ショック!_缶飯メニューから赤飯が消える!
缶飯から赤飯が消えるという……なんと言うことだ!
「自衛隊:陸・空「赤飯」やめます 災害時に敬遠され」(毎日新聞11年8月11日)
赤飯の缶飯(毎日新聞より)
そんなに騒ぐような話じゃないだろ、と思うと思いますが、陸空自衛官は結構ショックを受けているのではないだろうか。
災害時に赤飯が不適当であることは以前から言われていました。
私の記憶の範囲では、明確に問題化したのは、平成5年の北海道南西沖地震による奥尻島における津波被害の災害派遣時でした。
この時、奥尻分屯基地から派遣部隊に缶飯を供給したものの、人が多数なくなった場所で赤飯を食べているところを見られたら大変なことになる、という懸念から、食事をとらずに活動した隊員が多かったそうです。
奥尻分屯基地も、おそらくそんなことは分かっていたと思いますが、なにぶん小さな分屯基地では、他に手持ちが無かったのでしょう。
何にせよ、赤飯が災害時に適当でないと言う認識は、何も今回の災害派遣で始めて出されたものではありません。
今回の東日本大震災は、規模こそ違え、缶飯に関する事情は同じだったのでしょう。
全国多数の基地から缶飯がかき集められたものの、あまりの派遣規模のため赤飯も出さざるを得なかったものと思われます。
今後も、同様の状態が生起することが予想されるための今回の措置、赤飯の廃止になったのでしょう。
事情は理解できます。分かります。
でも、これは陸・空隊員の士気を低下させ、ひいては自衛隊の戦力を低下させることにもなりかねません。
なぜか?
それは、赤飯以外の缶飯メニューが、多少味の違いはあれ、乱暴な言い方をすれば、ほとんどが醤油味ご飯であり、似たような味だからです。
wikiの記述でも「ご飯缶は五目飯や赤飯・鳥飯・しいたけ飯などのバリエーションがあり」
となっています。五目飯、鳥飯、しいたけ飯、これらは全部醤油味です。
(ちなみに、私がいちばん好きだった缶飯メニューは、いなり寿司です)
加えて、副食のおかず缶も、ほとんどが醤油味です。
食事ごときでゴタゴタ言うなよ、と言う無かれ。食事しか楽しみがない環境においては、食事は極めて重要な娯楽でもあるのです。
また醤油味か……と思っているときの赤飯は、なかなか貴重だったのです。
それが廃止とは……
赤飯がなくなるのなら、缶飯メニューは再度鋭意工夫して新メニューが必要です。
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コメント
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「ドライカレー」の正式化及びパラシュート投下に耐えないと主張する陸の抵抗を排除し「プルオープン化」による取り扱いの簡便化を希望します。美味い携行食は災害派遣時の被災者救援のみならず、外国軍との交流時には手土産がわりと強力な武器となります・・・・
投稿: 海族 | 2011年9月 1日 (木) 00時10分
確か江戸時代には赤いものが疱瘡に効果がある、という事で流行った筈です。
ですから、赤飯もおめでたい席だけではなく(俗に言う不浄の席でも)食べられていた、と聞いた事がありますす。
ですから、赤飯をメニューから外すというのは、少々、筋が違うような気がしますね。
ちなみに赤飯や五目飯は食べた事がありますが、しいたけ飯やいなり寿司はないですね。缶入りのいなり寿司はどんな味なのか興味はありますね。
投稿: みやとん | 2011年9月 1日 (木) 15時40分
数多様のおっしゃる通り、お酒も飲めない風呂も入れないでは、現場の隊員の
方々のストレスは溜まるばかりです。
せめてもの食事なのですから、もっとバリエーションがなければ意味の無い
過酷な任務になってしまいます。 もう少し現場の方々を人間扱いしてもらいたい
ものです。
投稿: やん | 2011年9月 2日 (金) 00時50分
私は子供の頃から赤飯の缶飯が好きだったのでとても残念です
赤飯には邪を払うという考えもあるそうですが…
投稿: SUS | 2011年9月 2日 (金) 07時41分
海族 様
ドライカレーはいいメニューですね。
プルオープン化は、個人的には必要ないと思います。
私なんかも、演習中は、缶切り付のツールを常時携行(缶切りに限らず、多目的に使えるツールの携行は必須)でしたから、大して不便を感じたことはありません。艦艇の食堂で食事する海自では、なおさら不要なのでは?
ただ、みやげものとしてはプルオープンの方が喜ばれるんでしょうね。
みやとん 様
歴史的経緯はあれ、赤=おめでたは一般認識でしょうから、仕方ないでしょう。
いなり寿司は、味は普通のいなり寿司です。開けた時の見かけは異様ですが……(細胞の顕微鏡写真のよう)
やん 様
ホントに、「せめてもの食事」なんですよね。
専門の給養員がいる空海はともかく、陸はよくやっていると思います。
SUS 様
私も好きでした。
シンプルイズベストの味ですし、視覚的にも、ちょっと嬉しい気分になれるんですよね。
それが、災害の場では不謹慎に思えてしまうんでしょうが……
投稿: 数多久遠 | 2011年9月 3日 (土) 10時48分
>プルオープン
ありえないと思われるかもしれませんが・・・今の若い新兵さんの中には「缶切り」が使えない者が居ます(知らない、使ったことがない)・・・
つまり自衛隊が災害派遣で「缶飯」を配る先の民間人にも缶切りが使えない人が居る可能性があるのです・・・
また戦闘の合間に短時間で飯にありつくことを考えるとやはり瞬時に開けられるプルオープン式はそれなりの正当性はあります。
因み艦艇には・・・「戦闘配食」訓練つまり、戦闘の合間に食事をとる訓練を、訓練指導隊がストップウォッチ片手に真顔でやってます・・・
投稿: 海族 | 2011年9月 3日 (土) 12時20分
プルオープン< これは、世界的な傾向じゃないでしょうか。
ナイフが使えない、それどころか、カン切りさえ使えないのは、戦後世代の後になればなる程、不器用度がひどくなっているそうです。
日本では肥後の守(工作用のナイフ、鉛筆削りなどに使う)が危険といわれてなくなりましたね。
また、読解力も低下し、武器の扱いまでイラストが多用されてきています。アメリカでは筆記体も読めない(書けない)人間も増えているそうです。
昔、アメリカ製の電動缶切り機にビックリしましたが、今は缶切り機すら使わなくなってきているのでしょう。
全て(業務用を除く)がプルオープンになっても驚きませんね。
追伸、もし赤飯がなくなるのが嫌なら、(赤飯や赤いものが魔除けとされた、というような)小冊子を作って配布してみるのも一つの方法でしょう。
花火大会の反対派に、花火大会は元々、鎮魂のために行なわれた、と主張して開催にこぎつけたのもあるのですから--。
投稿: みやとん | 2011年9月 4日 (日) 00時06分
海族 様
「缶切り」が使えない者ですか……確かにありえないですね。
まあ、その辺は自衛隊が教えないといけないんでしょう。
毛布のたたみ方やアイロンがけは教えてるんですし。
災害派遣用の糧食としては、確かにプルオープンの方がいいのでしょうけど、やはり本務を基本に装備資材は整えた方が良いかと。と言っても、災害派遣も本来任務になってますから、最初からそのつもりというのもスジは通りますが。
食事の訓練……は、空自には無かったですね。
みやとん 様
空中投下をしなくても、パック飯なんかは輸送中に破れたりとかもあるので、陸自がレガシー缶に拘ることも理由はあると思います。
小冊子ですか。
落ち込んだ時に、赤飯をみると華やぐというのもありますから、確かに理解してもらうのも手かもしれませんね。
黒飯にするとかも手ですが……暗くなりそうだ。
投稿: 数多久遠 | 2011年9月 5日 (月) 20時10分
今まで食べたなかでベストは赤飯でしたね。
赤飯を無くすなら、代わりに、栗ご飯、サツマイモ入りご飯、グリンピースご飯、ワカメご飯、白いご飯の採用お願いします。
投稿: Suica割 | 2011年9月20日 (火) 07時00分
Suica割 様
他にもファンがいて嬉しいです。
やはり醤油味以外が必要ですよね。でもグリーンピースは……
投稿: 数多久遠 | 2011年9月20日 (火) 20時37分
茶飯缶、椎茸飯缶、赤飯缶。ぺースト缶、40年も前だが、この4種類しか知らない、赤飯以外はとても食欲がでなかつた。最近OD色赤飯を食べたが旧式の無塗装の赤飯が上質であつたと思う、糧食まで整列並べされたくないものだ。
投稿: | 2012年7月30日 (月) 01時09分
名無し 様
茶飯缶、ペースト缶は聞いたことがないですね。
茶飯はなんとなく分かりますが、ペースト缶とはどんなものでしょう。
あまり想像したくないネーミングですが。
ODに塗られた経緯は知ってますが、ここまでする必要あるのかな、とは思いましたね。
確かに光ることは光るのですが、それが気になるような環境で、暴露して飯を食うのかと……
投稿: 数多久遠 | 2012年7月30日 (月) 22時13分
赤飯は現在では祝意を表すと理解されますが、本来は凶事にも食べていました。『嬉遊笑覽(きゆうしようらん)』(1830年)という江戸時代の書物には、『萩原随筆』という書物を引用して、「凶事(不吉な出来事)に赤飯を用る事、民間の習慣なり」と記されています(巻十上 飲食)。赤という色に祝意があるという理解では、葬儀などに赤飯を振る舞えば、不謹慎であると言われかねません。しかし赤色は本来はめでたい色というよりは、魔除けの色でしたから、凶事の時こそ邪気を祓うために赤飯を食べる風習があったのです。江戸時代以来南天の葉を添える習慣がありましたが、南天を「難を転ずる」と理解して添えていたことは、そのよう証拠ではありませんか。慶事の赤飯にわざわざ難を転じる呪いなど不要なのですから。ブログ「うたことば歳時記 自衛隊と赤飯」に詳しく書いておきましたから御覧下さい。
投稿: milk3 | 2018年9月13日 (木) 13時06分
milk3 様
伝統とかには疎くて申し訳ありません。
確かに、神社の鳥居が赤かったりしますね。
投稿: 数多久遠 | 2018年11月14日 (水) 19時24分