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2011年8月 6日 (土)

自民が検討する法改正案で、「本当に」自衛隊による原発防衛が可能になるのか?

自民党が、自衛隊法の改正を次期衆院選マニフェストに盛り込み、原発の防護を自衛隊が実施することを可能とさせる方向で検討しているそうです。

自衛隊による原発防衛可能に」自民が法改正を検討」(産経新聞11年7月2日)

 1日に非公開で初会合が行われた「原発警備に関する検討会」(座長・浜田靖一元防衛相)が自衛隊法81条の2で定める「警護出動」の対象に、原子力関連施設を追加するなどの検討を始めた。自衛隊を常駐させる場合、在日米軍基地へのテロ行為を想定した現在の警護出動の発動要件を緩和することも考える。警察との役割分担も見直す。

 国内の原発警備は、2001(平成13)年9月の米中枢同時テロ以降、警備強化時に警察が軽武装の「原子力関連施設警戒隊」を派遣することになっているが、平常時は民間の警備員が警戒するだけ。内部告発ウェブサイト「ウィキリークス」が5月上旬に公開した米外交公電は、米政府が日本の原発警備を憂慮していたことが記されている。


法的根拠として、警護出動を使おうとしているようです。
警護出動は、現在、自衛隊の基地等及び在日米軍基地等のみを対象としています。これに原発を含めるつもりのようです。

しかし、記事では「自衛隊を常駐させる場合」と書かれていますが、警護出動は部隊を平常時にも常駐させることを考慮したものではなく、果たして効果的な対処ができるのか疑問です。
テロは、こちらが警戒している時に実施してもらえるものではありません。

自衛隊法

(自衛隊の施設等の警護出動)
第八十一条の二  内閣総理大臣は、本邦内にある次に掲げる施設又は施設及び区域において、政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で多数の人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊する行為が行われるおそれがあり、かつ、その被害を防止するため特別の必要があると認める場合には、当該施設又は施設及び区域の警護のため部隊等の出動を命ずることができる。
一  自衛隊の施設
二  日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二条第一項の施設及び区域(同協定第二十五条の合同委員会において自衛隊の部隊等が警護を行うこととされたものに限る。)
2  内閣総理大臣は、前項の規定により部隊等の出動を命ずる場合には、あらかじめ、関係都道府県知事の意見を聴くとともに、防衛大臣と国家公安委員会との間で協議をさせた上で、警護を行うべき施設又は施設及び区域並びに期間を指定しなければならない。
3  内閣総理大臣は、前項の期間内であつても、部隊等の出動の必要がなくなつたと認める場合には、速やかに、部隊等の撤収を命じなければならない。


というか、そもそも自衛隊の出動任務全てが、発令された時のみの一時的なものとして規定されています。
その中でも、警護出動は、出動に際して、事前に知事の意見を聞かなければならないこととなっており、結構使いにくい出動という印象でした。
もっとも、原発の警護に反対する知事は、せいぜい沖縄県知事くらいでしょうけど。(ただし、幸いなことに沖縄に原発はない)

また、(武器を使用する)権限としては、警察官と同様の権限を付与する警職法7条の準用の他、警護施設が被害を受ける場合にも危害射撃が可能になっており、一応これで事足りそうです。

職務上警護する施設が大規模な破壊に至るおそれのある侵害を受ける明白な危険があり、武器を使用するほか、他にこれを排除する適当な手段がないと認める相当の理由があるときは、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。


やはり問題は、部隊を常駐させられるか、と言う点だろうと思います。
お得意の奇妙な解釈論を持ち出せば可能なんでしょうが、やはり法の趣旨を考えた場合、出動任務で常駐警備をさせることは、適当とは思えません。

出動任務ではない、恒常的な任務と権限の付与をするか、あるいは逆に、警察にも重火器を持たせるかすべきです。
ただし、警察に重火器を持たせるとしても、彼らにも警護出動時のような、警職法7条の条件に当てはまらないケースでも危害射撃を許可しないと、意味はありません。

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テロ対策」カテゴリの記事

コメント

警備の根拠もさることながら、それと同等以上に大事なのがROEでしょうね。誰がいつどういった状況でどの程度まで判断出来るかを明白にしないと意味がなくなってしまいます。
警備するのが自衛隊にせよ、警察にせよ、少なくとも原発敷地内を愉快犯が街宣車で走り回る様な失態はもうあってはならないですね。

増員の話無しに警備とはなんだか防衛省が可哀想ですね、まぁ常駐警備してないのが異常でしょうが…。常駐するから以前の対馬みたく一個中隊どっかから引き抜けとか言われたら…。警備を口実に陸自を2万人くらい増やしたらどれくらい予算かかるんでしょうか。個人的にはヘリの増強と普通科の完全装甲化のが興味あります。

>平常時は民間の警備員が警戒するだけ。

って、相変わらずウソばっかり。

http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.1996547.article.html

http://blogs.yahoo.co.jp/midway_naval_battle/25909671.html

短機関銃持った機動隊員が常駐してますがな。

アシナガバチ 様
ROE(自衛隊の場合部隊行動基準ですが)は、与えられた権限内で、政治上の考慮事項も含めてより具体的に規制するものなので、ROEよりも根拠法令の方が重要になります。
ROEがないと現場の隊員が迷うのは事実なので、もちろん必要ですけども。

現実問題としては、愉快犯みたいなのは対応が難しいですが、どうせ7条でしか射撃できないと、なめられちゃってるんですよね。
そういうものに対しても、殺さないまでもきっちり射撃した上で、「適正使用でした」と何度もいうようにならないと、なめられた状況は変らないでしょう。

名無し 様
常時10名が詰めるとして3交代で30人、稼働中の原発だけでも18カ所とすると、これだけで540人ですから、結構な数が必要になるでしょうね。
ただ、PKO等は陸自が主役とは言え、今まで空の対領侵、海の警戒活動に相当するような実任務が全くありませんでしたから、増員なしで陸に割り振られても、受けざるを得ないと思います。

惨稽 様
あんまり調べずに書いたんでしょうね。
まあ、よくある話です。

ただ、本文にも書いたとおり、装備も足りませんし、それ以上に武器使用の権限が警職法7条だけでは、原発警備には不足だと思量します。
福島でも、メルトスルーまでしながら明確な健康被害さえ確認されてないのですから、施設に武器を向けただけで緊急避難に該当すると強弁することは難しいと思います。

動的防衛力のはずが、固定化ですか

空 様
テロ警戒については、動的運用は難しいと思います。
いつ何処でテロが行われるかの予測は無理でしょう。

今まできちんとしなかったのがおかしかったというのに同意。
増員の予算とかは電源開発税のなかには原発対策費も入っているので、そこから流用しましょう。
それこそ警備はある一定ラインに入れば、問答無用で殺害可能にしておけばよいかと思います。

Suica割 様
津波の想定もそうですが、どうも日本は最悪を想定したがらないところがありますね。可能性は低くても、影響が大きな事態はそなえるべきなんですが。

さすがに一定ライン侵入で問答無用は無茶だと思いますが、少なくとも今の警職法では不十分だと思いますね。
強力な非殺傷性兵器をそなえて、気軽に使わせるのも手かなと。

強力な非殺傷兵器って、不快音波出すのとかいろいろありますからそれらも買っておくのはいいですね。
後、最悪といえば、911原発バージョンを防ぐために旧式でいいから対空ミサイルは必要ですね。
いやむしろ、戦争時の事も考えれば、ミサイルディフェンスを堂々と待機すべきでしょう。

Suica割 様
私は、原発反対論者ではない(むしろ温暖化防止のため賛成)ですし、破壊されたときの影響を考えるとおっしゃるとおりだとおもいますが、そこまでするとしたら、脱原発した方が安く付きそうですね。

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