-18の優位性は大きく揺らぎます。それに「ステルス戦闘機の運用経験」は今後国産開発をするにしても重要でしょうから。

現場の方からは「何でも良いから一日も早くF-4を退役させてくれ」と言う声が聞かれる中、防衛省が待ちに待ち続けているのはやはりそれだけ第五世代戦闘機が欲しいのかな、とも思いますし。

個人的にはそこまでしてF-35が欲しいなら、相手の足下見てもっと好条件を引っ張り出して欲しいところですけれども。

F-Xに関してはこのブログ含めいろんな話題がありましたけどもはや論点は出尽くして
あとは最終的にどのような決断をするのかという段階ですからね・・・

部外者としては専門家の方が今までのF-Xのように後世から見て正しかったと言える判断をしてくれと願うことしか出来ませんが、個人的な意見としてはF-XにF-18を選択して国内基盤の維持と技術習得、ボーイング社との関係強化を進めつつF-XXに向けてATD-X等に十分な資金を投じて行くことがベターと考えています。

イヌザメ 様
共同開発のパートナーとしては、必ずしもステルスでなくとも、MRJを開発できるのですから十分とも思えますが、そういう意図もあるでしょうね。

ステルスに頼らなくても、との趣旨なら、以前にF-2の件を書いた際にも、同種のことは書いた気がします。あの当たりも見て頂けていれば良かったのでしょうか。

藤宮 直樹 様
F-35開発費の増大は、頭の痛いところ何でしょうね。

日本の場合、F-22の件でステルスに対して涎をたらしていることがバレバレなので、むしろ足下を見られてしまっているのではないかと……

hiro 様
機体能力など詳細は、当然秘ですから、外から見た評価軸は、国産であることの意義とそれに対する貢献度が主になりますね。

そう言う点では、設計思想の異なるデルタ翼系のタイフーンに触れておくのも悪くないと思います。
個人的に好きなんで

F-18かF-35の二択でほぼ決まっている状況なのでしょうか・・・
タイフーンかF-2で凌ぐのが良いのではと考えてしまいます
防衛省や政府はユーロファイターを購入する気はないのでしょうか

ハッキリ言って、「現状」の日本の財政事情と国防事情では
F-35は身の丈に合わない買い物です。

何故なら老朽化の激しいF-4EJを一刻も早く更新せねばならず
ラ国によって限られた機体で高稼働率と航空産業基盤を維持
することが最優先だからです。

今回は廉価かつラ国比率が高く米国のバックアップが受けられる
F/A-18EでF-4EJの更新を前倒ししてでも進め、減勢を食い止める
ことが現実的な選択でしょう。

5世代機の取得は、武器禁輸三原則の緩和など政治的環境を整理
した上で将来的な国際共同開発プロジェクトに乗ればいいでしょう。

F-35はA型すら現時点で初期作戦能力を獲得しておらず、5年後の
納期が未だ危険な博打になっている事実に変わりなく、プロジェクト
自体も議会から睨まれてる状態で、米国内でのF-35に対する見方
は一枚岩ではありません。

日本がもしF-35を採用したがるとなると、歳出削減を要求している
米議会の逆鱗に触れることになりますからF-22の時のように阻止
されてしまう可能性が大きいです。

そう、F-22の件があるのでロッキード・マーチンのセールストークを
信用することは出来ないのです。

雉鳩和希 様
実際問題として、欧州機に手を出すこと自体、冒険ですし難しいと思います。
性能が飛び抜けたF-22が欧州製だったりすれば話は違ってくると思いますが、コストパフォーマンスや国内基盤への影響など、総合的に考えれば良い機体だという程度では、残念ながら空自が手を出そうとするとは思えません。
こう言う意味でも、非常に「保守的」な組織ですから。

hiro 様
F-35が、身の丈に合わないという程のものとは思いませんが(値段はそうなるかもしれませんけど)、必要性があるのかは、J-20やPAKFAの性能次第とも言え、難しいところではあると思います。
空自は、相当に警戒しているようですが。

F-35を政治的に日本に売らないという選択は、警戒する必要がないと思います。
もしそんなことをすれば、それは極東の覇権を中国やロシアに譲り渡すという、誤ったメッセージを中露に与えることになりますから。
もしそんなことになるなら、今後もアメリカと組むのか否かを考えるべきだと、私でさえ考えると思います。

正直のところ、技術的・政治的な問題が無く産業面で利点があるなら
F-35でいいと思ってます。

ですが、余りに信用に足らない状況証拠が多すぎるので、今回は
リスクを取らずにF/A-18で行くべきだと考えています。
現時点のロッキード・マーチンの発言は何ら法的根拠も履行義務も
無い単なるセールストークで、一度騙された以上は信用できません。
契約が欲しいなら米議会と大統領の署名を取って来いと。

そもそも、PAKFAやJ20は開発中の機体であり、米国製ステルス機
の脅威になるほどのステルス性能を持ち得るかは不明です。

kuro 様
F-22の件で騙されたと思うかもしれませんが、ロッキード・マーチン自身は、売りたかったと思います。
その意味では、騙すつもりはなく、今回と同様に単なるセールストークを言っていただけかと……

さすがにこの話題だと皆様色々と意見がありますね。
私個人の意見としては、自由な発想が許されるならF-2改良型ですね。
震災で損害も出たことですし、増産してF-4もF-2系で更新し、空自戦闘機を2機種化、F-35はF-XXにと言うのが一番です。

ただそれは政治的・ライン的に無理ですし、現状3機種からの選択であれば空自はF-35を選ぶのでないかと思います。
F-22が本命だったことからもわかる通り、「F-Xは第五世代戦闘機」が既定路線です。
F-18やタイフーンがその既定路線を覆せるほどの機体かと言うと、そうではないでしょう。

私は両機はF-35がどうにも間に合わなくなった時のための保険、だと思っています。
どちらかの機体で妥協できるのであれば、既に妥協していてもおかしくないからです。

尚、F-35が輸出されない、と言う心配は無用だと思います。
門外不出のF-22と違って、F-35は最初から輸出を前提に開発されています。
21世紀のF-16となるべく開発され、いずれはアメリカの戦闘機輸出の柱となるべき機体を同盟国たる日本にさえも売らない、となればビジネスとしては大きなマイナスイメージですから。

藤宮 直樹 様
確か以前も書きましたが、私も、bestはF-2だと思っています。
FXでF-35以外を採用したら、FXXは第5世代でしょうから、その時には4機種体制ですからね。
ヨーロッパやアメリカでさえも運用機種を減らそうとしているのに、補給やコストを無視していると言える状態と言わざるを得ないと思います。

ただ、F-2再生産の目は、さすがになさそうですが。

ご無沙汰しております。
業界的には、F-18かF-2(改)が希望です。
昨年RFPが発出される直前まで進みましたが、結局今年に延期されました。
昨年空自が想定していたのは、F-18だったらしいと聞いています。
今年発出されたRFPでは、何を想定しているのか?(F-35?)
選定結果が、個人的にも会社的にも非常に興味があります。

やん 様
いくら多少なりとも国内生産を認めると言っても、F-35では売り上げも多くないでしょうし、利益率は推して知るべしでしょうから、当然望ましい結果じゃないでしょうね。

業界としては、タイフーンでも問題ないような、というか売上額からしたらタイフーンの方が高額かもしれないと思いますが、タイフーンを望まない理由ってなんでしょう?

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