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2011年7月

2011年7月 2日 (土)

硫黄島におけるFCLP動画

百聞は一見にしかず。

硫黄島におけるFCLPの動画があったので、見て下さい。

なお、FCLPが行われているのは「イオウトウ」です。

「イオウジマ」は、コチラの別の島になりますので、お間違いなきよう。

2011年7月 4日 (月)

今年のレッドフラッグ 政治的な意義とFX予備調査の一環?

今年のレッドフラッグへの参加がアナウンスされています。

米空軍演習への参加及び米国における日豪共同訓練の実施について」(航空自衛隊発表)

規模、期間、場所など、概要は昨年度と同等で、あまり注目する所はありません。

注目すべきなのは、レッドフラッグとは別に計画されている日豪共同訓練です。
期間は2日間、規模はF-15が4機で、内容は戦闘機戦闘訓練となります。
規模等を考えれば、大した訓練ではありませんが、アメリカが加わらない2国間訓練をオーストラリアと実施するという点が重要です。

今後、日米の対中国関係が悪化した場合、中国を南から扼すことができるのがオーストラリアです。
オーストラリア空軍が下地島に展開して共同して戦争するとは思えませんが、オーストラリアが南から圧力をかけてくれれば、それだけで中国が第1列島線への戦力集中をすることは阻害できますから、効果は大なるものがあります。

共同戦闘能力を高めるという実施的な意義は大した事ありませんが、日本とオーストラリアが接近することを中国に見せつけるという政治的な意義は大きいです。

それとともに、憶測めいた話になりますが、空自は空軍でスーパーホーネットを運用するオーストラリア空軍と模擬空戦を行う事で、FX選定予備調査の一環と考えている可能性も考えられます。

スパホとの模擬空戦は、米空軍や海兵隊とも行えるので何もオーストラリアとやらなくてもできる訳ですが、日本周辺の制約条件の多い空域で実施するよりも、自由度の大きいアラスカで存分に行った方が、スパホの評価もより現実的にできると考えたのかもしれません。

なお、昨年のレッドフラッグ記事はコチラ


2011年7月 7日 (木)

下地島が無人機運用拠点に

以前の記事「離島有事に無人偵察機」において、自衛隊が作戦基盤として下地島の利用を意図している可能に触れると共に、無人機運用の適地は下地島以外にありえないと断言しましたが、北沢防衛相が裏付け発言をしてくれました。

2プラス2 南西諸島を災害拠点 下地島想定」(琉球新報11年6月21日)
「南西諸島に災害拠点」防衛相表明へ」(沖縄タイムス11年6月21日)

リンクの記事から、北沢防衛相の発言を拾ってみます。

「無人機やロボットの訓練基地を整備し、日本だけでなく東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国にも開放したい」
「無人機、ロボットの継続的な運用は自衛隊のような組織でなければ維持できない」


以前の記事で詳しく書きましたが、下地島を利用しないと、無人機、特に防衛省が開発を進める無人機研究システムの実戦配備は困難です。

無人機研究システム(技本HPより)
Uav_flying


災害拠点という、これまた耳障りの良い詭弁を弄していることには賛成できませんが、南西諸島防衛という観点では、下地島の利用は欠かせませんし、尖閣諸島を強行偵察する能力確保のために、無人機とそれを運用する適地の確保も必須です。

幸い、甚大な災害となった津波被害のためか、この話に対して沖縄世論の反発もほとんどないようです。
となれば、粛々と進めて欲しいところです。

2011年7月10日 (日)

馬毛島の集結拠点化には防空上の懸念が

馬毛島を南西諸島防衛の集結拠点にするというニュースが出ています。

自衛隊、馬毛島に集結拠点…南西地域の防衛強化」(読売新聞11年7月2日)

 在日米軍の空母艦載機離着陸訓練(FCLP)移転候補地として日米共同文書に明記された鹿児島県西之表市・馬毛島(まげしま)について、防衛省は2日、南西地域の防衛態勢充実に向けて同島に整備する自衛隊施設の概要やFCLPの飛行ルートなどを明らかにした。

 南北方向に滑走路を造成し、離島侵攻に対応した訓練場も設置。大災害や離島侵攻が起きた場合、全国の陸海空自衛隊が集結・展開する拠点とする。

 小川勝也副大臣によると、自衛隊施設では、エアクッション型揚陸艇や輸送ヘリでの上陸のほか、空挺(くうてい)部隊の降下などの訓練を日常的に行う。陸海空自衛隊の拠点として活用し、支援物資などを備蓄する。自衛隊員が常駐し、宿舎を種子島に整備。米兵の宿舎は馬毛島内に整備する。
(一部省略)


先日も、この馬毛島利用による南西諸島防衛への寄与には疑問を付ける記事を書きましたが、この報道に見られるような大規模な基地化を馬毛島で行う場合、大きな懸念があります。

それは、余りにも小さな島過ぎて、防空能力の確保に疑念を持たざるを得ないからです。

防空火器の配備には、それなりの用地が必要ですが、馬毛島でそれ以上に心配なのは、防空火器間でのレーダー干渉及び航空機への電磁波による影響です。
どちらも、防空火器の配置にあたっては、馬毛島以外でも考慮すべき事項ですが、この島は余りにも小さすぎます。

レーダー干渉は、複数のレーダーが近接した位置にあることで、一方の電波がもう一方のレーダーにとって妨害電波になってしまうことで発生します。
周波数をずらせば良いことになりますが、防空火器は分解能を高めるため比較的高い周波数を使用していますし、対妨害能力を高めるため、広い周波数帯を使用するため、干渉を避けるためには結構苦労が必要です。近接して設置せざるを得なければ、その分対妨害能力は犠牲にせざるを得なかったりします。

また、航空機への電磁波による影響は、離発着する飛行機の機内で、電子機器の使用が制限されることからも、レーダーが悪影響を及ぼすと言うことは、想像出来ると思います。
近距離で浴びれば人が死ぬような強力な電波を、離発着の航空機に当てれば、当然支障がでる訳です。

拠点化するなら、もう少し大きな島を選ばないと、これらの影響は軽視できません。
それに、先日の記事でも書いたとおり、あまり狭い範囲に集約していると、ちょっとした攻撃でアボーンしかねません。

民主党政権は、何とか口実を付けて普天間をここに移したいのでしょうが、軍事的合理性にあまりに疑問の付く施策は、防衛力を低める結果にもなりかねません。

2011年7月12日 (火)

那覇のF-15墜落原因について

今月5日、那覇のF-15が墜落しました。

地元紙では電子号外も出ています。

既に墜落から一週間が経過していますが、パイロットは未だ発見されていません。
この時期の沖縄近海は暖かく、いくら生存可能時間は長いと言っても、さすがにもう難しいでしょう。

空自発表では、事故発生から8時間あまりが経過した同日1820分現在で、墜落が断定されましたが、その後は正式な発表はありません。
那覇基地所属F-15Jの飛行訓練中の墜落について(第3報)

あまり情報が無く、憶測めいたことを書いても良くないので記事にはしていなかったのですが、こうなると機体の引き上げがされない限りは、あらたな情報が出てこない可能性が高いので、現時点での情報を整理して、可能性のある事故原因を考えてみます。

事故の概要は次の通りです。(空自発表に報道での情報を加えてます)
09時59分頃 4機編隊の1番機として戦闘機戦闘訓練のため、那覇を離陸
10時29分頃 那覇から北西 約185Kmにおいて、当該機と思われる戦闘中止のボイス「ノック・イット・オフ」があり、その後僚機から緊急状態(エマー)宣言の通信があった。当該機が緩やかに高度を下げていったとの別のパイロットからの目撃証言あり。ベイルアウトした形跡は未確認
10時33分頃 レーダーからの機影消失確認
10時46分頃 僚機が破片らしきものを確認

その他の情報
・事故時は、機体同士が300メートルまで接近することもある戦闘訓練中
・訓練の難易度としては基本的な訓練
・4機とも実弾は搭載しておらず、ほかの戦闘機による誤射の可能性はない。

この事故、最初聞いたときには、空対空の戦闘訓練中だったとのことでしたので、G-LOCとかバーティゴとか、あるいはフレームアウトからの再始動失敗とかだろうかと思ったのですが、訓練中止は自分で宣言しながらエマーは宣言していないなど、ちょっと変った状況のようです。

事故原因が不明で、機体の不具合の可能性もあるため、空自は対領侵任務に就けている以外のF-15は飛行を一時停止していましたが、機体の不具合ではなさそうに思えます。
(飛行訓練は本日より再開)

今回の事故発生場所は、入間川河川敷に墜落したT-33の事故のように、市街地に近い訳でもなく、それどころか海のど真ん中ですから、地上の被害を考慮してベイルアウトを遅らせる必要は考え難いです。
何とか機体を持ち帰ろうとして無理をした可能性はないこともないですが、エマー宣言さえないことと矛盾します。
翼の破断とかが発生し、急激な姿勢変化によるGや頭を強打して気を失ったとすれば、ノック・イット・オフを宣言できたことと矛盾しますし、意識はあっても回復操作に手一杯だったとしても、やはりエマー宣言くらいはできたと思われます。
それに、緩やかに高度を下げていったとの情報とも矛盾します。

とすると、可能性としては一部報道でも言われていたパイロットの身体的な不具合が発生したのではないか、という気がします。
搭乗していた川久保3佐は、まだ37歳で、しかも健康には問題なかったはずですから、可能性としては低いのですが、ありえない話ではありません。
なにより、目撃証言を含めた状況と矛盾しません。
もし、「ノック・イット・オフ」を告げたボイスが苦しげだったりした場合は、その可能性が高いのではないかと思います。

なにぶん情報が少ないので、推測とまで言える話ではありませんが、考えてみました。

最後に、ほんの一部ですが、腹の立つ報道もあったので紹介しておきます。
F15墜落 漁業者・首長に不安」(沖縄タイムス11年7月6日)
F15戦闘機墜落事故 那覇市長が空自に申し入れ」(琉球新報11年7月7日)

7/13追記 救難信号を海自が受信という情報を失念してました。この情報の「救難信号」というのがELTであれば、ベイルアウトできている可能性が高いですが、ELTが出ていれば海自から通報の前に11管でも受信できていた可能性が高く、またELTが出せるならパイロットは浮いているはずで、未だに発見されないというのは、ちと不自然です。エマーの通報が、誤伝達でそのように報道されているのかもしれません。

また、機体か操縦士に異常があったとして、「ノック・イット・オフ」の宣言後60秒以内に墜落したとの情報も出てきています。

2011年7月15日 (金)

地震兵器・津波兵器は実用化されている?

「地震や津波を人工的に起こすのは技術的に可能で、国際政治、軍事上で常識化されている」

これは月刊誌「ムー」の記事か?
と思うかも知れませんが、実際には、現職国会議員で復興担当の総務政務官でもある浜田和幸参院議員の『国会答弁』での言葉だそうです。
Photo

浜田和幸公式HPより

「浜田政務官、就任前の被災地訪問「一度もありません」」(産経新聞11年7月11日)

記事によると、浜田議員は「人工的に地震や津波など自然災害を引き起こす環境・気象兵器を米国が敵対国に使用した可能性がある」とも発言しています。
「東日本大震災は、アメリカの仕業だ」とでも言いたいのでしょうか。

余りにも電波過ぎて、コメントが浮かんできません。
こんなのを政務官に取り立てるなんて……
自民党も自民党です。こんなのを、つい先日まで飼ってたんですから。

ちなみに、彼は、鳥取県選挙区の選出です。

2011年7月17日 (日)

あんたは関心持たなくていいから……

「実は、FXにはすごく関心があるんだ」と、地位に恋々とする権力亡者が言ったそうです。

ミリオタ自称 菅首相「FXに関心ある」」(産経新聞11年7月10日)

資料に添付された3機種の写真を目にすると、首相はすかさず反応した。「おっ、これは…」と言いながら、ある機種を指さそうとしたという。


臨界を知らずに原発に詳しいと言ってみたり、自分自身が自衛隊の最高の指揮監督権を持っていることを知らなかったりする人間が、どうせろくに知りもしないことに口出ししないで欲しいものです。

ただ、どれを指さしたかは気になります。

2011年7月18日 (月)

F-15の墜落原因は、不明のままがいい

依然、那覇のF-15墜落原因は判明しませんが、原因は、最終的に不明となった方がいいかもしれません。

先日の記事「那覇のF-15墜落原因について」で、事故原因がパイロットの身体的な不具合にあったのではないかと書いておりますが、もしそうであれば、自衛隊、特に空自にとって都合が悪いことがあります。
健康管理がなってないから危険だ、と言って騒ぐ人間がいることも理由の一つではありますが、それ以上にパイロットの士気に悪影響が出てくる可能性があるからです。

と言うのも、もし事故原因がパイロットの身体的な不具合で、例えば心筋や脳の梗塞と言った命に関わる病気だった可能性があるとすると、墜落事故であるにかかわらず、公務災害(公務員の労災)とならず、遺族(パイロットが無くなっていた場合)に公務災害としての補償金が支払われない可能性が出てくるからです。

もしベイルアウトしていない場合、海面突入の際に絶命することは、ほぼ確実ですが、身体的な不具合により、その時点で既に死亡していた可能性があれば、海面突入時にまだ生存していたとしても、それを立証できなければ、公務災害と認定されない可能性は非常に高いと思われます。

ちょっと信じ難い例をあげます。
自衛隊では体を鍛えることが命じられ、業務行為として持続走を走りますが、この際に心筋梗塞等が発生しても、公務災害には認定されないのです。
単純に言うと、持病だったんだろう、と見なされると言うことです。
部隊としては、遺族に不服申立を勧めたりしますが、認定されることは難しいようです。
(ちなみに、正確な数は覚えてませんが、毎年1人2人は亡くなってます)

パイロットはもっと過酷だろうとして公務災害認定される可能性もないとは言えないと思いますが、恐らく難しいと思います。

しかし、これが公務災害に認定されないと、パイロットの士気には悪影響がでるでしょう。
単座の機体であれば、病気としては死に直結しないような病気であっても、機上で発作が発生すれば生還することは困難です。
パイロット自身は覚悟していることですが、それも残される遺族への配慮あってのことです。

家族の反対で、戦闘機を降りたなんて話も、実際に耳にしたことがあるくらいです。

海没した機体を発見したかどうかの情報は、まだありませんが、引き上げが可能な深度であったとしても、発見していても、もしかすると、まだ引き上げない方がいいかもしれません。

(パイロットが死亡している場合)真実の事故原因が、パイロットの身体的な不具合であったとしても、遺体の損傷により、司法解剖による原因究明が不可能になれば、事故原因は不明とすることが可能になります。
そうなれば、当然に公務災害と認定できるでしょう。

家族の方にとっては、早く引き上げをやって欲しい思いもあるでしょうし、つらいところだと思いますが。

引き上げについては、空自としても、頭を悩ませているのかも知れません。

しかし、本筋とすれば、公務災害の認定基準こそ見直すべきです。
パイロットの発作的身体的不具合だけでなく、持続走などの訓練による事故も含めてです。

2011年7月21日 (木)

ハエ駆除における、災害派遣3要件の適用

以前の記事「自衛隊による防疫活動」で、災害派遣を実施するにあたっては、災害派遣の3要件(「公共性」「非代替性」「緊急性」)を満たす必要があると書きましたが、東日本大震災では、ものすご~く拡大解釈されてるな、と思っていました。
(それに反対するつもりはありません)

その拡大解釈ですが、ここに来て、遂に極まれりといった感じです。なんと、自衛隊がハエ駆除までしています。
東日本大震災:陸自がハエ駆除隊派遣へ」(毎日新聞11年7月15日)
Myg11071920420012p1
Myg11071920420012p2
ハエ駆除を実施する防疫支援隊(産経新聞より)

これだけだと寂しいので、前述の3要件に照らして、このハエ駆除隊が、どのあたりで拡大解釈されているのかを書いてみます。

ハエ駆除において、もっとも拡大解釈されているのは「非代替性」です。

「非代替性」というのは、他の組織等の能力では十分な効果が得られないから派遣するのだ、という条件です。
その根幹には、災害派遣によって民業を圧迫をしてはならない、と言う考え方があります。

今回、ハエ駆除隊として150人を派遣することになる訳ですが、東北以外から150人の業者を出張させればいいはずだと思いますから、この「非代替性」は、正直満たされてはいないでしょう。

被災地の方は、困っているのでしょうが、「俺にやらせろよ」と思っている、害虫駆除業者の方も少なくないと思います。


7月23日追記

今後、日本でウエストナイル熱やデング熱と言った、昆虫媒介の危険な伝染病が発生するような事態になれば、今回の派遣が貴重な先例になるかもしれません。

2011年7月24日 (日)

対空母に空母しか浮かんでこない発想の貧困

「空母には空母」を、という意見は、ネットでも後を断ちません。

私は、これには断固反対ですが、逐一反論するような体力はありませんし、以前にシリーズ記事を書いたので、これ以上詳細を書こうとは思っていませんでした。(ネットで議論をしようとも思いませんし、特定の個人攻撃みたいなことは好きではないので)

ただ、全国紙で堂々と空母を保有すべきと書いているのを見ると、ちょっと突っ込まずにおれません。
「22DDHは計画を白紙撤回し、空母を建造すべきだ」(産経新聞11年7月23日)
Chn11070610400002p1
改修中のワリャーグ(産経新聞より)

細かい話は、以前のシリーズ記事を見て下さい。2008年の記事なので、若干情報が古いですが、基本は変ってません。
ですので以下は、エッセンスだけ大雑把に書きます。

さて、中国が空母を保有することに対抗して、日本の空母保有を議論する場合、重要なのはその目的です。

アフリカへの政治・軍事的プレゼンスを強化して、資源確保や国際世論の形成を誘導するなどと言った目的なら、それを実行するための目標として、インド洋に空母機動部隊を遊弋させることは適切です。必須と言っても良いと思います。

ですが、日本の防衛と南シナ海までのシーレーン防衛ならば、もっとコストパフォーマンスの高い手段があります。

政治的・技術的なハードルが最も低い手段は、潜水艦の質・数的増強です。実際、現在防衛省が講じようとしている手段もコレです。

これに加え、政治的に可能であれば、対艦攻撃能力を持たせた爆撃機の保有が効果的です。
(P-1でも、若干その効果があることは以前記事に書いた通りです。前掲のリンクを参照して下さい)

近海に限れば、FXの配備(何になるにせよ)、及びF-2の対艦攻撃能力を更に強化することも、もちろん効果があります。
空中給油があれば、いくらでも範囲を広げられると思う方がいるでしょうが、日本の位置から南シナ海南部を攻撃しようとすれば、給油機に対する脅威が高く、作戦はリスキーで、また、企図の秘匿が困難になるため、実行可能性も低いものになります。日本の位置がオーストラリアなら、それでもOKですが。

政治的にも、技術的にも冒険ができるなら、日本も対艦弾道ミサイルを開発・配備すべきです。(冒険と書きましたが、空母保有ほど冒険だとは思いません)

中国が空母を保有しようとしていることに対して、対策は必要です。
ですが、対空母に日本も空母を保有するというのは、発想が単純過ぎますし、何より経済が低迷し、今後も期待できないことを考えれば、コストパフォーマンスの高い、非対象戦術を考えて行く方が得策です。

なお、こう言う記事を書くと、「空母に爆撃機なんてバカじゃないかJK」、「対潜防護された空母機動部隊に潜水艦だけで対抗できる訳ないだろ」みたいなコメントが来るのは解っていますが、専門書が難しければ、トム・クランシーの「レッド・ストーム作戦発動(ライジング)」でも読んで頂ければと思います。

2011年7月27日 (水)

海幕が統合を無視して独自輸送機を調達する?

記事の信憑性は定かではありませんが、もし本当だとしたら、ここ数年で最大の下策です。

海自輸送機を刷新 東シナ海での戦力強化 震災対応も教訓(産経新聞11年7月24日)

海自が、YS-11の後継として、ペイロード数十トン規模の軍用輸送機を、欧米の機体から機種選定するというニュースです。

まずもって、この統合の時代に、たった4機程度を運用するため、海自に独自部隊が今後も必要なのかが疑問です。
記事では、空自の輸送機は、主に空自の作戦背使用されるため、独自の輸送機能が必要だなどと書いていますが、有事では統合輸送体制となることが当然ですし、平時でも海自が部隊廃止するなら、空自輸送機の定期便を海自の基地も経由するようにすればいいだけです。
大体において、記事タイトルにもある東シナ海での戦力強化という点では、最大の拠点である那覇は、海空同じ基地に部隊が存在しています。それなのに、輸送は別なんて、ほとんどナンセンスです。

そして、それ以上に、わざわざ開発したC-2ではなく、欧米の機体を選定するというところが、疑問どころではなく、ほとんど狂気の沙汰に思えます。

記事をざっと見たところで、機体規模などの点で、C-2ではダメだとする理由をこじつけるのだろうと思いましたが、良く見てみると、後方へのカーゴドアを設け、数十トンのペイロードを持たせるなど、C-2が要求を満たさない理由が見当たりません。
海自は小規模飛行場でも運用すると言っても、C-2のSTOL性能は、C-130さえ上回る程です。
P-1と共用部品が多い点などを考慮しても、C-2を選択する方がメリットが大きいはずです。

どう考えても下策なので、この記事が本当だとは思えないのですが、もし本当に海幕がこんなことを考えているのであれば、米海軍とのインターオペラビリティを考える前に、自衛隊内のインターオペラビリティ(用語が変ですが)も少しは考えて欲しいものだと思います。

2011年7月30日 (土)

BMDシステム総合検証の意義と妥当性 その1

ちょっと地味ですが、極めて重要な検証の実施が、防衛省から発表されてます。

BMDシステム総合検証の実施について

JADGEを中心として、センサー(FPS-5及びFPS-3改)、迎撃システム(イージスBMD及びPAC-3パトリオット)を連接して、日本のBMDシステムの総合検証を、実地及びシミュレーションで行うというものです。

喜びとともに驚き(後述)を感じるニュースなのですが、問題は、どこで何を対象として検証を行うかです。

場所については、「航空自衛隊輪島分屯基地、能登半島周辺の海・空域等」となっていますから、輪島分屯基地にPAC-3を展開して、標的をG空域で飛翔・落下させるのだろうとわかります。

標的については、防衛省発表には情報がありませんでしたが、同ニュースを報じた朝雲に載ってました。
MDシステム総合検証へ 模擬標的でデータ収集

朝雲によると、AAM-4を改造して模擬標的を作り、F-15から10発を発射して試験を実施するとのことです。
(ただし迎撃ミサイルの発射は行わない)

さて、この検証要領について、書いてみようと思いますが、その前に、この検証がなぜ重要で、その実施に対して、私がなぜ喜びと驚きを感じたのかについて触れておきます。

最初に、重要性についてです。
この検証の最大の眼目は、標的を発見したセンサーからの情報を元に、迎撃システムに確実に航跡を捕捉させ、交戦できるかを確認することにあります。(個別システムの迎撃性能は、米軍の協力を得ての発射試験で確認済)
一言で言えば、キューイングが正常に行われるか否かを確認することにあります。

そこで、なぜキューイングが重要かと言うと、キューイングが行われないと、イージスBMDにせよPAC-3パトリオットにせよ、フェーズドアレイレーダーは、「運が悪いと」目標を全く捕捉できない可能性もあるからです。

通常、フェーズドアレイレーダーは、細いペンシルビームを時分割で四方八方に打つことで、目標を捕捉します。目標が航空機であれば、ペンシルビームによるレーダー捜索に対して、速度が十分に遅いので、それでもほぼ確実に目標を捕捉できますが、速度が速い弾道ミサイルの場合、時分割されるビームの間隙をすり抜けてしまう可能性が出てきます。

ちなみに、この可能性は、目標が遠距離で、レーダービームと鉛直方向への移動量が大きく、角速度が大きくなる発射後のブーストフェーズ及びミッドコース初期に特にその可能性が高くなります。そのため、多少逆説的な説明になりますが、これを防ぐために対弾道ミサイル用のレーダーは、フェンスサーチ(要は水平方向のファンビーム)の機能が必要になります。
どのレーダーがそうした機能を持っているかは、一般論でも言えず公開情報もないようなので書きませんが、関連特許が三菱電機やNECから出ていることを見れば、だいたい想像がつくでしょう。
http://www.patentjp.com/15/R/R100004/DA10204.html
http://www.patentjp.com/10/R/R100006/DA10555.html

話がわき道にそれました。
要はイージスBMDにせよ、PAC-3パトリオットにせよ、独自の捜索では、目標を捕捉できない、できてもその後のリアクションタイムが確保できず、弾道ミサイルと交戦できない可能性があるため、キューイングが必要となります。
(確実にできないということではなく、運が悪ければそう言う可能性もあるということです)

「だったら、JADGEで連接して、データを送ってやれば簡単だろ」と思うと思いますが、残念ながら、話はそんなに単純ではありません。むしろ、ココにこそ、今回の実地検証が必要になってくる理由、キューイングの困難さがあります。

続きは次回に

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