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2010年6月12日 (土)

書評「Twelve Y.O.」

多分、このブログを読んで下さっている方ならば映画化作品を含めて、まず間違いなく見知っているだろう福井晴敏氏のデビュー作です。


「亡国のイージス」や「終戦のローレライ」といった福井氏の作品が面白いと思ったからこそ読んだのですが、本作は最後まで読むことがつらかった、というのが正直な感想です。

だったら、いちいち書評なんて書くなよ、と思われるかもしれませんが、今回取り上げたのは、沖縄からの海兵隊撤退という、今であればタイムリー?な内容が含まれているからです。

(以下、多少のネタバレあり。)

ただし、作中では海兵隊の撤退は米軍も海兵隊の撤退を望んでいる事になっていますが、普天間問題のおかげでアメリカはそれを望まないことがハッキリしてしまいました。
その意味で、ちょっと古い作品になってしまったと言えるかもしれません。

本作に限らず、福井氏の作品は、ものすご~く乱暴な言い方をすると、反米右翼的なテイストがありますので、同じような考えの方はシンパシーを感じられるかもしれません。

私の場合は、心情的には似たようなモノを感じないではないですが、この作品ほど明確だとちょっと受け付けません。
アメリカはそんなに悪意の塊だと思っていないので……独善ではありますが、必ずしも偽善ではないでしょうから。

ミリタリー的な描写という点では、日本人作家の中ではリアルに描こうとしている部類に入るでしょう。
ご本人はそれに拘っているわけではないようですが、何せ他の方の作品にトンデモなモノが多いので。

ただし、ネットワーク中心の戦いが盛んに言われている現在でも、コンピュータウイルスは描かれているほど万能ではありません。
「ナイナイ」と言う描写が結構多かったです。

この作品を読んで、改めて思ったことは、アメリカ海兵隊に対する日本人の認識が、この作品に描かれているようなモノ(海兵隊を無用とする考え方)だろうからこそ、今回の普天間問題迷走が生じたんだろうな、という点です。

その点で、この作品はもしかすると現在の政治情勢に悪い影響を与えた作品だったのかもしれません。

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コメント

初めて書き込ませていただきます。いつも興味深い記事を楽しみにしているものです。

福井作品なら「川の深さは」をお勧めします(もしもうお読みでしたら謝ります。こちらの書評も期待しています。)。こちらは処女作になります。作品世界は「TwelveY.O」の前にあたります。

namelessaegis 様
いらっしゃいませ。

「川の深さは」は読んでおりませんでした。
「Twelve Y.O.」が今ひとつだったので、もっと以前の作品ということであまり期待してなかったのです。
ですが、今度見かけたら読んでみます。

福井氏の作品は人物が良いですよね。
自分ではここまで書けないな~、と落ち込むのですが……

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