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2011年7月30日 (土)

BMDシステム総合検証の意義と妥当性 その1

ちょっと地味ですが、極めて重要な検証の実施が、防衛省から発表されてます。

BMDシステム総合検証の実施について

JADGEを中心として、センサー(FPS-5及びFPS-3改)、迎撃システム(イージスBMD及びPAC-3パトリオット)を連接して、日本のBMDシステムの総合検証を、実地及びシミュレーションで行うというものです。

喜びとともに驚き(後述)を感じるニュースなのですが、問題は、どこで何を対象として検証を行うかです。

場所については、「航空自衛隊輪島分屯基地、能登半島周辺の海・空域等」となっていますから、輪島分屯基地にPAC-3を展開して、標的をG空域で飛翔・落下させるのだろうとわかります。

標的については、防衛省発表には情報がありませんでしたが、同ニュースを報じた朝雲に載ってました。
MDシステム総合検証へ 模擬標的でデータ収集

朝雲によると、AAM-4を改造して模擬標的を作り、F-15から10発を発射して試験を実施するとのことです。
(ただし迎撃ミサイルの発射は行わない)

さて、この検証要領について、書いてみようと思いますが、その前に、この検証がなぜ重要で、その実施に対して、私がなぜ喜びと驚きを感じたのかについて触れておきます。

最初に、重要性についてです。
この検証の最大の眼目は、標的を発見したセンサーからの情報を元に、迎撃システムに確実に航跡を捕捉させ、交戦できるかを確認することにあります。(個別システムの迎撃性能は、米軍の協力を得ての発射試験で確認済)
一言で言えば、キューイングが正常に行われるか否かを確認することにあります。

そこで、なぜキューイングが重要かと言うと、キューイングが行われないと、イージスBMDにせよPAC-3パトリオットにせよ、フェーズドアレイレーダーは、「運が悪いと」目標を全く捕捉できない可能性もあるからです。

通常、フェーズドアレイレーダーは、細いペンシルビームを時分割で四方八方に打つことで、目標を捕捉します。目標が航空機であれば、ペンシルビームによるレーダー捜索に対して、速度が十分に遅いので、それでもほぼ確実に目標を捕捉できますが、速度が速い弾道ミサイルの場合、時分割されるビームの間隙をすり抜けてしまう可能性が出てきます。

ちなみに、この可能性は、目標が遠距離で、レーダービームと鉛直方向への移動量が大きく、角速度が大きくなる発射後のブーストフェーズ及びミッドコース初期に特にその可能性が高くなります。そのため、多少逆説的な説明になりますが、これを防ぐために対弾道ミサイル用のレーダーは、フェンスサーチ(要は水平方向のファンビーム)の機能が必要になります。
どのレーダーがそうした機能を持っているかは、一般論でも言えず公開情報もないようなので書きませんが、関連特許が三菱電機やNECから出ていることを見れば、だいたい想像がつくでしょう。
http://www.patentjp.com/15/R/R100004/DA10204.html
http://www.patentjp.com/10/R/R100006/DA10555.html

話がわき道にそれました。
要はイージスBMDにせよ、PAC-3パトリオットにせよ、独自の捜索では、目標を捕捉できない、できてもその後のリアクションタイムが確保できず、弾道ミサイルと交戦できない可能性があるため、キューイングが必要となります。
(確実にできないということではなく、運が悪ければそう言う可能性もあるということです)

「だったら、JADGEで連接して、データを送ってやれば簡単だろ」と思うと思いますが、残念ながら、話はそんなに単純ではありません。むしろ、ココにこそ、今回の実地検証が必要になってくる理由、キューイングの困難さがあります。

続きは次回に

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