特異なY-8情報収集機型による収集フライト
中国のY-8(ヤンキーエイト)情報収集型機が、7月30日に特異な情報収集フライトを行っています。
中国機の東シナ海における飛行について(統幕発表11年8月1日)
統幕発表で分かることと言えば、機種と飛行経路程度ですが、今回特異なのは、飛行経路の方です。
7月30日の飛行経路(統幕資料より)
もっとも、これだけ見ても、どこが特異なのか分からないでしょう。
ですが、以前のY-8飛行経路を見れば一目瞭然です。
統幕が発表したY-8による情報収集フライトの経路で、今年に入ってからの分をまとめてみました。
3月2日の飛行経路(統幕資料より)
7月4日の飛行経路(統幕資料より)
7月7日の飛行経路(統幕資料より)
全て、経路が、緯度経度線に沿ったものであることが分かります。
同じく統幕が発表している22年のスクランブル実績資料を見ても、中国機の飛行経路は、同様です。
22年度スクランブル対象(統幕資料より)
今回のフライトが特異であった理由は明確には分かりません。
ですが、可能性を示す事は可能です。
定期的な収集フライトは、基本的に同じ事を続けないと意味がありません。
何が変化したのか、分からなくなるからです。
ですから、特異なフライトをするということは、この日に、日本(空自ないしは海自)が何か特殊なことを行っており、それを観測するための特別なフライトを行った可能性が考えられます。
それが計画的なのか、あるいは特殊な状況を観測したため、急遽計画変更したものかはわかりません。
もしかすると、特に特殊な訓練等を行っていた訳ではないものの、この日の当直勤務員(この日は土曜日)がボーとしており、通常行うべきレーダー諸元の変更が行われなかった、あるいは逆にちょっと変ったものに変更してしまった、なんてことがあったのかもしれません。
南南東方向に2度ほど往復した際、それぞれ宮古島サイト、久米島サイトに向かっていたと思えなくもありません。
あるいは、SLRを使って薩南諸島西方海上あたりを見ていたとも考えられます。
何にせよ、何か変ったことを行っていたかどうかは、自衛隊側としては当然承知していますから、このフライトが、それに対応したものかどうかは、自衛隊には分かっています。
逆に、自衛隊が何か特殊なものを行っていなかったのであれば、Y-8側に搭載機材の更新等があり、今までの緯度経度線に沿った収集ではなく、前述ように、のレーダーサイト等に向けた飛行を行った方が効果的な収集活動ができるようになったのかもしれません。
もし、自衛隊が特異な活動を行っておらず、今後の収集活動も、今回と同様の飛行経路を採るようであれば、その可能性が高いと考えられます。
次回のフライトを見れば、もう少し分析できるかもしれません。
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コメント
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防衛とは、本当に狸と狐のバカし合いですネ。
米軍の空母に、中国の潜水艦が数キロ先まで接近したという事案が
ありましたが、あれもバカし合いでしたネ。
投稿: やん | 2011年8月19日 (金) 00時28分
なにかを探しているようにも見えるのですが、もしかしたら飛行機が落ちたか、原潜でも事故ったのでしょうか?
投稿: みやとん | 2011年8月19日 (金) 11時33分
やん 様
確かに化かし合いです。
でも、これ結構楽しいんですよ。
野郎~、来やがったな、ってな具合で。
みやとん 様
確かに何か探しているようにも見えますね。
ただ、飛行機にせよ潜水艦にせよ、水中のものを探しているならSH-5とか、別の機体が来るように思われます。
投稿: 数多久遠 | 2011年8月21日 (日) 19時46分