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2010年8月

2010年8月31日 (火)

対中国防警計画は間違っている

自衛隊が離島の奪還を意図した訓練を実施することが報じられています。

自衛隊が離島奪還訓練、南西諸島想定し12月」(読売新聞10年8月19日)
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 防衛省が今年12月、新たに策定した沖縄・南西諸島の防衛警備計画に基づき、陸海空自衛隊による初の本格的な離島奪回訓練を、大分・日(ひ)出生(じゅう)台(だい)演習場などで実施することが、18日、明らかになった。

(中略)

 訓練は、青色(味方)軍と赤色(敵)軍に分かれ、大分県内の陸上自衛隊日出生台演習場の一部を離島に見立てて行われる。

 まず、赤色軍が自衛隊の配備されていない離島に上陸、占拠し、島内に対空ミサイルなどを備え付けるとともに、周辺海域に海軍艦艇を集結させているという状況から始まる。

 すぐさま防衛出動が発令され、防衛省は、対地、対艦攻撃能力の高い空自F2戦闘機と海自P3C哨戒機を出動させる。赤色軍の対空兵器を弱体化させるとともに、陸自空挺(くうてい)団員など約250人が乗り込んだ8機の空自C130輸送機が、空自F15戦闘機の護衛を受けながら離島に接近する。空挺団員らは次々にパラシュートで降下し、海空自の援護射撃を受けながら赤色軍を制圧、島を奪い返すというシナリオだ。

 訓練は同演習場のほか、沖縄・南西諸島周辺の訓練海域も使って行われる。

(中略)

 防衛省幹部は「中国に対し、日本は南西諸島を守りきる意思と能力があることを示す。それが抑止力となる」と訓練の目的を説明する。同省は訓練の一部を公開する予定という。
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自衛隊の場合、予算として盛り込まれてない大規模訓練を実施することは事実上不可能ですから、この訓練は、今年度の予算資料で実施が盛り込まれていた陸自方面隊実働演習(離島対処)に米軍の協力を取り付けたものだと思われます。

同訓練については、以前の記事「H22概算要求-離島侵攻対処」において想定がおかしいと注文をつけています。

まさか、それを見て変更した訳ではないでしょうが、今回の報道を見る限り、想定はまともなものになっているようです。
予算資料にあった内陸部への侵攻対処は消えて、純粋な離島侵攻対処になっています。

ただし、日出生台の一部を設想(せっそう:自衛隊用語で、演習などで状況付与のために想定すること)離島とするようですが、それが魚釣島だったとしたら、あの急峻な島に8機ものC-130輸送機から空挺降下することが本当に可能なのか、少々疑問でもあります。

それはともあれ、今回の本題はこの訓練ではなく、この訓練が検証を兼ねるであろう防衛警備(以下防警と表記)計画です。
防警(ぼうけい)は、正式な名称を「防衛、警備等に関する計画」と言い、訓令で作成することが定められています。
内容は、「(重大な事態が発生した際)自衛隊が対処する場合における基本的事項等について定め」たもので、端的に言えば作戦計画の一種です。
ちなみに、前は毎年1回作成していたので年度防衛及び警備計画、略して年防(ねんぼう)と呼ばれてましたが、今は防警となっています。

防衛省が今回の訓練に際し、どの程度情報をリリースしたのか分かりませんが、読売の報道では「新たに策定した沖縄・南西諸島の防衛警備計画に基づき」となっており、沖縄・南西諸島を対象とした防警が存在することが報じられています。(私の認識では、以前は、防警計画が対象とする事態が明らかにはされていませんでした。)
記事中では、防衛省幹部のコメント扱いになっているので、防衛省が正式にアナウンスした訳ではないと思いますが、対象が中国であることも匂わされています。

さて、問題はその中身です。
特に焦点となる所は、離島対処の計画(あるいは作戦)では、いつも話題になることですが、取られないようにするか、あるいは取られてから取り返すか、という点です。

軍事的な危機が何時発生するか明確はではない状態で、離島を取られないようにするためには、大部隊を長期に渡って展開させなければなりません。
インフラが皆無の無人の離島では、これは非常に負担の大きな作戦です。
竹島に韓国部隊が常駐していますが、あのように恒久展開のための施設を設けない限り事実上困難です。
また、同時に、海は周辺の制海権、空は航空優勢を持続的に確保しなければなりません。特に、制空権と言う言葉が使われなくなった事で分かるように、持続的な航空優勢の確保は非常に困難です。

ですから、軍事的には、取られてから取り返す方式は妥当性のある作戦です。

そして今回の訓練想定を見れば分かるとおり、現防警も取られてから取り返す方式になっています。(恐らく)

しかし、防衛省がこの方式で防警計画を作っていることについて、私は間違っていると思っています。

それは、日本政府が信じられないからです。

取られてから取り返す方式は、前述した通り、軍事的には妥当性のある方式です。
ですが、政治的にはハードルの高い作戦でもあります。

今回の訓練概要が示すとおり、取られてから取り返す方式では、敵が離島を占拠した後、奪還作戦として、航空優勢、制海権を確保し、当該離島に爆弾や艦砲で攻撃してから陸自戦力が乗り込みます。
何が言いたいかと言いますと、作戦が非常に攻勢的な作戦からスタートすることになるのです。
(見ようによっては一方的な虐殺に見える。特に正規兵以外を送り込まれると非常にやっかい)

もしコレが行われそうな状況になれば、相手は国際世論や安保理事会に訴える宣伝戦を展開するでしょう。
しかも、その相手はウソをつこうが気にもしない独裁国家です。

もしかすれば、乗り込ませた兵を意図的に殺される事も意図するかもしれません。伝統的に人海戦術を得意としてきた中国にとって、それは難しいことではありません。

そんな状況で、攻撃を意図できるほど日本政府に根性や気合いがあるとは思えないのです。

自衛官が軍事的合理性に則ってモノを考えることは正しい事です。ですが、軍事的合理性だけで考えることは危険です。

対中国の離島を巡る戦いでは、中国が躊躇するほどの大部隊を事前に展開させるのでなければ、非情な作戦にはなりますが、中国がやりかねないと書いたように、少数を展開させ、殺される方からスタートしなければ、その後の展開は難しいように思います。

今回のような演習はもちろん必要ですが、机上演習(CPX)で、政府の対応を検証することが必要です。
(そしてそれを国民に明らかにすることも。)
取られてから取り返す方式は決意の敷居が高い作戦です。
毅然とした対応が出来るのでなければ、泣き寝入りになりかねません。

2010年8月28日 (土)

横田基地フレンドシップフェスティバル2010 その3(その他とオマケ編)

ラスト、その他とオマケ編です。

最初に警備関係
ゲート脇に控えていた軍用犬
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今年はデモをやらなかったようです。残念

その近くに止めてあったMPの車両
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写真では小さくなって見にくいですが、「注意 軍用警察犬」と書いてあります。
軍用警察犬とは何ぞや、と疑問も湧きますが、分かりやすさを重視したんでしょうね。
それに、米軍では警備をMP(Military Police)が担っており、自衛隊の警衛隊と警務隊を兼ねたような組織になっています。
ですので、軍用警察犬もあながち間違いとは言えません。

F-22の警備兵
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装備は昨年と同じでした。レーザー、ダットサイト付きのM4に拳銃

エプロン上の警告表示
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「基地司令官の許可なく(中略)軍犬隊がパトロールする。上記のため実力行使が許可されている。」と書かれてますが、ちょっとソフト過ぎる日本語訳です。
英語では「DEADLY FORCE AUTHOLIZED」

空挺降下、数少ない実演の一つとして
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写真を撮ってありませんが、この他にHALOも行っていたようです。ですが、アナウンスと開傘のタイミングが合ってないので、気がついた時にはフワフワと降下中でした。

子供に大人気のタグ改造の列車
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ゲートから会場までの間で運行されてます。
会場まで距離があるので、実際に足としてもいいかも。
ただし、子供を連れてないと恥ずかしくて乗れません。

自衛隊による災害派遣でもよく使われるトレーラー形式の給水車
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仮設トイレの横に手洗い用として置かれていました。
なぜか「カッコイイ」と叫んでいる女の子がいました。どの辺がカッコイイんだろ?

エプロンの端に置かれていたモーボ
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自衛隊のものと比べると小さいな、と思っていましたが、よく見ると乗り込んだ後でアームで高く掲げられるようになっています。
なかなか優れものだと思いました。

消防車
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放水の実演も
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時々おふざけで観客に浴びせかけるのはご愛敬

続いて自衛隊絡み
昨年も、防空指揮群が展示していた軽装甲機動車
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来年あたりは府基ではなく横基と書かれてたりするのだろうか。

軽装甲機動車の脇では、自衛隊の隊員募集が行われていました。
そこに置いてあった89式の擬製銃
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いつの間にか空自にも入っていたんですね。
本当なら空自用は64式じゃなければいけないはずですが、89式しかないんでしょう。
ダットサイトまで付いてます。
一緒に光学スコープも置いてありました。
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空自には、ダットサイトよりこっちの方が適ってます。

ラストはオマケ
ボール投げのアトラクション
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ボールが的に当たると、椅子に載っていた女の子(WAF?)が水の中に落ちます。
暑いので少しうらやましいかも

ハンガー内の海兵隊露店に置かれていたバイク
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個人のモノなんでしょうが、ODのカラーリングと言いUSMCの刻印と言い、一瞬?と思わせられる出来でした。

エクストリームバイクのチームによるデモ
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これをタダで、しかもかぶりつきの位置から見られるんですから、これだけでも行く価値アリでした。
日本の航空祭でも呼べば良いのに、と思いましたが、「税金をそんなことに使うな」って批判が来るんだろうな。

最後に、ゴハン
昨年も紹介した佐世保バーガー
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今年は、比較のために1万円札を敷いてみました。ホントにデカイ。

今年のフレンドシップフェスティバルは、昨年ほど話題性はありませんでしたが、十分に興味深いモノがありました。

来年も何とか行ってみようと思います。
しかし、もう少し遅い時期にできないもんでしょうか。
暑くてたまらん。

2010年8月25日 (水)

横田基地フレンドシップフェスティバル2010 その2(その他展示機編)

今回は、ラプター&コンバットタロン以外の展示機を一気に紹介します。
ほぼ、端から並べられていた順です。

最初は、個人的に好きなA-10
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オーサンから
写真とは別の機体で、コックピットの公開もしてました。

F-18は岩国のマリンコ
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同じくマリンコのC-12
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空軍のC-12Jとは機体が全くことなるものの、同じC-12と呼称されるのはナゾ

今年は三沢からとなったF-16
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F-4は、今年はRFのみ
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去年も居たLC-90
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F-15は空自機のみ、小松から
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YS-11飛行点検機
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C-1は、どう言う訳か2機
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ノーマルと
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1号機?

入間のT-4
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F-2も1号機(何故だ?)
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海自のP-3
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写真はありませんが、女性クルーも居ました。

C-17は、ハワイのヒッカムから
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長蛇の列、珍しい機体ではありませんが、やはり大きいとインパクトあるのか。

KC-135、嘉手納から
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海自のSH-60K
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回転翼機の中では唯一接近統制がされていた。

陸自のOH-6D
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同じくUH-1J
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CH-47JA
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UH-60JA(人が接近していてまともな写真なし)
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ネイビーのSH-60B
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アーミーのUH-60A
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人だかりで何だか分からないほど

AH-1
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C-130(USAF)
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UH-1N
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最後にC-12J
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この機体、実は今回しっかり見ようと思っていたものです。
それは、昨年のフレンドシップフェスティバル以降、一部をISRミッションのために改造してMC-12とする、という話を聞いていたからです。
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この機体自体は通常のC-12Jなので、コックピット以外は座席が並んでいるだけです。
機内の写真は撮ってありませんが、天井高がかなり低く、どんな機材を入れるにせよ、あまり入らないだろうな、というのが印象でした。
余談ですが、この機体を見ると、空自のU-4が実はかなり贅沢なんだと思えました。

地上展示機編は以上です。
次回で今年度分はラストです。

2010年8月23日 (月)

横田基地フレンドシップフェスティバル2010 その1(注目展示機編)

今年も行ってきました。
横田基地のフレンドシップフェスティバル

開催は21日(土)と22日(日)の二日間でした。
去年もめちゃめちゃ暑かったので、予報を見て、少しでも涼しそうな土曜に出撃

少し遅めの11時頃に会場入りしたのですが、展示機の目の前以外は人がまばらで、F-22の初お目見えとなった去年と比べると人出は少ないという印象です。
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それでも、この炎天下、焼け焦げたエプロン上にこれだけ集まるのですから、在日米軍への国民感情は悪くないといったところでしょう。

と、前置きは以上にして、地上展示機のメイン所を紹介しましょう。

まず筆頭は、今年も来てたんだ、のF-22
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テイルレターはHO
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ホロマンAFBの第49戦術戦闘航空団第7飛行隊の機体です。
(拡大しないと見えませんが、垂直尾翼の上端に7th Screamin' Demonsと書かれています。インテーク脇にも部隊マークあり。)
現在嘉手納に展開している12機の内の2機だと思われますが、詳細不明

昨年と異なっている点は、増槽付きだった事
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と、説明板が置いてあった事
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グッズも売ってました。
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ただし、去年ほどの人気はなし。
やはり、初物は違うと言うことでしょうか。

続いて、F-22よりもこっちの方が、より注目のMC-130HコンバットタロンⅡ
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昨年のMC-130Pに続き、今年も特殊作戦機が来てました。
ただし、暑さでボーとしてたこともありますが、その特徴的なノーズを見ても、当初それとは気付きませんでした。
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何故かと言うと、こう言う状態
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え?
近寄っていいの?
入っていいの?
昨年のコンバットシャドウが接近統制までされていたのと比べると、えらい違いです。

来ていたか知りませんが、石川巖氏が居たらクルーに飛びついていたでしょう。
Tシャツまで売ってました。
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嘉手納に所在する第353特殊戦航空群第1特殊作戦飛行隊の機体のようです。

当然、乗り込みました。
カーゴスペースは強度強化されているらしいものの、特段注目するようなものはありません。
カーゴスペースで唯一注目がコレ
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不朽の自由作戦に参加した表示です。
雷が24個書かれており、24ソーティでは少なすぎるでしょうから、24回の作戦任務参加ということでしょうか。

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コックピットはグラスコックピット化されており、何所がが特殊なのかさっぱり分からず。
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中央のカバーがされている部分がミソなのかも。
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航法士席もグラス化

外観上、変っているところは自己防御装置
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と航法関連機器の入っているノーズくらいです
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ノーズ下部の電波高度計?

特殊作戦機ということで、期待していたほどには変った点はありませんでした。
逆に言えば、大した改造なしに特殊作戦に使えてしまうC-130が、ベース機体として優秀だってことなんでしょうね。

それにしても、コレを見ていた大多数は、特殊作戦機だなんて気にもしてなかったろうと思います。
その証拠に、通常型のC-130と並んでいる人は大差ありませんでした。

次回は、他の展示機をまとめてみます。

2010年8月21日 (土)

日韓併合100年談話

軍事ネタというより、政治ネタですが、保守系のブログでは取り上げられることが多いので日韓併合100年での首相談話について、取り上げてみます。

韓国併合100年 首相談話の全文」(朝日新聞10年8月10日)
談話の全文については、記事末尾に転載しておきます。

多くの保守系論者は、この談話を否定的に捉えてましたが、私は実利主義者なので、首相が補償の蒸し返しを明確に否定し、談話の文面中でもそのことに配慮した内容になっていたので、この談話自体は特段悪いものではなかったと思っています。
頭なんて例え何回下げたって、腹は痛くなりません。

むしろ、逆にどうせ謝罪するなら、もっと申し訳なさそうに謝罪すればいいのに、と思いました。
主語も「私」ではなく、「日本国民の代表者たる総理大臣」とかにしていた方が、余程相手を気持ちよくさせられたでしょう。
(国内の反発が強かったんでしょうけど……)

法的には返還する必要が無くとも、歴史的に韓国が管理すべき宝物類について、これを渡すとしたことも、正しい判断だと思います。

ただし、譲渡の式典が行われる時にハッキリと言うべきです。
歴史的に正しい所有者が所有すべきということを認識するなら、さっさと竹島を返せと!

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首相談話全文
 本年は、日韓関係にとって大きな節目の年です。ちょうど百年前の8月、日韓併合条約が締結され、以後36年に及ぶ植民地支配が始まりました。三・一独立運動などの激しい抵抗にも示されたとおり、政治的・軍事的背景の下、当時の韓国の人々は、その意に反して行われた植民地支配によって、国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷付けられました。

 私は、歴史に対して誠実に向き合いたいと思います。歴史の事実を直視する勇気とそれを受け止める謙虚さを持ち、自らの過ちを省みることに率直でありたいと思います。痛みを与えた側は忘れやすく、与えられた側はそれを容易に忘れることは出来ないものです。この植民地支配がもたらした多大の損害と苦痛に対し、ここに改めて痛切な反省と心からのお詫(わ)びの気持ちを表明いたします。

 このような認識の下、これからの百年を見据え、未来志向の日韓関係を構築していきます。また、これまで行ってきたいわゆる在サハリン韓国人支援、朝鮮半島出身者の遺骨返還支援といった人道的な協力を今後とも誠実に実施していきます。さらに、日本が統治していた期間に朝鮮総督府を経由してもたらされ、日本政府が保管している朝鮮王朝儀軌(ぎき)等の朝鮮半島由来の貴重な図書について、韓国の人々の期待に応えて近くこれらをお渡ししたいと思います。

 日本と韓国は、二千年来の活発な文化の交流や人の往来を通じ、世界に誇る素晴らしい文化と伝統を深く共有しています。さらに、今日の両国の交流は極めて重層的かつ広範多岐にわたり、両国の国民が互いに抱く親近感と友情はかつてないほど強くなっております。また、両国の経済関係や人的交流の規模は国交正常化以来飛躍的に拡大し、互いに切磋琢磨(せっさたくま)しながら、その結び付きは極めて強固なものとなっています。

 日韓両国は、今この21世紀において、民主主義や自由、市場経済といった価値を共有する最も重要で緊密な隣国同士となっています。それは、二国間関係にとどまらず、将来の東アジア共同体の構築をも念頭に置いたこの地域の平和と安定、世界経済の成長と発展、そして、核軍縮や気候変動、貧困や平和構築といった地球規模の課題まで、幅広く地域と世界の平和と繁栄のために協力してリーダーシップを発揮するパートナーの関係です。

 私は、この大きな歴史の節目に、日韓両国の絆(きずな)がより深く、より固いものとなることを強く希求するとともに、両国間の未来をひらくために不断の努力を惜しまない決意を表明いたします。
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2010年8月18日 (水)

退職自衛官の地方公共団体防災関係部局における在職状況

防衛省が「退職自衛官の地方公共団体防災関係部局における在職状況」という資料を公開しています。

2010年6月30日現在で、総数181名にもなっています。

検索してみても、初のケースが何時何処でだったのかは出てきませんでしたが、退職自衛官を防災等のために自治体職員として採用するケースは、2000年代になってから、中国地方のどこかの県を皮切りにスタートしたと記憶しています。(島根だったような気がするのですがうろ覚え)

それが、10年あまりで200人にも迫る勢いだというのは少々驚きでした。

これは、災害派遣だけでなく、国民保護計画の策定などで、退職自衛官が役立っている証左でしょう。

エリア的には、北海道が圧倒的に多く、市町村を含め25名にもなっています。
恐らく、陸自部隊が多く、地元と密接に結びついてきたからなのでしょう。

意外な事に、都道府県庁に多数を配置している都道府県は、原爆被災地であり、必ずしも自衛隊感情が良いとは言えない広島県と長崎県が共に5名でトップです。続いて、東京都の4名となっています。
広島と長崎が多い理由は、ちょっと思いつきませんでした。両県とも海自の多い県ですので、市区町村よりも県庁とのパイプが太いからかもしれません。
東京都は、やはり国民保護法制関係で人手が必要だったんでしょう。何せ首都ですから。

逆に、都道府県レベルで一人も採用していないのは福井県と長野県、そして沖縄県です。
福井県と長野県は、それぞれ福井市役所と伊那市役所に1名づつ配置されていますが、沖縄県に至っては市町村にも1名もおりません。
これらは、やはり国民保護に関心の薄い県ということになるでしょう。

海のない長野県はともかくとして、北朝鮮に近く、原発銀座もかかえる福井県がこんなことで良いのだろうか?、という疑問は沸きます。

そして、それ以上に、中国に近い沖縄県がこんなことではダメでしょう。

防衛省がこの資料を公開した意図も、沖縄県や福井県に再考を促するためだったのかもしれません。

2010年8月15日 (日)

自衛隊高級幹部の官舎事情

陸自総監官舎放火は26歳業者「工事、間に合わず…」 兵庫」(産経新聞10年8月3日)

ニュース自体は、どうでもいいニュースです。
ただ、このニュースを見て違和感を覚える方もいると思うので、自衛隊高級幹部の官舎事情について、少し書いてみたいと思います。

自衛隊の官舎というと、マンションのような集合住宅を思い浮かべる方が多いと思います。
実際、現存するほとんどの官舎が集合住宅様です。

しかし、過去には戸建ての官舎も結構ありました。これは何も贅沢でそうなっていた訳ではありません。鉄筋コンクリート製の集合住宅の建設費が高かった時代では、土地代の安い場所では、戸建ての方が安かったからです。

ただし、高級幹部用の官舎に関しては、敢えて戸建てで建てられた所もあります。
実際は知りませんが、今回の事件の場所も恐らくそうでしょう。
敢えて戸建てで建てたものなので、未だに戸建てで現存しているという訳です。

基準の詳細は知りませが、ある程度の高級幹部(恐らく指揮官職の三つ星将官)クラスになると、官舎は公邸としての位置付けになり、居住空間の他に、応接用のスペースが設けられます。

私が実際に知っていたケースでも、応接セットが置かれた応接室が官舎の一部に設けられていました。
ただし、三つ星将官にも関わらず、そのスペースは6畳ほどしかなく、率直に言って恥ずかしくて使えるものではありませんでした。
そんな代物なので、実際に使われたケースも知りません。接遇が必要な場合は、部隊の庁舎を使うか、部外のホテル等を使います。

応接用スペースがある以外は、高級幹部用の官舎だからといって、取り立てて変りはありません。
各室が若干広い程度です。

分かりやすく言えば、思いやり予算で建てられた一般米兵用の宿舎より劣る程度というところでしょう。

三つ星将官の官舎は、庭でパーティがやれる程度でも良いと思う(米軍の接遇には必要)のですが、他省庁の高級官僚でも大差ないようなので、この辺は日本の文化なんでしょうね。

2010年8月13日 (金)

木箱地雷に注意!

韓国で北朝鮮から漂着した木箱地雷で負傷者が発生する事件が起きています。
北朝鮮製「木箱地雷」爆発で1人死亡 韓国で30個以上発見 豪雨で流出か?」(産経新聞10年8月1日)

このニュースが流れる前日には、多数の木箱地雷を韓国軍が処理したというニュースも流れています。
北朝鮮製「木箱地雷」を黄海で発見 韓国軍が爆破処理」(産経新聞10年7月31日)

また、これらの木箱地雷は意図的に流されたものだとする報道もあります。
北朝鮮製地雷 意図的な流出の可能性も 韓国当局」(産経新聞10年8月11日)

これらの木箱地雷は、大雨で黄海に流出したものが、韓国北西部沿岸で漂流しているようです。
サイズは、縦9センチ、横20センチ、高さ4センチとのことで、非常に小さいものであるため、未発見のものも多いでしょう。

日本海沿岸では、韓国や北朝鮮からの漂着物はゴロゴロしています。
過去には、機雷が漂着した事例もあります。

今のところ、木箱地雷が日本海にまで漂流しているという情報はありませんが、日本海沿岸の方は、頭のスミに止めておいた方が良いでしょう。

2010年8月10日 (火)

先島への部隊駐屯による影響

先日書いた記事「先島への陸自部隊駐屯が前進」に野底マーペー様から長文のコメントを頂きました。
その中で、先島への部隊配備による地元への安全保障以外の効果について情報がない、とのことでしたので、これに関して、分かる範囲で書いてみたいと思います。

なお、最初にお断りしておきますが、空自の中では、陸自の方とは親しかった部類に入りますが、それでも知識は十分とは言えませんし、後方系の配置に着けられた事はないので、その辺りの知識も不足があるでしょう。
ですが、たまたま今回話題となっている部隊と同規模(300人程度)の分屯基地に勤務していたこともありますので、その辺りを思い出しつつ書いてみます。

まず最初に、経済効果です。

建築に関しては、何か特殊な施設を必要とする部隊ではないでしょうから、恐らく全額が地元業者に落ちるでしょう。
その後の営繕に必要な資材についても同様です。

また、用地の借り上げが行われるとすれば、この借地料も結構大きなモノになります。
特に、事業仕分けでも問題視されましたが、地元感情などを考慮してか沖縄の借地料は高く設定されています。一般の借地料は本土に比べれば低いにも関わらずです。
駐屯地が国有地のみにならなければ、結構な額が毎年落ちると言うことになるでしょう。部隊だけでしたら、宮古空港の旧ターミナルや石垣空港跡地でも収まると思いますが、前回の記事で書いたとおり、訓練用地の確保もされるはずだと思いますので、この可能性は高いのではないかと思います。

次に糧食関係ですが、野戦用の保存食を除けば、基本的に地元から調達されます。
明確な取り決めはないようですが、基地(駐屯地)建設の際に、自治体と密約?が交わされているという噂を聞いたことがあります。
そのため、地方では入札業者が少なくなり、競争原理が働かなくなるため、納入される食材の質が悪いというのは良く知られた現実です。
逆に、入札する業者が多い入間基地などの人口が多い土地にある大きな基地では、競争原理が強く働くため、同じ費用しかかかってなくても良い食材が納品されるようです。
(不良品があった場合などは、即座に納入業者が謝罪にすっ飛んで来るそうです)

隊員のみでなく家族も島に行くのか、についてですが、現段階では何とも言えないものの、陸士ばかりの部隊なんてことはあり得ませんから、家族を同伴する人も少なくないでしょう。
子供がある程度成長すると、教育の観点から単身赴任の比率が高くなるかもしれませんが、子供が小さなうちはかえって希望者が多くなるかもしれません。
空自の宮古島サイトなどは結構人気がありますし、南国の楽園勤務となれば、マリンレジャーの好きな隊員にとっては天国でしょうね。(こう言った点でもお金が落ちます)

衣料品や家電製品は島外から買ってくるかもしれませんが、食料や生活雑貨については、地元にとって良い客になるでしょう。

それから、子弟の学校についても、官舎の建設場所選定の条件になってくるでしょうね。

災害派遣以外の民生協力がどの程度できるかですが、医官の派遣については期待しない方が良いでしょう。
300人程度の部隊では、医官が常駐する可能性はまずないです。

行事への協力という点では期待してもらって良いと思います。
過疎化が進む地方では、御輿の担ぎ手などが不足し、自衛隊なしでは祭りの姿が保てなくなっている所も少なくないほどです。
自衛隊抜きでやれないわけではないでしょうが、宮古島トライアスロンにもサイトの人間が相当数協力してます。
ただし、競技ものについては、ハーリーや富士登山駅伝のように自衛隊を規制しないと上位をごっそり持って行かれる可能性も無きにしもあらずですが……

自衛隊が来ると米軍が来るというのはさほど気にする必要はないと思います。
訓練用地が大々的に確保されるのでなければ、米軍が来る必要性がありません。

ただし、空港跡地に自衛隊が駐屯し、ヘリポートを大規模に運用する場合は、台湾への展開の中継地として、多少の来島はあるでしょう。それでも、現行以上に大々的になるとしたら中台関係が危機になる時くらいでしょう。
今でも、たまに下地を利用したりしている位ですが、自衛隊が来たから米軍が来たという構図にはならないと思います。

パチンコを含む賭博や風俗についてですが、そもそもこう言う懸念が出る時点で、大分偏向した認識があるんじゃないかと……
確かに、以前はパチンコ愛好者の比率は高かったと思いますが、現在ではさほどではないと思います。
自衛官でも、パチンカーよりゲーマーの方が多いでしょう。
風俗についても、他の人と大差ないと思います。300人程度の部隊ができたからと言って風俗店を支えられるほどにはならないでしょう。

以上、ざっとですが、安全保障以外で自衛隊の先島展開が地元に及ぼす影響について書いてみました。
自衛隊としては、これからこう言った話を地元の方と話すのでしょう。
来年度からは調査費も計上されるので、防衛省関係者の訪島も増えるだろうと思います。

2010年8月 7日 (土)

DVD評「対独爆撃部隊ナイトウィッチ」

タイトルでお分かりになるとおり、前回書評で取り上げたソ連の女性飛行連隊に関するDVDです。


1981年制作のソ連製映画です。
制作経緯は分かりませんが、「出撃!魔女飛行隊」が1982年の刊行で、相当な以前から準備されていたようなので、ブルース・マイルズ氏の準備に協力したソ連政府が自らも映画制作を思い立ったというところではないでしょうか。

内容を一言で言えば、夜間爆撃機連隊の活躍を描いた作品ということになりますが、何とも形容しがたい作品です。
というのも、記録映画かと言えば、そこまで正確に描かれたモノではないので違うと言えますし、かといってストーリーのある作品でもありません。
しかし、敢えて断言しろと言われれば、夜間爆撃機連隊を叙情的に描いた記録映画としか言えないような気がします。
「叙情的な記録映画ってなんだ?」と言われそうですが、他にうまい形容の仕方が思いつきません。

Po-2の飛行シーンは何度も出てくるので、この機体について見たいという方には良いかもしれません。
ですが、1981年の作品であることを考えても、撮影技術はお世辞にも良いとは言い難く、もっと何とかならなかったのか?、と言いたくなります。
特に、特撮シーンは正直幻滅です。

記録映画風なので、女性兵士の生態?が見られるという点が、数少ない褒めるべき点かと思われます。

現在アマゾンにおいて、500円で購入可能です。
売れ残った結果でしょうが、これ位が適正価格でしょう。

2010年8月 4日 (水)

新安保懇報告書原案

以前に、素人が座長になったことを批判した記事「防衛問題は素人でもOK?を書いた「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」(長いので、以下「新安保懇」と記述)ですが、報告書原案の要旨が報じられています。

自衛隊、沖縄・南西に重点配備…安保懇が提言」(読売新聞10年7月26日)
「核持ち込ませず」見直しを提言 新安保懇の報告書案」(10年7月27日)

この新安保懇は、麻生政権下でまとめられた安保懇を覆すため、民主政権下でスタートしたものです。
民主の意向を踏まえているはずですし、座長に素人を持ってくるなど、正直期待はしていなかったのですが、報道されている要旨を見る限り、「文面としては」それほど酷くはなさそうです。

基盤的防衛力整備構想の見直しや集団的自衛権の行使に積極的である点は評価しても良いと思いますし、武器輸出3原則の緩和にも言及しています。実効性は別にしても非核三原則の見直しも行ってしかるべきものです。
(基盤的防衛力整備については別の機会に詳しく書きたいと思っています)

ただし、「文面としては」と書いたとおり、何やら怪しげなニュアンスが感じられます。
それは、この新たな安保懇の報告が、大綱や中期防に反映されることにより、防衛費縮小の根拠になることが懸念されるからです。

「機動的で実効性のある防衛力整備を目指す」事は間違っていないと思いますが、「機動的、弾力的、実効的な防衛力整備」という言い方をされると、弾力的という部分が非常に引っかかります。
報告書全文が公開されないと確かなことは言えませんが、陸自の機甲戦力なんかはかなりヤバイのではないか、などと思えてしまうのです。

それに、民主独特のお花畑臭も漂っています。
「世界の平和と安定に貢献する「平和創造国家」を目指すべき」と提言しているようなのです。
お題目としては別に悪くはありませんが、欧州主要国のように国土が犯される心配のほとんどない国と我が国の防衛を同列に考えられては困ります。
北方領土や竹島は占領されたままですし、北朝鮮の核やミサイルの脅威もあります。
PKOや海賊対処は余力のある中でやればOKです。
他人の世話をするよりも、まず自分の事をしっかり考えなければなりません。

全文が公開されたら、また詳しく見てみたいと思います。

2010年8月 1日 (日)

F-2がベスト

FXの選定は迷走していますが、概算要求を目の前にして、報道も迷走しています。

既に記事が消えてますが、6月には中日新聞が機種未定ながら予算計上を報じていますし、先日もちょっとだけ触れたように、F-2を再度調達するという報道もあります。
F2戦闘機を追加調達 FX選定難航で防衛省検討 中国脅威に防空を穴埋め」(産経新聞10年7月19日)
そして、更に一転して予算計上を見送りというニュースも流れました。
空自FX、調達費計上見送り…有力候補開発遅れ」(読売新聞10年7月26日)

F-2の再調達は産経だからアヤシイという意見が多いみたいですが、「検討」していることは以前からしているでしょうから、ウソとは言えないでしょう。

それはさておいて、以前から何度か言及しているとおり、私はこの方向(F-2の再調達)にすべきだと思っています。

読売の記事にある通り、23年度も調達を見送るとしたら、空自の意図はF-35の選定にあることは間違いありません。
他の機種を選定するつもりなら、これ以上選定を遅らせる必要がないからです。

そして、FXがF-35になるとすれば、F-15Pre-MISPもF-35で置き換えなければならなくなるでしょう。
Pre-MISPをFXとは別の機体で置き換えるとしたら、F-15MISP、F-2、F-35、+αの4機種も運用することになり、多大な運用コストをかけなければならなくなるからです。

そう(Pre-MISPもF-35で更新)なれば、おそらく国内の戦闘機生産基盤は崩壊するでしょう。
これは、避けなければならない事態です。
輸入でいいじゃん、という方もおられますが、実際に現場で国内メーカーのサポートを受けた者としては、賛同しかねる意見です。

という訳で、私はFXにF-35を選定すべきではないと考えています。

そもそも、F-15、F-2それにFXという3機種体制でさえ、自衛隊には贅沢過ぎます。(空自は結構それに拘っているようですが)

欧州各国を見ても、タイフーンとF-35など2機種体制を目指しており、ドイツなどはタイフーンのみの1機種体制の方向です。

役に立たない旧式機では話になりませんが、F-2が追加調達される場合には、当然AAM-4の運用能力など空対空能力が強化されたものになるでしょうから、AWACSやKCの存在と相まって、J-14が出てきたとしても太刀打ちできないということは無いように思います。

タイフーンはブラックボックスが無く、AAM-4など国産ミサイルの搭載やAESA搭載にも対応させられることから、国内基盤のためにもタイフーンが良いという意見もあるようですが、タイフーンを改造するくらいならF-2を改造した方が長期的な観点ではプラスが多いでしょう。

F-2の再生産にはロッキード・マーチンの生産ラインをどうするかと言った問題がありますが、これが障害になる(交渉に応じない)くらいなら、アメリカとの共同開発なんて金輪際やれません。

FXにF-35を選定せず、機種も増やさない選択にはF-2の他、F-15FXも入ってきますが、国産ミサイルの運用などのために開発費用も必要になってきます。
そう言ったことまで考えれば、やはりFXはF-2でガマンすべきです。

そして、それによって、Pre-MSIP機の更新において、完全な第5世代機を、より広い自由度を持って選択できる態勢を作るべきだと思うのです。

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