政府専用機退役 さもありなんと思いきや寂しさもあり
政府専用機が早期退役となる見込みだそうです。
「政府専用機:退役へ 経営再建中の日航、整備困難に」(毎日新聞11年1月24日)
首相ら要人の外遊や緊急時の在外邦人救出に使う政府専用機「ボーイング747-400型」2機が数年以内に退役する方向となった。「あと10年は使える」(防衛省)というが、機体整備を委託する日本航空が今年度中に同型機を全て退役させ、整備が困難になるため。政府は近く検討委員会を開催し、新型機購入の方向で検討するものの、財政状況が厳しい中「民間機をチャーターすべきだ」との意見も出ている。
JALが整備できないとなると、退役自体は妥当なところでしょうね。
後継は調達せず、チャーターで済ますべきだという意見があるようですが、経済性を考慮すれば当然そうなるでしょう。
国の運用する機体であるべきだ、というならU-4を追加調達すれば、それで十分です。
ヨーロッパへ直行は厳しいですが、中東かモスクワあたりで給油すればすみます。
北京オリンピックの際にも、当時の福田首相がU-4を使用した実績がありますし、一人のVIPのためにジャンボが飛ぶなんて馬鹿げてます。
アフリカの争乱で、にわかに注目を集める邦人救出については、KC-767を飛ばせばいい話です。
追加調達できれば尚良し。
政府専用機は、私も一度だけ搭乗したことがあります。
運行スケジュールに合せたアテンドなど、主に特別空中輸送員と呼ばれるキャビン・アテンダントの訓練のために行われるフライトに、模擬搭乗者として乗りました。
感想は、……普通の民航と変りません。
となれば、やっぱしチャーターでいいような……
大体、政府専用機の走りは、アメリカのエアフォース1ですが、そもそもあれは全面核戦争の際、大統領の戦争指揮を継続するための空中ホワイトハウスで、言ってみれば戦争用なんです。
そこまで考慮していない日本に、政府専用機なんて贅沢です。
ここは一つ、U-4とKC-767の追加調達で、防衛力の増強にも役立つ方向で処置がされて欲しいと思います。
とは言え、政府専用機と特別航空輸送隊がなくなってしまうとなると、ちょっと寂しい気もします。
定期便(空自の基地間を飛んでいるC-1とC-130の定期貨物便、空きスペースで人員移動にも使用される)に乗っていると、時々異様なオーラを発するWAFが乗り込んでくることがありました。
前述の特別空中輸送員です。
多分、日航でアテンドの研修を受けたりするために移動していたんだと思いますが、明らかに「顔で選んでるだろ」という、自衛隊の制服を着ているものの、一種異様な雰囲気を纏っている集団でした。
特輸機がなくなってしまうと、彼女らもバラバラになって、多くは職種転換してしまうんでしょうね。
« 沖縄「県」が安全保障研究所? | トップページ | 政府が情報保全隊を使って民主支持を強制 »
「航空機一般」カテゴリの記事
- 政府専用機後継にはMRJを(2013.07.27)
- P-1不具合の深刻度(2013.06.26)
- Cudaミサイルの性能を予言してみる(2013.03.25)
- 低酸素症と航空生理訓練(2012.08.05)
- F-22飛行制限と機上酸素発生装置 (OBOGS)の不具合(2012.05.23)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 政府専用機退役 さもありなんと思いきや寂しさもあり:
» 米国KC-X計画ボーイング社選定と日本の空中給油機追加導入の可能性について [アシナガバチの巣作り日記]
var so = new FlashObject ("http://boeing [続きを読む]
KC-767政府専用機塗装を複数機導入するのがいいと思います
在外邦人救出で自衛隊機を活用するのは最後の段階でしょうが、そんなときでも救出へ向かう機体は
できれば軍用機っぽくない方が良いのではないでしょうか?
投稿: SUS | 2011年2月 5日 (土) 23時13分
個人的には、旅客機の象徴の747が日本で見れなくなるのは、非常に
残念です。 後継は、おっしゃる通りチャーターの方が妥当だと思います。
投稿: やん | 2011年2月 6日 (日) 12時14分
失礼します
まあ・・・・今の財政事情や自衛隊の余裕を考えると、B-747クラスの大型政府専用機は現実的じゃないのでしょうね。今回の機会に世界の政府専用機をネット上で検索したら、結構贅沢な持ち物だと分かりますもんね・・・また我が国の政府専用機の運用実績を見ても、決して必要かと問われれば・・・微妙かな・・・と言う所でしょうか・・・
>U-4・KC-767追加
現実的ですね。KC-767なんかは普段からの使いでを考えたら(空自さん本格的に給油機を運用しようとしたらPのシラバスに空中給油の項目が整備されて定期的に訓練シナければならなくなり4機じゃ足るはずがない)説得力がありますね。
U-4の追加なんですが、今買うなら、欲張ってガルフストリームG650(U-650?)でも良いかも知れませんね。ビジネス機としては高価でしょうがB-747を思えば維持費や設備整備費も安いもんだし(格納庫も、成田から高速でマイアミまで無給油で飛べる機体があれば、自衛隊的にも政治的(突発的な弔問外交等でも遅れはとらないでしょう)意味があるでしょうね。
投稿: 海族 | 2011年2月 7日 (月) 22時09分
海族様
U-4は、MRJで良いのではないかと思っていましたが、
航続距離を考えるとMRJでは役不足ですネ。
投稿: やん | 2011年2月 7日 (月) 23時36分
国家の意思表示を明白にするのであれば、大型旅客機を政府専用機として保有するのは良いのですがやはり問題は財政的に余裕が無いことですね。ワシントンDCまでノンストップで飛行出来るということであれば民間機のチャーターでも良いのですが、秘匿通話装置も有する機体となるとやはり民間機では無理があるのではないでしょうか。今回のチュニジアやエジプトでの政変の様なケースでも、即座に日本国政府として対応可能な機体を有しておくということはやはり必要と個人的には考えます。
投稿: アシナガバチ | 2011年2月 8日 (火) 12時55分
SUS 様
KCをロービジにする必然性は高くないので、そういう選択もありでしょうね。
ただ、軍用機に見えるかどうかを気にするのなんて他の国ではあまりないように思います。
やん 様
たしかに象徴ではありますよね。
金満に見えてしまうとも言えると思いますが……
海族 様
実際、法人輸送に使われた実績はなく、事実上VIP輸送機ですから、コストパフォーマンスとしては非常に悪いと言わざるをえないでしょうね。
ガルフストリームG650は悪くないプランだと思います。
ヨーロッパやアメリカへも直行できる航続性能ですから、VIP輸送に最適でしょうね。
アシナガバチ 様
おっしゃることは分かります。
だからこそ、KCの追加でOKじゃないでしょうか。
投稿: 数多久遠 | 2011年2月 9日 (水) 22時26分
こんにちは。トラックバックを送らせて頂きました。今回の米空軍のKC-X選定でボーイング社が勝ち取ったのは日本がKC-767を追加導入する良い機会となるかもしれませんね。
投稿: アシナガバチ | 2011年2月27日 (日) 14時25分
アシナガバチ 様
トラックバックありがとうございます。許可しておきました。
私も以前に書いたような気がします(うろ覚え)が、日本にとっても良い決定ですね。
投稿: 数多久遠 | 2011年3月 2日 (水) 16時08分
そもそも最初の段階でB767とか777(購入時あれば)、エアバスとかにしておけば、今回の事態にならなかったでしょう。
なぜに好き好んでデカイの買ったの?と購入決定者に説教したいですね。
そもそも邦人保護にも使うなら、軍用輸送機を特注で内装を仕立て直すのもありでしょう。
旅客機が離着陸不可能な場所から邦人保護を行わなくてはならない時でも救い出せる可能性が高まりますから。
整備はそれこそ米軍任せですが。
投稿: Suica割 | 2011年9月22日 (木) 21時55分
Suica割 様
デカイの買った理由は、当時問題となっていたアメリカの対日貿易赤字削減に、ちょっとでも資するため、わざわざ高い買い物をしたからです。
つまり、コスト意識とは180度逆の発想で選択されたんです。
今になってコストが問題になるのは、ある意味、当然の帰結です。
投稿: 数多久遠 | 2011年9月23日 (金) 15時43分