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2010年10月

2010年10月 2日 (土)

今回はエスカレーション・ラダーを上がるべきだった

何度も似たような記事になってしまい申し訳ありませんが、今回も尖閣ネタです。

コメント欄にお邪魔したり、ツイッターでこちらの記事を紹介したりして頂いているzyesuta氏が書かれているブログ「リアリズムと防衛を学ぶ」が、「自衛隊を出すばかりが防衛ではない」と題して、国境係争における警察等組織の活用と、今回の事案では事態をエスカレートさせ、自衛隊を出すようなことは不適切であったとする記事をUPしています。

前半部分(国境係争における警察等組織の活用)については異論はありませんが、後半(今回の事案に関わる部分)については私の考えが異なるので、今回はzyesuta氏の記事への反論として書いてみます。
なお、以下についてはzyesuta氏の記事を読んでいることを前提として書いていますので、まだ読まれていない方は、「自衛隊を出すばかりが防衛ではない」を先にお読み下さい。

実を言うと、中国漁船船長の解放前、私は「尖閣問題解決のためには火に油を注げ」として、事態収拾のためには、事態の沈静化を図るのではなく、逆にエスカレートさせるべきだという記事を準備していました。(船長の解放でお蔵入りしましたが)
「交渉で収められるところを、むやみにエスカレートさせるメリットはあまり大きくありません。」とするzyesuta様の主張とは逆の方向です。

私も、何でもかんでも強硬な主張をしてエスカレートさせろなどと言うつもりは毛頭ありません。チャベス大統領やアフマディネジャド大統領などはそういう方ですが、一言で言えば頭が悪いとしか思えません。

ただ、今回はエスカレートさせるべきだったと考えています。

今回、中国は、尖閣が中国領土であるから船長の逮捕が不当だとして難癖を付けてきました。
そのため、事態を交渉で治めるつもりなら、いずれにせよ、法的措置をせずに釈放せざるを得ませんでした。
日本が船長を起訴、有罪とする法的措置を採り、中国がこれを黙認してしまえば、尖閣を日本が領有していることを、認めてしまうことになるからです。
交渉で事態を収拾するためには、今回と同様に日本外交の敗北でしか収拾が図れなかったのです。

しかし、今回のレアアース禁輸で世論に動揺が生じたように、事態を長期化させることが得策だったとも思っていません。
ですから、中国が国内の言論統制をしても事態を無視するように仕向けるためには、「火に油を注げ」としたとおり、早期に事態をエスカレートさせるべきだったと考えるのです。

台湾海峡ミサイル危機が米空母機動部隊の派遣で収まったように、最終的には尖閣周辺にワシントン(空母)が展開するような事態までエスカレートすれば、中国は折れざるを得なかったと考えています。(もちろん、途中の段階で折れればそれに超したことはありません。)

エスカレーション・ラダー(普通核戦略で使われる言葉ですが、キューバ危機でよく使われたエスカレーションの段階のことです)とすれば、まずは船長の起訴、そして有罪判決、警察等日本の公機関の尖閣上陸、最終的には自衛隊の尖閣上陸となります。

日本が、梯子(ラダー)を上りながら、エスカレーションを厭わないことを明確なメッセージとして中国に伝えることが出来れば、その段階で、中国は方針を転回したはずです。
米国と軍事衝突する訳にはいかないからです。

今後、(おそらく領海内で違法操業を行い、)漁船を巡視船に体当たりまでさせて摘発から逃れようと公務執行妨害図った船長を起訴・有罪にしなかった以上、海保を如何に増強して警備強化したとしても、海保は現場ではろくな活動はできません。
違法操業を発見しても、スビーカーで警告を行うのが関の山でしょう。
相手が無視して操業を続けても、臨検しようとしたところで、相手が逃げに入ったら見過ごすしかできません。

外交的敗北を喫すれば、その一つの事例が、現場の手足を縛るのです。

そうした事態が継続し、違法操業が常態化すれば、日本は尖閣周辺において管轄権の発露である警察権の行使を行っていないことになり、尖閣を統治しているという事実を失います。
竹島と同様に、口で主張するだけの状態となってしまうのです。

ただし、実際問題として、それ(エスカレーション)を行えと主張しても、現政府のそれが出来たかと問われれば、無理だったろうとも思えます。
その意味では、私の主張は砂上の楼閣とも言えます。
強い意志と指導力をもった指導者がいなければ、実施できない選択肢だった訳です。

今回のように日本側が折れることで事態を収拾するか、エスカレーションさせても相手を折れさせることを意図するかは、他の政治的情勢も考慮して選択する問題ですが、多分に思想的な問題でもあり、難しいものです。
ですので、こういう(多分過激な少数派と目される)考え方もあると思って頂ければと考えています。

2010年10月 4日 (月)

普天間は嘉手納の予備飛行場

嘉手納機 普天間を使用 滑走路改修 代替措置」(沖縄タイムス10年9月22日)

普天間の嘉手納への統合なんて言ってた岡田前外相が内閣を去ったので、今更そんなに喧伝する必要はないのですが、航空作戦における基地の重要性が分かるニュースなので、簡単に取り上げてみます。

嘉手納基地は、平行した2本のランウェイを持っていますが、改修工事のため1本しか使えない状態が1年半も続く予定となっています。
今までは、一本のランウェイがフラットタイヤ(パンクのこと)などで閉鎖になっても、もう一本のランウェイで運用を継続できたのですが、改修工事のため1本しか運用できないため、同様の場合にも飛行中の航空機が、他の飛行場にダイバート(目的地変更、自衛隊の場合発音はディバートの方が近い)しなければならない可能性が高くなります。

ニュースは、普天間へのダイバートの訓練を、事前に行うというものです。

有事になれば、ランウェイが2本あっても、両方とも損害を受ける可能性がありますし、平時であっても、天候不良によるダイバートは、例え滑走路が2本あっても発生します。

飛行場を起点に運用される航空機にとって、発進基地とは別に、ある程度の近傍(遠すぎると急なディバート時に燃料が持ちませんし、近すぎると天候不良の際にどちらも運用不能になりかねません)に予備飛行場が必要なのです。

その点、嘉手納と普天間はなかなか良い位置関係にあります。
嘉手納からのダイバート先として、那覇も使えます(事実、那覇着陸予定の民間機が那覇の滑走路閉鎖などで嘉手納に降りることもある)が、米軍機が那覇に降りると沖縄の場合非常にウルサイので、米軍とすればダイバート先として民間機が使用しない空港が欲しいのです。

軍用機を運用する航空基地では、被害を受けることを前提として、抗たん性の向上や予備飛行場の確保が重要です。
普天間の移設案で、米軍が杭打ち桟橋方式(QIP)やポンツーン式を嫌がったのも同様のコンテクストです。

さすがにもう嘉手納統合案を言い出す方はいないと思いますが、米(に限りませんが)軍がどういう発想をするのか正しく認識して発言しないと、日米関係を損なうことになります。

2010年10月 7日 (木)

那覇へE-2Cローテーション配備 尖閣周辺防空網の欠陥を改善

以前の記事「与那国島上空のADIZ再設定は大したニュースじゃない」で、「見えないし、間に合わない」として、不備を指摘した尖閣上空などの空自防空態勢ですが、改善の動きがあります。

空飛ぶレーダーサイト、E2Cの沖縄展開を検討 防衛省」(朝日新聞10年10月6日)

防衛省が、三沢に配備されているE-2C早期警戒機3機程度を、那覇基地にローテーション配備することを検討しているとの報道です。

記事中にもあるとおり、以前から検討されていたようですが、今回の尖閣事案を受け、現地沖縄を含めて、世論が後押しするだろうという観点から、発表することにしたのでしょう。

防衛力強化につながる施策は何かと反対しがちな沖縄ですが、国による警戒の強化まで求めた現状では、反対も出来ないでしょう。
それに、那覇配備機のF-4からF-15への変更でも大した反対はでなかったので、防衛省側の準備が出来れば、問題なく実施されるものと思われます。

以前の記事では、わざとボカして書いたのですが、今回の報道で尖閣上空では2000m以下がレーダーサイトの死角になっており、警戒監視が不可能であると、具体的な数値も出てきました。

この死角を消すことができる施策なので、非常に評価できる施策だと思います。

ですが、効果は限定的だとも言わざるを得ません。
3機程度のローテーション配備では、24時間の連続哨戒を行えば、あっという間に人も機材も音を上げる数だからです。

ただし、E-2Cによる連続哨戒は、滞空時間が短いため、たとえ機数があっても結構大変です。
だからこそ、AWACSが配備されています。
(なお、当然ですが、E-2CやAWACSは普段から連続哨戒を行っている訳ではありません。)

今回検討のE-2Cローテーション配備は、情勢の緊迫時にAWACSが態勢を整えるまでのツナギとしての処置でしょう。
例えば、民航側駐機エリアの借用ができるなど状況が許せば、AWACSの那覇展開の可能性があります。(浜松からでも運用は可能ですが、流石のAWACSも南西方面まで都度進出するのは大変です。)

以前は、那覇基地でのAWACS運用が不可能でしたが、2009年にエプロンの嵩上げ工事が実施され、KC-767とともにAWACSも運用可能になっています。

なお、E-2Cの那覇常時配備が検討されていない理由として沖縄の基地負担を考慮していると報道されていますが、那覇基地が手狭でE-2C全機を受け入れるほどの余力がないという現実問題の方が、実際の理由としては強いと思います。

また、このE-2Cのローテーション配備が実現すると、新たな問題点が発生しないかは気になります。
朝日の報道中でも言及されているスクランブルの回数が急増しかねず、アラートを実施している204飛行隊の負担が非常に高くなることが予想されるからです。
(低高度が見えることにより、今までも本来ならスクランブル対象であるにも関わらず、気が付かずにいた目標にも、今後は対処することになるため。)

204飛行隊のスクランブル負担が大きいことは、以前の記事「21年度スクランブル実績」でも指摘しました。
これ以上スクランブルが増えると、人員だけでも増員するなどの配慮が必要かもしれません。

また、今回のニュースは、航空自衛隊の部隊運用上としても興味深いニュースです。
というのも、米軍では良く耳にするローテーション配備ですが、空自ではついぞ聞いたことがないからです。

似たようなケースでは、那覇の夜間ランウェイ工事が行われた際、当時の配備機であるF-4を嘉手納に展開させ、夜間のアラート待機を嘉手納から行った事例(嘉手納アラート)がありますが、訓練やこうした工事のケースを除けば、一部の機体が他基地で運用されることは非常に珍しい話だと思います。

今後、自衛隊が「実効的」なものに変革を迫られると、部隊運用の形として増えて行くかもしれません。

この措置で、尖閣上空の「見えない」という状態は、かなり改善されます。
(本当は魚釣島にレーダーサイトを作ってしまうのは一番ですが、運用が困難(メンテや給電)なことや防御が困難(常続的な航空優勢確保がムリ)すぎることから妥当な措置と思います。)

後は、「間に合わない」の部分です。
尖閣は、那覇と中国本土の航空基地のほぼ中間にあります。
中国が既にSu-27系の機体を多数配備していることからも、尖閣上空で航空優勢を確保するためには、より近い距離に航空基地が必要です。

航空優勢の確保において、航空基地の距離が非常に重要であることを理解することは難しいかもしれませんが、制空戦闘の際、高速で機動して優位に立つためには、ABの使用は必須であり、つまりは燃料に余力があることが重要なのです。
(F-22があると、話は違ってきますが……)

沖縄県知事や石垣市長まで国に警備強化を要請するような事態は、空自にとって願ってもないチャンスです。
今のうちに、屋良覚書を破棄し、下地島を自衛隊が利用できるよう、プッシュを開始すべきです。

ちょっと想像していなかった事態ですが、石垣市長まで警備強化を言い出すとなると、新石垣空港の軍民共用なんて言うウルトラCもあるかもしれませんが、事実上の遊休地である下地島を使わない手はありません。
(それに下地島を利用した場合、伊良部大橋完成後は、宮古島空港がダイバート先として陸続きとなるので非常に便利)

今回のE-2Cローテーションについても、防衛省はこっそりと検討していたようですから、下地島の利用も、実は水面下で交渉しているのかもしれません。

2010年10月 9日 (土)

尖閣ビデオ非公開は国内世論対策だろ!

政府が、尖閣沖での漁船衝突事件のビデオを公開しないことを決定したそうです。
尖閣ビデオは非公開、「日中」再悪化を懸念」(読売新聞10年10月8日)

日中関係を悪化させると判断したとのことですが、実際には余りにも不法が明白なビデオを公開することで、それを不問に付した政府への批判が沸き起ることを恐れたのでしょう。

国民に情報を隠すなんて、中国の独裁政権とやってることが変らない。
ふざけんな!

グアムに無人機-備えはOK?

グアムにグローバルホークが配備されました。
米、グアムに無人偵察機…北朝鮮・中国など監視」(読売新聞10年9月27日)

今後、中国や北朝鮮の監視・偵察任務に使用されるものと思われますが、日本の対応準備は問題ないでしょうか?

この米軍グローバルホークがグアムから発進し、中国や北朝鮮の監視任務に使用されるとすれば、もし空中でトラブルが発生した場合には、在日米軍基地、特に嘉手納と横田、そして岩国(三沢は位置的に可能性が低い)に緊急着陸をしたいというケースが発生することが想定されます。

日本の政府・防衛省はその可能性に備えておく必要がありますが、準備が十分かどうか、少々疑問があります。

最初に白状しておくと、私は正直この件で自信を持って記事を書くことはできません。
何せ、無人機がこんなに普及したのはここ数年の話なので……

ともあれ、分かる範囲で書いてみます。

航空法には「無操縦者航空機」という規定(第87条)があり、無人機については、この条項を根拠として飛行させることができます。
現在研究が進められている無人機研究システムや過去に運用されていたマルヨン改造のQF-104も航空法上は無操縦者航空機という区分に入ります。
航空法抜粋
********************
(無操縦者航空機)
第八十七条  第六十五条及び第六十六条の規定にかかわらず、操縦者が乗り組まないで飛行することができる装置を有する航空機は、国土交通大臣の許可を受けた場合には、これらの規定に定める航空従事者を乗り組ませないで飛行させることができる。
2  国土交通大臣は、前項の許可を行う場合において他の航空機に及ぼす危険を予防するため必要があると認めるときは、当該航空機について飛行の方法を限定することができる。
********************

では、米軍グローバルホークもこの条項を根拠に飛ぶかというと、少々違ってきます。
というもの、そもそも米軍機は航空法に縛られてはいないからです。
米軍機は、通称*航空法特例法という法令により、航空法の適用除外となっています。
(*正式名称は「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定及び日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律」)

そのため、米軍グローバルホークは航空法の適用除外となるため、日本の領域を飛行し、嘉手納や横田、そして岩国にも勝手に着陸できることになります。

しかし、実際には運用上の細かな問題がいろいろとあるハズです。

そして何より、基地周辺住民が拒否反応を起こさないように調整しておかなければなりません。
しかし、グアムに配備する時点で、防衛省側には必要な調整が行っていると思いますが、基地周辺の住民に対して告知が行われているという話は、今のところ聞いたことがありません。

以前、無人機研究システムについての記事の中でも書きましたが、無人機については安全性が数値的に実証されていたとしても、心理的に安心できるものではありません。
いきなり米軍基地に着陸したら周辺住民が反発することは目に見えています。

今のうちから周辺住民に対する周知と説得を行っておく必要がありそうです。

2010年10月11日 (月)

F-2欠陥機疑惑は空幕の作為か

F-2の欠陥機疑惑について、もう下火になってきたし今更書くこともないか、と思っていたのですが、「週間オブイェクト」が「防衛省航空幕僚監部(空幕)は小川和久氏のF-2欠陥機説を説明せよ」と題して、鋭い見解を述べていたので、取り上げてみることにします。

JSF氏は、上記の記事中で、小川和久氏のF-2欠陥機説に対する態度の理由として、「F-2は特に大きな欠陥はないが、欠陥機であるという噂を流す必要があった」と一つの仮説を述べています。

JSF氏は、可能性の一つとして書いていますが、私はこれが一面の真実だと思っています。

なお、私はF-2に不具合があったことは世間一般で騒がれる前から聞いていましたが、基本的に担当外の業務だったため、不具合の内容についてはwikipediaに書かれている程度にしか承知していません。
ですので、以下については「業務上知り得た秘密」以外の一般情報を前提に、過分に推測で書かせて頂きます。

まず、試作・試験飛行の段階において、F-2が「欠陥機」だったのか、という本質についてですが、「不具合の存在」=「要求性能の不充足」ですから、その意味では欠陥機とも言えたでしょう。

ですが、例えばASMを4発も抱いた状態で高迎角姿勢とした場合に不安定な挙動を見せる、などというものは、私から見れば「支援戦闘機」として欠陥でもなんでもないと思っています。

そもそも、対艦攻撃編隊が敵による迎撃を受け、退避を行わなければならない状況になっている時点で作戦は失敗です。その時にはASMを投棄して逃げればいいだけです。(あんな大きな外装物を付けているのですから、旋回後の直線飛行でも速度が出ません)

常続的な航空優勢の確保が困難なことから制空権という言葉が使われなくなったように、航空作戦の様相には一瞬の力の空白、防空力の弱くなる瞬間がどうしても発生します。
これをバルタイム(vulnerable time:脆弱時刻とでも訳すべきか?)と呼び、この一瞬を衝くように攻撃作戦を計画することは定石ですが、それに失敗しても良いように要求性能を書くなんて、そもそも要求が過大です。
(極論すれば、対艦攻撃編隊はヨロヨロとでも作戦空域まで進出し、あとはサッサと逃げ帰ってこれればOKなのです。)

では、なぜそのような過大な要求がなされ、欠陥機扱いされなければならなかったかと言えば、そこには日本人的な本音と建前、そして空幕の最大の仕事である予算取得上の必要性というものがあったと思っています。

もう少し突っ込んだ言い方をすれば、空幕はFS(支援戦闘機)としてではなく、FI(要撃戦闘機)として十分な性能が欲しかったが、当時はFS(支援戦闘機)としてしか要求できなかったと言うことです。

以下、もう少し詳しく書きます。
防衛計画の大綱別表において、編成定数が定められていますが、1996年の大綱、いわゆる07大綱において、それまでFI10個飛行隊、FS3個飛行隊と定められていた飛行隊定数が、FI9個飛行隊、FS3個飛行隊と、FIがマイナス1個飛行隊となりました。

一般の方は「なんだ1個飛行隊くらい」と思うかもしれませんが、航空機自衛隊としては、その戦力の根幹であるFI飛行隊数の削減は衝撃的でした。
一部では防空自衛隊と自虐的な揶揄さえあるほど、防空力の維持には心血を注いでいたにも関わらずの措置だったからです。
(そんな揶揄も、専守防衛で防衛だけやれと言われているのですから当然なんですが)

そんな訳で、07大綱以後、1990年代後半、つまりF-2の試作・試験飛行の段階において、航空自衛隊は、要撃戦闘能力の確保に必死だったのです。

防衛計画の大綱改定は、なにも降って湧いた話ではありません。
冷戦の終結以降、防衛費削減圧力は増大し、防空自衛隊の主力であるFI戦力にも大なたが振られるという話は、07大綱の輪郭が見え始める以前から言われていた話です。

ですから、空幕はFSXの要求段階で、FIとしての使用に耐える要求性能を盛り込む努力をしました。
その結実がF-2な訳です。

重複になりますが、対艦攻撃を主任務とするFSに、そもそもそんな高機動性能は必ずしも必要ないのです。
(もちろんあるに超したことはありません。あの翼面積の少ないF-1でもFSとしては使えていたことを考えて下さい)

空幕としては、FIとして使えるモノを調達したかった(本音)にも関わらず、試験飛行の結果、それには問題があることが判明したのです。
FIとしては不十分だけど、FSという建前で取得しようとしている以上、改修予算を付け、メーカーにも「調達中止の恐れもあるぞ」とプレッシャーをかけるためには、欠陥機疑惑は都合が良かったのです。

私は、空幕(あるいは内局)が、意図的にF-2欠陥疑惑を流したとは思っていません。ですが、積極的に火消しをしなかった事も事実です。
(他の国なら、必死に火消しをするのが普通です)

なお、2004年の16大綱において、FIとFSの区分が廃止されましたが、これが廃止されたからF-2を要撃戦闘にも使う事にしたという訳ではありません。
当初より、要撃戦闘に能うる性能を具備するよう計画され、初期に発生した不具合を修正し、実際に要撃戦闘に能うるようになったからこそ、区分の廃止となったと見るべきです。(お役所は、こういう建前が必要なんです)

小川氏は、空幕に知らず知らずの内に、疑惑の片棒を担がされた訳です。
空幕とすれば、未だに燻っているのは想定外でしょうけど。

私は、防衛・軍事の専門家には2種類の方がいると思ってます。
それは、ハードを多少なりとも理解している方と政治的な側面が得意な方です。
(もちろん両立している方もいらっしゃいますが)
小川氏は、どちらかと言えば後者でしょう。(ハードに言及した話は少ないです)
ですから、一度関係者から話を聞いた事象については、別の関係者から聞かないと修正されないんだろうと思っています。

それと、私の感覚での話しになりますが、F-2の不具合について、当時いろいろと言われている方はFIのP(パイロットの隠語)に多かったように思います。
FSのPは、じっと黙って耐えている感じでした。
(単に、私も周りの方がそうだっただけかもしれませんが)

最後に、今でもF-2は欠陥機なのか、という点ですが、もう不具合は改善され、FIとしても十分な潜在力があると見るべきです。
(逆説的ですが、)そうでなければ、「F-2空対空戦闘能力の向上」として(FIとしての)能力向上改修の予算なんて付きません。
空幕も、そして財務省のお役人も、バカじゃないんですから。

2010年10月14日 (木)

日本の偵察機整備が大きく転換か?

最近、日本の偵察機整備が大きく転換すると思わせられるニュースが相次いで報道されています。

まず確定的なニュースとして、事実上のRF-15開発計画中止を意味する東芝との契約解除が発表されています。
F-15偵察機化試改修事業に係る契約の納期猶予不承認について」(防衛省発表10年10月1日)
防衛省:東芝との契約解除へ F15改修で部品調達できず」(毎日新聞10年10月1日)

防衛省自身が契約の解除へ向けた協議を行っていると発表しているので、RF-15開発が座礁したことは間違いありません。

手前味噌で申し訳ありませんが、こうなることは予測の範囲内でした。
以前の記事「離島有事に無人偵察機」で、無人機研究システムが制式化されるのであれば、機能が競合するRF-15には、予算を付けることが不可能ではないか、と書いたのですが、やはりそう言う方向になったようです。
強行偵察用として、有人と無人の二つの手段は調達できないということでしょう。

そして、この発表からわずか3日後、今度は防衛省がグローバルホークの導入を検討しているとのニュースが流れています。
米国製無人偵察機、3機導入へ 中国や北朝鮮想定」(共同通信10年10月4日)

ホントかな~?
と思っていたのですが、さらに3日後、続報が流れています。
米国:最新鋭無人機を初公開…「グローバルホーク」」(毎日新聞10年10月7日)
米軍がかなり強力にプッシュしていることを証するニュースですし、防衛省が導入に向けて舵を切ったと見てよさそうです。

空自としては、滞空型の機体による継続的な監視をグローバルホークによって行い、要事の危険域における強行偵察を無人機研究システムの実用化機によって行うという2本立ての偵察機態勢を決定したようです。
今まで有人偵察に拘ってきた空自ですが、偵察に関しては完全に無人化する方向のようです。

なお、以前から書いているとおり、無人機の運用には基地対策上の困難が伴いますが、それを踏まえてグローバルホークは硫黄島からの運用になるようです。
しかし、緊急時には本土の空自基地にも下ろす可能性があることを踏まえて、事前に基地対策は必要です。

まだ鬼が笑いそうな予測になりますが、RF-15が消滅したことを踏まえると、運用は偵察航空隊が行うことになりそうです。
偵空隊が全て硫黄島に移駐になるのか、一部が百里にとどまるのか、そのあたりも中期防への盛り込みと併せて検討されているものと思いますが、現時点では情報がありません。

2010年10月16日 (土)

中国船からのUS-1による洋上救難動画

10月1日に実施された、US-1による急患空輸のための洋上救難について、動画が公開されています。


実施したのは第31航空群所属の救難飛行艇US-1Aで、救難対象は、ナント中国籍のコンテナ船の中国人船員です。

尖閣で揉めていても、海自はちゃんと対応しています。
シーマンシップというやつですね。

一応中国大使館から感謝のコメントはあったようです。

関連の記事
中国船籍コンテナ船から 急病乗組員を空輸 犬吠埼沖」(朝雲新聞10年10月7日)

2010年10月17日 (日)

武器使用基準緩和などで自民が攻勢

菅内閣として、自衛隊の海外派遣やその際の武器使用基準の緩和について検討するとの報道がなされています。
自衛隊海外派遣、武器使用基準を議論へ 前原外相が表明」(朝日新聞10年10月6日)

ニュースは、もちろん好ましい話です。
ですが、これをもって菅内閣を評価する必要はありません。

報道では、菅内閣が自主的に行っているような書きぶりですが、実態はねじれ国会の状況の下、内閣としてやっているフリを見せないと、無策ぶりを批判される恐れがあるからです。

というのも、現在これらについて、自民党から議員立法という形で法案が提出されているからです。
国際平和協力法案
自衛隊法の一部を改正する法律案
など

この件については、佐藤正久氏が頑張ってくれているようで、佐藤氏のブログでも紹介されています。
国防議員連盟勉強会:「尖閣諸島と中国の海洋戦略」

衆院で多数を握っている自民党が、防衛に関する問題ではジワジワとプレッシャーをかけているようです。

2010年10月19日 (火)

何だ、何だ?

ブログのアクセス解析に、どんな検索語から訪問して頂いているのか確認できる機能が付いてます。

その日のニュース関連語とか、自衛隊用語とか、軍事の専門用語とか、訪問して頂いている方が、どんなことに関心を持っているかが分かって、なかなか面白いモノがあります。

人気のある検索語ですと、「宇都隆史」、「フレンドシップフェスティバル」、「副官」、「ADIZ」、「尖閣」、「基地警備教導隊」など。
「レディイーグル」や「ハートアンドマインズ」と言った書評関連も、なぜか多いです。

その中で、私のPN(数多久遠)で訪れて下さる方が、毎日数人はいらっしゃるのですが、今日は急に60人ほども来訪して下さいました。

ネットは広大なので、どこなのか分かりませんが、多少祭り気味です。
2チャンネルか、ツイッターか、はたまた……
気になる。

ここかも、と心当たりがある方がいましたら教えて下さい。

海保関連2題

海保関連で2つほどニュースがあったので、軽く紹介します。

【代表質問】首相が尖閣防衛の海保に「適切な警備」と謝意」(朝日新聞10年10月8日)
本当に「適切な警備」をやっていると認識しているなら、なぜ彼らが拿捕した漁船の船長を起訴させずに解放するのか?
全く筋が通ってない。
「現場職員の士気低下が懸念されていることへの配慮とみられる。」と報じられていますが、菅氏が首相をやっている以上、士気は低下して当然です。

海保:体制強化 巡視船を整備へ 経済対策に盛る」(毎日新聞10年10月8日)
海保が来年度予算で概算要求している巡視船の新規整備費が今年度補正予算案に前倒しで計上されるそうです。

複数年での調達とは言え、1000トン型巡視船4隻と中型ヘリコプター4機で72億だそうです。
自衛隊装備の金額になれていると、海保の装備は安いと感じますね。

政府が日和っている以上、次に尖閣周辺で衝突が起こる時には、彼ら海保が体を張って被害を受けてもらわなければ、政治的に十分な主張ができません。
この程度の予算措置は積極的にやらないといけないと思います。

2010年10月21日 (木)

尖閣に大漁船団襲来計画

尖閣に大漁船団で来襲する計画が中国で持ち上がっているそうです。
中国から大船団!尖閣強奪計画 プロパガンダ映画製作…」(夕刊フジ10年10月15日)

フォトジャーナリストの山本皓一氏によると、「600隻から800隻の民間船団を組んで、尖閣に押し寄せる計画を立てている。上陸して旗を立てるつもりのようだ」という情報があるそうです。

山本氏は、領土問題を追いかけている方で、中国政府(中華民国)が、魚約島の島民らに送った「感謝状」を探し出したり、国境の島々を撮った本も出されています。


この辺の動きは、「リアリズムと防衛を学ぶ」が「「中国の漁船は中国軍の手先」とNYTが報道」で書いているとおり、漁民を海上民兵として活用した侵略行為です。

こう言った活動には、海上保安庁が第一義に動くことになりますが、本当に800隻もやってきたら対処能力を超えることは明らかです。
政治的に自衛隊は出しにくいでしょうが、海保の能力を超えるなら、自衛隊には治安出動を発令することが可能です。

それに、自衛隊法には、自衛隊の任務として「直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務」とあり、漁船による活動も、間接侵略として対処する必要があります。

来襲計画は来年6月だそうですが、菅内閣を崩壊させるためにも、もっと早く来て欲しいものです。

2010年10月23日 (土)

弱腰政府、議員に海保機、自衛隊機使わせず

尖閣の上空からの視察を行う議員連盟に対して、政府は海保機及び自衛隊機を使わせなかったとのことです。

原口前総務相ら超党派議員、空から尖閣諸島視察」(読売新聞10年10月9日)

「視察に際し、議連側は海上保安庁や自衛隊に航空機の出航を依頼したが、「(中国との関係が)微妙な時期だ」などとして断られ」たそうです。
上陸するわけでもない上空からの視察に対してさえこんな状態とは……、なんて弱腰なんだ。

沖縄県知事や石垣市議会も、尖閣に上陸しての現地視察の意向を示していますが、こんな調子では押さえ込もうとするんでしょうね。
尖閣警備強化 要請へ 知事、早期視察の意向」(沖縄タイムス10年9月28日)
【尖閣衝突事件】石垣市が上陸許可要請へ「明確に外国へ示す」環境調査も」(産経新聞10年10月20日)

2010年10月24日 (日)

武器輸出三原則が菅政権に引導を渡す-12月解散?

今回は、軍事というより政治の話題です。

武器輸出三原則の見直しについて、夏に発表された新安保懇の報告以降見直しの機運が高まり、年末に迫った防衛計画の大綱策定過程で議論がなされる方向ですが、この話題が菅政権に引導を渡す可能性があります。

武器輸出三原則の見直しは、防衛に関する生産基盤や技術基盤維持の観点から論じられている場合が多いですが、日米関係の上でも非常に重要な問題です。

ゲーツ国防長官は、この問題に関して「完全に日本の国内問題と思っている」と述べると共に、「非常に敏感な問題であることも承知している」と日本政府に配慮も見せていますが、「友好国や同盟国への支援で多くの機会ができるのは明らかだ」として、非常な期待感を抱いていることを表明しています。
武器輸出三原則見直し、米国防長官が期待感」(朝日新聞10年10月14日)

その理由は、見直しが行わなければ、SM-3Block2Aの第三国への提供を日本が縛ってしまうことになるからです。(Block2Aは、日米共同開発として開発が進められている)

アメリカは、現在Block2Aの地上配備型をヨーロッパに提供することを意図していると伝えられています。
しかし、日本が三原則を見直さなければ、アメリカはそのオプションを行使できなくなる訳です。

アメリカは、イランの核開発を最悪武力を行使してでも止める可能性がありますが、イランは中距離弾道ミサイルを既に保有しており、武力行使が行われれば、報復としてアメリカの友好国である欧州各国にミサイルが打ち込まれる可能性があります。
そのため、MD能力がなければ、トルコを含むヨーロッパ諸国が武力の行使を支持しない可能性があるのです。

アメリカは、日本の意向で、アメリカの国防政策を縛られることには強い不満を抱くことは間違いありません。

ところが、菅首相は三原則の見直しに慎重です。
あの仙谷官房長官さえ、見直しに前向きだったにも関わらずです。

現在は、アメリカのトーンは抑えられたモノです。
ですが、もし大綱見直しで三原則緩和の方向が打ち出されなければ、既に冷えている日米関係が険悪化する可能性が高いと思われます。

そうなれば、既に39.2%と並んだ内閣支持率と不支持率が逆転し、菅内閣の命運が尽きることも十分に考えられます。
菅政権は、2011年を迎えることなく崩壊するかもしれません。
内閣支持、39%に低下=不支持と並ぶ-時事世論調査」(時事通信10年10月15日)

2010年10月26日 (火)

自衛隊法の不備「領域警備」について法改正の動き!

尖閣の漁船衝突事案のおかげで、長年自衛隊法上の不備と言えた「領域警備」について、法改正の動きが出てきました。

自民、尖閣受け議員立法検討 南西諸島警備に自衛隊」(琉球新報10年10月17日)

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 尖閣諸島周辺で起きた中国漁船衝突事件を受け、自民党は南西諸島や日本近海で自衛隊による警備活動に向け議員立法の検討を始めた。中国海軍の東シナ海への進出も踏まえ、領海、領空への不法侵入など突発事態に迅速に対応できるようにするのが狙い。
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ヒゲの隊長こと佐藤正久議員が中心となって、来年の通常国会への提出を目指すそうです。

先日も自民党が防衛問題で攻勢をかけていることをお伝えしたばかりでしたが、野党になって攻勢をかけなければならない立場になったためか、積極的に動いてくれるようになったようです。
この問題は、自民党政権下でも関係者の中では語られていたものの、ずっと放置されてきた話題なのです。

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 法改正は(1)不法侵入を取り締まる「領域警備」を自衛隊の任務に加える(2)情報収集や警戒監視活動に当たる自衛隊艦艇、航空機が、敵対的な行動を抑止できるよう武器使用権限を付与する―などが柱。
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現時点で「領域警備」に該当する法文は、自衛隊法第84条で定められている<領空侵犯に対する措置>だけです。
空における不法侵入には定めがあるものの、海上における不法侵入に対して、自衛隊は行動の根拠となる法文が無かったのです。
(似たような行動根拠として海上警備行動がありますが、海警行動は実施に際して内閣総理大臣の承認を得て防衛大臣が発令することが必要で、常時使用できる行動根拠ではありません。)

ちなみに、対領空侵犯措置は海自も実施可能ですし、今回検討される海上における領域警備の法改正で、空自も海上における領域警備を実施可能になると思われます。
海自艦艇が間に合わないような火急の事態には、F-15が警告射撃をするようなことも可能になるはずです。

なお、この法案提出において、非常に重要な点ですが、海上における領域警備に関して自衛隊の行動根拠となる法文を整備するだけでなく、空における領域警備である<領空侵犯に対する措置>いわゆる対領空侵犯措置(略して対領侵)についても、併せて自衛隊法の不備を是正して欲しいものです。

細かい事は別の機会に書きたいと思いますが、対領侵において、自衛隊法上、最も問題な点は、第六章「自衛隊の行動」内に第84条で対領侵の実施が定められているものの、第七章「自衛隊の権限等」内にその際の権限について定めがなされていないことです。

自衛隊法の法解釈の話で、少々分かり難い話だと思いますので、簡単に解説しておきます。
防衛出動や治安出動、それに災害派遣などを含め、自衛隊の行動任務に対しては、第六章「自衛隊の行動」において、自衛隊に「行動命令」を発令する根拠が定められています。
そして、その行動任務中にどのような権限が付与されるのかは、第七章「自衛隊の権限等」に対応する条文がある、と言う法文の構造になっているのです。

ところが、他の任務と異なり、対領侵に関してだけは、第6章に任務を実施すべきことは書かれているにも関わらず、第7章に何ら権限が記載されていないのです。

一応、政府見解はこれでも大丈夫ということになっているのですが、欠陥であることは間違いありません。
(最悪、対領侵を行ったパイロットが違法行為を行ったとして起訴される可能性もあります。)

この問題に関して、佐藤議員は元陸自なので専門家という訳ではありませんが、幸い今はまさにプロだった元空自幹部で要撃管制官だった宇都隆史議員がいらっしゃいます。
報道には、国防部会の小委員会に宇都議員が参加しているかどうか言及がありませんが、例え佐藤議員に押しかけてでも参加して、この問題の解決に取り組んでもらいたいと思います。

この件に関しては、佐藤議員と宇都議員に直接メールも送ってみるつもりです。

2010年10月27日 (水)

「海保法改正による公用船への危害射撃」は不可能

前回記事「自衛隊法の不備「領域警備」について法改正の動き!」に対して、ブログ「おたくのたわごと」を書いておられるぬくぬく氏から、「何でも自衛隊と言う前に、海保法改正による公用船への危害射撃を認める事。」とのコメントを頂いております。
また、同氏は前掲ブログでも、コメントと同内容の自衛隊法より先に海保法を改正する必要があるとの認識を書かれています。

基本的にネットでのケンカ(建設的な議論も含めて)はしたくない(何せ面倒)のですが、基本的な知識不足を前提とした主張なので、簡単に反論を書かせて頂きます。

なお、「領域警備」に関する法の必要性についても解説した方が良さそうな気がしてきましたが、長くなるので別の機会にします。

ぬくぬく氏のブログでは、同じ内容について、次の通り書かれています。
【領域警備を自衛隊任務に】自衛隊云々以前にやることがある
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現在の法律では、民間籍の船舶に対しては、停船目的の船体射撃は認められていますが、政府の公用船への射撃は認められていません。
現在、海上保安庁が第一義的には領域警備を担当し、常に自衛隊が行っているわけではありません。しかも、現行法における自衛隊の海上警備行動などでも、この、海保法による武器使用規定が準用されているので、今のままならば、どんなに自衛隊の任務を増やしたところで、警職法の「正当防衛」や、海保法の「民間船に限定した危害射撃」以上の事は行えない可能性が高いです。
まず、自衛隊云々よりも、この海保法にある武器使用規定を改正して、政府の公用船への射撃も認めるようにしなければ、自衛隊を動けるようにしても、まったく無意味になります。
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根拠法令を見てみると、海上保安庁法(以下海保法と記述)第20条2項に「当該船舶の進行を停止させるために他に手段がないと信ずるに足りる相当な理由のあるときには、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができる。」と規定されています。

ただし、この規定は、同条2項一号において「当該船舶が、外国船舶(軍艦及び各国政府が所有し又は運航する船舶であつて非商業的目的のみに使用されるものを除く。)と思料される船舶」の場合のみに適用されることとされており、ぬくぬく氏が指摘するとおり、海保は公用船(軍艦及び非商業的目的のために運航されるその他の政府船舶)に対しては、停船目的などのための危害射撃ができません。
海警行動中の自衛艦も同様です。

公用船への危害射撃を認めるべきと言うぬくぬく氏の主張は、一見妥当なモノに見えます。
ですが、これは暴論です。
陸や空と異なり、海については長い伝統による「そんなのアリか?」と思えることが国際的にアリなのです。

海保法20条の規定は、日本も批准している明文化された国際法、海洋法に関する国際連合条約(略称国連海洋法条約)の規定を受けたものです。
国連海洋法条約の第29条から32条までは、「軍艦及び非商業的目的のために運航するその他の政府船舶に適用される規則」となっており、内容をはしょって書くと、外国の公用船は、沿岸国の警察権が免除され、臨検・拿捕はおろか、停船命令に従う義務はないことになっているのです。
(可能なのは退去の要求のみ)

ですから、海保法が外国の公用船に対して危害射撃を認めていないことは当然のことですし、それを認めることは国連海洋法条約違反となってしまいます。

国際法上、公用船は国土に匹敵するほどの強い権限を認められています。
言い方を変えれば、公用船に対する敵対行為は、即戦争行為に等しい訳です。
(航空機の場合は全く扱いが異なります)

日本の国内法令上も、外国の公用船に危害射撃をするとなれば、自衛隊に防衛出動を発令しなければなりません。
(戦争行為を行おうというのですから当然です)

という訳で、海保法を改正して、公用船への危害射撃を行わせることなど、到底不可能なのです。

2010年10月30日 (土)

高いよ! 自衛隊広報施設

事業仕分けで有料化の方向性が示された自衛隊広報施設ですが、試験的に「有料化して入場者数の変化や広報への影響を検証したい」とのことです。
自衛隊広報施設を有料化へ 事業仕分けで予算削減判定」(沖縄タイムス10年10月22日)
自衛隊の大規模広報施設に係る入場料の徴収に関する実験の実施について」(防衛省発表10年10月22日)

有料化されるのは、次の3施設です。
・陸自「りっくんランド」(東京都練馬区)
・海自「セイルタワー」(長崎県佐世保市)
・空自「エアーパーク」(浜松市)

従来無料だった入場料金を、大人400~500円、子ども200円と設定するそうです。
感想としては、「ちょっと高すぎじゃないか?」と思います。
大人200円、子ども100円くらいだったら大して気にならないと思いますが、これでは、恐らく入場者数は相当数減少すると思われます。

防衛省としては、
「こんなに減少したのでは、広報施設として意味を成しません!」

「なので、無料に戻します!」
って絵を描いているんだろうな。

2010年10月31日 (日)

各方面で尖閣実効支配の証明に向けた動き

弱腰腰砕けの菅内閣に対して、各方面で尖閣の実効支配証明をしようという動きが強くなってきました。

いくつもの動きがありますが、一番はなんと言っても気合いの石垣市長です。
なんと逮捕覚悟で尖閣に上陸すると宣言しています。
「尖閣上陸宣言」で実効支配に動き始めた石垣市」(産経新聞10年10月30日)
石垣市長が激白「尖閣に必ず上陸」 政府は陳情を門前払い」(夕刊フジ10年10月29日)

報道では指摘されていませんが、上陸するという事実以上に、逮捕されることで日本が警察権を行使しているという証明になるため、実効支配の証明に実に良い行動です。
市長や議員だけでなく、有志の方を含めて大挙して上陸したらいいんです。
でもって逮捕してください。
それも、わざわざ警察が出向いて逮捕するのがbestです。

また、自民党の「領土に関する特命委員会」が決議文を採択しています。
佐藤正久議員のブログ「領土特命委員会:「尖閣問題と北方領土問題」

この中で、石垣市長らの尖閣上陸を認めるように政府に働きかけるだけでなく、尖閣周辺での漁業支援、尖閣諸島への無線局設置などを求めています。

既に灯台もありますし、気象観測設備などを新たに設置するのは実績の積み上げとして効果的だと思いますし、日本の漁船が周辺で操業できるような環境作りは、民間レベルでの活動をアピールできるので証明を確固ななものにします。

更に、こんな動きもあります。
【集う】「センカクモグラを守る会」設立会見(7日、東京・霞が関の環境省)」(産経新聞10年10月26日)

これには、登山家の野口健氏も関わってますが、世界の山々を登る中で、領有権の主張が大切だということを身をもって感じてきたのでしょう。
(登山を認めるという行為も実効支配の証明になります。)

これらの動きに対して、逃げ菅がどのように対応して行くか注目です。

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