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2011年5月

2011年5月 2日 (月)

断郊競走

先日、ネットサーフィンしていたところ、懐かしいモノを目にしました。
それは、断郊競走についての記事です。

断郊競走とは、一般的な意味では、森や野原、丘など起伏のある必ずしも道でないところをコースとしたクロスカントリーレースを指すようです。

ですが、自衛隊での断郊(競走)は、ちょっと違います。
自衛隊での断郊が一般的な意味と違う点は、次の2点です。
①装備(弾帯、背嚢、水筒、銃など10kg程度)を持つ
②数人を1チームとしたチーム走(最後のメンバーがゴールした時がチームのゴール)

普通なら単に荷物を付加したチーム走になるのですが、このルールを言葉通りに解釈して行われるレースの場合、非常に面白いレースとなります。
このルールを、言葉通りに解釈すると、メンバー間で協力を行っても良いことになります。
つまり、装備を足の速い者が持ってもOKですし、足の遅い者を他のメンバーが引っ張っても良いのです。

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防大タイムズ&防衛大学校同窓会HPより

チーム走ですから、普通は足の遅いメンバーをどれだけ鍛えられるかで勝敗が決まりますが、この協力OKルールですと、足の速い者も、より多くの負荷を負うことでチーム全体を速くできるため、単なる体力だけでなく、どれだけ団結力があるかも試されます。
軍隊にはピッタリの競技と言えるのです。

この断郊、やってみると非常に面白い競技です。
ただし、めっちゃキツイです。
多くの荷物を持ったりするため、足の速い人もキツイのですが、でもやっぱりキツイのは足の遅い人です。
何せ、弾帯を引っ張られ、背中を押されて自分の限界を超えた走りを強いられます。ルームランナーで自分の能力以上の速度を指定され、強制的に走らされるようなモノです。
だからこそ、断郊競走で勝利した時には、この上ない喜びとなります。

学校教育でもやったら、良い思い出になること請け合います。
しかし、ただでさえ日本は小学校から軍隊教育をしている(整列したり、一同礼なんてやっているため)なんて言われるのに、そんなことやった日には、完璧に軍隊だと言われかねませんが……

しかし、ここまで良い点ばかり書いてきた断郊競走ですが、自衛隊でも恒常的に行われてはいません。
なぜかと言うと、装備を持つことや個人の体力の限界を超えた走りを要求されるため、怪我をする可能性が高いのです。
靴が半長靴や編上靴なのも一因です。

それでも、退職してからそれなりに経過したにも関わらず、断郊は、良い思い出として残っています。

2011年5月 6日 (金)

米軍への支援要請は防衛省・自衛隊に

先日の震災関連の記事で、ロバート・エルドリッヂ氏の提唱する災害における日米相互支援協定に賛成する事を書きましたが、相互支援協定は直ぐに無理であるとしても、米軍の能力を円滑に投入できるようにするシステムは必要です。

活動限定にいら立ちも 米軍即応部隊「待機」」(産経新聞11年3月19日)
3月19日の記事ですから、発災後の混乱が続いている時の話になりますが、米軍への支援要請が的確に出来ていなかった証左です。

この記事で書かれている海兵隊第31海兵遠征部隊は、結局エセックス他の艦上で3月27日まで待たされました。
27日になって投入された先は、孤立していた気仙沼湾の大島です。揚陸艇を使っての上陸で、海兵隊ならではの場所に投入された訳ですが、訓練中の東南アジアからトンボ帰りで駆けつけた彼らを、10日以上も洋上に放置していたことになります。

情報がないので実態はよく分かりませんが、現在は「調整」を行っている自衛隊が実質的に米軍への派遣要請を取り仕切っていると思われます。

今後は、訓令や通達によって、災害派遣を受けた防衛省・自衛隊が、米軍への支援要請を行えるようにすべきではないでしょうか。

2011年5月 8日 (日)

墜落は無理にステスル性を追求した結果?

ビンラディン急襲作戦に使用されたヘリがステルスヘリらしいということで、各所で話題になってます。

ヘリにステルス機能? 機密流出 懸念の声」(東京新聞11年5月7日)
ビンラディン急襲作戦で使われた謎のステルス・ヘリコプター」(週刊オブイェクト)
米軍、新型ステルスヘリコプターをビンラディン強襲作戦に使用か」(北大路機関)

ステルスヘリの実現にあたっては、ローターが回転することから、ステルス固定翼機で見られる4ローブRCSパターンにするといった設計思想で実現することは無理じゃないかと思っていたのですが、破壊しきれずに残ったテイルローター部の写真を見る限り、設計思想的には反射角を極力一方向にするため、直線的なデザインとする同様の設計思想で作られているようです。

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(産経新聞より)

この写真だけで判断することは難しいですが、写真を見る限りテイルロータの断面も直線っぽい形状になっているように見えます。

まだ、開発途中だったということもあるでしょうが、無理にステスル性能を追い求めた結果、飛行特性が悪化し、ホバリング中に制御困難となって落ちたじゃないか、なんて思えてしまいます。
もしそうであるなら、今回の墜落事件は、今後のステルスヘリ開発の方向性にも影響を与える事態となるかもしれません。

なお、墜落したヘリを機密保持のために爆破するというのは、映画「ブラックホークダウン」でも描かれたモガディシュの戦闘でもあった話で、ちょっとした因縁めいたものを感じます。
もっとも、今回は墜落理由が違いますが。

2011年5月10日 (火)

ビンラディン急襲作戦に軍用犬も参加

ビンラディン急襲作戦に軍用犬も参加していたそうです。

襲撃作戦で軍用犬も活躍」(産経新聞11年5月7日)

 米メディアは7日までに、国際テロ組織アルカーイダの指導者ウサマ・ビンラーディン容疑者がパキスタンの潜伏先で殺害された際、急襲作戦を担った米軍特殊部隊に軍用犬が加わっていたと報じた。

 爆弾の臭いをかぎ分けたり、パラシュートで空中から降下したりするなど特別な訓練を受けた軍用犬のうち、最も能力があり実戦での経験が豊かな“エリート犬”が選ばれたとみられる。素顔はベールに包まれており、米国内でどんな犬だったのか話題を呼んでいる。作戦決行後、オバマ大統領との面会も果たしているという。


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横田基地で使用されている軍用犬

軍用犬に思い入れのある人間として、こう言うニュースは嬉しい思いがします。
と言うのも、米軍はかなり犬を活用しているのですが、自衛隊は後述のように、あまり犬を重用してはおらず、犬に対する風当たりも結構強いからです。
米軍と自衛隊の犬舎を比べても、米軍の犬の方がきれいな犬舎に住んでます。
ですが、こんな重要作戦に投入されているように、訓練次第では犬は非常に効果的な戦力になります。

自衛隊では、海空自衛隊で犬を使用しています。陸自もかつては使用していたものの、制度自体を廃止してしまったと記憶しています。海自では警備犬、空自では歩哨犬という名称で、名前からわかるようにどちらも基地の警備のために使用しています。

入間基地航空祭での空自の歩哨犬訓練展示の様子
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空自では入間基地の警備小隊内に歩哨犬管理班という部署があり、全国の基地で使用される歩哨犬をここで訓練して送り出しています。
歩哨犬管理班については、入間基地のHPに歩哨犬管理班勤務者のインタビューが載っているので興味のある方はコチラを見て下さい。

さて、自衛隊内で犬が重用されていないと書きましたが、その理由は簡単に言えば訓練が大変だからです。
まず第1に、高練度の軍用犬を作るためには実に多くのことを教える必要があります。どんな事を行うかは、以前の記事「入間航空祭レポート その2」をご覧下さい。
基本的に、基地の警備しか行わない空自であってもこれだけの事を教えるのですから、今回の作戦に投入された軍用犬は相当な訓練を行っていると思われます。
加えて、それだけ訓練しても、たとえ大型犬であっても人間と比べると寿命は非常に短く、15年程度であることを見れば、体力面などで実戦に耐えられる期間が非常に短いことは確かに問題です。(10歳以上の犬なんて人間で言えばジジイな訳です)

第2に、軍用犬を効果的に使うためには、犬以上に犬を使う側の訓練が重要です。
空自では、前述の歩哨犬管理班で集合訓練などを行っていますが、それだけ専門家が育つはずはないことは、簡単に想像が付くでしょう。

陸自が制度を廃止してしまったのも、同じ理由です。
ですが、こう言うニュースが出てくると、駐屯地の警備ではなく、特殊作戦群あたりで使おうと言う意見が出てくるかも知れません。

今回、軍用犬が投入されたというニュースを聞き、厳重に警備され、おそらくトラップもあるであろう危険な場所に先陣を切るために使用されたのではないかと個人的には想像していました(公開している小説中でも同じ役割で登場させました)が、その後の続報によると、やはりそのような用途で使用されていたようです。
ビンラーディン襲撃作戦に軍用犬も活躍」(産経新聞11年5月8日)

 一方、米CNNテレビなどによると、急襲作戦に加わった軍用犬はジャーマンシェパードで、弾薬の臭いをかぎつけると敵に猛スピードで突撃する訓練を受けていた。チーム6のメンバーといっしょにパラシュートで空中から降下し、兵士がビンラーディン容疑者の隠れ家のドアを突き破ると、先陣を切って邸内に突撃。敵をひるませ、兵士が突入するのに必要なコンマ数秒の時間を稼ぐのにも貢献した。

 軍用犬は防刃、防弾性に優れたアーマー(防身具)を身につけ、アーマーには赤外線夜間カメラも備えつけられていた。チーム6のメンバーと同じく、特別な訓練を受けた軍用犬の中でも最も能力が高く、実戦経験も豊富な“エリート犬”で、日ごろの訓練の成果を発揮した。


こう言った用途での犬の使用については、ちょっとした思い出があります。
最近では空自でもCQBの訓練を行っていますが、危険エリアへの先兵として歩哨犬を訓練して投入すべきだと意見具申した際、ある上司からダメ出しをされました。
それ自体は良いのですが、その理由を聞いて絶句。
曰く「そんな危険な事をさせたら、犬がかわいそうだろ」
犬を使わなければ、最初に先陣を切るはずの隊員がもっとかわいそうだろと思いました……

こう言った役割は、いずれはロボットが行うのかもしれませんが、敏捷な動作などの点でまだまだ軍用犬に遠く及びません。

当分は軍用犬活躍のニュースは聞けると思います。

ちなみに、軍用犬については詳しいサイトがあるので興味のある方は覗いてい見て下さい。
軍犬物語

2011年5月13日 (金)

B型枯渇で、総隊の訓練は大丈夫?

F-2の戦闘機操縦課程が再開されましたが、やはり予想したとおり三沢で、総隊のF-2Bを使用して訓練をしているようです。

F2の冠水で操縦課程を三沢で再開」(朝雲新聞11年4月14日)
三沢基地における移動訓練の実施について(防衛省発表11年4月11日)

朝雲の記事では、3SQ及び8SQのF-2Bを使用してとなっていますが、今まで18機のF-2Bを使用して行っていた課程を、両飛行隊のF-2Bだけでできるはずはありません。おそらく順次築城6SQのB型も集めて訓練するものと思われます。
それでも、残りのB型は14機しかありませんから、恐らく総隊でB型を使用した訓練はほとんどできなくなるでしょう。

それほど大きな影響とは思わない方も多いと思いますが、15も含めて、複座機は引っ張りだこで、一部訓練科目の訓練量は、複座機の機数の限界で決まっているようなものです。

影響は、今年の戦競なんかにも出てくるかも知れません。



2011年5月15日 (日)

基地警備教導隊新編

以前の記事「ナゾの基地警備教導隊」で果たして本当の編成されるのか、と疑問を書いた空自の基地警備教導隊ですが、さる3月28日に新編されました。

基地警備教導隊が発足 空自」(朝雲新聞11年4月14日)

基地警備教導隊が発足 空自

 22年度末の部隊改編で、空自は基地警備教導隊(岡一郎2佐以下約40人)が3月28日、百里基地に新編された。装備は軽装甲機動車と小銃などの小火器。東日本大震災の影響で3月末に予定されていた式典行事は延期された。
 同隊は、各基地を巡回してそれぞれの立地の特性を踏まえた適切な基地警備要領を教導するとともに、基地警備に関する調査、研究を行う。
 空自では平成18年3月に航空総隊(府中)の中に基地警備研究班を発足させ、順次人員を増員するなどして今回の新編に備えてきた。


記事が短く情報は少ないのですが、新編された部隊の性格を検証してみましょう。
信用できるソースが、上記記事程度ですが、ウィキペディアも参考とすると、基地警備教導隊は、航空総隊の直轄部隊として2等空佐が指揮する約40人の編制単位部隊として百里基地に編成されました。装備は軽装甲機動車と64式小銃他となったようです。

場所以外は、概ね予想したとおりでした。
人数については、以前の記事で、多くても5・60人だろうと予想したのですが、やはり40人程度に止まったようです。
総隊直轄の編制単位部隊であるため、人事や補給といった本部機能も自隊で持っていることになり、実際に教導任務や有事に戦力として機動運用される人員は1個小隊にも満たない少数と思われます。

また、89式を装備していない等、装備も各基地等で保有している装備も変わりありません。

そのため、基地警備教導隊は、ずいぶん以前から、編成されれば特殊部隊的な性格を持ち、基地警備に関する機動予備戦力となることが噂されていましたが、そう言った性格は薄く、任務は、教導に主眼が置かれていると思われます。今後、増員や特殊な装備の配分があると話は変ってきますが……

また、機動運用するためには輸送能力が必須ですが、輸送機やヘリ部隊が所在しない百里に編成されたことを見ても、訓練用地の確保に有利な点を評価して配置したのでしょうから、機動運用より教導に重きを置いていると見ることができると思います。

今後の施設建設予定がどうなっているのか分かりませんが、富士にあるような市街地戦闘訓練施設なども有するのかも知れません。

さて、機動運用よりも教導に重きを置いていると見られることの評価ですが、私は正しい選択だと思います。
空自基地は各地に分散しており、目標とされる可能性を見積もることは非常に困難です。そのため、事前に教導隊を展開させておくことは難しいと思われます。
一方で、事後に投入することを予期する場合、例え機動運用が可能な部隊で、空輸力を最大限に活用したとしても、ビンラディン殺害作戦を見ても分かるようにゲリ・コマによる急襲作戦は短時間なものが多いと思われますから、基地警備教導隊が、増援として活躍できる可能性は低いと考えられます。
そう考えれば、教導により各地の基地警備部隊を強化することの方が適切でしょう。

今後、基地警備教導隊は、各基地を回った巡回教導や百里基地に担当者を集めた集合教育で、ノウハウの蓄積と敷衍を行って行くものと思われます。

しかしながら、航空総隊のHPを見たところ、彼らの最初の任務は、教導ではなく災害派遣だったようです……

2011年5月18日 (水)

自衛隊の消防は立派なプロです

何でこう言う記事を書くかな~?

「何で、父ちゃんなの?」任務恨まず、士気は旺盛」(夕刊フジ11年5月11日)

桜林美佐氏が、自衛隊の消防車によって結成された東京電力福島第1原発への放水冷却隊について、「彼らは決して消防のプロではない」と的外れな記事を書いています。

陸自の消防車ドライバーについて、機甲の削減の折、機甲科からの職種転換の結果、役立たずになったかのような書きぶりです。
空自の消防隊についても、「本来、スクランブル(緊急発進)する戦闘機を、無事を祈りながら見送る立場だ」などと書いており、まるで普段は危険の無い職務であるような書きぶりになってます。

記事趣旨は、自衛隊の応援なんですが、自衛隊の事をある程度知っているはずのその筋のジャーナリストが、こう言う知識不足と思われる記事は書かないで欲しいものです。

今回の放水冷却隊に投入されたA-MB-3など空自の大型破壊機救難消防車は、滑走路上で炎上した航空機の火災を、単に消火するのみならず、燃えさかる航空燃料の海に沈んだ航空機から、パイロットを引きずり出すために使用されます。
そのために、今回引っ張り出される理由ともなった高圧放水銃を備えていますし、炎の海に突入するための足回りに放水する機能など、普通の消防車にはない機能があります。
今回の原発への投入にあたっては、当初警察の機動隊車両が派遣されましたが、あれを出すくらいなら空自の車両を使えば良いのにと思っていましたが、やっぱりそうなってます。


自衛隊の消防車 AMB-3

もちろん車両が特殊なだけでなく、コックピットからパイロットを引きずり出すとなれば、防火服に身を包んだ生身の人間が炎の海に入っていかなければなりません。

普段から、ピットファイヤー訓練と呼ばれるそのための訓練も各航空機で3ヶ月に一回程度実施しています。
ピットファイヤー訓練の実施について」(入間基地HP)

ピットファイヤー訓練は、中央に航空機のドンガラのような模擬航空機を置いた訓練場に燃料を撒き、そこに実際に火を付けて行います。
凄まじい炎と黒煙を上げるまさに火の海に突入していくもので、生で見ると「ゲッ!」と思うような激しいものです。(部内広報のために多職域の自衛官も見学します)
当然、一歩間違えば訓練と言えども死者の出かねない危険度な訓練です。
実際に、訓練中の事故も発生しています。

参考:入間基地HPの関連ページ

陸自の消防車にしても、庁舎の消火にあたるだけでなく、弾薬庫火災などに備えていますし、決して役立たずであったなんてことはありません。

桜林氏も、もう少ししっかりと確認して欲しいものです。


2011年5月21日 (土)

普天間移設にウルトラC案_ヤンバルに基地建設

普天間移設問題では、米有力議員が嘉手納統合を唱えたり、政府が移設期限を設けない案を言い出すなど、先の見えない混迷状態が続いていますが、その原因はなにより地元である名護市や沖縄県の反対姿勢にあります。

ところが、ここに来て逆に沖縄県内から移設先として誘致する動きが出てきました。

過疎化に危機感 国頭・安波普天間受け入れ案」(沖縄タイムス11年5月15日)

 国頭村安波区(渋井登志代区長)の評議委員らが、高速道路の整備など地域振興策を条件に、米軍普天間飛行場の代替施設を受け入れる可能性があることを、政府に伝えていたことが明らかになった。背景には、普天間問題の打開策を示すことで国から振興策を引き出し、深刻化する人口減少や遊休農地の解消につなげたいとの思いがある。


場所はヤンバルのど真ん中で、北部訓練場にも隣接した国頭村安波。太平洋沿岸で、シュワブから北東に30km程の位置です。

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国頭村安波の位置関係

区の主張は、正確に言うと海兵隊の誘致ではなく、空自の誘致で、普天間受け入れはオマケ的な考え方のようです。

那覇空港から航空自衛隊基地を受け入れる案が浮上、普天間基地の移設受け入れも条件に加えた。


国頭村は、道路事情が悪く、観光客がせいぜい北に足を伸ばしても本部町の沖縄美ら海水族館までしか行かないため、過疎化が激しい地域です。
私は沖縄勤務時に何回か足を伸ばしましたが、ヤンバルの森と時折見えるパイナップル畑の他、何にもありません。
ガソリンスタンドもほどんどなく、ガス欠の恐怖に怯えながら走った記憶があります。

このままでは、どんどん過疎化が進むことは間違いなく、窮余の策と言えるでしょう。

その後の続報によると、計画は、2500mの滑走路を集落から1km以上離した位置に建設する案となっており、騒音の予想範囲や地権者のリストを付すなど、かなり突っ込んだ検討がされている模様です。

滑走路2500メートルを想定 普天間飛行場移設」(琉球新報11年5月18日)

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予定する基地・滑走路の位置・範囲(琉球新報より)

計画は、外務・防衛省にも伝えられている他、民主党の下地議員を通じて米側にも提示されているそうです。

沖縄県知事は既に反対姿勢を明確にしているようですが、今後の各方面の反応が注目です。

さて、ではこの国頭村安波案が、軍事的に検討する価値があるかどうか、考えてみます。
以前の記事、「普天間の代替候補地条件」で書いた通り、沖縄本島内で嘉手納以外の飛行場を作る案なので、大筋は問題ないはずだからです。

自衛隊の基地としては、那覇や嘉手納とそれほど距離はなく、南西方面防空のための航空機の発進帰投基地として位置は悪くありません。
度々指摘している那覇基地のコマンド攻撃に対する脆弱性の問題も、相当改善されます。
基地のあおりを食って、周辺民家が被害を受ける可能性も減るでしょう。

しかし、計画範囲を見ると、滑走路以外の面積が少々狭いように思われます。特に、普天間と那覇の機能統合をするつもりなら、完璧に手狭です。

また、問題もあります。
一つは、燃料などの補給の問題です。
燃料に関して言えば、沖合にタンカーを接続できる燃料パイプラインを設けるのでなければ、かなりの距離を陸送することになり、コストの増大に繋がりますし、戦力発揮上はこれがボトルネックとなり道路を爆破された結果飛行機が飛べないなどと言う結果になりかねません。
もし、近隣に港湾まで整備できるのであれば、OKです。

もう一つは、パトリオットの配置が現在のままでは、SSMやASMによる攻撃に対して、安波は防護困難であることです。空自那覇基地を移転させるのであれば、パトリオットの部隊も移動させなければならないでしょう。

さらにもう一つ、案が具体化しても空自が言い出せない問題として、隊員の福利厚生のこともあります。
基地ができれば、周辺にこれを当て込んだ飲食店ができるでしょうが、那覇基地とは比べるべくもありません。

普天間の移設先としても、問題点の部分はほぼ同じですが、北部訓練場に近接することになるため、訓練上は魅力的ではないかと思われます。

さて、この案に米側が乗ってくるかどうか、補給上も必要な道路建設等、振興策に国頭村が乗ってくるか、注目です。

2011年5月24日 (火)

そこは誉めるところ

福島原発に投入された74式戦車は、結局現場に投入されず終いだったようです。

菅勇み足、政府主導でまたボロ「74式戦車」投入も結局出番なし…」(夕刊フジ11年5月9日)

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朝雲新聞より

 「菅直人首相はじめ、政府主導で『戦車でも何でも使え!』と投入が決まった。確かに74式は冷戦時の核戦争を想定して車内を与圧できて、装甲も厚いので一定量は放射線を遮断できる」と軍事ジャーナリストの世良光弘氏。しかし、38トンという重さが問題だった。

 「原発敷地内には地下ケーブルが張りめぐらされている。74式の重さではケーブルを遮断してしまうので東電側が使用を断ったという。ヘリからの放水を含め、もう少し菅首相や政府が、自衛隊の制服組と話し合えば、無駄な動きを取らなくて済んだはずだ」と世良氏は指摘。後先考えずに感情で物事を判断する菅首相のボロが、またひとつ出た形だ。


「兵は拙速を尊ぶ」という言葉がありますが、
『戦車でも何でも使え!』はまさに拙速の指示でした。
良く検討した結果、やはり使わない方がよさそうだったので使わなかったというだけで、持ってきた事によるマイナス効果はほとんどありません。
原発関係者に確認しないまま投入してケーブルをブチブチしてたら話になりませんが、良く検討した結果投入できたはずなのに現場に無かったと言うミスじゃないのですから、これは問題ないどころか、混乱した当時の状況を鑑みれば、良い指示だったと思われます。

菅首相を擁護するつもりは微塵もありませんが、そこは誉めるところです。

2011年5月27日 (金)

東日本大震災災害派遣のベストショット

今回の東日本大震災にともなう自衛隊の災害派遣で多くの写真が報道されましたが、私なりのベストショットと思われるものを取り上げてみます。

5
4月2日付の毎日新聞のサイトに載せられていたものです。
キャプションには「自衛隊車両がずらりと並ぶ校庭で隊員に自転車を押してもらい笑顔を見せる女の子=岩手県山田町の山田高校で2011年4月2日午前9時15分、木葉健二撮影」とあります。

従来、マスコミが取り上げる自衛隊の姿は、「なんだか良く分からず怖いモノ」という偏見に満ちたものでしたが、小さな子供にも受け入れられる自衛隊の姿が報じられるようになったことは、非常に喜ばしいことだと思います。

2011年5月30日 (月)

書評「迎撃せよ」

大規模停電を描いたクライシスノベルなど、スケールの大きなミステリーを多数書かれている福田和代氏による、ミリタリーサスペンスです。



書店で拍子につられて買ったのですが、スケールの大きな小説を書いているとは言え、特に軍事関係に詳しい訳ではない方が、自衛隊を正面から書くのはちょっと荷が重すぎたか……

私としては、こう言った小説が増えてくれることは喜ばしい事だと思っているのですが、如何せん、軍事は非常に深く広い知識がないと小説としてストーリーが破綻してしまいます。
それ故、書き手も少ない。

福田氏は、それに挑んでくれたのですが、やはりちょっと残念な結果になってしまったか、と言うのが正直な感想です。

と言うのも、ミステリー全般に言えることですが、読者は小説の先を予測しながら読みます。当然、その推理は論理的でなければならず、軍事物を描くのであれば、軍事的に正しく推論できるように書いてなければなりません。
ですが、パトリオット部隊や警戒管制部隊を直接取材をされたものの、簡単な誤謬が前半から散見され、「果たしてこの先、まともな展開をするのか?」という疑念が湧いてしまって楽しく読めませんでした。
そしてラストは案の定、テロリストの動機が「そんなのありえん!」という著者の勘違いをベースに書かれています。

と、先にマイナス点ばかり書きましたが、軍事物というと、前線の一兵卒がスーパーマン的な活躍をするアクション小説か、主人公が誰だか良く分からないような群像劇が多い中、多くの情報が集まる指揮統制機能の中の人間を、その人間に焦点を当てて描いており、リアリティあるミリタリー物の「小説」を書こうとしているところは評価したいと思います。

返す返す残念なのは、軍事面の知識の不足からくる勘違いをベースに書かれていることで、取材の際に、ある程度プロットを話して確認を取れば良かったのに……と思えます。
もっとも、小説としてまとめる前にプロットを人に話すというのは、新作マジックのネタを公開前に明かすようなものなので、作家として難しいのは良く分かりますが……

アマゾンのレビューも、あまり芳しくありませんが、著者がこれに懲りず、また軍事物を書いてくれることを期待してます。

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