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2011年3月

2011年3月30日 (水)

NBCフィルターの気体放射性物質防護性能

プルトニウムまで検出されている状況になったので、今更これを問題にしても詮無いことにも思えますが、安易な理解は危険だということで、書いてみます。

先日の記事「福島原発に74式戦車投入」にNBC様より、「一般にNBCフィルターは毒ガスや気体の放射性物質も吸着できる」とのコメントを頂きました。

また、週間オブイェクト様のコメント欄でも、前掲記事のリンクが貼られ、次のようなコメントが寄せられていました。(おかげで妙にアクセスが増えた)

NBCとは以下の3単語の頭文字を並べたものです。

Nuclear(核兵器)
Biological(生物兵器)
Chemical(化学兵器)

よって、化学兵器に代表される毒物の気体も防げなくては意味がありません。

NBC対策という名前が付いているからには毒物の気体だけでなく、
放射性物質を含んだ気体も防げるのではないかと思います。


NBC様へのレスコメントでも書いたこととダブって来てしまうのですが、単純にNBCと名前が付いていれば、何でも対応できるのだと簡単に考えている方が多いようです。

放射性物質をフィルターで除去する場合、どんな物質をどんなフィルターで除去するのかが問題です。

塵(微細な粒子)であれば、HEPAフィルターで除去できます。そのため、原発でも使用されています。
NBC対策(N)として軍事上もっとも対応すべきフォールアウト(放射性降下物、死の灰)にも非常に有効です。
それに、戦車など、容積的に限界のある機材でも非常に少ないスペースで取り付けられます。

ですが、今回の記事で問題にした気体の放射性物質(クリプトン85やキセノン133と言った放射性希ガスや気体化したヨウ素)はHEPAフィルターでは除去できません。

ヨウ素に関しては、水溶性なので湿らせた布でも効果がありますが、希ガス類は科学的に安定(他の物質と化合しない)なため、化学的に捕集することも困難です。

そのため、原始的(?)とも言える活性炭で吸着するしか手はありません。

では、74式戦車のNBCフィルターが活性炭入なら大丈夫かと言えば、仕様がわからないので断定はできませんが、正直難しいと言わざるを得ません。
それは、スペース的に、そんなに分厚いフィルターを入れることは難しいからです。

実際、どの程度の活性炭フィルター厚があれば、希ガスを吸着できるのかは、その道の専門家ではないので分かりません。
ですが、参考になる資料として、原発で希ガス吸着用として使用されている活性炭フィルター厚の資料がありました。
原子力安全・保安院の原発事故資料
Ws000015_2
浜岡原発の希ガスホールドアップ塔略図(前掲の原子力安全・保安院資料より)

浜岡原発の希ガス吸着用ホールドアップ塔は、高さ9mもあり、図上で判断すると活性炭層の厚さは6m以上にもなります。
しかも、このホールドアップ塔が直列状に4塔設置されているため、都合、24mもの活性炭層が希ガスを吸着していることになります。

もちろん通気させる量が違うということは言えますが、これだけの層厚が必要な希ガス対策が、74式戦車に施されているとは到底考えられません。
それどころか、化学防護車やNBC偵察車でも不十分かもしれません。

しかし、それならばNBCフィルターと言いつつ、毒ガスには対処できないのではないか、という懸念を抱く人はいらっしゃるでしょう。
ですが、兵器として使用される毒ガスの多くは、「ガス」とは呼ばれても実際にはガス(気体)ではなく、エアロゾルです。揮発性も強くないものが多用されます。(揮発性が高いと、容易に風乾され、拡散してしまって効果が低くなる。)
そのため、活性炭はもちろん、HEPAフィルターでも有効です。

まとめると、HEPAフィルターや層厚の薄い活性炭、あるいはその複合で作られているであろうNBCフィルターは、兵器として用いられるNBC兵器には十分有効なはずですが、放射性希ガスには効果不十分な可能性が高いと言えます。
もちろん、今回の現場にはプルトニウムまで検出されているのですから、NBCフィルターを装備した機材を持ち込むことは非常に有用です。

2011年3月24日 (木)

更新頻度低下のお知らせ

諸事情により、4月中旬まで更新頻度が低下します。

なんとか週1くらいでは更新したいと思いますが、しばらくはユルユルとおつきあい下さい。

4月中旬にはパワーアップして戻ります。

2011年3月21日 (月)

福島原発に74式戦車投入

震災対処で74式戦車が投入されました。

福島第1原発:がれき除去に戦車派遣 防衛省」(毎日新聞11年3月21日)

地雷などの障害を除去しつつ進路を啓開する際に使用する排土板を取り付けて、福島第1原発のがれき除去に使用するそうです。
Photo
排土板を装備した74式戦車(朝雲新聞HPより)

鋼鉄製の厚い装甲が多少なりとも放射線を遮ってくれますし、水密構造なので防護服を着なくても放射性物質の付着を防ぐことができます。

NBCフィルターが取り付けられているという情報もありますが、真偽のほどは知りません。
米国仕様なら付いているはずの装備なのに、幕がケチったおかげて日本仕様にはNBC防護機能がないなんて装備もあるくらいなので、ホントに付いているのか疑問ではあるのですが……
おまけに、現在原発周辺に漏れ出している放射性物質の多くが気体のようなので、死の灰を防ぐNBCフィルターでは、これらは除去できません。

それでも、ただのドーザーよりは、遙かにマシです。

NBC偵察車は、既に全量投入されているでしょうし、戦車だけではなく、装甲車も東電の作業員等の移動用とかで投入しても良さそうな気がします。(戦車の方が防護性能は高いですが、乗員が余りにも少なすぎて、人員輸送には使えません)

それにしても、毎日の記事には、未だに「災害派遣での戦車出動は異例だ」なんて書いてあって、戦車を使うなんてけしからんというトーンがあってうんざりします。
雲仙にも火砕流の危険があったために派遣された実績(74式)がありますし、訓練で銀座を装甲車走ったケースもあるくらいです。

それ以上に、この状況で「自衛隊けしからん」なんて書けば、また部数を落とすだけってことが理解できないんだろうか。

2011年3月19日 (土)

震災対処、自衛隊が名実共に主役に

災害派遣が、自衛隊にとって「付随的業務」から「本来任務」になってから大分立ちましたが、それでも、災派の位置づけが消防や警察の支援であることは変っていません。
しかし、今回の震災対処では、随所で自衛隊が主役になっています。

支援物資の輸送は、実際の輸送を行うだけでなく、管理も自衛隊が仕切っています。
自衛隊、被災地への物資輸送一元化・迅速化」(読売新聞11年3月15日)
物資提供は都道府県が窓口 自衛隊が大口物資を一括輸送」(産経新聞11年3月17日)

そして、原発への放水活動でも自衛隊が全般指揮を行っています。
自衛隊 放水活動の全般を指揮」(NHK11年3月18日)

こう言った明確な政府方針の下、自衛隊が指揮を執っているもの以外にも、投入された人員数やテレビに映るシーンの量、何れにおいても、誰の目にも主役は自衛隊でしょう。

誰もが逡巡する混乱した状況の中、上意下達が徹底された軍隊としての組織力が力を発揮していると言えるでしょう。

それにしても、これが民主政権の元でのこととは、はなはだ皮肉です。
阪神大震災の時も社民政権だったことも考えると、何か運命的なものを感じます。

2011年3月16日 (水)

未曾有の大震災 災害派遣を行う自衛隊に法の不備はないか?

アメリカのメディアが、災害時にも秩序を失わない日本の社会に驚きと賞賛を表わしています。
NYタイムズが支援コラム 阪神大震災時の東京支局長」(産経新聞11年3月12日)

阪神大震災の取材の際、商店の襲撃や救援物資の奪い合いが見られず、市民が「勇気と団結、共通の目的の下に」苦境に耐えていたことに感嘆したと説明し、「仕方がない」「我慢」という日本語を紹介した。


「なぜ略奪ないの?」=被災地の秩序、驚きと称賛-米」(時事通信11年3月16日)

米国で、被災者の忍耐強さと秩序立った様子に驚きと称賛の声が上がっている。「なぜ日本では略奪が起きないのか」-。米メディアは相次いで、議論のテーマに取り上げている。


災害が起った際、商店の襲撃や救援物資の奪い合いが起ることは、日本では考えられなくても、世界のニュースを見れば、むしろ一般的、というよりほとんど常識です。
米紙の記事を見るまでもなく、日本でこれが起らないことは非常に誇らしいことです。

ですが、今回の東日本大震災のような未曾有の大震災に際して、これからもこう言った火事場泥棒的行為が起らないと果たして言えるでしょうか。
そしてその時、災害派遣で現地入りしている自衛隊部隊は適切に対応できるでしょうか。

実は、この点で、法制上の問題があります。
それを不備とまで言うのかは議論の余地があると思いますが、現場に出ることを考えていた元自衛官としては、不備だと考えていました。

自衛隊法には、警察官職務執行法(以下警職法)の準用等により、災害派遣が行われた際、避難等の措置や道路上の車を強制排除するといった応急措置等を行う権限は規定されています。

ですが、その際に暴動が起っても、警職法5条(犯罪の予防及び制止)及び7条(武器の使用)が準用されることになっていないため、武器を使用(威嚇を含む)して暴動を押しとどめることができません。
(有害鳥獣駆除を目的として災害派遣では、武器も使用できます)

「政府お得意の抜け道的法解釈でなんとか出来るハズじゃないか?」と考える方もいるかもしれません。
確かに抜け道的方法はあります。
前述の権限は、自衛隊法第94条1項から4項に記述された(災害派遣時等の権限)に書かれていないために問題となります。
となれば、常時使用できる権限でカバーできれば問題ないことになります。

ここで活用の可能性がある条文が、自衛隊法第95条(武器等の防護のための武器の使用)です。

第九十五条  自衛官は、自衛隊の武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備又は液体燃料を職務上警護するに当たり、人又は武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備若しくは液体燃料を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。ただし、刑法第三十六条 又は第三十七条 に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。


この場合、武器を使用するためには、武器等の防護が目的でなければならないので、略奪を防ぐためには、略奪される商店等の前に小銃等を持って立ちはだからなければなりません。
それでも襲いかかってくる暴徒がいれば、商店ではなく、武器を奪う意図がある可能性があった、とこじつけて武器を使用することが可能ではあります。法の濫用だと思いますが。

ですが、この解釈は、そもそも法の制定意図と矛盾しています。
というのも、この条文は、武器等が奪われ悪用されることを防止するための条文であるため、武器が奪われることを防止したいのなら、最初から丸腰でいれば良い訳です。
特に、現在の自衛隊法においては、災害派遣では武器を使用することを考慮していませんから、武器を携行すること自体がおかしいのです。
「武器等」には車両なども含まれますから、車両を守るためだ、と言えなくもないですが、ちょっと視線を向けただけで、ガンを付けたとして、因縁を付けるようなものです。

やはり、自衛隊法の第七章(自衛隊の権限等)に、警職法5条(犯罪の予防及び制止)と7条(武器の使用)を準用する旨、盛り込むことが必要です。
ちなみに、治安出動時は当たり前ですが、国民保護等派遣でも前記警職法の準用により、武器の使用が可能になっています。

諸外国の災害派遣においても、武器を使用して治安維持を行わせることは、一般的ではないようです。
しかし、ここで忘れて欲しくないのは、諸外国の軍隊は、自衛隊に比べて平素からの武器使用に関する権限が非常に大きいということです。
例えば、在日米軍の基地では、立ち入り禁止区域に許可無く立ち入った場合には、武力行使を受ける可能性があります。
Img_5074
横田基地における警告表示

今回の大震災でも、暴動が発生する事態に陥ってはいないため、これらは問題として顕在化してはいません。
しかし、顕在化してからでは遅いのです。
災害派遣において、むやみに武器を使用することは適切ではないでしょう。
ですが、必要な事態が生じても、権限がないというのは、やはり法の不備と言うべきです。
検討しておくべき問題だと考えます。

2011年3月13日 (日)

東日本大震災に対応する自衛隊災害派遣について

東日本大震災は、被害状況が分かってくるにつれて、阪神・淡路大震災に匹敵する未曾有の大震災であることが見えてきました。

当然に自衛隊の災害派遣も行われています。
派遣規模は、震災直後の自主派遣による偵察から始まり、12日には2万人規模で行われています。
そして規模を5万人に増強中に更に10万人に増強することが発表されました。
自衛隊派遣、10万人へ 陸海空統合部隊設置」(産経新聞11年3月13日)

自衛官の現員は、22万8536名(09年3月31日現在、H21防衛白書より)ですから、10万にという規模は、全自衛官のほぼ半数を投入することになる数です。

対領空侵犯措置などの通常任務は継続しなければなりませんし、他の地域も完全に開けることはできません。鳥インフルエンザへの対応などをしなければならない可能性もあります。
加えて、海賊対処やPKOで国外に出ている自衛官もいます。
10万人という規模は、菅総理の「自衛隊は最大限の活動をすること」という指示に基づいたほぼ全力対処と言えるでしょう。

余震が続き、危険な状況も予想される任務となりますが、頑張って欲しいと思います。

さて、今回の地震に対応する自衛隊の動きについて、いくつか思うところを書いておきます。

まず、自衛隊だけでなく、派遣を要請する自治体側の動きを含めて、阪神以後の反省の結果、非常にスムーズに動いている感があります。

岩手県知事などは、地震発生のわずか6分後、14時52分に派遣要請していますし、宮城県知事も、その10分後には要請を出しています。

部隊側も迅速に行動し、3時間後には実際に救助活動を実施しています。13日午前には自衛隊が救出した被災者は、累計で5800人に上ったそうです。

これは、災害派遣が本来任務の一つになったこともありますが、国民全体が災害時に自衛隊が出ることを、当たり前と思うようになったことが一番大きな影響を与えていると思われます。

一方で、被災地域の自衛隊部隊は、かれら自身が被害を受けています。
F2戦闘機18機など水没 松島基地、1機120億円」(朝日新聞11年3月12日)
F-2が18機(戦闘機操縦(F-2)課程を行っている21飛行隊が壊滅ということ)も使用不能となれば、FXの選定にも影響が出てくるかもしれません。
連絡のとれない自衛官も多いようです。
Dst11031218260258p1
Dst11031218260258p2
津波で流されたF-2(産経新聞より)

統合部隊も編制され、今回の災害派遣は過去最大の自衛隊実働任務となります。
自衛隊の真価が問われる時と言えそうです。

2011年3月10日 (木)

防空ハリネズミ論・ハリネズミ防空論

去る3月5日、日本兵法研究会の定例講演会として、佐藤守氏による講演「空の国防戦略 『日本防空針ネズミ論』」が行われました。

佐藤守氏は、南混団司令などを務めた元空将で、現役時代から積極的に情報発信を行ってきた名物男です。
現在もブログ「軍事評論家=佐藤守のブログ日記」を書くなど、精力的に活動されています。
私は、直接お顔を拝見させて頂いた事はないのですが、ユーモア溢れる話口等、評判は頻繁に耳にしました。
ちなみに、結構長い間、佐藤ヒカルというニックネームを本名だと勘違いしておりました。(何せ、みんなそう呼んでいたので……)
理由は、推して知るべしなのですが、ご本人も自虐ネタにしているので大丈夫でしょう。

さて、今回の記事の趣旨は、佐藤氏のニックネームについてではありません。講演の論題にある「防空ハリネズミ論」について、私が耳にしてきた情報とちょっと違う点があるため記事を書くことにしたのです。

始めに断っておきますが、私は今回の講演を聴きに行ってはいません。
ですので、講演の詳細は知りませんので、あくまで氏のブログに書かれている情報を元に書きます。

氏のブログ「賞味期限切れの普天間移設」に転載されている講演案内を見ると、「防空ハリネズミ論」とは、迎撃ミサイルで日本を覆うという構想とのことで、氏が1等空尉時代に研究したものだそうです。
この「防空ハリネズミ論」は、氏のブログのかなり古い記事「ホリエモンより防衛意識向上を!」にも、「漫画的発想の論文」として言及されています。

前掲ブログ記事を見ると、時の空自上層部から「面白いヤツだ」とか、「ナイキ屋
(SAMプロパーのこと)の手先」(当時の空自SAMはナイキ。佐藤氏はP)といった評価を受けていたとのことです。

氏は、1等空尉時代に論文を執筆したと書かれていますので、時期は、1970年代前半だと思われます。

ハリネズミの用語自体は、1950年代から使用されていたようで、wikiにも「ハリネズミ防衛論」として記述があります。「防空ハリネズミ論」は、これを防空に応用したものだと言えるでしょう。

また、書かれたのが1970年代前半だとしたら、1973年にエジプトが第4次中東戦争でハリネズミ防空を実証したのと、ほぼ同時期と言えます。

ですので、私は氏以外にも同様の事を考えていた人間がいたとしても、不思議とは思いません。
特に、氏が中傷されたような「ナイキ屋」ならなおさらでしょう。

私が耳にしていたのも、そう言った話でした。
私が聞いていた話では、ある「ナイキ屋」が「ハリネズミ防空論」(語順だけだが、微妙に違う)として、SAMのみによる防空の方が経済的だとして、FI不要論を唱え、結果として、空自内で閑職に追いやられた、というものでした。

噂の真偽は知りません。
ですが、実際に第4次中東戦争で局地的にせよハリネズミ防空が機能するところを見れば、そう言った論が出てきてもおかしくはないでしょう。

ここでは、論の適否には言及しませんが、こう言った論が、少なからず存在したということは事実です。

2011年3月 8日 (火)

中国Y-8、尖閣に最接近

それほど大きく取り上げる程の話題だとは思いませんが、結構大きく報じられているので取り上げます。
中国のY-8(ヤンキー・エイト)が尖閣に接近し、自衛隊機のスクランブルを受けたそうです。

中国軍の2機 尖閣諸島に接近」(NHK11年3月2日)
中国軍機尖閣接近 突かれる島嶼防衛の甘さ」(産経新聞11年3月4日)

防衛省は、経路や写真を公開しています。
中国機の東シナ海における飛行について

防衛省の公開資料を見る限り、経路は特異なものではありません。
Ws000012
今回の経路

Ws000007
21年度スクランブル実績の経路
(ともに防衛省HPより)

とすれば、話題になったのは、やはり最接近距離の記録を更新したからでしょう。

防衛省の公開資料では、詳しい数値は読み取れませんが、最接近時の距離は、NHKでは60キロ、産経では50キロと報じられています。
領空の範囲は21.6キロなので、領空侵入までは、まだ距離がある状態でした。ですから、少々騒ぎすぎな気がするのです。

むしろ今回、注目すべき点があるとしたら、哨戒機型と情報収集機型の2機ペアだったこと。
そして、推測というより憶測の範囲ではありますが、哨戒機型が囮になり、情報収集機型が空自の対応を観測していた可能性も考えられます。
1枚づつしかない写真から判断するのは危険ですが、写真を見る限り、哨戒機型の方が情報収集機型よりも高高度を飛んでいたように見えます。(情報収集型の写真の方が、背景が霞掛かっている)
Ws000013
哨戒機型

Ws000014
情報収集機型
(ともに防衛省HPより)

国として、毅然とした態度を示すためにも、領空接近機へのスクランブルは必要です。
ですが、以前にも指摘した尖閣・先島の防空網の欠陥や航空機の性能を、詳細に調べられている可能性もあります。
対応には考慮が必要でしょう。

2011年3月 4日 (金)

US-1プロペラのみなら武器輸出該当せず

政府が、US-1のプロペラは武器には該当しないとの詭弁を弄して、これを輸出しようとしています。

海自プロペラ:米に売却 武器輸出三原則「抵触せず」」(毎日新聞11年2月21日)
米にプロペラ売却=アフガン支援、三原則に触れぬ-防衛省」(時事通信11年2月22日)

アメリカは、アフガン空軍に対して、20機のC-27Aを供与する予定で、現在10機が引き渡し済みとなっています。
110221n9914p101
C-27をジャッキアップ中のアフガン空軍兵士(USAFHPより)

C-27Aは、米軍ではとうの昔にお払い箱になった中古どころか大古の輸送機です。アフガン空軍に供与するとなっても予備部品が無かったんでしょう。
特に、プロペラは巻き上げられた砂で摩耗も激しいでしょうから予備部品が必須だったと思われます。

私は、売却すること自体に反対するつもりは毛頭ありません。
ですが、最終的にアフガン空軍で軍用輸送機の部品として使用されることが分かっているものを、武器ではないなどと言い張る詭弁を弄することは間違っています。

ちゃんと、武器輸出3原則の緩和を行ってから、堂々と武器として売却すべきです。

防衛問題に関して、こういう詭弁を弄していると、諸外国、特に周辺諸国から信用されなくなります。

2011年3月 2日 (水)

竹島領有権問題が解決のチャンス

竹島の領有問題を交渉で解決することは、基本的には非常に困難であると言えますが、今はそのチャンスです。

竹島問題再燃懸念 韓国、外相会談で日本に確認へ」(朝日新聞11年2月16日)

韓国政府は北朝鮮への対応には、日本など関係国の支援が不可欠と判断。今春の日本の教科書検定を契機に竹島(韓国名・独島〈トクト〉)の領有権を巡る議論が再燃する可能性がある
(中略)
韓国政府内には、北朝鮮を巡る韓国の戦略に「いつまで日米両国が付き合ってくれるのかが問題」(関係者)との声も上がり始めている。


朝鮮半島有事に際して、日本が(米軍に)協力しなければ、韓国が被る被害は非常に甚大なものとなるでしょう。

「竹島を返さないと、朝鮮半島有事の際に(米軍に)協力しないぞ」とブラフをかけることは、極めて有効な交渉になるはずです。

今こそ竹島問題解決のチャンスなのです。

先だっての菅首相の周辺事態は考えてないと発言が、このブラフを打つための布石であったなら、菅首相はネゴシエーターとして一流と言えるでしょう。(でも、多分違うだろうな)

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