ブログランキング&ツイッター

  • 軍事・防衛 ブログランキング
  • ツイッター

« 菅首相は弱腰ではなく無能(尖閣問題) | トップページ | 在沖の陸自戦力大幅増構想 »

2010年9月26日 (日)

尖閣漁船船長解放の所感あれこれ

前回、中国漁船船長解放で怒りに任せて焦点についてだけ記事を書いたばかりですが、その他思った事をとりとめなく書いてみます。

まず最初に、米軍の軍事介入に関する、私の主張と近い論評について。

それは、アメリカ国防総省の日本部長などの経験もある日米関係の専門家ジェームス・アワー氏の論評です。
【尖閣衝突事件 私はこう見る】「日本は保有の覚悟示せ」 ジェームス・アワー・ヴァンダービルト大学日米研究協力センター所長」(産経新聞10年9月23日)
記事末尾に全文転載しておきます。

補足として、米軍の軍事介入が現実味を帯びれば、中国が引き下がったハズであるとする論拠ですが、それは実際の衝突になれば、まだ中国の海軍力では米軍に及びも付かない以上、もし軍事介入に及べば、尖閣の実効支配が日本にあることを世界に喧伝してしまう結果となったからです。
アメリカが明確なコミットメントをしている以上、アワー氏も述べているとおり、今回事態が緊迫すれば米軍は介入せざるを得ませんでした。
そのためにも、日本は覚悟さえ見せれば良かったんですが……

次に、前回記事の補足になりますが、そのアメリカのコミットメントについて、クリントン国務長官だけでなく、ゲーツ国防長官も、そして制服組トップであるマレン統合参謀本部議長も明確な発言をしてました。
【尖閣衝突事件】周辺は安保対象と米軍制服組トップ 国防長官も「責任果たす」」(産経新聞10年9月24日)
マレン統合参謀本部議長に至っては、「同盟国である日本を強力に支援する」とまで言ってくれていたのに……

なお、オバマ大統領はこの事件に関して冷淡で、軍事衝突の回避を求めていたとの報道がありますが、アメリカの自国の事ではないのですから、当たり前なことです。
日本は米軍に出てきて頂くのではなく、引きずり出すつもりでなくてはなりません。

高い思いやり予算を国民の税金から払い、米軍を駐留させ、沖縄の方に負担を強いているのは、こういう時に使うためなのに。
沖縄の方(特に漁業関係者)は裏切られたと思われているようですが、その通りですね。
今後は、尖閣周辺で逆に日本の漁民が拿捕されてもおかしくないですし、その時に日本政府が助けようとするかもアヤシイものです。
普天間移設は、更に難しくなったかもしれません。

続いて、今回の事件に関連した閣僚等の評価です。

もとより、期待どころか日本人じゃないと思っていたので、「やっぱりな」としか思いませんが、仙谷官房長官には本当に腹が立ちます。
この人が海保ビデオテープの公開に反対していた理由は、当初から釈放を考えており、公開したことで不起訴にすることが不当に見えてしまうからなのではないか、とさえ思えてなりません。
漁船衝突:海保ビデオ公開に慎重 仙谷官房長官」(毎日新聞10年9月21日)

これとは逆に、ビデオ公開に積極的だった北沢防衛相は立派です。
中国漁船衝突、防衛相「ビデオ公開すべきだ」」(読売新聞10年9月21日)

それに、北沢防衛相は、クリントン国務長官のコミットメントに対しても「極めて適切な発言で高く評価したい」と素早く適切に反応してます。
【尖閣衝突事件】クリントン発言「極めて適切」と防衛相が評価」(産経新聞10年9月24日)
まあ、防衛相としては当然の話ですが……

また、今回の事案で、評価を大いに下げざるを得ない人もいます。
菅首相は言うに及ばずですが、これに盲従した前原外務相には幻滅しました。
中国漁船・尖閣領海内接触:中国人船長釈放 前原外相「決定、了としたい」」(毎日新聞10年9月24日)
防衛問題にも一家言もった政治家だと思ってましたが、知識はあっても、気概はないようです。
「領海内で同じような事案が起きたら同様の対応を粛々と行う」と言ったようですが、今後も起訴はしないという意味でしょうか。

それにしても、今回の処置で辞表を叩き付ける閣僚や政務官が、一人くらい居ても良さそうな気がしますが、やっぱり民主党なんですね。

なお、国際法上の実効支配に関しては、実際に支配していることも勿論ですが、実効支配の意志を示すために、軍事力による示威(プレゼンスの発揮)も重要です。
今回の事案で、日本には「実行支配の意志なし」、と見られても仕方ないかもしれません。

それと、自衛隊や海保の存在意義ですが、この程度の衝突でへたれて引き下がるようなら、自衛隊や海保は存在するだけ無駄です。
予算が無駄ですから、自衛隊と海保は解体してもいいんじゃないでしょうか。
多くの自衛官や海保隊員が、同じような気持ちにならない事を祈ります。

次に、レアアース禁輸やフジタ社員の拘束があったので、釈放は仕方なかったとの見方について書いておきます。
軍事紛争が起きる前に、経済で揺さぶりをかけることは当たり前です。レアアースなどは、WTOに提訴すれば勝てた話です。
日本だって、北朝鮮に経済制裁を科しています。
日本は、軍事以前で負けたということに他なりません。中国のネットが勝利で沸き返るのは当然です。

フジタの件は、詳細は知りませんが、中国の横暴もあるものの、そもそもプラント会社として脇が甘すぎます。
軍事施設の写真を撮ったら即刻しょっ引かれる国など、世界中にはいくらでもある話で、特にこう言う情勢では社員にちゃんとした教育が必要です。
世界で仕事をするプラント会社なら、そう言う認識と行動は当然のハズなのですが、出来ていなかったのでしょう。

それと、メディアも騒ぎすぎです。
軍事区域に入り込んだりして警察沙汰になるなど、バックパッカーなら良く聞く話です。
本当にフジタの社員が軍事施設の写真を撮っていたなら、向こうの国内法で処理されても仕方ない話です。

100%日本に正義のある話で引き下がった以上、今後向こうにも妥当性のある話で相手が交渉のテーブルに着くことはないでしょう。
採掘しているのは日中中間線の向こう側ですから、中国の主張にも妥当性があります。
私なら、これからは日本など100%無視します。

中国の進出に恐れる東南アジアの国々も、今回の事件は見守っていたハズですが、これで日本に期待しても無意味だと思ったでしょう。
日本の発言力、指導力も地に落ちました。

最後に、ネットで私の主張に近い主張を拾ってみましたが、少数派ですね~。
佐藤正久議員が政府に男はいないのかと書かれているのが少し似ているでしょうか。
米軍の件などは、週間オブイェクトさんが軽く触れている程度です。
精神論で書いている所は多いんですが……、私も怒りにまかせて書いている口なので、人のことは言えないんでしょうけど。

産経から転載したジェームス・アワー氏の論評
********************
 今回の事件はまず東アジアの戦略的な構図から考える必要がある。東アジアでは中国、日本、ロシア、米国という主要諸国の力が安定しないまま、中国が覇権的なパワーを強め、優越な立場にあるような言動をとり始めた。この動きは日本にとって脅威である。そもそも地政学的には、一定地域で一方のパワーがすでに優位にあった側に追いつき、追い越そうとする際に不均衡が高まり、危険が大きくなる。だからこそ米軍がなお日本と韓国に駐留しているのだといえよう。

 中国が尖閣諸島の領有権を石油資源の可能性が浮かんできた1970年代まで主張しなかったことは周知の事実であり、当時、中国側には尖閣諸島をはっきりと日本領として描いた地図も存在したと聞いている。しかし米国政府は伝統的に他の諸国の領土紛争には中立を保つ。だから尖閣の主権がどの国にあると公式に断定することはできない。

 尖閣諸島の保有に関しては日本自身が覚悟をせねばならないだろう。尖閣の主権をあくまで主張するならば、それを守る決意があることを示さなければならない。そのために戦う覚悟を示してこそ、初めてその領土への主権に正当性が得られるとさえいえるだろう。その点で日本政府が竹島に対してとっている態度は悪い見本となる。

 今回の中国漁船の行動は「無謀運転」といえるだろう。ただしそれが故意の無謀運転か、過失の無謀運転か、まだわからない。

 尖閣諸島は明らかに日本の統治下にあり、日本の施政の下にある領域は日米安全保障条約での日米共同防衛の対象となる。米国は戦後、尖閣諸島の施政権を保有し、沖縄返還の際にいっしょにその施政権を日本側に返した経緯があるから、なおさら強く意識している。

 ただし米国政府も、クリントン政権時代にモンデール駐日米大使が「尖閣諸島が第三国に攻撃を受けても、米軍は防衛には当たらない」という趣旨の発言をして、波紋を広げた。これは発言者が実態をよく知らなかったための失言だった。その後、私も含めて多数の識者たちが米国政府のミスを指摘し、クリントン政権の国防総省高官のカート・キャンベル氏らが後に「尖閣には日米安保条約が適用される」と明言するようになった。

 だから現在も、もし尖閣諸島が中国などの軍事攻撃を受ければ日米安保条約の発動となり、米国は同盟国の日本を守る軍事行動をとるだろう。安保条約上の責務なわけだ。日米両国は東アジアの安定を保つためにも、尖閣諸島をめぐる軍事衝突を起こさないためにも、同盟を堅固に維持していくべきだろう。(談)
********************

« 菅首相は弱腰ではなく無能(尖閣問題) | トップページ | 在沖の陸自戦力大幅増構想 »

先島防衛」カテゴリの記事

コメント

今回の日中両国の政府の行動をみていると、両国とも大衆世論を気にしすぎ、適切な外交手段を取れなかった気がします。国民が政府の弱腰を非難する構造で政府が行動すると結果は、松岡外相が国際連盟脱退の大見得を切り、国民・新聞界より大喝采をうけ帰国し、国土を焦土化し何百万の国民の死体を築いたことを思い出します。本当に強気になって領海の国益を守りたいなら、国民の選択ですが平和憲法を改正し軍備をバックにした外交でないと中国と対等に交渉が出来ません。戦後の対米と同じように余りにも多くの企業や日本経済が中国に依存せざるを得なくなったことが、輪をかけて外交を弱腰にしています。当面、私もこの欄でこのやるせない気持ちをつぶやくしかないようです。

記事へのコメント有難うございました。
今回の日本側の対応は必ず今後に禍根を残すこととなるでしょう。万が一、尖閣周辺に大量の漁船が押し寄せてきても海保としては取り締まることが難しくなるかもしれません。海保の巡視船に故意に衝突させても何のお咎めもなく中国に帰国出来ると思われるかもしれません。
我々に出来ることは、今回の事件を覚えておき、次回の衆議院選挙で一票を投じる際の判断基準とするしかありません。

「覚悟を見せる」が今の政府には無理難題に思えてしまうのは私だけでしょうか。

勝てる戦も指揮官が無能なら負けてしまいます。
内閣総理大臣という国の指揮官が無能ですから、初めから勝てる戦ではなかったのでしょう。

そう考えるとあちらは「菅首相与し易し」と判断して仕掛けてきた、とさえ思えてきます。

一つ前の記事でダッカ日航機ハイジャック事件に似ていると仰られていましたが、その先例があるからこそ、中国としては日本は人質を取れば落ちると判断したのではないでしょうか。

humure 様
中国は一党独裁の国なので当たり前ですが、国民がまだまだ成熟してないですから、筋の通らない過激なナショナリズムに走るんでしょうね。(日本もお世辞にも褒められたモノではありませんが)
今回の件で、企業がチャイナリスクをもう少し真剣に考えるようになるといいですね。

アシナガバチ 様
同じココログなかまなので、以前から拝見してはおりました。
今回の件で民主党支持率が急落し、解散総選挙にならざるを得ないような方向に行けば良いのですが……(あまり政局が混乱しても困りものですけど)
ただ、自民もあまり良い受け皿になっているイメージがないのが残念です。

藤宮 直樹 様
そもそも、見せられる覚悟がないのかもしれません。
ただ、鳩山元首相、菅首相という両名を指揮官にしたもの国民なんですよね。

歴史は当然分析してるでしょうね。
首相のパーソナリティも。

こんな時には、あだ名に「鉄」が付くような方にでも登場してほしいものですが……、思い当たりませんね。
人材不足でしょうか。

日本企業がとにかく中国から出て行くことを考えなければなりません。
そうしなければいつまでたっても戦争する以前で負けてしまうんです。
アメリカみたいに強力な軍事力とエネルギーを持っていれば話は別ですがね。

結局は経済的な圧力をかけられたらアウトってことが広まってしまいました。
エネルギー供給先の分散確保と一極集中の経済依存を止めることが重要です。
日本の未来は政治家ではなく日本企業に全てが掛かっています。

>humure様
>両国とも大衆世論を気にしすぎ、適切な外交手段を取れなかった気がします
確かに気にしすぎだとは思いますが、どちらの意見が通ったとしても自国の怒りは相手国ではなく
自国の政治家にぶつけられるのを恐れているんです。日本はまだいいですが、中国の場合すごすご
引き下がったとしたらそれこそ大反乱が起きますから良い笑いものになります。

ナオ 様
今回の件で、日本だけでなく世界がレアアースに関するチャイナリスクの軽減に動いているようなので、いい傾向だと思います。
その他の業界でも、チャイナリスクの見直しは進むでしょうね。

個人的には、このニュースに関するマスコミの反応が以前とは違っていて
驚いています。 ようやく、まともになったかとも思いますが、なぜこんなに
急にマスコミが態度を変えたのか不思議です。

やん 様
私も驚いてます。

ただ、過去にさかのぼれば、太平洋戦争を盛んに煽ったのも朝日新聞を始めとするマスコミでしたら、マスコミが常に大人しいとも言えないと思います。

ネットのおかげで、マスコミが大衆を誘導するのではなく、大衆がマスコミを誘導する方向に振れているのかもしれないと思ってます。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/544438/49564755

この記事へのトラックバック一覧です: 尖閣漁船船長解放の所感あれこれ:

« 菅首相は弱腰ではなく無能(尖閣問題) | トップページ | 在沖の陸自戦力大幅増構想 »

アマゾン

  • 半島へ 陸自山岳連隊
  • 黎明の笛 陸自特殊部隊「竹島」奪還 (文庫)
  • 深淵の覇者
  • 黎明の笛
  • 空飛ぶ広報室 DVD-BOX

最近のトラックバック

ブックマーク、RSS