在沖の陸自戦力大幅増構想
在沖の陸自戦力を大幅に増やす構想があるそうです。
「沖縄へ陸自2万人構想 2020年、現在の10倍に 防衛省」(琉球新報10年9月20日)
沖縄タイムスもほぼ同趣旨の記事を掲載しています。
元記事配信は共同のもよう。
全国紙が追随した記事を書いていませんし、元々左色が強い共同がソースのようですから、記事の信憑性は今ひとつです。
これに関連して、北沢防衛相の「2万人は聞いたことがない」との発言も信憑性に疑問符を付けます。
「北沢防衛相、先島配備の意向 自衛隊増員」(琉球新報10年9月22日)
ただし、観測気球を目的とした意図的リークは、内局が昔からよく使う手なので、構想自体は実在するのかもしれません。
また、これと符号する別報道が事前に流れています。
「「共同使用」日米隔たり…普天間の代替施設協議」(読売新聞10年8月27日)
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代替施設の共同使用では、日本が自衛隊を常駐させての共同管理を主張しているのに対し、米側はあくまで施設の管理は米軍が行うとし、共同使用は米軍の許可の下で自衛隊が施設を使う「一時使用」との立場を崩していない。
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日本側(防衛省)が、普天間の代替施設に、自衛隊を常駐させる事に拘っているとのことでした。
この報道を見た時点で、防衛省には在沖陸自戦力の更なる(今年度に混成団から旅団に格上げになったばかり)増強の考えがあるのではないか、と思っていました。
現状2千人規模の15旅団を、利便性が良く、訓練場所も確保できている那覇から、辺野古くんだりに移す必要性が乏しいためです。
話を元に戻して、在沖陸自戦力増強についてですが、もちろん基本的に悪い話ではありませんし、このブログでも再三述べていた方向なので、大歓迎です。
ただし、流石に2万は多すぎるのではないか、という気がします。
と言うのも、先島を含めた地域への分散配置だとしても、部隊配備はともかくとして、2万人分もの訓練用地の確保は困難ではないか、と思えるからです。
前述の辺野古への自衛隊常駐がリンクする話だとした場合、広大な北部訓練場を使う構想なのは容易に想像出来ますが、海兵隊の戦闘部隊はグアム移駐する訳ではないので、米軍がおいそれと北部訓練場まで共同使用させてくれるとは思えないのです。
多くの方も知るとおり、陸自(だけではありませんが)は狭隘な訓練用地の中で、創意工夫でなんとかやりくりしているのが現状です。
広大な東富士演習場でさえ、分単位で部隊が入れ替わり立ち替わりして訓練しています。
まだ状況が継続しているにも関わらず、次の部隊が割り当て時間になったからと言って入ってくることさえしばしばです。
部隊を配置すれば、近傍にかなり広い訓練用地の確保が必須なのです。
それは一般の方が思う以上に、広い地積です。
おそらくそうではないと思いますが、(先島に)機甲や特科を配置するなら、なおさらです。
辺野古に常駐し、北部訓練場が使えるとしたとしても、多くても15旅団の師団化で、人員的には1万というところではないでしょうか。
陸幕の考えも、実は2万という数字はバーゲニングチップを含めた数で、落とし所としては1万程度を考えているのではないか、と想像します。
なお、陸幕の念頭に、再三言及した陸自部隊の辺野古への常駐、及び代替施設と北部訓練場の使用があるのだとしたら、そこにはオスプレイの配備も含まれているのではないか、と夢想するのですが、あながちハズしてないように思えます。
(もしそうなると、23年度概算要求に盛り込まれている新多用途ヘリコプターの開発と競合してくるでしょうが)
また、この構想は、大幅な定員増を踏まえたもののようですが、経済情勢や空海との予算配分を考えると、定員増は難しく、本土もしくは北海道配置師団のさらなる旅団化改編が必要なんではないでしょうか。
何にせよ、これについては情報が少ないので、期待しつつ続報を待ちたいと思います。
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