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2011年6月23日 (木)

名航(三菱重工)で手抜き

航空防衛産業の雄、名古屋航空宇宙システム(通称名航(メイコウ))で、またしてもガバナンスの低下を露呈する、手抜きの事実が発覚しました。

三菱重工が航空部品製造で「手抜き」 社内告発で判明」(朝日新聞11年6月21日)

朝日の記事では、自衛隊機の部品にも手抜きがあったかどうかは明確ではありませんが、同じ記事を報じた名古屋テレビの記事(既にリンクなし)では、自衛隊機の部品にも手抜きがったと報じられています。
「航空機部品の製造過程で規定違反の手抜き 三菱重工」(メ~テレニュース11年6月21日)

違反のあった部品は約30万個で、すでに飛行しているボーイング機などの民間航空機のほか自衛隊機にも及んでいるということですが、三菱重工は「飛行の安全には影響しない」と説明しています。


製造技術は良く知りませんが、今回発覚した手抜きは、微細な傷や加工精度不良を見分ける検査の前処理のようで、ここに手抜きがあれば、微細なクラックや誤差の大きな部品が見逃されていた可能性があることになりますから、飛行安全に影響がなかったはずはありません。

エンジン部品であれば、故障の可能性が高くなったでしょうし、強度メンバーであれば、規定内の負荷でも破断が発生したりする可能性があります。

過酷な訓練を行う自衛隊では、オーバーGの発生など、「事故」にならない「事故」は珍しくもない話ですが、これは規定の負荷の範囲であれば「絶対に壊れない」部品があったればこそです。

それが実際には手抜きで作られていたとなれば、「飛行の安全には影響しない」なんてことは絶対にありません。
最悪、空中分解なんてことだって起こりうるかもしれないのですから。

名航がからむ問題と言えばF-2の墜落事故がありますが、あちらの原因は配線の誤接続という人的ミスです。
今回は、完璧な故意ですから、より悪質です。

そして、こういう問題が発生すると言うことは、ハインリッヒの法則から推察できるように、他にも表面化していない(防衛省と名航の間の問題で済んでいる)問題があるということです。

名航には、ガバナンスを見直してもらう必要があります。

ただし、今回の件が、どの程度影響受けて発生したものかは分かりませんが、防衛予算縮減の影響を受けたものである可能性も考えておく必要があるでしょう。
F-2の生産が終了して、新造機を作り目処も立たないのであれば、企業としては存続するために支出を削るしかないでしょうから……

なお、三菱ではなく名航が、と書いているのは、同じ三菱系で防衛産業に深く関わっている名古屋誘導推進システム製作所(通称名誘(メイユウ))の方は、こう言った話をあまり聞いた記憶がないからです。額が違うこともあるでしょうが。

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航空関連その他」カテゴリの記事

コメント

名誘でもSSM-1(改)の試験で同様の手抜きがあり、配備が相当遅れました。
名航にしても名誘にしても取引先への締め付けを厳しくしている状況での手抜きは、
腹立たしい限りです。

同情的に見れば防衛省の検査が、システム全体で見れば問題の無いようなレベル
でも徹底的に追及する姿勢が問題なような気がします。
いざ実戦で、まともに機能しない製品ではダメなのですが、防衛省にしても重工に
しても、どうでも良い部分での「マジメ過ぎる」追及は、問題を発生させる呼び水になる
ように思います。 
 
では、どの程度大目に見て良いのかを判断するのは、非常に難しいと思いますが。。。
重工にしても防衛省にしても世代交代が進み、全体が理解できない方が増えてきて
いますネ。 この辺りが、不祥事隠しの根源ではないかと推測します。
以上業界人のグチでした。 失礼しました(汗)

MRJの販売に影響がでないと良いのですが・・・

やん 様
SSM-1でも同種な話があったというのは初耳でした。陸自装備だからかな……

多少は大目に見るべきというのは、必ずしも同意しかねますが、基準を作る段階で、それはオーバースペックじゃないの?、と思えるケースは、確かにありますね。
変に真面目すぎるというか……

イヌザメ 様
影響は、どうしてもあるでしょうね。
折角受注が決まりだしているのに……

ただ、MRJのメーカーとしてというよりも、ボーイングなどから発注を受ける優秀な部品メーカーとしての名に傷が付く方が痛いような気がします。

数多様
SSM-1(改)不祥事は、業界的にはかなりの衝撃でした。
削減されていく予算の中で厳しいコストダウンを受け入れて、経営的にこの
時期にはこれくらいの売上が見込めると想定していたところに、プロジェクト
延期でしたから。。。

下名の仕事(輸入品の日本のお客様への納入)では、かなり苦労しています。
明るい所にかざさないと分からないようなキズを、不具合と判定されて、外国の
メーカーに連絡すると「そんなものは、機能には関係無いので不具合ではない
」と回答されて、お客様に伝えると「ふざけるな!!」と怒られます。
そのお客様の話を詳しく聞くと、エンドユーザーからそういう微細なことも不具合と
判定されるから、不具合と判定せざるを得ないと言われます。
お客様は、納入できるかできないかで数十億・数百億の売上に直結する訳です。
素人目に見ても、機能には関係無いと思っていても、お客様からそのように判定
されれば当社としても受け入れざるを得ません。 ウチの会社的には代品を納入
しないと、当社の売上にならない訳です。
微細なキズでも、将来的に性能を保障できるのか?と言われれば、誰も何も言え
なくなります。 その点は大目に見て戴きたいと思います。

イヌザメ様
この程度の話は、外国の機体メーカーなら当然のごとく判断されて、そんな
事実があったことは発表されません。
この点は、エアライナーが苦労されています。 エンジンタービンのクラック
が、どの程度までなら許容されるのか? エンジンメーカーなら、そのような
情報も入っているはずですから、ある程度の判断基準はあるはずです。
しかし、その判断基準を示してしまうと最終責任を負わなければなりませんから、
そのような情報は発表されません。
その一方エアライナーは、整備予算も限られている訳ですから、高価な
エンジンタービンを簡単に交換できません。
先ほどの下名の発言の、「どの程度まで大目に見るか?」です。
JALのベテラン整備士の方がおっしゃっていました。 「本当に難しい!」

部品の洗浄時間を3分行わなければいけないのを10秒で済ませていたそうですが、防衛省のお偉いさんに「何故3分必要なのか」を聞いても答えられる方が何人おられる事やら。

データを引っ張り出して来て、「この様に異物が完全に除去出来るのは〇分かかるから…」ではなく、多分に「これくらい洗浄しときゃ異物は除去できるだろ」で決定された数値のような気がしますけど。


町工場のオヤジのざれ言に、簡単に騙されてしまう重工下っ端や海保の連中見てると、そんな気がします。

 ルールはルールですし、約束事は約束事です。私も一応は製造業ですので、これを読んだ時には思うことはいろいろありました。
 この洗浄後の後工程はどうなっていたのでしょうか。出荷前の検品時にて検品担当者は知っていたと思いますし、またそうだとしますと製造過程の責任者も知っていたことは容易に想像できます。これは洗浄担当者の独断で行えることではなく、会社ぐるみで行っていたと考えてほぼ間違いがないでしょう。
 工程を変えるのであれば、変えても安全な理由をユーザーに説明し、理解を得る努力をするべきなのです。ユーザーへの報告や相談もなく行って良い事ではありません。それでは中国の製造業と変わりません。
 それでも内部告発で今回の事態が発覚したということは、内部関係者に良心が残っていた事の表れであり、そこに一縷の望みを感じる記事内容ではありました。

やん 様
外国との感覚の差は大きいでしょうね。
私はどっちかと言うと自衛隊の潔癖さの方がアホくさいと思ってた方ですが、一生懸命キレイにしているものをやらなくて良いという訳にもいかず……
これは文化でしょうから、そう簡単には変らないでしょう。

黒羊 様
洗浄3分は、メーカーである名航自身が決めたものであるはずです。
自衛隊は、納入されるもののスペックは指定しますが、基本、製造方法は指定しませんから。
海保もおそらく同じでしょう。

なので、最初っから10秒でスペックが保たれるなら、10秒で良い事になってたはずです。
それなのに、これをやられてしまうとチト困ります。

アシナガバチ 様
やはり会社ぐるみですかね。
内部告発者もそうですが、名航自身がそれを発表したのなら、まだ救いはある気がします。

>アシナガバチ様

社員で知ってた人はQAのごく限られた人だけかと
前工程で検査され検査印つきで送られてきたものが実際には検査不良だったかを後工程で知るのは難しいです

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