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2010年7月25日 (日)

先島への陸自部隊駐屯が前進

梅雨が明け、夏がやってくると概算要求関連のニュースが流れ始めます。
ミリタリー系のブログではF-2追加調達の件が賑わってますが、こっちも注目です。
宮古・石垣に国境警備隊 陸自配備 与那国にも」(沖縄タイムス10年7月20日)

来年度予算には調査費の計上がほぼ確定になっています。
自衛隊の場合、金を使って調査までするとなると、その先もほぼ確定している可能性が高いです。
要は配備の是非を調査するのではなく、配備する部隊規模や施設の検討をするために調査するという訳です。

来年度予算の調査費は、ほぼ全額が与那国の沿岸監視隊用の予算でしょう。
どの程度の額が盛り込まれるのか不明ですが、調整のための出張費用や測量、調査工事でしょうから多くて数百万程度でしょうか。

さて、このニュースで注目なのは、既に確定的となってきた与那国の沿岸監視隊ではなく、情報が途絶えていた宮古ないしは石垣への部隊配備です。

宮古、石垣への配備部隊は、対馬警備隊のような普通科を中心とした国境警備部隊が考えられているようです。
時間的には5~8年後を目処に、と報じられており、年度末に出てくる防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画で与那国配備を明確化し、その次の大綱と中期防で宮古、石垣への部隊配備を盛り込むつもりのようです。

5~8年後なんて言う悠長なことではマズイと思いますし、防衛省内での認識もそうだと思いますが、地元調整にも時間を要すると踏んでいるのでしょう。

細部はこれから検討されて行くのでしょうが、ここで問題になってくるのは部隊の機能と規模、そして場所です。
報じられるように300人程度の普通科を中心とした部隊であれば、少数ゲリラによる侵入には十分対処できるでしょうから、基本的にはこれでOKです。
ただし、理由は後述しますが、少し多すぎるような気がします。

また、ブログ「北大路機関」さんでは同報道に関する記事で「空中機動能力の強化も併せて必要ではないか?」と述べており、那覇に所在する15旅団隷下の15飛行隊の増強が必要だと言う見解を述べています。
15飛行隊は1混団の15旅団の改編に際しても航空機の増強は行われておらず、合計4機と心許ない編成ですので、一見もっともな意見のように思えます。

ですが、私は必ずしも賛成しません。
というのも、15旅団自体が先島に部隊を投入するだけの余力があまりないからです。
15旅団の主力普通科部隊は第51普通科連隊のみですし、中隊も3個(本管中隊を除く)しかありません。
先島に侵攻されるような事態では、沖縄本島でも破壊活動が行われることを想定しないといけませんので、3個中隊しか擁しない51普連から引っこ抜く訳にはいかないのです。

となると、先島への増強はまず第1に相浦駐屯地に駐屯する西部方面普通科連隊という事になります。
西普連は離島対処を行うための専門部隊です。
更に増強が必要ならその他の部隊を送り込むことになるでしょう。
もし、機甲戦力が必要ならいきなり北方からと言うこともありうるかもしれません。

何にせよ、先島への戦力投入は九州を含む本土から、回転翼機だけではなく固定翼機も含めて実施されるものと考えておく必要があります。

となると、宮古もしくは石垣に配置される部隊は、先島の島々への前進拠点を運営する部隊になるということです。

そしてその機能を発揮するためには、海兵隊が普天間を必要とするように、陸自であっても空港機能を持たせられる場所が適切です。

具体的には、下地島か空き地となっている宮古空港の旧ターミナルビル跡地が良さそうです。
宮古空港の旧ターミナルビル跡地は、ビル解体後、国に返還されたまま放置された状態ですから、面倒な用地取得上も非常に都合がよい場所になっています。
下地島が屋良覚書など地元の合意取り付けに苦労しそうなことを考えても、宮古空港は良さそうです。

ただし、部隊の規模と場所を考えるに当たって、もう一つ考えるべき難しい要素があります。
それは、訓練用地の問題です。

300人の部隊が適切な訓練を行うためには相当な地積が必要です。一斉での訓練を諦めるとしても、グラウンド程度の地積では到底足りません。
これが、300人という部隊規模が大きすぎるのではないか、と書いた理由です。
まさか部隊を配置したものの、体育訓練ばかりをさせておく訳にはいかないでしょう。

そして、300人もの部隊が訓練する場所は宮古島では確保不可能ではないかと思われます。
石垣には場所はあるでしょうが、住民の反対などで用地取得は難しそうな気がします。

空港機能との隣接も含めて考えると、訓練用地としては下地島空港の南東側のジャングル(ブッシュ)がベストでしょう。
部隊が宮古島駐屯になったとしても、再来年には伊良部大橋が完成するので移動も問題ありません。
空港ではないので屋良覚書の影響も受けません。

いずれにしても、宮古石垣の部隊は少数ゲリラによる侵入に対処するとともに、先島への前進拠点を運営するハブ的機能を持たせる部隊である必要があります。
影響する要素が多いため、具体的な方向性が固まるには紆余曲折がありそうですが、今後も注視していきたいと思います。

なお、沖タイは先島住民の反応も掲載しています。
沖タイでこの程度のトーンですから、大多数は容認なんじゃないかと思います。
「紛争の種」「守り必要」 陸自配備に先島の住民」(沖縄タイムス10年7月20日)

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先島防衛」カテゴリの記事

コメント

なぜ、「軍隊が存在するイコール紛争が起きる」という理屈が成り立つのかが、
不思議です。 ここまでくると宗教の世界です。

ようやく島民の方々も安心できるようになるのではないでしょうか。

やん 様
大分減ったとは思いますが、軍隊が存在するから戦争が起こるという考えは、一頃の反戦運動ですり込まれた方には普通の思考なんでしょうね。

部隊配備で国としての意志は示せるでしょうが、安心となると後は能力の問題かもしれません。
現状では、中国が本気で来られると厳しいものがあります。

数多様
戦争したい軍隊なんて、存在するのでしょうか? 少し考えれば分かるはずなの
ですが、この刷り込みから離れられない人間が多いです。

衆寡敵無しですから、おっしゃる通り中国が本気になれば、かなり厳しいと思います。
しかも着々とSu27や殲10等の軍拡を進めていて、今年もF-Xを決められなかった
日本とは大きな差を作ってますし。。。。

やん様
F-Xを決められなかったのは痛いですよね。このまま日本の防衛力は衰退するしかないのかと思うと本当に残念です。ちなみに私は潜水艦増強は愚策だと思うので反対です。また「なだしお」や「あたご」のような事件を繰り返すだけだと思います。(まぁ漁船は海の暴走族なので、自衛隊だけが悪いわけではないの明白ですが。)
絶対的にF-Xを調達するほうに金をかけるべきだったと思います。稼働率が低くなれば日本の防衛は成り立たないですからね。

>わき様

次期主力戦闘機が先送りになってお気に召さないのは分かりますが・・・それで海自潜水艦が増強する話を出してくるのは余計でしょ・・

少なくとも、また事故が起こるなんて、海自からすれば侮辱でしかないし、次期主力戦闘機が先送りしているのは空自であり海自はなにも関係はない。

それから潜水艦の増強は耐用年数の延長で対応しようとしています。空自の予算は別に侵してないでしょ・・・

海族様
これからは統合運用の時代です。(といってもあまり進んでいませんが…)海だの空だの言って、いまだに予算の取り合いが続いている事は問題だと思います。ですから、少ない予算を必要な部分にいかに配分するかが大切になってきます。

何故私が潜水艦増強に反対かというと、以下の理由からです。
潜水艦の乗員は適性と希望が一致した人がいきます。しかしその数は限られています。つまり『現在の自衛官の数、分の現在の潜水艦保有数』であるから優秀な部隊が維持されているわけであり、艦が増えるだけではマイナスの結果しか生み出さないのです。これは海自に限らずどこの軍隊でも同じであり、分母と分子のバランスをとることが大変重要なのです。
おそらく現在の日本の財政では両方バランスよく増やすことは無理でしょう(とくに潜水艦乗りは金がかかる)。それならば、バランスを崩さないために調達するF-Xのほうが貴重な予算を有意義に使えると、私は思います。

長文失礼致しました。


追伸 前回の投稿でワキをわきと載せてしまいました。訂正させていただきます。

沖タイで反対意見を述べられている方々は、与那国町長選での落選者と、石垣市長選で負けた陣営の方。
とはいっても、「住民の反応」が一番懸念されるのが石垣市であることに間違いはないでしょう。

5~8年後の配備では「遅い」との意見もありますが、沖縄では「住民の反応」について特に慎重な態度を取らざるを得ないと思います。
強いて言えば、防衛省が腰を上げた時期がそもそも遅いのではないかと。
今後5~8年間に地元では数度の選挙があるので、自衛隊配備が争点となるのでしょうし、なるべきです。下手な工作などしないで・・・

離島への中隊規模の事前配備については、「限定小規模侵攻対処」「緊迫時の前進より刺激が少ない」等といった理由からの積極論(取らせない)、「補給増援が困難」「遊兵化」等といった理由からの消極論(取られてから取り返す)といった二つに、2ch先島スレでは大別されています。
ある方はこれを、『野原の真ん中にタバコ屋があって、強盗が入ったら「留守番の婆さんがいた場合」と「無人だった場合」どちらが良いか?』と表現されていました。
安保懇の報告をみても、日本政府はどうやら前者を選択する様子で、これが石垣島にも当て嵌まるのであれば、私としては大歓迎。

もし政府の方針が宮古与那国だけへの配備であれば、「某有名政治家 愛人と八重山旅行」とかとか、地元裏情報を洗い浚いネットに書いてやるぅ~!

まぁ冗談はさて置いて、防衛省が配備の方向に動くのであれば、もうそろそろ配備によってどのような安全保障以外のメリットデメリットがあるのかを、なるべく具体的に話し合っていくステージに移行すべきでは無いかと思ってはいるのですが、如何せん情報が不足しています。

「安全保障以外のメリット」、例えば「経済効果」。
公共工事については建設業新聞を眺めれば予想は付きますし、食糧や物品の納入についても公開情報からある程度は推測できます。地元最優先であれば、当然「反対」は出難い。

それ以外、例えば、普通科部隊を中心とした300人程度の自衛官が移住(住民登録)した場合、その階級別年齢別人数は?家族を伴うのか?地元小売店飲食店等にとって「良いお客さん」になってくれるのか?
また、石垣では駐屯地をどの辺に置くのがbetterなのか?革新系の方々が噂している新空港開港後の現空港跡地というのは、防衛省的には有り得るのか?
自衛官の子弟の予想人数によっては、島内どこの学校に通うのかも大きな問題となります。市街地の学校か?裏地区には、廃校寸前の学校もあります。そのような地区を“狙い”、公民館と交渉をする方法もあると思います。(是非は別として)

「経済効果」以外では、例えば災害派遣以外での民生協力にどの程度の労力を割くことが可能なのか?県立病院や離島診療所への医官の派遣等、医療分野での協力を期待できるのでしょうか?

「デメリット」だと、例えば「米軍の来島」。これは地元の反感を買います。確実に。
米軍関係者による犯罪について沖縄県民は敏感になっています。当然反対派はこれを突き、「自衛隊が来ると、米軍も来る」とのシュプレヒコールをあげるはずです。対馬警備隊では、宮古の第53警戒隊では米軍との合同訓練はどうなのでしょうか?

また、どのような部隊で、島内ではどのような訓練を行うのかが明確にならないと「騒音」「事故」についての恐怖心も煽られるがままです。市民の大多数は、私以上に自衛隊に関する知識がありません。(石垣における防衛省・自衛隊の広報活動には、以前からとても不満を感じています。これが「セキュリタリアン」を発行していた自衛隊の広報なのか、と)

その他の心配事といえば、隊員の余暇は?例えばパチンコに風俗。石垣にはパチンコスロット店は3店舗。合法的な風俗店は0。過去に合法的なデリヘルが1件ありましたが、ある事情で無くなりました。店舗型の風俗店が出来れば、反対運動が持ち上がる可能性があり、持ち上がればそれは反自衛隊運動に絡まるでことしょう。(ヤとの関係にもよりますが)

「周辺国の軍拡に対処」だけでは、他の地域と同様、住民は納得し難いはず。
本音の重要な一部分、「いくら儲かるのか」「どれだけ得するのか」といった疑問への説明も用意しておくべきと考えます。

>ワキ様

すいませんが知ったかぶりはほどほどに海が空の主力戦闘機の予算を喰ったという事例を教えて頂ければ幸いなんですが・・・・

それから海自の潜水艦の乗員は別に、適正があれば本人の希望なんて関係なく選ばれますので悪しからず・・・本人の希望と適正が揃わないと選ばれないのはPKOの隊員位の話です。

海族様
私は別に海が空の戦闘機の予算を喰っただなんて一言も言っていません。私が言いたいのは(陸)海空を個別ではなく全体的に考えて予算をつけるべきだということです。

ちなみに私が自衛官の頃は、適性があっても本人の希望が優先されました。なぜならどんなに適性があっても、本人が拒否して辞めてしまえば意味がありませんので。
またPKOなどの海外派遣は船に対して命令されるので本人が選択出来る事はないかと。

野底マーペー 様
長文のコメントを頂きましてありがとうございます。
コメント欄で答えるのも勿体ない気がしますので、記事として書かせて頂く予定です。

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